2008年08月10日

必読本 第748冊目 銀座のプロは世界一―名店を支える匠を訪ねて

必読本 第748冊目

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銀座のプロは世界一―名店を支える匠を訪ねて

須藤 靖貴(著)

¥ 1,785 (税込)

日本経済新聞出版社

単行本: 277ページ

2008年3月25日 初版

 

●銀座の老舗タウン誌「銀座百点」に連載の「プロを極める」を単行本化。

銀座で活躍する各分野のプロの熟練の技術、表面に現れない奥義、

名人の域に達するまでの修業の苦労などを「食」「美」「匠」などの章別に紹介。

●私のような田舎者は、

「銀座」という名前を聞いただけで、

何か、畏れ多い、次元の違う高貴な世界、

平民など簡単に近づけるような場所ではない、という、

羨望、畏敬、緊張の念が混じったようなイメージを持ってしまうだろう。

実際、大学生時代に数年間東京に住んでいたことがあるが、

何か明確な用件があって、その地を踏みしめたという記憶が全くない。

●それぐらいに、完全に別天地というぐらいに

敷居が高い場所なのだが、

仕事をしていく上で、最高のものをお客さんに提供する

超一流の仕事人の人物像を知るということは、

やはり、とても大切なことだと思われるので、

今回は、銀座で働く名匠、プロ中のプロの仕事ぶりを

一冊にまとめた本をご紹介いたします。

●構成的には、「食」、「飲」、「美」、「匠」、「装」、「趣」という

テーマに分けられ、

その分野で誰もが一目も二目も置く、

超一流のプロ31人の、仕事ぶり、来歴、成功のヒントを

エッセイ風に描いていく。

元々は、地元、銀座のタウン誌に連載されていたものゆえ、

一篇ごとの文章量も8ページほどと適度に短く、

読みやすい文体もあり、非常に軽快感を持って読めます。

●本日、ちょっと時間がなくて、

冒頭の「食」と「飲」の章までしか読めなかったのだが、

それだけでも、非常な感動と驚きをもって

読ませていただいた。

洋食コック、バーテンダー、果物屋、菓子職人、韓国料理人・・・。

ほとんどの人々は、大学まで行くような高学歴者でもないし、

実家が名門でも、財産に恵まれているわけでもない。

むしろ、学もなく、不遇な境遇から身を起こした人も少なくない。

●一概に本書で登場する人々の共通点を見出すのは難しいが、

あえて探し出してみると、

「銀座」という一流の場所で働けるということに喜びと誇りを持っていること、

自分が扱っている商品、サービスへの愛情、研究心、こだわりが尋常ではなく、

絶対に妥協しないということだろうか。

●常連がつくほどのビール注ぎ名人の話では、

「ビール注ぎの仕事は、洗浄に始まり洗浄に終わる」と言うほど、

タンク、ホース、ジョッキなど、自ら徹底して道具を洗浄する

(器具類を徹底的に洗うことによって、

ビールの味に格段の差が生じるという。

又、家庭で美味しくビールを飲む秘訣は、

1、缶でもビンでも製造日の新しいもの選ぶ、2、冷蔵庫で一日休ませる

3、グラスの洗浄。よく洗い、ビールを注ぐ直前に

冷水にくぐらせて内部を濡らす、も参考になるでしょう)、

洋食シェフの、「料理人修行は初っ端が肝腎だ。

初めに本物の味を覚えないと一流にはなれない。

「本物ではない味」を先に身につけてしまうと、

後になって本物の味をつくることができない」、

韓国料理女主人の話では、

「「面倒くさい」という言葉は禁句、下ごしらえ、準備に

徹底的に時間をかける」など、

その道の第一人者でなければ口に出ないような

名言、金言の類がずらずらと出てくる。

ほとんどの人々の顔写真に笑顔がなく、

「私はそう簡単に他人に愛嬌を振りまくような安っぽい人間じゃ

ないんだよ」というような、口をキリリと真一文字にした顔で

撮影されていることにも、プロの威厳を感じさせる。

●巻末には、本書で扱われていたお店のマップが

掲載されているのもうれしい。

余裕のある方は、実際その店を訪れて、

プロの仕事ぶり、店の雰囲気を体感してみるのも、一興だろう。

【マストポイント】

@「コーヒー一杯のお客さまをいかに満足させるかを考えなさい、

と私は常々言っています。

一万円のコースをオーダーしたお客さまには自然とよいサービスを

してしまうのが人情でしょう。

でも、そうではなく、コーヒー一杯のお客さまに満足していただけるには

どうすればいいかを考えさせる。

そういうプロ意識が育てば、どんなお客さまに対しても

十分なサービスができます」(資生堂パーラー 菊川武幸)

A「(手間のかかる調理の)工程を、

どこか一回くらい端折ってもわからないという人がいますけど、

手を抜くと味に雲泥の差が出ます。

できない人ほど手を抜く。できない人は恐さを知らない。

本当のプロはおっかなくて手を抜けないんです。

手を抜いたら、ろくなものはできません。

料理だけではなく、何事も同じだと思いますけどね」

(銀園亭 萩本光男)

B「人間、体を休ませてはダメ。

2、3日休んで店に出ると足が棒のようになります。

面倒くさがらずによく働くこと、よく食べることが大事です。

私は店に出る前、毎日30分はプールで泳ぐんですよ」

(清香園総本店 張貞子。

御年85歳にもかかわらず、

店入りする午後3時前に30分間水泳を欠かさない。

その後、午後11時まで働くという) 

【著者略歴】

須藤 靖貴
1964年東京生まれ。駒沢大学文学部卒。製薬会社の営業マン、スポーツ誌の編集者などを経て、’99年、『俺はどしゃぶり』で第五回小説新潮長篇新人賞を受賞しデビュー。

ラベル:銀座
posted by miura at 13:22| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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