2011年04月30日

必読本 第974冊目 美しいお経

必読本 第974冊目

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美しいお経

瀬戸内寂聴(著)

嶋中書店

¥1,000

単行本: 189ページ

2005年10月5日 初版

 

●疲れた時、淋しい時、心に屈託を抱えている時、そっと開いてみて下さい。

寂聴尼、待望の書き下ろし。

功徳のあるお経の話。

●御無沙汰しております。

ゴールデンウィーク中、皆様いかがお過ごしでしょうか。

ブログのアップにやや間隔が空いてしまいましたことをお詫び申し上げます。 

●今回は、最近、大物女優、男優の突然の悲劇的な死去、

又、例によって、東北大地震での大切な人との離別など、

人の生死にかかわるニュースを頻繁に耳にすることが多く、

何か命のはかなさ、諸行無常を感ずることがよくあったので、

瀬戸内さんの仏教関係の本を紹介したいと思います。 

●内容的には、仏教の経典の中で有名な文句や、

名僧の言葉、合計70あまりをはじめに

掲載し、その現代語訳と、瀬戸内さんの解説、感想をつけるという

配置の、仏教関係の名言集とでも言える趣の本である。

タイトルに「お経」とあるので、

何か年寄り臭い本かと思ってしまいがちですが、

寺山修司、井伏鱒二、宮沢賢治など、

一見あまり仏教とは縁がないような作家、詩人などの味わい深い言葉も

同時に収録されており、肩がこらずに読み進めていくことができます。

●本書で瀬戸内さんが仰られているように、

本というものは、ただ黙読するのみならず、

実際に声に出して念仏のように音読してみると、

ざわついた心が静かに落ち着いたり、

いわゆる言霊の法則で目に見えない不思議な功徳があったりすることがあるものです。

本書には、意味不明だが、

霊験あらたかなマンダラの言葉も沢山掲載されております。

ご興味ある方は是非手にとって、毎日唱えてみて下さい。(ちなみに、カラフルなカバーデザインは知遇の深い横尾忠則さんが担当されました)

 

 【マストポイント】

@「仏心は慈と悲なり

大慈は即(すなわ)ち楽を与え

大悲は即ち苦を抜く(空海)

(仏のみ心は慈と悲です。

仏の大いなる慈しみは人々に楽しみを与え、

仏の深い悲(あわ)れみは人々の苦しみを抜き去ってくださいます)」

A「気は長くつとめはかたく色うすく、

食細うして心ひろかれ(天海僧正)

(短気は短命のもと、気は長くしてゆったりした心を持ち、

自分の仕事はなまけずしっかり勤め、

性欲はほどほどに、大食しないようにして、

心は常に広く持ち、何かにつけかっかと怒らないようにせよ)」

B「耐え忍ぶことこそ 最上の行

苦しさに耐え忍ぶこそ

この上なき涅槃なり(『法句集』184番)」 

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

 瀬戸内寂聴
1922年、徳島市生れ。1943年、東京女子大学卒業。1957年「女子大生・曲愛玲」を発表して以来、『田村俊子』『かの子撩乱』『青鞜』『美は乱調にあり』など伝記小説を多数執筆。1963年、『夏の終り』で女流文学賞を受賞。1973年、平泉中尊寺で得度受戒。法名・寂聴。1987年~2005年、岩手県天台寺住職を務める。1992年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、1996年『白道』で芸術選奨文部大臣賞。1998年、現代語訳『源氏物語』(全10巻)を完成。2001年、『場所』で野間文芸賞を受賞。『瀬戸内寂聴全集』(全20巻)刊行。2002年、『釈迦』刊行。2006年、イタリアノニーノ賞、文化勲章受賞。2007年、世阿弥を描いた『秘花』がベストセラーに。



ラベル:瀬戸内寂聴
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2011年04月14日

必読本 第973冊目 ドラッカー最後の言葉 (講談社BIZ)

必読本 第973冊目

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ドラッカー最後の言葉 (講談社BIZ)

P.F.ドラッカー(著), 窪田 恭子(翻訳)

講談社

¥ 1,000

単行本: 168ページ

2010年7月27日 初版

 

●世を去る4ヵ月前、ドラッカーが明快に語り尽くした日本の未来、人間の生き方。

いま何をすべきか。「新しい時代」を生きる希望のメッセージ。

●かつてご紹介したドラッカーの本(必読本 第68冊目 参照)の再編集版。

 安価なソフトカバー版で、装いも新たに昨年夏に発売されました。

大概のドラッカー関係の本はダイヤモンド社から発売されますが、

指をくわえてこのドラッカーブームを見守っているわけにはいかないとばかりに、

講談社から商魂たくましく復刻されました。

●内容的には、亡くなる直前、日本のジャーナリストのインタビューに答えたものが、

テーマ別に分けられている。

簡潔なメッセージが、1ページに一つの割合で割り振られており、

あたかも名言集のような作りとなっておりますので、

気軽な気分でスイスイと読み進めていくことができます。

●日本がここ十数年に陥った停滞期を、危機ではなく、移行期なのだと喝破した点、

アジアの新リーダー、中国とインドと日本はどう付き合うべきか、

そしてその両国がどのようなポジションで世界に台頭してくるか、

金融や製造などでは世界をリードしているが、

日本は情報経済に乗り遅れないようにしなくてはならない、

日本語の特異性、成果を上げるためにはどのようにすべきか、

知的労働者、リーダーはいかにあるべきかなどなど、

非常に薄い本の中に、これからの不確定な未来を生きていくための

指針、ヒントが凝縮されております。

100歳近い最晩年の時に、体は当然やや不自由ながらも、

これほどまでの明晰さで、現状分析、未来予測をしてみせるというのは、

さすがドラッカーである。

●前回の本とほぼ同内容だが、

巻末には、ドラッカーの来歴と、その人となりを解説した箇所が

付属している。

この部分は、ドラッカーの全体像を知る上では非常に有用で、

初心者には大いに参考になるはずである。

ドラッカーの本は、ある程度の心の準備をもって着手しなければならないような

重厚難解なものが少なくありませんが、

前述したように、雑誌を読んでいるかのような気軽さで、

大事なポイントを押さえられる、非常に便利で得難い本です。

 【マストポイント】

@「この十数年間、『日本が危機的状況に瀕している』という言われ方が

幾度となく繰り返されてきました。

―明らかな間違いです。

日本が直面しているのは危機ではなく、

時代の変わり目=移行期なのです。

日本がいますぐ取り組まねばならない課題―それは、時代が変わったことを認め、

その変化に対応していくための意識改革です」

A「私たちはいま、転換期に生きています。

ところが、多くの人々は、そのことを理解していません。

変化は予測できず、理解することも困難で、

みなが考える常識に反する形で起こるからです。

しかし、変化した現実に考え方をすり合わせていく過程にこそ、

好機は訪れます」

B「かつて、ある有名誌がドラッカーに訊ねたことがあります。

『暇な時はどういうふうに過ごされるのですか』

ドラッカーは返したものです。

『暇な時とは、どの暇のことだ?』」 

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

P.F.ドラッカー[著]
20世紀から21世紀にかけて経済界に最も影響力のあった経営思想家。東西冷戦の終結や知識社会の到来をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの主な概念と手法を生み発展させたマネジメントの父。 著書に、『「経済人」の終わり』『企業とは何か』『現代の経営』『創造する経営者』『経営者の条件』『断絶の時代』『マネジメント』『非営利組織の経営』『ポスト資本主義社会』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』ほか多数ある。



ラベル:ドラッカー
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2011年04月10日

必読本 第972冊目 花言葉

必読本 第972冊目

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花言葉

美輪明宏(著)  

パルコ出版

¥ 1,470

単行本: 236ページ

2010年10月1日 初版


●心の友、人生の道案内となる愛の格言集。

自分を輝かせるための言葉、つらい時のための言葉、

美しく生きるための言葉、人と上手につきあうための言葉などを紹介します。

●本当に久しぶりの美輪明宏さんの本。

昨年秋口に発売された。

『オーラの泉』のような派手なレギュラー番組がなくなり、テレビの露出が減ったせいか、

一時の、異常とも思えた熱狂的な人気ぶりはやや影を潜めたかもしれませんが、

依然としてカリスマ的な人気を誇っておりますね

(先日、『いいとも!』のテレフォンに出演されていたが、

生地である長崎原爆のことにはチラリと触れられていたが、

くだんの地震で被災された人々を元気づけるようなメッセージを

発していただくことができなくて、やや残念だった)。

●本書は、5つのテーマに分け、

一ページに一つの割合で、

美輪さんの名言、格言を掲載するという体裁の本である。

書き下ろし作品というよりは、携帯サイト(私は別に会員ではないので、

断言はできませんが)や既出本などで語られた名言を集積、選別し、

一冊にまとめたような内容の本です。

●人生の酸いも甘いも経験し尽くした美輪さんの有り難い言葉の数々は、

やはり、非常なインパクトをもって読者の心に迫ってきます。

苦しい時、自分を磨きたい時、人と上手に付き合いたい時など

テーマ別に分けられておりますので、

なかなか自分一人では答えが見つからない時など、

ページを開いて美輪さんの言葉にヒントや勇気をもらいたいものです。

●新書サイズで、定価1,470円というのはちょっと高いような気もしますが、

外装、デザインに相当お金がかかっているようなので

(カバー画は、美輪さんの前世である天草四郎を美輪さん自身が描いた絵。

本文挿画は竹久夢二。

例によって、デザイン面には、並々ならぬ努力が払われている)、仕方ないでしょう。

美輪さんファンならば、バッグなどに常に携帯し、

折りに触れて目を通しておきたいような本です。 

 

 【マストポイント】

@「先のことを考えすぎると、

取り越し苦労をしたり、誇大妄想に陥ったりして、

必ず人生を損します。

大切なことはひとつだけ。

明日の朝、もしも目が覚めなくても、

後悔しないと思える今日を送ればいいのです」

A「好き放題おいしいものを食べて、飲んで、

健康でいたいというのは図々しい。

口から毒を入れれば、病気になるのは当たり前。

これも『毒あれば苦あり』です」

B「ふだん人を泣かせてばかりいる人は、

死んだ時には笑われ喜ばれるのです。

ふだん人を喜ばせ笑われている人は、

死んだ時には泣かれ悲しまれるのです」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

美輪 明宏
1935年、長崎市生まれ。国立音大付属高校中退。十七歳でプロ歌手としてデビュー。1957年「メケメケ」、1966年「ヨイトマケの唄」が大ヒットとなる。1967年、演劇実験室「天井棧敷」旗揚げ公演に参加、『青森縣のせむし男』に主演。以後、演劇・リサイタル・テレビ・ラジオ・講演活動などで幅広く活動中。1997年『双頭の鷲』のエリザベート役に対し、読売演劇大賞優秀賞を受賞。

ラベル:美輪明宏
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2011年04月09日

必読本 第971冊目 平田牧場「三元豚」の奇跡

必読本 第971冊目

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平田牧場「三元豚」の奇跡 

新田 嘉一(著)

潮出版社

¥ 1,470

単行本: 189ページ

2010年11月5日 初版


●どん底に落ちて丸裸になって初めて、成功の扉は開かれた。

平牧三元豚・平牧金華豚をはじめ、

日本初の完全無添加ハム・ソーセージの開発、生産と流通の一体化によるコストダウン、

さらに銀座、日本橋、東京ミッドタウンなど行列のできるレストランの展開まで、

地方発のビジネス・モデルをこの1冊に凝縮。

●私の出身地である山形県酒田市を代表する企業にして、

日本有数の豚肉のトップブランド。

又、独自の生産と流通の仕組みを確立し、

地方を活気づける象徴的な企業として

各種マスコミなどでも頻繁に取り上げられることが多い、平田牧場。

その創業者である新田嘉一氏の、ほぼ初めての著書。

昨年、テレ東『カンブリア宮殿』などに出演し、一気に名前が全国区になった新田氏だけに、

名だたる出版社から本執筆のオファーが殺到したと予想されるが、

なぜか学会系の出版社から出された。

そのあたりの経緯は全く不明。まあ、瑣末なことですが・・・。

●内容的には、幼少期の生い立ちから、

養豚事業に着手するきっかけ、

日本一美味しい三元豚や無添加ウインナーを開発成功するまでの、

血がにじむような苦闘、

流通の王様ダイエーとの取引で全国的に急拡大するも、

非人間的な仕打ちの数々に遂に関係を解消。

独自の流通の道を開発する話などなど、

今現在の何不自由ない栄華からはとても想像できないほどに、

数々の苦難、辛酸を経験しつくしていることにまず驚かされる。

●新田氏は、山形県人ならば知らない人がいないぐらいの

県を代表する有名人だが、

松本清張のような分厚い唇とギョロ目が印象的で、

ほとんど笑顔を見せることがなく、いつも

不機嫌そうというかぶっきらぼうな表情でいる方で、

あまり好ましいイメージを抱いている方は少ないかもしれない。

しかし、本書を一読すると、その先入観が一掃される。

エゴとは無縁で、利他の精神や使命感が非常に強い方なのである。

●空港も高速道路も整備された港もない「陸の孤島」酒田市の未来を憂い、

自ら行政に陳情に行ったり、気前よく多額の自己資金を供出したりなど、

 非常に郷土愛溢れる人だということがわかる。

向学心に溢れていたが、周囲の理解を得られず、

大学進学を断念した苦い過去があるだけに、

地元初の4年制大学の創設、美術館や歴史的建築物の新設、再生など、

アカデミックな分野にも並々ならぬ貢献を果たしている。

本文中、資金繰りに幾度となく苦しめられ、

同業者の中には、自ら命を断つ者まで少なくなかった中、

すんでのところで救われ、生き延びることができたのは、

やはり、エゴのためでなく、地元や従業員を幸せにしたいという

崇高な精神があったからこそではないかと思い知らされる。

●飛ぶ鳥を落とす勢いだった中内ダイエーが、

実際には、取引業者に非常識な値引きや非人間的な対応を繰り返すような

傲岸不遜な輩が多く、遂には破綻までいったという事実は、

クロネコヤマトが三越と絶縁し、鍵山さんのイエローハットが、

テナントとして入っていたスーパーの酷い仕打ちに耐えかねて

撤退した例を出すまでもなく、大いに心に刻んでおきたいことでもあります。

諸行無常。奢れる者は久しからず。

人を泣かせて得たようなお金や幸せは、永続しないということです。

●数々の苦難もものともせず、

一代で企業帝国を築いた経営者の自伝は、

やはり文句なく元気が湧いてきます。

絶対不可能と言われた添加物なしのウインナーを見事開発させたエピソードなど、

新商品開発という意味でもヒントになる点が多い本です。

地元の人間にも関わらず、氏に関して知らなかった事実も多く、

灯台元暗しというか、先入観だけで人を判断してはいけないという

反省も得ました。

何かと暗いニュースばかりが報じられる山形県や東北地方の方々にも

是非手に取っていただきたい名著です。

 

 【マストポイント】

@「私は今までに一度たりとも勤め人になろうと考えたことがない。

人から使われるのは、死ぬほど嫌だった。

他人の後塵を拝すということに耐えられない性格なのだ。

それこそ、小学、中学と学校からの帰り道でも、

まるで競うようにして先頭を走ってきたものである。

何ごとも自分のペースに持っていき、

他人の言うことには従いたくない。

これはこれで反省するところはたくさんあるのだが、

それで70数年も生きてきたのだから、しようがない」

A「私は、平田牧場を始めた頃は、『お願いします』の一言が言えなかった。

取引相手に、『ありがとう』と口にすることもできなかった。

しかし、借金、従業員への給与など、経営者が陥るような、

胃の痛くなるような悩みなど、どん底に落ちて初めて、

やっと『ありがとう』と言えるようになった。

流通で、痛い目に遭い、死のうかと思い悩むところまでいって、

初めて『お願いします』と頭を下げられるようになった。

もっと早くから、そのことに気づいていればよかったと、

随分と後悔したものだ」

B「自分自身、あちこちにお金をばらまいているのに、

会社がちゃんと残っているのは不思議で仕方ない。

結局は、儲けとか利益を一切考えないできたからだと思う。

商売につなげようとか、格好つけようとかではない。

社会にとって必要なお金、使うべきお金は、

使ってもあとで必ず戻ってくるし、時には向こうからやってきた。

それにもともと、雨露をしのげる家があればいいという信条もあった。

子供のころに、どん底に落ちた苦しみを知っているから、家なんて住めればいいのだ。

今の若い人に言いたいのは、『いい車に乗りたいとか、いい生活したいなんて、

どうでもいい』ということである。

なぜなら、自分の生まれた場所を幸せにできない人が、

自分を幸せになどできないからだ。

一回はどん底に落ち、一回は裸になりなさいと、私はよく言う。

その時初めて、格好つけているだけでは人生は華開かないということが、

胸にストンと落ちるはずだと思う」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

新田 嘉一
1933年山形県平田町(現・酒田市)生まれ。山形県立庄内農業高等学校を卒業後、養豚を始める。1967年に平田牧場を設立し、無添加ハム・ソーセージなどの食肉加工品の製造販売を開始。70年代に「平牧三元豚」を開発し、豚肉のトップブランドに育て上げた。一方で酒田商工会議所会頭などを歴任し、地域経済の発展や対岸貿易推進に貢献。99年に会長に就任。現在は同社会長のほか、東方水上シルクロード貿易推進協議会会長、東北公益文科大学の理事長なども務めている。



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2011年04月08日

必読本 第970冊目 平凡を極める生き方―小さな実践が生みだす非凡な力

必読本 第970冊目

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平凡を極める生き方―小さな実践が生みだす非凡な力

鍵山 秀三郎(著)

¥1,260(税込)

致知出版社

単行本: 186ページ

2008年9月1日 初版


●日本を美しくするために、あとから来る者たちのために、今なすべきこととは。

イエローハットの創業者で、創業以来トイレ掃除を続ける著者が、

本物の豊かさや気品、掃除力などについて説く。

●私が大変敬愛している、鍵山秀三郎さんの数年前に出された本。

ほとんどの著書を読んでいると自負している私だが、

なぜかこの本は手つかずで、ずっと目を通していなかった。 

ブックオフで求め、数日前に読破しました。

●内容は、自己修養系の月刊誌『致知』 巻頭に掲載された文章と、

対談をまとめたもの。

例によって、鍵山さんの言葉は、小学生にでもわかるような平易な言い回しを

使いながらも、語られる内容は大変深く重みがあり、

読むほどに、感動させられつつも神妙な気持ちにさせられる。

いつも感心することだが、

無駄に長々しい文章を書く作家が多い昨今、

これほどまでに短い文章で、論点を一言で

ズバリと言い尽くしてしまうという芸当は、さすがである。

スペースが限定されているハガキ書きの長年の効用というものは、

やはり恐るべきものがある(必読本 第958冊目参照)。

●本文には、数多くの感動的なエピソードが紹介されていますが、

中でも、掃除によって見事なまでに人生観が変わった女子中学生の作文と、

「掃除の仲間募集」と、段ボールに書いたプラカードを背負いながら、

周りの好奇な視線と嘲笑にも屈せずに、新宿の繁華街の掃除ボランティアを

一人でする若者の話に、特に胸が熱くなります。

●最終章の、札付きの不良学校を、掃除を徹底的に行うことで

見事に再生させた広島県の元区長山口富久さんとの対談部分は、

多くの気づきと感動を与えてくれます。

広島県は、全国屈指のヤクザ、暴走族の多さで有名だが、

道に外れかけた少年たちを、

私心なく真正面から受け止め、親身になって面倒をみ続けてきたという

山口さんの人生には大いに頭が下がる。

何となく掃除哲学をわかった気になっている、

いわゆるエリート層の人々には非常に示唆的な言葉が満ちているはずである。

是非味読していただきたい。

●最後に余談だが、

先日、トイレ掃除を最近手抜きしていた報いか、

深夜に、トイレタンクに物が詰まって水が止まらなくなってしまい、

業者さんを呼んで、トイレ便器まで外すような大がかりな

修理をするトラブルに見舞われた。

ヒヤヒヤしながら作業を傍らで見守ったが、

幸い、15万円以上もかかるというトイレ便器交換という最悪な事態だけは

避けることができた。

やはり、トイレ掃除は汚れた時だけやればいいのではなく、

特段汚れた部分がなくても毎日毎日継続しなければならないなと

大いに自省した次第だった。

本文にある鍵山さんの、

「きれいなところを掃除するのが掃除です」という至言が改めて身にしみました・・・。

 

 【マストポイント】

@「もちろん口に出す言葉も大事です。

しかし抽象論、観念論ばかり唱えている人のいうことは

私は信用しません。

観念論なら何でもいえますから。

やはり、実践をしている人は話が具体的です。

具体性のある話でないと信用できないですね」

A「人間は耐えられる範囲が狭くなることに反比例して、

わがままの幅が広がります。

そして謙虚な心と感謝の心を失って傲慢な人間になっていきます。

お金を払えば、望む物が何でも手に入るという思いから、

お金さえもてば万能であるかのようになりました。

しかし、過日の首都圏の停電のように、

わずか数時間であっても大混乱を招きました。

これが二十四時間であったり、百時間であったりすれば、

混乱ではすまないところでした。

その時に札束を持っていても何の役にも立たないことを、

あの停電が警告してくれました。

これが電気だけではなく、水や食糧までが止まればどうなるかも

考える時期に入ったと思いました。

いま、日本の国土を荒らし、水を汚染し続けているツケを後世の人に

回すことのないよう自らを戒めてまいりましょう」

B「私自身は四十数歳までは口ではもっともらしいことをいいながら、

内心は自分さえよければいいと考えていて、

地位と名誉とカネばかり追いかけているようなところがありました。

人生は比較的うまくいっていたんですが、

どこか虚しく、いつもイライラしていました。

それで、四十二歳の時に大きなトラブルがあって自殺を考えたことがあるんです。

しかし死にきれなくて、それでいろいろと模索して、

よし、残りの人生は地位と名誉とカネは一切追わない。

そして自分をなくして世のため人のために生きようと決心したのです。

ところが、そういう心をもつようになったら、

不思議なことに、逆に自分の予想以上にたくさんいいことが帰ってくるようになったのです」

(以上本文より。一部改変。Bだけは山口富久さんの言葉)


【著者紹介】

鍵山 秀三郎
昭和8年、東京生まれ。昭和27年、疎開先の岐阜県立東濃高校卒業。昭和28年、上京して自動車用品会社デトロイト商会に入社する。昭和36年、独立してローヤルを創業。当初は、自転車1台の行商からスタートした。平成9年、東証第一部上場とともに、社名をイエローハットに変更。平成10年、同社取締役相談役となる。平成20年、取締役を辞任。創業以来続けている掃除に共鳴する人が増え、平成5年に「日本を美しくする会」を発足。その後、「日本を美しくする会・各地区掃除に学ぶ会」として国内外に広がり、国内120カ所以上、海外にも4カ所が登録されている。

日本を美しくする会HP http://www.souji.jp/

ラベル:鍵山秀三郎

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