必読本 第717冊目
サービスマインドをたかめる物語
―「マニュアル」を超えよう、「ココロ」を磨こう
久保 亮吾(著)
¥ 1,470 (税込)
こう書房
単行本: 207ページ
2004年8月10日 初版
●レストランを舞台に、
新人マネージャーとスタッフが「サービスパーソン」として成長していく姿を通じ、
「サービスマインド」という力が呼ぶ共感と感動を読者の心に還元し、
「スキル」ではなく「マインド」を育み高める物語。
●美味しい料理を提供してくれるだけの飲食店は世の中にゴマンとある。
一方、ディズニーランド、リッツ・カールトンホテル、
カシータ(高橋滋さん)のような、親身な接客、店内の居心地のよさなど、
サービスが行き届いているという店というものは、本当に珍しい。
これは、なぜなのだろうか。
●私が思うに、店側として、手っ取り早く努力の成果が現れる、
有形な存在である食事メニューには心血を注いでも、
なかなか売り上げとの因果関係がハッキリとしない、
あいさつ、笑顔、心遣いなど、無形な部分と言える接客面には、
どうも手が回らない、または、その方面の重要性がわかっていない、
あるいは、適切な教科書、心ある指導者がいないということが
原因なのだろう。
●本書は、そんな要望にぴったりの本である。
マニュアル的なサービス技術の解説書ではなく、
その根底に流れるマインド、心構え、おもてなしの精神を
やさしい文章で指南してくれる本である。
●あらすじを簡単に説明すると、
とあるレストランを舞台に、若いマネージャーが、
新入りで入ってきた年上社員(実は接客・サービスの
達人で、何か謎めいた人物)から、
おもてなしの心の真髄を学んでいくという、
物語風の構成となっている。
ビジネス本とは思えないぐらいに、軽いテイストで作られている本。
●見開き2ページで、ひとつのテーマを語るのだが、
右側ページに平易なストーリー、
左側ページにそのイラストを掲載するという
非常にシンプルな作り。
文章だけの硬い本が苦手な人、特に、それほど
ビジネス本を積極的に読むようなタイプではない、
飲食店のアルバイトさんなどに研修時に読ませるテキストとしては
非常に最適である。
「この店は、実に気が利くなあ、サービスがいいなあ」という
評判をお求めの店長さん、オーナーさんには是非とも
ご一読をおすすめします。
【マストポイント】
@レストランに現れるお客様の目的は、
ただ空腹を満たすためだけではない。
一人で静かな時間を楽しみたい、
恋人とのデート、家族の誕生会を満喫したい、
気心の知れた店員さん、板さんとの楽しい会話、
家庭的な店の雰囲気を楽しみたい、
商談、接待、打ち合わせなど、純粋にビジネスの場で利用したい
など、実に多様である。
来店した時点で、どのような利用目的なのか
敏感に察知し、その場その場で、
臨機応変に対応できる柔軟性を持っておきたい。
Aサービスパーソンは店の内と外の区別を
あまり意識しないほうがよい。
店内にいるお客さんには非常に愛想よくするが、
店の前を通行している一般の方が車椅子でも、
妊婦さんでも、外国人でも、
何か物を落としたり、道を尋ねてきたり、
転んで怪我したりしても、
全く無関心で鈍感な店がある。
常に、気配りの心、鋭い観察力を持っていれば、
どんな人が目の前に現れても、
自分のお店のお客さんにすることができる。
Bマニュアル通り、文章棒読み、表情無変化の
ロボット人間のような店員がしゃべった言葉には、
全く血が通っていない。
流れ作業のような冷淡な扱いを受けると、
お客さんからとても反感を買う。
仕事に慣れが生じ始めると、
きめ細かいサービスをすることをどうしても怠りがちになるが、
新入社員の頃の「新鮮さ」「親密さ」を持続しつつ、
同時並行的に「技術の向上」をはかっていかなくてはならない。
【著者略歴】
久保 亮吾
立教大学経済学部卒。藤田観光株式会社で料飲部、宿泊部を経たのち人事部採用担当を務める。同社を退社後、週刊ホテルレストラン編集部を経て、現在はホテル業界就職ガイド編集長に。著書に『サービス業に就職したい!』(オータパブリケイションズ)があり、自身が主宰を務める就職活動応援サイト「リクラボ」には多くの学生と若手サービスパーソンたちが集まっている。トラベルジャーナル旅行専門学校講師。
ところで、書いてくださったこの本についてのコメントを、うちのBlog「未公認なんですぅ」( http://free.txt-nifty.com/free/ )に転載させていただいてもよろしいでしょうか。これまでにも読者さんの書いてくださった感想・コメントをいろいろと転載・紹介させていただいています(カテゴリ「本の感想聞かせて」 http://free.txt-nifty.com/free/cat1382102/index.html をご参照ください。すっごくページが重いですが)。
よろしくお願いいたします。
同時に、今月の新刊プレゼント企画にもエントリーとさせていただきました。
よろしくお願いいたします。