2008年08月02日

必読本 第742冊目 オリンピック全大会 人と時代と夢の物語 (朝日選書 838)

必読本 第742冊目

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オリンピック全大会 人と時代と夢の物語

 (朝日選書 838)

武田 薫(著)

単行本: 371ページ

朝日新聞社

2008年2月25日 初版

 

●第1回アテネ大会は参加者約240人中200人がギリシャ人、

「金メダル」はなんと銀製だった。

第2回で女性が初参加、第5回で初めて日本人が出場……。

オリンピックはその時代、その国の状況を映し出す。

北京前の全28大会で、参加者の数だけあるドラマを、

出場日本人を切り口に物語る。

アマチュアリズム、ドーピング、ジェンダーなど、

現在につながるテーマも盛り込む。

全日本人入賞者データつき。

北京五輪がもっと楽しくなる一冊!

●待ちに待った北京オリンピックがついに来週8月8日に開幕する。

テレビや新聞では、連日、出場選手の直前情報など、

オリンピック関連のニュースが熱く報道されている。

仕事がろくに手につかないほど、

今から心待ちにしている方も多いことでしょう。

●本書は、そんな時節にピッタリ合ったオリンピック関係の本。

2004年第28回アテネ大会までの全大会を振り返り、

印象的な選手、その時代を象徴するエピソードを

抜き出して、オリンピックの素晴らしさを伝えてくれる。

●著者は、元報知新聞の記者ゆえ、

スポーツ新聞の記事を読んでいるかのような

無駄のない、滑らかな文章。

巻頭には、世界地図を載せ、今まで開催された地区を

わかりやすく図示してくれるともに(ちなみに最多開催地は、

次回2012年第30回大会が行われるロンドンで計3回)、

巻末には、1920年第7回アントワープ大会から、

前回アテネまでの日本人入賞者の名前と記録も掲載されている。

北京オリンピック開催中に本書を携えておけば、

何かと便利な資料となりうる。

●モスクワオリンピックでの日本のボイコット決定の際には、

山下泰裕は泣いて抗議したが、

その次の日に行われた国内大会で左足首を骨折。

仮に、日本がボイコットせずにオリンピックに参加していたとしても、

出場は事実上不可能だったこと、

ソウル大会でベン・ジョンソン(カナダ)がドーピングに引っかかり、

金メダルを剥奪されたことはあまりにも有名だが、

同大会のもう一人の主役フローレンス・ジョイナー(アメリカ)にも

同疑惑は根強くあった(クリーンさを追求したカール・ルイスは、

チームメイトにもかかわらず、彼女を露骨に避けていたという。

ちなみに、ジョイナーは薬物の影響かどうか38歳の若さで急逝)。

しかし、ベンがドーピングにひっかかり、

ジョイナーがひっかからなかったのは、

カナダとアメリカのドーピングに対する情報収集能力の

違いにあったと言われている、

世界最強ランナーと言われ、金メダル確実と見られた瀬古利彦は、

今から考えると信じられないぐらいの準備不足、情報欠如によって

2大会連続惨敗したが、

有森裕子、高橋尚子、野口みずきなどの女子メダリストたちは、

瀬古を反面教師にしたのではないかというぐらいの

用意周到さ、科学的トレーニングによって、見事メダルを獲得した

(「マラソンは、スタートラインに立った段階で、

ほとんど大半の勝負がついている」という言葉が特に心に残る)、

などのオリンピックの雑学が満載の本です。

●オリンピックは、金メダルを獲得したら、

それこそ国を挙げて英雄視しますが、

銀メダル、銅メダルでは大して賞賛されず、

ましてやメダルを逃すと、

それこそ、国賊かというぐらいの冷たい仕打ちが

帰国後待っております。

有力競技では誰もが金メダルを期待しますが、

やはり結果は神のみぞ知る、

あまり選手や指導者にプレッシャーをかけ過ぎるのは

いかがなものかと思います

(特に、野球日本代表選手と監督たちに、

あまり金メダルばかり迫るのは、百害あって一利なしで、

テレビで見ていても、不憫でしょうがない。

期待をかけられすぎて自滅した円谷幸吉の例も過去にある)。

ベストを尽くしても、シドニーオリンピックの柔道篠原信一選手のように、

疑惑の判定で銀メダルに泣くこともあります。

我々一般国民は、自分を失うほど、みだりに興奮したりせず、

結果がどうあれ、自国であろうが、他国であろうが、

ベストを尽くした選手すべてに

拍手を贈るぐらいの心の余裕は持っておきたいものです。

 

※今回の【マストポイント】は、スポーツ関係なので割愛させていただきます。

 

【著者略歴】

武田薫

1950年宮城県生まれ。東京外国語大学卒業後、報知新聞記者を経てフリーに。スポーツライター。マラソン、テニス、野球などを中心に取材。著書に「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」など。

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