2008年09月11日

必読本 第770冊目 [実学・経営問答]人を生かす

必読本 第770冊目

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[実学・経営問答]人を生かす

稲盛 和夫(著)

¥ 1,680 (税込)

日本経済新聞社

ハードカバー: 264ページ

2008年7月14日 初版

 

●心に火をつけ最強組織をつくる!

リーダーが原理原則をはき違え、人材を腐らせる事例がなんと多いか。

活力ある社風、社員のやる気を生むために、

幹部をどう育て、トップは何をすべきか。

独自の人間哲学から答える。

京セラとKDDIという世界的大企業を2つも

創業、成功させたという意味で、

稲盛和夫さんの名声は高く、同時に信奉者も非常に多い。

本書は、稲盛さんが主宰する、経営者養成塾「盛和塾」の中で、

中小企業経営者の方々から寄せられた経営上の悩み、疑問に関して、

稲盛さんがズバリと回答するという内容の本。

●稲盛さんの執筆された自己啓発本を何冊か読まれた方ならば

おわかりかと思いますが、

文体は実に平明だし、理論もオーソドックスというか

ごくごく標準的なものばかりを書かれる方なので、

時に、キレイ事ばかりで刺激が足りない、

ありふれた話ばかりで何かつまらないという感じを

受けないわけではありません。

しかし、本書は、今までの温厚で静謐なイメージが一変するかのような

迫力が感じられる本です。

広く一般に向けて書いた軽いタッチの自己啓発的な本ではなく、

生きるか死ぬかの真剣勝負を迫られる、

経営者のための実務本であるせいもあるでしょう。

●全体は、「活力ある社風を作る」、「社員のやる気を引き出す」、

「幹部を育てる」、「自らを高める」の4章構成になっている。

最終章には、おまけ的に、「リーダーの役割10か条」が

簡潔にまとめられております。

質問者は、ほんの数人の従業員しかいない家業の状態から身を興し、

徐々に規模を拡大、いまや数(十)億円の売上を誇る、

地元を代表する中小企業経営者の面々が多い。

創業者である父親が急逝し、

右も左もわからない状態で経営を引き継いだ、

2代目若手経営者の質問が多いのも特筆すべきことでしょう。

菓子製造、不動産、建築、飲食業、医療機器、広告代理店、

経営コンサルタント、クリーニング、自動車販売など、

稲盛さんにとっては門外漢の分野であっても、

迷うことなく、的確な回答をズバリと述べているのもさすがである。

ないない尽くしの27歳の時に経営者として出発、

あまたの修羅場をくぐり抜けてきただけのことはあると思わせる。

●「会社の社長」ともなれば、

誰からも命令や指図を受けることのない殿様のような身分、

従業員は、全部自分の言うことを素直に聞く、

お金も潤沢にあるし、ろくに出社しなくても遊び放題で

気楽に生きているのだろうと、その地位を経験したことがない

下っ端の人間は勝手に思いがちです。

しかし、本書を読めば、まさに経営とは24時間真剣勝負、

プライベートの時間など一切なし、

トップであるがゆえの孤独、苦労にも耐え、

全精力を仕事、会社に注がなければ、

とてもとてもやっていけないような超ハードな職務であることが

身に染みて理解できるはずです。

甘ったれた気持ちで会社経営を行っていた方、

また、軽はずみな考えで将来起業を目指されていた方には、

「お山の大将」になりがちな社長に「良薬口に苦し」のアドバイスを

ズバリと与えてくれるという意味で、非常に優れた経営哲学書です。

●先日ご紹介した、鍵山秀三郎さんの近刊(必読本第741冊目参照)とは、

類似のテーマ、本としての完成度が高い、

経営者のマインドが高邁であるという3点の理由で、

是非とも併読しておきたい。

2冊を精読すれば、スランプ状態の経営者の方は、

何か霧の晴れるような爽快感を得られるはずです。

【マストポイント】

@「結局は業績がいいときも無茶をせずにそれなりに、

悪いときは歯を食いしばって、社員の生活を考えて

面倒を見てあげるという考え方が必要です。

社員の生活を考えれば、いいときにはボーナスをはずみ、

悪いときは払わなくてもいいというわけにはいかないのです。

人間はみな感情の動物です。

ですから、経営者というものはすばらしい心理学者でなければ

ならないのです。

働く人たちの気持ちが、どう揺れ動くかが読めないようでは、

経営者のうちに入りません」

A「器が大きくなってくると、問題はそれに留まりません。

あなたの目標に合うような副官がほしくなってきます。

問題はそこなのです。

会社はトップの器、器量の分しか大きくなりません。

トップの器が小さいのに、会社だけが勝手に大きくなることは

絶対にありません。

新しい任務を帯びた人は、やはりそれにふさわしい器が

必要なのです。

どんなに賢い人を雇うにしても人間性のよい人を雇うことです。

絶対に能力だけで採用してはなりません。

今、ウチにはこういう優秀な専門家が喉から手が出るほど

ほしいと思っても、人間性が伴っていない人は雇ってはなりません。

それよりは右向け右といえば、右ばっかり向いている人の方が

まだいいのです。

そういう人しか雇えないなら、自分の器もそのレベルなのです」

B「仏教には大善と小善という言葉がある。

たとえば、自分の子供がかわいいばかりに溺愛し、

ろくでもない大人に育てていく。

それを仏教では『小善は大悪に似たり』という。

かわいがることは善きことであるが、それがただ甘やかすだけの

愛情であっては、とんでもない大悪をなすことになるのだ。

一方で『大善は非情に似たり』という言葉がある。

『かわいい子には旅をさせよ』という諺と同じ意味だ。

「かわいいわが子に世の中の辛苦をなめさせるなんて」と、

他人は非難するかもしれない。

しかし、そういう厳しい経験をさせることによって、

その子は立派に育ってくれる。

厳しそうに見えたそのことが、実は大きな愛なのだ。

大善は、凡人には非情に見える。その冷たいことを、

あえてやれるぐらいのリーダーでなければ話にならない。

あなたのように、ただ目先だけを見て、ええわ、ええわと

ほめていたのでは、うまくいきはしないのだ。

私が、常に社員を大事にしようといっているのは、

甘やかして引っ張っていくという意味ではない。

ボーナスや給料をたくさん出したからといって社員はついてこないんだ」

C「ナニ泣きべそをかいている。断られて当たり前やないか。

わずか十何人しかいない、年間一億円の設計しかしていない

会社が、大手の設計会社を向こうにまわして

注文をくださいといっても、くれるわけがないやないか。

オレが発注する側でも、不安で信用ができないから注文は出さない。

しかし、この熱心さ、この技術力、

これだけ一生懸命にやってくれるなら、

ひとつ注文を出してみようかと相手が思うような誠意と熱意しか

ないんだ。

断られて当たり前で、そこから仕事が始まるんだ。毎日通ってみろ」

D「京セラの企業理念は、

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、

人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。

つまり、「うちの会社は従業員を大事にします。

従業員の幸せを追求します」ということだけなのです。

従業員の幸福を守ろうと思うからこそ、

私はいい加減な仕事をしている社員を厳しく叱りました。

「私の会社は、私が金儲けをするためにみなさんを

こき使おうとしているのではありません。

みなさんを守っていこうと思うから、いい加減な仕事ぶりでは

困るのです。あなたの待遇を良くしてあげようと思うから、

私は厳しく文句をいっているのです」

すべては従業員の幸福を守るため、この一点で

私は厳しく叱ることができました」

(以上、本文より。一部改変。

長文になりましたが、名言が多かったので、今回は5個掲載しました)

【著者略歴】

 稲盛 和夫
1932年、鹿児島生まれ。鹿児島
大学工学部卒業。59年、京都セラミツク株式会社(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。また、84年に第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。84年には稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。他に、若手経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成にも心血を注ぐ。

ラベル:盛和塾 稲盛和夫
posted by miura at 17:40| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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