【売れている人は、やはりそれだけのことを必ずしている】
●先日、NHKスペシャルで、一部の歌番組以外、
めったにテレビに出ないことでも有名なB’Zの番組が放送された。
観られた方も多かったと思う。
●言うまでもなく、日本でのCDなどの売上げ総数は、
他のアーティストたちを引き離す圧倒的1位である。
売れているミュージシャンには、
我々商売人にも勉強になる成功法則というものが必ずあるはずだと
思うので、今回は、その時の教訓、学びを書いておきたい。
●番組内でとりわけ興味深かったのは、
松本孝弘さんの、普通の素人だったらとても気づかないような
細かい部分もなおざりにしない完璧主義の姿勢と、
稲葉浩志さんのストイックな生き方の2点である。
松本さんに関しては、ほんの数秒間のギター演奏でも、
自分で納得できなければ、
何度でも何度でも演奏のし直し、録り直しをしていた。
ツアー前のリハーサル期間中の休みの日でも、
ホテルの自室に一人缶詰め状態で、
昼にカップラーメンを食う以外、
ほぼ一日中、ギターの練習をし続けていた。
「まあこんなもんでいいか」と、
適当に諦めてしまうようなことは絶対にない人のようだ。
●また、松本さんは、自分には「野性の感」というものがあり、
それがあるから曲が売れるかどうかはわかるというニュアンスのことを
番組内で語っていたが、要は、
自分で納得できない演奏、音楽商品は、絶対にお客さんに提供しない。
これなら最高だ、これなら必ず売れるという段階に達するまで、
何度も何度も徹底的に作り込む、練習を重ねる
ということを意味しているのだと思う。
これぐらいの超大物になれば、
「やっつけ仕事」的な曲作り、演奏をして、
その場をしのぐようなことも時にはあるだろうが、
松本さんは仕事上において、
そんないい加減な気持ちというものは微塵もないようである。
●稲葉さんのことで驚かされたのは、
真夏でも、体調管理のために、
ビールなど冷たいものを一切とらず、
鍋物を愛食するということ、
商売道具である喉を保護するために、
加湿器を数台動かし、
外気が入らないように、スタジオのドアには
テープで厳重に目張りさえしていたなどである。
ツアー前には山奥に篭り、アスリートのように
贅肉一つないぐらいに体を鍛え上げる。
元々寡黙で、笑顔もめったに見せないことで有名だが、
世俗的なものを完全に超越した
(過去、既に、美女、高級車、豪邸など、
アーティスト特有の夢を一通り達成したこともあるだろうが)、
ある種の修行僧、求道者のようなものを感じさせる人である。
「アーティスト、ミュージシャンと呼ばれるよりも、
自分はB’Zのシンガーである」という言葉や、
売れているのはなぜか?という質問に対して、
「手を抜かないという姿勢を一貫して持ってきたからではないか」
という言葉も非常に印象的でした。
●稲葉さんのルックスのよさ、日本人離れした高音の高さ、
松本さんのギターテクの巧さなど、
B'Zが売れている理由は色々と取り沙汰されますが、
それら以外にも、ずば抜けて売れている人というものには、
本番では涼しい顔をして演奏していますが、
実は、我々凡人には窺い知れないところで、
超人的な節制とトレーニングを愚直に続けているということ、
それと、どんな細部でも妥協せず、
自分が納得できるまでに最高レベルの製品を
作り上げるという職人気質の姿勢が
あるということを思い知らされました。
我々も是非とも見習いたいことです。