2011年01月15日

必読本 第946冊目 成功は一日で捨て去れ 

必読本 第946冊目

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成功は一日で捨て去れ

柳井 正(著)

¥ 1,470

新潮社

単行本: 238ページ

2009年10月15日 初版


●ユニクロは、いかに「最大の危機」に対峙し、世界一を目指す組織を作り上げていったのか?

その「安定志向」が会社を滅ぼす―現状を否定し、社内改革への挑戦を続けるユニクロ。

経営トップが明かす悪戦苦闘の記録。 

●この大不景気の世の中、数少ない「勝ち組」企業として世間の注目を浴び続けるユニクロ。

その総帥である柳井正の、2004年から2009年までのユニクロの取り組み、自らの思いを

忌憚なく綴った奮闘記である。

大ベストセラーになった「一勝九敗」が2003年に出版されましたので、

その後のユニクロの成長ぶりを知るには格好の書物です。

●自ら筆を取ったのか、口述したものをライターが改めて文字に起こしたものなのか

定かではないが、とにかく文体は流麗で読みやすい。

240ページあまりだが、内容の面白さもあって、読み始めたら一気に読破できる。

柳井さんは、あまたのビジネス本を渉猟する読書家としても有名ですが、

最近話題のドラッカーや、松下幸之助、藤田田などの本から、

どのような知恵を吸収してきたのかを綴った個所が何か所も出てきますが、

有名人のビジネス書の活用の仕方を知る上で、非常に参考になります。

柳井さんは朝7時に出社し、夕方5時には退社するというタイムスケジュールであると

本文にありますが、無駄なパーティーや接待などに出ることを嫌い、

帰宅後は一人静かに読書することを好むような習慣が定着しているのでしょう。

そうでなければ、これほど多忙な人が、日常的に数多くの書物を読みこなすことなど出来ないはず。

●「安定」を目指した時点で衰退につながるという信念のもと、

著者はM&Aを大胆に展開したり、一つの大ヒット商品に安住せず、次のヒット商品を模索し続けたりなど、常に前進を続ける。

人材の育成、ヒット商品の出し方、立地や店舗開発、ライバル企業との攻防戦、海外展開の仕方など、

我々中小の人間にもヒントになる話が満載です。

●テレビなどでその姿を拝見すると、笑顔をほとんど見せず、

クールに物事を評価、処理していく冷徹なタイプの経営者に見えることが多いですが

(この点、親交の深いソフトバンク孫正義さんが表情豊かなのとは対極に位置するでしょう)、

 失敗した点、ダメだった点も包み隠さず素直に開陳し、

ヒット商品が出たり、世間一般から見たら業績が絶好調の時であっても、

決して有頂天になったりせず、冷静に事態の推移を観察するなど、

やはり、タダモノではないなと驚嘆させられます。

それ相当の年輪を重ねた経営者だけのことはあり、

ポッと出のIT若手経営者などは及びもつかないような深い知識と経験が蓄積されているなと

思わされますね。

●この本は、2009年と、ちょっと前に出た本ですが、

今の時節に合っているなという意味で、是非指摘しておきたいことが、

各章の末尾に、2004年から2009年までの、正月に全社員に向けて送るという

「新年の抱負」が掲載されているということ。

これは、別にユニクロ関係者やアパレル業界の人に限らず、

非常に元気を与えてくれるもので、正月ボケ、普段のだらけた生活に逆戻りしている人には

是非精読していただきたい。

手綱を締め直そうという気持ちに間違いなくさせられます。

巻末の社訓や略年表も、ユニクロの全体像をおさらいするという意味で

是非有効利用したいものです。

柳井さんの本は、今まで、あまり読んでこなかったのですが、

かなり肌に合いそうな感触を得たので、これからも続々と紹介する予定です。

 【マストポイント】

@「日本の経営者は『会社は社員のためにある』と言う人が結構多い。

これは本末転倒である。また、アメリカの経営者は『会社は株主のためにある』とよく言う。

これもあり得ない。

やはり会社は『お客様のため』に存在するのが本質だ。

株主のためや社員のため、もっとひどいのは経営者のため、そんなことはあり得ない。

会社というのは、お客様に商品を売り、サービスを提供して、それに対しお客様がおカネを払ってくれる、

収益という見返りを得る受益者である。そこに会社の役割と意味があると思う。

いま世の中全体が不景気のせいもあるが、元気のない経営者が多い。

他人のせいばかりにして経営者自身がまったく動こうとしていない。

お客様のために何ができるかを常に一生懸命考えて、自らが率先してひるまず実行するべきだ」

A「我が社には、成功の方程式なるものはまったくないばかりか、

現場主義を徹底的に磨きこむという地道な作業が尊ばれる。

社員ひとりひとりがもっとよく考えて、すぐに実行していくという経験値の積み重ねのようなものが、

現状のブレークスルーにつながっていく。

よく、机上の空論で、いろいろなことを分析したり論理的に考えたりするけれども、

それが上滑りすると、結局ブレークスルーはしない。

感情の生き物としての人間である社員が、苦しんで、苦しんで、苦しんで、

その挙句に最終的にやっとブレークスルーするものなのだ」

B「企業経営は、何でも実際にやってみないと分からないことが多い。

完全なものができるまで待っていたら、何にもできない。

自分の会社や事業として、単純に『こんなことがしたい』のではなく、

常に『どうあるべきか』を考えて決断しなくてはならない。

多くの人が、自分に果たしてできるのだろうか、自分には能力がないのではないか、

こんなことよりも自分は別のことをしたほうがいいのではないか、などと思い悩む。

それで大失敗するのだ。

世間とか世の中は自分よりももっとずっと大きな存在なので、

自分の都合などは聞いてくれない。

社会的に必然性がなければ失敗する。

社会がその事業を要求するから成功するわけで、本当は何も思い悩む必要などないのだ。

やってみて失敗だったと気づいたら、それを素直に失敗と認め、すぐに変更していけばいい」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

柳井 正
1949(昭和24)年2月、山口県宇部市生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。ジャスコを経て、72年、父親の経営する小郡商事に入社。84年、カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、同年社長に就任する。91年に社名をファーストリテイリングに変更。94年広島証券取引所に上場し、97年東証第2部に上場。99年2月には東証第1部に上場を果たした。2002年11月に一旦は代表取締役会長となるも、05年9月、再び社長に復帰する。

 



posted by miura at 13:54| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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