2008年08月28日

必読本 第759冊目 トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして

必読本 第759冊目

toytata1.jpg

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして

大野 耐一(著)

¥ 1,470 (税込)

ダイヤモンド社

単行本: 232ページ

1978年5月25日 初版

 

●トヨタ生産方式は、

いまや1世紀の伝統をもつフォード式生産方式を超えようとしている。

逆転の発想によるケース中心の実践書。

●勝間和代さんの最新刊(必読本第714冊目参照)で

推薦書として挙げられていたこともあって、

再注目されている本。

今や、名実ともに世界ナンバー1の自動車会社となったトヨタの

基礎を築いたといっても過言ではない、

伝説の技術者、大野耐一さんの不朽の名著である。

●私が手にとった本の奥付には、

なんと「2006年2月23日 100刷」とある。

驚異的に版を重ねた本である。

トヨタの生産システムを学ぶ上では、まず外せない1冊。

外国人のエンジニア、経営者にも高い人気を誇るようだ。

●トヨタを語る上で必ず出てくる、

「カンバン方式」、「自働化」、「ジャスト・イン・タイム」などの

基本概念の説明が、その発生の由来を踏まえて

丁寧に解説されている。

巻末には、 上記の言葉も含めた、

24個の主要用語の事典があるのだが、

この部分は、本書の重要ポイントをコンパクトにまとめたと

言ってもよい、おさらいには最適な箇所で、

本文読破後には是非とも有効活用したい。

●本文には、側近でなければわからない、

伝説の創業者、豊田佐吉、豊田喜一郎、ジョン・フォード

アルフレッド・スローンなどの回想録など、

偉人伝的に読める部分もある。

終わったばかりのオリンピック関連で心に残ったことは、

生産現場でも「バトンタッチ・ゾーンを作れ」という話

(4人が単独で走った記録を合計したものよりも、

4人がリレーでつないだ記録の方がタイムはいい。

生産現場でも、できる人が、できない人の部分もカバーすれば、

全体の成績が上がる) 、

「納豆」と「豆腐」は、本来、その事物を表現する言葉が

逆になったという話(納豆は「豆を腐らせて作る」から、

本来ならば豆腐と呼ぶべきで、

豆腐は「四角い箱に納めて作る豆」だから、

納豆というべきだったこと)なども記しておきましょう。

まえがきで、トヨタ生産システムを曲解批判する連中に対して、

「弁明・釈明は一切しない。

なぜならば、すべて、歴史が証明するからだ」と言い切っている

心意気にも感銘を受けます

●カバーデザイン、本文の字体、イラストなど、

凡庸だが、いかにも長くベストセラーになっていたのを感じさせるような

通好みの重厚かつ落ち着きが感じられる本の作りも、

本当に素晴らしい美点だ。

伝統あるダイヤモンド社だけに、

この手の、永遠に読み継がれるべき大傑作書に対する礼節さというものは、

他の出版社も是非とも見習いたいものである。

●あらゆる意味での「モノづくり」に携わっている経営者や

責任者ならば、やはり、一度は目を通しておく価値のある本である。

経営環境が悪化した時にはいかにして乗り切ればよいか、

ムダ、ムラ、ムリを限界まで排除するという、

徹底した合理主義、効率主義、倹約主義

というものはいかなるものなのか。

一般のビジネスマンの方でも、

発想のヒントが詰まっているという意味で、

是非とも読んでおきたい本です。

●デール・カーネギー、論語、ピーター・F・ドラッカー、

松下幸之助などの「古典」というものは、

現代人にとっては、古臭くて使い物にならないような

知識、テクニックばかりではないかと、一見、侮りがちではある。

しかし、本書を読破して痛感したのだが、

やはり、何十年、何百年にもわたって、

愛読されてきた本というのは、いかなる時代の人々にも

心に残る強固な知識が詰まっていて、

何度読んでも新しい感動、気づきがあるから、

いまだに廃れないで残っているのである。

そんな当たり前なことを思わせてくれる本であった。

 

【マストポイント】

@問題点を発見するには、「なぜ」を5回反復してみる。

トヨタ生産方式においては、

5Wは5つのWHYである。

「なぜ」を5回繰り返せば、本当の原因がわかり、

どうすればよいか(HOW)もわかってくる。

また、このステップを踏むことによって、

「原因」の向こう側にある「真因」を掘り出すことができる。

いつの場合も、「なぜ」、「なぜ」と原因を掘り下げ、真因を

つかんで対策をしないと、有効なアクションに移ることができない。

A「動き」を「働き」にする。

ただ牛を外で放牧させておくだけでは、「動い」ているだけだが、

その後ろに荷物を引かせれば、立派に運送手段、農耕器具として

「働い」ていることになる。

人間も同じで、どんなによく動いても、働いたことにはならない。

「働く」とは工程が進み、仕事ができ上がることで、

ムダが少なく効率の高いことである。

管理監督者は、部下の「動き」を「働き」に変える

努力をしなければならない。

B「「技術」には、行動が要求される。実際にやるに限るのである。

「述」もジュツと読む。

最近は「技術者」ならぬ「技述者」のほうが多いのではないか。

気になることである。

私はいまでも「技術者」のつもりでいるから、人前で話をするのが

下手でも恥ずかしいとは思わない。

技を上手にしゃべる術では困るであろう」

「私はいまの情報化時代に生きるには、

表面を流れる情報の渦に巻き込まれることなく、

とうとうと底流を流れる情報の本質に迫ることが大事なのだと思う」

(以上本文より。一部改変) 

 

【著者略歴】

大野 耐一
1912年、中国の大連に生まれる。昭和7年、名古屋高等工業学校を卒業後、豊田紡績に入社。43年、トヨタ自動車工業に転籍。49年、機械工場長に就任、54年、取締役、64年、常務取締役、70年、専務取締役、75年から78年まで副社長を務める。その後、同社相談役、豊田合成相談役、豊田紡績会長などを歴任、1990年死去。

posted by miura at 17:24| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。