2008年06月12日

必読本 第697冊目 3月30日

必読本 第697冊目

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3月30日

千原 ジュニア(著)

¥ 1,470 (税込)

講談社

単行本: 176ページ

2008年3月30日 初版 

 

●もしも戻れるなら、もう一度あの世界に戻りたいと想った。

もしも戻れるなら、あの人たちと同じ世界に帰りたいと想った。

挫折、失恋、そして2度目の“死の危機”の先に見たものは?

千原ジュニアが描く、自伝的小説。

●大絶賛された自伝小説(必読本 第486冊目参照)に続く第2弾。

前作は、登校拒否し、自宅での引きこもり生活、

その後、兄に誘われて芸人の道へ進むまでを

鮮やかに描いた傑作青春小説だったが、

本作は、その後の15歳から26歳までの

芸人になってからの出来事を描く。

●内容的には、全く売れずに鬱屈としていたお笑い修行時代、

紆余曲折後、大阪で人気芸人となるも、東京進出には失敗、

2人の恋人との出会いと別れ、急性肝炎で死にかけたこと、

そして、バイク事故を起こし、漫才師として再起不能と言われた

顔面の大怪我から奇跡的に復帰するなどの出来事が

時系列的につづられている。

ちなみにタイトルは著者の誕生日で、

なおかつこの4日前の3月26日にバイク事故を起こす。

本書の出版もそれに合わせる形で、2008年3月30日初版となった。

●文章は、前作と同じく、

シャベリ口調丸出し、思いつくままに殴り書きしたような

荒削りの文体。

ほとんど編集者も手直しをしていないのだろう。

しかし、「こんな下手くそな文章でもいいならば書きますけど」的な、

ある種の開き直り感、ケレンミのなさが、とても好感を与えている。

読み始めたら疾走感を持って最後まで一気に読破できます。

『ホームレス中学生』(必読本 第563冊目参照)もそうだったが、

お笑い芸人の小説がヒットするには、

文章的な技巧は全く不要で、ストレートな心情の吐露の方が

何十倍も大切であるという好例である。

●登場人物がすべて匿名のため、

断定はできないが、

ダウンタウン松本、FUJIWARA原西、板尾創路、

今田耕司、山崎邦正、世界のナベアツと思しき芸人が数多く登場する。

「この人物はもしかしてあの芸人のことか?」と

探りながら読むのも、一つの楽しみとなる。

瀕死の重傷を負ってから、毎日のように多くの芸人仲間が

見舞いに訪れ、芸人らしい独特のスタイルで

著者を励まし続けたという友情話には特にホロリとさせられます。

●お笑い芸人の真実の姿、プライベートの苦労が

数多く紹介されているのも特筆すべき点だろう。

熱狂的なファンに自宅を特定され、

郵便物、ゴミ袋まで盗まれる、変な女に付きまとわれる、

繁華街を歩けば、酔っ払いに因縁をつけられる、

走行中、愛車にジュースをぶっ掛けられるなど、

トラブルは数知れず。

引きこもり中の著者だったら、文句なくキレて、

相手を追い掛け回し、ボコボコにしているところだが、

芸人になってからは、「キレたら負けや」という

先輩大物芸人の一言を境に、自制心を得て、

おとなしくなる。

●本書を読破後は、

現在テレビで人気者になっているお笑い芸人に対する見方が

確実に変わると思う。

一握りの売れっ子になるための裏側の努力と苦労は

並大抵のものではないことを知ることができるからです。

仕事のためなら好きな女とも縁を切り、

無数のライバルたちの実力、動向には常に目を光らせ、

劇場関係者、構成作家などに

ボロクソにけなされながらも身を削るようにネタ作りに励み、

先輩後輩の上下関係にも絶妙に気を配り、

低迷期には孤独と不安と貧困に耐え、

売れるようになってからも、

グルーピー、ヤクザなど、一般人とのトラブルにも注意を払い、

会社やテレビ局の方針に振り回されて、

意に添わない仕事もやらなくてはならない。

空前のお笑いブームもあり、芸人志望の若者は

引きもきらないようだが、本書を読めば、

著者のような並々ならぬ努力と腹のくくり方がなければ、

とても芸人として成功することなどできないことを

身に沁みて痛感するはずです。

●昨晩テレビを見ていたら、

日テレ系の『ザ・世界仰天ニュース』で、千原兄弟が偶然出演していた。

その日のテーマは形成外科手術で、

関連性が深いため、著者も出演していたようで、

本書でも描かれている事故直後の本人映像や

復帰後の姿が紹介されていた。

あのビートたけしさんの事故もそうだったが、

顔面の怪我の怖さを知るとともに、

日本の形成外科医のレベルのすごさも思い知らされた。

●私も道路左側に停車中の車の運転席ドアぎりぎりを

自転車で通行中、いきなりドアを開けられて

激しく吹っ飛ばされ、左腕に裂傷を負った経験があるので

よくわかるのだが、

バイクでも自転車でも、停車中の車の脇を通過する時には、

急発進するのか、ドアを開けるのか、

運転者がどのような動きをするか全く予知できないので、

徐行して通り抜けるなど、十分気をつけたいものである。

老婆心ながら注意を喚起しておきたいと思います。

※今回の【マストポイント】は小説なので割愛します。

 

【著者略歴】

千原ジュニア

1974年、京都府生まれ。本名・千原浩史。1989年、兄の靖史とお笑いコンビ“千原兄弟”を結成。千原兄弟の恒例ライブ「チハラトーク」は70回を超える。2003年には初の単独ライブ「囚(トラ)」を行い、好評を博す。役者としても才能を発揮し、主な出演映画として、「ポルノスター」「ナイン・ソウルズ」等多数。また千原浩史名義で、ネタ本『答え』や詩集『少年』などの著書もある。現在、「やりすぎコージー」などにレギュラー出演中。


posted by miura at 17:31| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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