いつもブログ読んでいただき、ありがとうございます。
5月14日に、運悪く池袋西口で交通事故に遭い、
現在左手骨折、左肘打撲により、ブログ、ツイッターなど長らく休養中してました。
ご報告遅れて申し訳ございません。。。。。皆様もお気を付けを。
三浦
必読本 第979冊目
実践するドラッカー【行動編】
ダイヤモンド社
¥ 1,575
単行本: 189ページ
2010年4月1日 初版
●時間管理、意思決定、目標管理、計画…成果につながる「行動原理」を身につける。
ドラッカー教授の教えを「理解する」「使いこなす」「習慣化する」、
成果をあげる人のワークブック。
巻末綴じ込み付録・1週間の成果がひと目でわかる時間管理シート付き。
●多忙な現代人が、あまたあるドラッカー本の重要ポイントを、
現実の仕事や生活においていかにして実践していけばよいか。
時ならぬドラッカーブームを受け、
世の多くの読者の要望に応えるかのような形で発売された
「実践するドラッカー」シリーズの第2冊目。
●テーマごとに5つに分かれ、
各ページ冒頭にまずドラッカーの名言を載せ、
その言葉をヒントに、日々の仕事や生活をいかに改善、転換していけばよいのかを、
シンプルな文章で手際良く解説してくれる。
章末には読みっ放しで終わらないように、書き込み式の「実践シート」を用意。
ドラッカー本を既に活用されている先達者の参考例が隣のページに掲載されているので、
ドラッカーのありがたい教えを現実生活に落とし込めるよう、
是非徹底活用したい。
随所に挟み込まれたコラムも面白く読めるものが多い。
●最近、全国各地で、有為なビジネスマン達が集い、
ドラッカー本を中心にした読書会をよく開催しているようですが、
そのテキストとして使うには、格好の書物ではないでしょうか。
文章も平易で、200ページにも満たない分量。
ドラッカーの最高の教えの数々を効率的に吸収し、
ビジネスや人生において、抜きん出た成果を上げたいと
目論む方々には、非常に使い勝手の良い本かと思います。
もちろん、個人の独習用としてもおススメです。
【マストポイント】
@「計画において重要なことは、明日何を行うかを考えることではない。
明日のために今日何を行うかを考えることである。(中略)
我々は明日行う意思決定について計画しがちである。
楽しいかもしれないが無益である。
意志決定は現在においてしか行えない」(マネジメント<上>)
A「知識社会においては、継続学習の方法を身につけておかなければならない。
内容そのものよりも継続学習の能力や意欲のほうが大切である。
ポスト資本主義社会では、継続学習が欠かせない。
学習の習慣化が不可欠である」(ポスト資本主義社会)
B「やがて私は、一時に一つのことに集中して勉強するという自分なりの方法を身につけた。
(中略)すでに60年以上にわたって、一時に一つのテーマを勉強するという方法を続けてきた」
(プロフェッショナルの条件)
(手当たり次第学んでも、労力が分散し、成果に結びつかない。
集中して学ぶことで、ドラッカーは、生涯60余りのテーマを学び、
卓越した領域に達することができた)
(以上本文より。一部改変)
【著者紹介】
P.F.ドラッカー[著]
20世紀から21世紀にかけて経済界に最も影響力のあった経営思想家。東西冷戦の終結や知識社会の到来をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの主な概念と手法を生み発展させたマネジメントの父。 著書に、『「経済人」の終わり』『企業とは何か』『現代の経営』『創造する経営者』『経営者の条件』『断絶の時代』『マネジメント』『非営利組織の経営』『ポスト資本主義社会』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』ほか多数ある。
上田 惇生
ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶応義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、ものつくり大学教授を経て、現職。ピーター・F・ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳。ドラッカー学会代表。
。
佐藤 等
佐藤等公認会計士事務所所長、ドラッカー学会監事。1961年函館生まれ。1984年小樽商科大学商学部商業学科卒業、2002年同大学大学院商学研究科修士課程修了。1990年公認会計士試験合格後に開業し、現在に至る。主催する(有)ナレッジプラザの研究会として「読書会」を北海道と東京で開催中。
必読本 第978冊目
松下幸之助 成功の金言365
PHP研究所
¥ 1,890
単行本: 415ページ
2011年1月5日 初版
●運のない人を尊敬しているか、いい意味であきらめているか、
ジャマをしていないか、自分をさらけ出しているか…。
松下幸之助の類い稀なる成功体験から生まれた、人生と仕事と経営の知恵365を紹介。
●本年早々、松下幸之助の熱烈ファンや、
成功哲学本、一日一話本愛好家がよだれを垂らして喜びそうな、
松下幸之助本の決定打とも言える書物が発表されました。
既にご購入された方も多いかと思います。
PHPが相当の時間と手間をかけて完成させたことが
如実にわかる、『松下幸之助365の金言』です。
巻頭の、直筆著者名入りの「成功するためには、成功するまで続けることである」の言葉が、
颯爽と読者を出迎えてくれます。
●1月から12月まで、月ごとに似たテーマの言葉に分類。
1月1日から12月31日まで、1ページに一話形式で、
松下の至言、名言をズラリと掲載する。
ページ下部には、『自問自答』と題して、当日の松下の言葉から、何を感じるか、
どのように行動に移せるかの、発想のヒントが付載されております。
●タイトルから容易に想像されるように、
今大流行のドラッカーの同種の本(必読本 第346冊目参照)を相当意識して
作り込まれております。
構成的には、全く瓜二つで、
和洋2大巨人の金言集を併備し、交互に読むという楽しみ方もありえるでしょう。
●また、採用された言葉は、正式に書籍化された松下の著作からのみならず、
雑誌『PHP』などに掲載された何気ない片言隻語や、
一般には文字化されていない(だろう)松下の社員たちへの訓話、
インタビューなど、実に多彩である。
改めて、小学校も満足に卒業していない松下が、
会社経営のみならず、人生、健康、運命、お金、人間関係など、
あらゆる事象について、徹底的にその答えを考え抜き、
含蓄ある言葉を後世に残していることに驚かされます。
●斎藤一人さんの最近の言葉に酷似した名言が、
本書内いくつも散見されることも注目に値します。
一人さんの、松下からの影響度の強さが推察されますね。
巻末には10分でわかる松下幸之助の自伝がおまけ的についていて、
松下の実像に疎い読者にも非常に便利です。
●堅牢なハードカバーで、この充実した内容。
定価1,890円(税込)は出血大バーゲンとも言えるサービス価格と言って
間違いないでしょう。
個人的には、1万円にしてもおかしくないぐらいの内容が詰まっていると
文句なく断言できます。
身銭を切って、新刊で買ってもいいなと思えるビジネス本が
本当に少なくなったと嘆いていた今日この頃だったが、
本書は間違いなく食指が動く一冊です。
【マストポイント】
@「苦しいこともありましょうが、苦しいこともよろしいと思うんです。
苦しまねばらなんと思います。
しかしその最後に、それに堕してしまってはならない、
苦しさだけに堕してしまってはならない。
そこでやはり何らかの境地をひらいて、そしてもう一ぺん立ち上がらないといかん」
A「ビジネスマンのいちばん大事な務めは愛されることである。
みんなに愛されないといかんですよ。
あの人がやってはるのやったらいいな、物を買うてあげよう、と、
こうならないといかんですよ。
そうやるには、奉仕の精神がいちばん大事です。
奉仕の精神がなかったら、あそこで買うてあげようという気が起こらない。
ビジネスマンはみんなに愛されるような仕事をすることである。
それができない人は、ビジネスマンに適さないです。
必ず失敗する、と、こういうことです」
B「金をルーズにすれば、何もかもルーズになるものです。
ですから健全にやっている会社なり商店は、
日ごろから金というものに比較的敏感で、集金についても
支払いについても実によく気をくばっておられるように思います。
商売の大小を問わず、いい経営をやろうと思えば、
集金でも、支払いでもキッチリとし、取引というものを
厳格にやらねばいけないと思います。
経営の姿勢というものが、誠実でそして正確である、
そういうところに、商売の大事なカナメというものがあるのです」
(以上本文より。一部改変)
【著者紹介】
松下 幸之助
1894年11月27日、和歌山県生まれ。1918年、松下電気器具製作所(のちに松下電器産業株式会社)を創立。1946年、PHP研究所創設、PHPの研究と運動を始める。1979年、(財)松下政経塾を設立、理事長兼塾長に就任。1989年、94歳で永眠。
必読本 第977冊目
悩みも苦しみもメッタ斬り!
美輪 明宏(著)
家の光協会
¥ 1,575
単行本: 225ページ
2011年2月1日 初版
●人間関係、家族や仕事の事など、
さまざまな悩みを美輪明宏がバッサリと斬り捨てる。
愛情溢れた回答には、前向きに生きるためのヒントが満載。
●本書は、JAの雑誌『家の光』で長年連載されている
美輪明宏さんの人生相談を書籍化したもの。
今年2月に発売されたばかり。
過去に同出版社から、別タイトルでシリーズ化されているが、
今回は、別名で出された。
●このタイトルになったのは、一読していただければ、一目瞭然。
筆致がかなり辛辣というか、ふだん、散々「愛」だとか
「やさしさ」を説いている美輪さんと果たして同一人物かというぐらいに、
口調が厳しいのである。
時に、対立関係にある(と言われる)占い師の細木某と変わりないぐらいの罵り様。
何か、最近、体調不良で、ご機嫌でも悪いのかと邪推してしまうぐらい・・・。
いつものニコニコ顔の美輪さんを予想した読者はちょっと驚くかもしれない。
●まあそれはさておき、
章は、「仕事や生き方」、「愛情、結婚問題」、
「子育て」、「家族や知り合いとの人間関係」と、大きく4つに分かれる。
しかし、この本を通読すると、世の中には、とてつもない悩みを抱えて
生きている人がゴマンといる、ということを改めて思い知らされる。
自分は井の中の蛙だった、己の悩みがちっぽけなものにさえ感じてくるぐらいに、
あらゆる種類の悩みが満載されているのである。
●やはり、何十年も昔から、
世の中の無数の人々の悩み相談を請け負ってきた「人生相談の大ベテラン」だけに、
美輪さんの回答は、表面的な、生ぬるいようなアドバイスで終わることはありません。
何の努力もせずに、とんちんかんな悩みを書いてきて、
ただ有名人の美輪さんにすがろうとする甘ったれた相談者に対しては、
大したアドバイスも授けず、突き放してしまうこともあるし、
一面的にしか物事を捉えられなくなって、袋小路に陥っている相談者には、
そんな見方、考え方があったのか!と、膝を打ってしまいそうになるような
斬新な回答を授けてくれたりします。
やはり、美輪さん恐るべしです。
●本書の相談者のほとんどすべては、女性です。
よって、恋愛結婚、不倫問題、子育て、介護、
財産問題、夫、親や兄弟との人間関係など、
女性が人生上でぶつかるであろう、ほぼすべての
悩み、問題が収録されておりますので、
独身女性でも既婚女性でも、転ばぬ先の杖として、
事前に読んでおけば、自分がその当事者になっても
慌てふためくことが少なくなるという効用があるかと思います。
冒頭記したように、回答は一切の妥協や甘えを排した、
相当厳しいものが少なくないので、
猪木さんのビンタのように、ダラけた自分に喝を入れたい男性読者にも
おススメです。
【マストポイント】
@「人生は行動あるのみ。やったもん勝ち。
やったもん勝ちというのは、努力した者が勝つという意味です。
知識、教養、技術を身に付けるために、寝る間も惜しんで努力すれば、
かならず評価されます。
そこそこしかやらない人は、そこそこにしか見られません」
A「まわりの嫌な人たちには、どう対応すべきか、アドバイスをさしあげましょう。
まず、なにかを言われたら、『そうですか、そうですか』と、聞き流すこと。
まちがっても、『そうですね』と言ってはいけません。
『か』と『ね』には、大きな違いがあって、『そうですね』と言ってしまうと、
あの人はわたしに同意した、と解釈されてしまいます。
ご注意を」
B「人間、最後にものをいうのは、やはり人柄なのです。
毎日どうやって生活していけば尊敬される人間でいられるかということを
心がけていれば、自然とまわりもあなたについてきます。
若いころから努力して一生懸命に働いて人格をみがいて、
人に優しくして多くの人たちのめんどうをみて、
慕われてきた人というのは、年をとれば親類縁者じゃなくても他人からでも
めんどうをみてもらえるし、死んだときも惜しまれるものです。
人間というものは、若いころからの積み重ねが老後に現れてくるものです。
『情けは人のためならず』という言葉があるように、
他人に情けをかけるということは、結局自分のためなのです」
(以上本文より。一部改変)
【著者紹介】
美輪 明宏
1935年、長崎市生まれ。国立音大付属高校中退。十七歳でプロ歌手としてデビュー。1957年「メケメケ」、1966年「ヨイトマケの唄」が大ヒットとなる。1967年、演劇実験室「天井棧敷」旗揚げ公演に参加、『青森縣のせむし男』に主演。以後、演劇・リサイタル・テレビ・ラジオ・講演活動などで幅広く活動中。1997年『双頭の鷲』のエリザベート役に対し、読売演劇大賞優秀賞を受賞。
必読本 第976冊目
私はできる! ―すべてをかなえる「おまじない」―
サンマーク出版
¥ 1,260
単行本: 127ページ
2010年1月15日 初版
●繰り返し口にすれば、人生が必ず変わる180個以上の「おまじない」をあなたに!
自らガンを克服し、世界3500万部のベストセラーを著したルイーズ・L・ヘイが贈る、
人生をバラ色にする一冊。
●1年ほど前の発刊直後からとても気になっていた本。
早く買おう、読もうと心の奥底でずっと思っていたが、
なかなか機会が得られなかった。
ゴールデンウィーク期間中は特に用もないので、
さらりと読める分量だったこともあり、おとといあたりに読破しました。
●著者は、自己啓発、成功哲学やセルフヒーリング関係の本を
熱心にお読みの方ならば、知っている方は多いのではないでしょうか。
あえて説明を加えるならば、幼少期は親から虐待を受けて育ち、
結婚後は愛する夫から浮気された後に離婚、
その後は子宮頸がんに冒されるなど、
これ以上ないというぐらいの悲惨な半生を過ごすのだが、
口ぐせを変え、おまじないを唱えることによって、
難病を自らの力で克服するという奇跡を起こす。
本書は、著者自らが実践し、効果抜群のおまじないの言葉を
テーマごとに列挙し、そのやり方、コツなどを解説してくれる本です。
●構成的には、「健康」、「ゆるし」、「愛情」、「成功」など、
8つのテーマごとに分けられ、おまじないを唱える時のアドバイスをはじめに述べ、
その後、章末におまじないの数々をまとめて掲載するという配置になっている。
とにかく薄く、シンプルで読みやすい本で、
ダラダラと無駄なことを述べず、重要なポイントだけが
手際良くまとめられている良書。
口ぐせ、おまじないがなぜ人生を変える力を持つのかを
説得力を持って解説してくれます。
●斎藤一人さん、佐藤富雄さん、五日市剛さんなどの本に触発され、
プラスの言葉を口ぐせにしようと決意された方は多いでしょうが、
挫折された方も少なくないでしょう。
そういう方に特に推薦したい本です。
再チャレンジしてみようという気に間違いなくさせられます。
病気や破局など、落ち込んでいる知り合いへのプレゼントとしても最適でしょう。
●著者を代表する名著は、既に絶版になっていて、
アマゾン、ヤフオクともに、結構なプレミアがついている。
それらの購入に逡巡している人にでもおススメの入門書。
類書の中でも、ずば抜けて付き合いやすい本で、
手元に置いて、何度でも読み返したくなります。
【マストポイント】
@「おまじないは、あなたが抱えるすべての問題を解決する糸口になります。
問題を抱えているときにはいつでも、次のおまじないを何度も繰り返し唱えてみると良いでしょう。
『すべてのことが良いことです。あらゆることが私を最高に豊かにしてくれます。
今の状況からは良いことばかり生まれてきます。もう私の心には不安はありません』
この簡単なおまじないを唱えることで、人生に奇跡が起こります」
A「毎朝、目を覚ましたら、あなたに贈られたこのすばらしい一日を祝福し、
感謝の意を捧げてください。
そして、人に何をされようと、今日一日、楽しいことを考える決意をします。
あなたが生きているのは、今この一瞬です。
思い通りに生きられるのは、今この一瞬しかありません。
自分の考えを自由に操ることができるたったひとりの人間はあなた以外にいないのです。
今後、あなたが完全に支配できるのたったひとつのものがこの思考です。
そして、あなたが何を考えているかによって、
人生で手に入れられるものが決まってくるのです。
『昨日は過ぎ去り、明日はどうなるかわからない。
今日という一日こそ、私たちに与えられたプレゼント(贈り物)なのです。
だから今現在のことを英語でプレゼント(present)というのです』
私のヨガの師匠の言葉です」
B「豊かさを味わいたいなら、自分の考えも豊かにしなくてはいけません。
長年、私が使ってきた豊かさを手に入れるためのおまじないがふたつあります。
私には効果抜群でした。あなたにもきっといい効果が表れてきます。
『私の収入はどんどん増えていきます』
『どこにいても私は豊かになれます』
このおまじないを使い始めたとき、私にはほとんどお金がありませんでした。
しかし、何度も繰り返しているうちに、この言葉は現実のものになりました」
(以上本文より。一部改変)
【著者紹介】
ルイーズ・L.ヘイ
1925年貧しい家庭に生まれ、虐待を受けて育つ。高校を中退するも、成人してからはファッションモデルとして活躍。結婚し幸福な生活が続くと思われたが、14年後夫の浮気で離婚。その後、子宮頚ガンとなる。しかし、ガンは子供のころからの恨みや怒りを持ち続けていることが原因だと確信し、その恨みや怒りを手放し、自然療法による健康回復に全力を尽くすことで、ガンを克服した。1984年には出版社ヘイ・ハウスを創設。
必読本 第975冊目
仏の発見
平凡社
¥ 1,470
単行本: 256ページ
2010年2月25日 初版
●ブッダとは誰なのか。仏教の救いとはなんなのか。
親鸞の眼を通して肉薄する作家と、仏教史の常識を覆す知の巨人とが、
仏教思想の秘密を語り合い、悪の時代を生き抜くための7つのヒントを提示する。
●平凡社から好評発売中の五木寛之さんの「発見」シリーズ最新刊。
今年2011年2月に発売された。
学者梅原猛さんとの仏教にまつわる対談集です。
しかし、改めて感心させられることだが、
五木寛之さんは、売れる小説を書く物書きとしても超一流、
売れる企画を次々と立ち上げるプロデューサーとしても超一流だということです。
出版社側からは非常に重宝されるタイプの稀有な作家さんでしょう。
●それぞれお二人の代表書、『地獄の思想』、『ヤマトタケル』、
『青春の門』、『蓮如』、『親鸞』などの
著作を著した経緯、創作上の秘密などを随所に挟みながら、
仏教思想とはそもそも何なのか、何のために存在するのか、
人が仏になるとはいかなることなのかなど、
誰もが感じる仏教にまつわる素朴な疑問を、
門外漢にもわかりやすいような平易な言葉で語り尽くしてくれます。
文壇、学会で注目されるようになった若かりし頃の日々を振り返ったり、
なかなか人に語ることが憚られるような生誕の秘密を語ったりなど、
お二人のファンには非常に楽しめるような内容が盛り沢山です。
●それぞれ、80,90近いご高齢で、学会、文壇の大家にも関わらず、
パワースポット、仏像ガールなどのトレンディな話題にも
通暁しているなど、老いを全く感じさせないお二人の好奇心、
情報感度の高さにも驚かされます
(作家の中には、変に難しい言葉をもったいぶって使う方が
よくいますが、いつもわかりやすい現代的な言葉を使う五木さんは、
個人的に非常に好感が持てる)。
●2人が直接に交流のあった、
川端康成、三島由紀夫、水木しげる、美空ひばりなどの
一般には知られていない秘話がわんさか紹介されているのも
読みどころのひとつ。
各人の意外な素顔に驚かされる読者は多いはず。
特にノーベル賞まで受賞した国民的作家川端が、
実はどうしようもない女好き、変態癖の持ち主
(今ならば確実にセクハラで逮捕されるぐらいに、
手の付けられないお触り魔だったらしい。
加賀まり子、NHKの女子アナもやられたと、本文で記されている)で、
恐ろしい心の闇を抱えた「魔界」の人だと語った個所は、
個人的に特に興味を惹かれた。
●対談集ということもあり、口語体で非常に読みやすく、
私は二日あまりで一気に読破してしまった。
震災、原発事故、大不景気、ビン・ラディン暗殺と、
日々混沌とした日々が続いております。
今一度、仏教の存在意義を考え直したい方におススメの本です。
【マストポイント】
@「梅原『45年間、仏教を勉強してきましたよ。
最近になって、ようやく少しだけ、
仏教とは何ぞや、ということがわかりかけてきた。
仏教とは要するに、「仏になる」ということなんやな』
五木『なるほど、仏になるですか。
宗教学者の蒲田東ニさんは「神は在るもの、仏は成るもの」と言っています』」
A「五木『蓮如は、ものすごくわかりやすいことばで、いろいろ言った人です。
たとえば「人は慣れると、手ですべきことを足でするようになる」なんていうのは、
蓮如の言葉ですよね。
これは難しいことでも何でもない。
私なんかも冷蔵庫を足で閉めるたびに、あ、蓮如さんに叱られるって、
こう思ったりします(笑)』」
B「梅原『仏教の思想の根底に、
世界は苦であるがその苦の原因は、人間の欲望にある、という考えがある。
この欲望を完全にコントロールするのが仏です。
私は現在、日本人で欲望のコントロールを完全に実行しているのは、
イチローではないかと思います。
マリナーズのイチロー選手は、仏に近いといっても、
お釈迦さんは反対しないと思います』」
(以上本文より。一部改変)
【著者紹介】
五木 寛之
1932年、福岡県生まれ。両親と共に朝鮮半島へ渡り、小学校時代をソウルですごす。中学1年の時ピョンヤンで敗戦を迎え難民生活ののち、38度線をこえて南へ脱出、福岡へ引き揚げる。1952年、早稲田大学に入学するも学資が続かず中退。ルポライター、放送作家、編集者など多くの職業を経て、66年、小説現代新人賞、67年に直木賞を受け、衝撃的なデビューをはたす。その後ジャンルをこえた文芸活動で圧倒的な支持を集め、吉川英治文学賞を受賞した長編『青春の門』は、総発行部数が2200万部をこえるロングセラー。
梅原 猛
1925(大正14)年、宮城県仙台市に生まれる。生後1年9ヶ月で伯父夫婦に引き取られ養子となり、愛知県知多郡で育つ。私立東海中学、旧制八校(現・名古屋大学)を経て1945年京都帝大の哲学科に入学する。入学直後に徴兵されるが、敗戦によって9月に復学、48年に新制京都大学を卒業し大学院に進む。1967年、中公新書から『地獄の思想』を刊行しベストセラーとなる。その後、文芸誌などを舞台に古代史研究の評論連載を開始する。1972年『隠された十字架』を刊行、毎日出版文化賞を受賞する。
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