2008年08月04日

必読本 第744冊目 中国低層訪談録―インタビューどん底の世界

必読本 第744冊目

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中国低層訪談録―インタビューどん底の世界

廖 亦武(著), 劉 燕子(翻訳)

¥ 4,830 (税込)

中国書店

単行本: 404ページ

2008年5月10日 初版


●天安門事件後、政治犯として投獄生活を送った著者が、

中国最底辺の人々を訪ね歩いて聞き書きをした、魂の叫びの記録。

浮浪児、出稼ぎ労働者、人買い、

チベット巡礼者等が発する強靱かつ真実の言葉から

中国の実状が見えてくる。

●北京オリンピック直前のおめでたい時期に、

この手のアングラ本を紹介するのもやや気が引けますが、

今回は、中国の超低層階級の人々にインタビューしたものを

一冊にまとめた本です。

著者は、天安門事件の際に、4年間投獄された経験のある現代詩人。

出獄後、大道芸をしながら野良犬のような底辺の生活を送り、

人生の裏街道、闇社会を歩む、悲しき人々へのインタビューを繰り返す。

ようやく出版にこぎつけるも、

本国では当然認められるような内容ではなく、即発禁処分にされた。

●発展著しい中国の裏側に、

表舞台を歩むことができない貧困層の人々が存在するということは、

情報としては知ってはいても、

実際にその当事者の人々の生の言葉を読む機会というものは

なかなか得られるものではない。

本書でも、浮浪児(今はオリンピックが開催されることもあり、

おそらく一掃されただろうが、私が滞在していた1997年当時の

北京では、外国人がよく集まるような有名観光地入口付近に、

物乞いをする浮浪児がよくいて、哀れだと思いつつも、

追い払うのに難儀したものだ。

また、地下鉄車内で、下半身が切断された大人の身障者が物乞いをして

歩く現場に居合わせた時には、心底やりきれない思いがした)、

麻薬中毒者、人身売買業者、同性愛者、

売春婦、法輪功修行者、老紅衛兵、ハンセン病患者、

反政府分子、チベット巡礼者、台湾の元スパイなど、

中国政府が目を剥いて激怒しそうな連中が計31人ゾロゾロと出てくる。

発禁処分されるのも当然のラインナップである。

●登場する人々は、犯罪を犯しても罪悪感のかけらもない

ゴロツキや、正常な思考が麻痺し、人生を完全に放棄した

ホームレス同然の連中が多いので、放送禁止用語、差別語連発で

読んでいても吐き気を催すような記述も少なくないが、

人間の真理をズバリと突くような言葉を発する人々もごくまれにいて、

時にハッとさせられる

(例えば、麻薬中毒者の「人間の一生なんて、

上の口と下の口のために一生かけずりまわるだけさ」、

乞食の親分の「改革開放ってのは、

男は乞食になって、女は娼婦になるってことだ。

それで貧しさから抜け出せれば金持ちになる」など)。

●マスコミでは決して報道されないような、

中国人民の裏社会、真実の姿を知りたいとお考えの方、

(半分冗談ですが)自分の現在の境遇よりも

圧倒的に悲惨なかの地の超低所得者層の暮らしぶりを

知ることによって、

我が身の幸福、日本のありがたさを再確認したい方などにも

おススメの本です。


※今回の【マストポイント】はインタビュー集なので、割愛いたします。

 

【著者略歴】

廖亦武

1958年中国生まれ。詩人。天安門事件「大虐殺」という長編詩の録音等により反革命煽動罪で投獄される。出獄後、最低層の人々をインタビュー。中国独立筆会自由創作賞等を受賞。



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