2008年10月05日

必読本 第785冊目 経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

必読本 第785冊目

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経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

マッテオ モッテルリーニ(著), 泉 典子(翻訳)

¥ 1,680 (税込)

紀伊國屋書店

単行本(ソフトカバー): 320ページ

2008年4月20日 初版

 

●最新の行動経済学と神経経済学のエッセンスをクイズ形式で説く。

お金と経済に関わる心の法則のポイントも紹介。

さまざまな局面での人間の癖と、相手のだましのテクニックがわかる!

●今年4月に発売後、アマゾンなどで非常に売れ行き好調だった本。

著名な経営者や作家に推薦されたせいもあるだろう、

いまだに高い人気を誇る

(帯にはセブンイレブン鈴木敏文さんの推薦文あり)。

半年過ぎて、やや遅まきながらという感もないではないが、

図書館から借りて本日ザッと読んでみました。

●内容は、タイトル(ちなみに、原著タイトルは『感情の経済学』)に

単刀直入に示されているように、

合理的思考法で意思決定をしていると思われがちな、

「万物の霊長」である我々人間が、

実は「感情」というあやふやなものによって、

非合理的な決断、選択をしているということが

意外に多いということを懇切丁寧に解説してくれる書。

●昨今テレビでも人気の、

二者択一のクイズ形式で話を進めるというスタイル、

本文でキーワードとして出てくる経済専門用語を、

随時脚注で解説するという親切さ、

全18章あるのだが、各章が、多すぎず、少なすぎずの

適度な分量で、なおかつ内容的に独立しているので

読書時にストレスを感じさせない、

各章末尾には「教訓」として、そのポイントがコンパクトにまとめられている、

グラフや図表類も豊富で理解しやすいなど、

売れているのも納得の、実に読みやすい作りの本。

本文には、各種の実験データの引用も非常に多いのだが、

それらの引用元をゴチャゴチャと巻末などで列記せず、

シンプルさに徹したのも読みやすさにつながっている。

●人間が商品を購入する、物事の意思決定をする際に、

どのような心理過程を辿るのか、

また、売り手側にはどのような戦略、トリックがあるのかを

示しているという意味で、

知る人ぞ知る名著『影響力の武器』(必読本第519冊目第12冊目参照)を

髣髴とさせる本です。

2冊併せて読むと、この分野では相当賢くなれるかと思います

(例・本当に買わせたい商品がある場合、

3つの価格帯の真ん中の価格にすると、効果的に売れるようになる)。

●どんなに有能な人間であっても、

知らないことは必ずあり、間違いを必ず犯し、

理性的であるよりも、感情的になって判断していることが非常に多い。

また、売り手側ならば、

ちょっとしたパッケージ、数字表記、言語表現の違いによって、

劇的に商品の売上げに差を生じさせることができる、

消費者ならば、その手のトリックに騙されない賢い消費者になる。

以上のようなことを初心者にもわかりやすく示してくれる、

非常に秀逸な書です。

310ページとそれなりにボリュームがありますが、

一読してからすぐに再読したくなるような内容充実の本です。

【マストポイント】

@「お金の価値は一定である」は幻想。

同じ1万円でも、人は状況と文脈によって

違った価値を感じる。

研究結果によれば、X円の損失が引き起こす嘆きは、

同じ金額を得た時に感じる喜びの2倍以上だという。

つまり、非常に単純化して言えば、

1万円の損失が生んだ憂鬱を払拭するには、

1万円の2倍、2万円以上の利益を得なければならないということである

(ギャンブルで負け続けた人が、最後に大穴で一発逆転を

狙う傾向や、無名時代に彼女にフラれたミュージシャンが、

その子を見返すために、音楽業界で成功し、

もっと美人の女性をゲットしようと考えるのも、

結局、同じことを表している)。

Aその現象の肯定面を強調するか、否定面を強調するか

(「生存率は95%」あるいは「死亡率5%」)。

同じ事物を%表示するか、実数表示するか

(病気の発生率が「0.01%」あるいは「1万人に1人」)。

商品を値引きする場合、比率表示か、値引き表示か

(「一律5%割引き」あるいは「500円割引きか」)で、

人の受け取る印象、判断は全く違ったものになる。

マスコミ報道、商品の宣伝など、

社会の多くの分野で、消費者の錯覚につけ込むかのような

トリックが巧妙に仕掛けられている。

普段から、直感的な判断だけではなく、

多面的なものの見方をできるようになろう。

B人は、どうしても、自分に都合のいい面だけを見たがり、

自己に関係するものに対する評価は甘くなりがちである。

自分の子供は、他の子供よりも、

外見、勉強、スポーツが優れていると思いたがり、

自分が所有しているものには、世間の相場以上の価格を

勝手に付けたがり(例・テレ東『開運!なんでも鑑定団』、

自家用車を中古車屋に売る時)、

自分が所有している株が下落し続けても、

いつか必ず上がると一人信じて、塩漬けにし、

更に値を下げてしまうことになる

よって、知ったかぶりをせず、知らないことははっきり知らないと言う。

成功は、自分の手柄だけではなく回りの支援や運もあることを認める。

また、失敗した時は、他人のせいにせず、

自分の落ち度だとすぐに認め、挽回するように努める

過信やうぬぼれは、百害あって一利なし。 

【著者略歴】

1967年ミラノ生まれ。ミラノ大学で科学哲学、ロンドン大学で経済学を修める。カーネギー・メロン客員准教授などを経て、現在はミラノのサン・ラファエレ生命健康大学の准教授。科学史・科学哲学、認識論、論理学、ミクロ・マクロ経済学などを研究分野とする。著書に『方法論のプラスとマイナス』(1990)『医学的判断の合理的限界』(共著、2005)『経済の合理性批判』(2005)『認知と実験の経済学』(2005)などがあり、本書を2006年10月に刊行、たちまちベストセラーとなった。

posted by miura at 18:32| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 精神世界・不思議系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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