2008年11月07日

必読本 第805冊目 寅さんに学ぶ日本人の「生き方」

必読本 第805冊目

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寅さんに学ぶ日本人の「生き方」

志村 史夫 (著)

¥ 1,470 (税込)

扶桑社

単行本: 262ページ

2008年8月30日 初版



●本来“衣食足りた”日本人は“礼節を知る”はずだった。

現代の日本人は礼節を失ったばかりでなく、

「恥を恥とも思わない」輩がいたるところに闊歩している。

いまこそ「寅さん」で日本人の忘れものを取り戻そう。

●本年2008年は、映画「男はつらいよ」が上映されてから40周年、

そして、主演された渥美清さんの生誕80周年(13回忌)であることもあり、

リバイバル上映や、記念ボックスDVDの発売など、

寅さんファンにはうれしいイベントが続いている

(10月29日に発売された後者のDVDボックスは、

20万円と高額にもかかわらず、売れ行き好調だという)。

私自身も、全48作品をすべて観たぐらい、

寅さんには強い影響を受けてきました。

今回は今年の8月末の発売された、

寅さんと日本人の生き方を考察した本をご紹介したいと思います。

●著者は、理系の大学教授で、

アメリカで留学勤務していた当時、

知人から「男はつらいよ」のビデオを送ってもらって以来の

寅さんファンで、アインシュタイン、夏目漱石、車寅次郎を

終生尊敬する三大師匠として生きるためのお手本にされてきたのだという。

●寅さんを基本にしつつも、

「日本人の理想的生き方」を中心テーマに論じた本なので、

致し方ない面もあるのかもしれないが、

とにもかくにも、寅さん以外のムダな「脱線」が多い本。

夏目漱石をはじめ、内外の偉人たちの言葉からの引用、抜粋、

そして、著者の個人的な体験談の類に

極めて多く紙面が割かれていて、

純粋に寅さん関係の本だと思って読んだ人は非常にじれったさを感じる。

もうちょっと、寅さん一本に話を集中し、

余計な部分を削ぎ落とし、スッキリした内容にすべきだった

(また、各映画の役柄を、どの俳優が演じたのかの明記が

全くないのも、非常に不親切)。

●ただ、いわゆる寅さんの名言、金言や、

映画の舞台裏、ウンチクの類は、

豊富に掲載されているので、ファンはそれなりに楽しめる。

また、巻末には、「男はつらいよ」を企画演出された

プロデューサー小林俊一さんと著者との対談も収録されていて、

スタッフだけしか知らないエピソードが紹介されているのも

うれしい限りである

(山田洋次監督自身酒を飲まないので、山田組は、

企画会議が朝までになっても、酒なしで話し合った。

意外にも、渥美清さんはかなりの読書家だった、

「フーテン」の意味に変化を起こすなど、

あの広辞苑にも影響を与えた、など)

●最後に余談だが、テレビ版の最終回で、

奄美大島でハブを取って一儲けを企んだ寅さんが、

逆にそのハブに噛まれてあえなく死んでしまう、

それを見た視聴者からのクレーム電話が殺到したことが

映画化のきっかけであることは、あまりにも有名な話だと思う。

最近、そのテレビ版第1回と最終回を収めたビデオを

TSUTAYAから借りて見る機会があったのだが、

ハブから噛まれて死んだシーンの後、

妹のさくらが寅さんが死んだことが信じられず、夢枕まで

笑顔の寅さんが現れて、それを実在する寅さんだと勘違いして、

真夜中に自宅を抜け出して公園まで追いかけて行き、

夫の博に止められるというラストシーンがあるのだが、

あまりにも不憫な描き方をされていて、

モノクロの映像だったこともあり、正視できないぐらいの衝撃を受けた。

これならば、当時、苦情が殺到したのは当然だなと納得した次第で、

もし、これから見る機会がある方は、

夜間だと非常に暗澹たる気分になること確実ですので、

できれば日の明るい内に鑑賞されることを、

老婆心ながらご忠告しておきます。

 

【マストポイント】

@「貧しいねえ、お前たちは。

どうしてすぐ金のことばかりいうんだ。金なんてなくたっていいじゃねえか。

愛さえあれば、腹なんかすかない。

愛があればひと月ぐらい食わなくたって平気よ」

「いいかい、ああ、いい女だなあ、と思う。

その次には話がしたいなあ、と思う。

ねっ、その次にはもうちょっと長くそばにいたいなあ、と思う。

そのうち、こう、何か、気分がやわらか〜くなってさあ、

ああ、この人を幸せにしてあげたいなあ、と思う。

もう、この人のためなら命なんかいらない、死んじゃったっていい、とそう思う。

それが愛っていうもんじゃないのかい」

(金銭感覚はゼロだが、寅さんは、

義理人情、愛、思いやりの心は誰よりも持っていた)

A「俺みてえなバカでもよ、潮時ぐれえは考えているさ」

「人間には潮時ってものがあるからな」

「男は引き際が肝心だってことよ」

(失恋した時に、未練がましさを残さず、

潔く女性の元を去る寅さんの言葉)

B「人間、長い間生きていればいろいろなことにぶつかる。

その時、自分みたいに勉強していない奴は、

振ったサイコロの目で決めるとか、その時の気分で決めるより仕方がないけれど、

勉強した人間は、自分の頭できちんと筋道立てて、

はて、こういう時はどうしたらいいかなと、考えることができるんだ」

「学ぶことは己を知るためよ」

(満男などから、「何のために学ぶのか?」と問われて)

(以上、「男はつらい」の寅さんのセリフ。一部、台本通りではないセリフの可能性あり)

 

【著者略歴】

志村史夫

昭和23(1948)年、東京・駒込生まれ。名古屋工業大学大学院修士課程修了(無機材料工学)、名古屋大学工学博士(応用物理)。日本電気中央研究所、モンサント・セントルイス研究所、ノースカロライナ州立大学を経て、平成5(1993)年より静岡理工科大学教授、ノースカロライナ州立大学併任教授。長らく半導体結晶の研究に従事したが、現在は古代文明、自然哲学、基礎物理学、生物機能などに興味を拡げている。半導体、物理学関係の専門書のほかに『古代日本の超技術』『生物の超技術』『文科系のための科学・技術入門』『こわくない物理学』『アインシュタイン丸かじり』『漱石と寅彦』『いま「武士道」を読む』など一般向け著書多数。

男はつらいよ 40周年 松竹公式サイト  http://www.tora-san.jp/

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