2008年12月22日

必読本 第831冊目 スティーブ・ジョブズの流儀

必読本 第831冊目

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スティーブ・ジョブズの流儀

リーアンダー ケイニー (著), 三木 俊哉 (翻訳)

¥ 1,890 (税込)

ランダムハウス講談社

ハードカバー: 336ページ

2008年10月22日 初版

 

●ビジネスとは、生きざまの証明。

世界を変えられると本気で信じる人間こそが本当に世界を変える。

愚直なまでにおのれの信念を貫く男の素顔を、

アップルコンピュータを12年以上にわたり追いつづけてきた著者が

圧倒的な取材力で描き出す。

●いわずと知れたアップルコンピュータ創始者にして、

現CEOである、スティーブ・ジョブズの人となりと、

アップルの成長を克明に記録した傑作ノンフィクション。

スティーブ・ジョブズ関連の本はそれなりに発刊されているようだが、

今まで全く手にしたことがなく、私自身初めて読むことになる。

●まず、この手のビジネス界の偉人を追った翻訳本というものは、

原文が難解なのか、翻訳者の技量が劣るのか定かではないが、

文章が非常に読みづらい代物が多く、

本の分厚さを見ただけで読む気が失せてしまうものだが、

本書は極めて読みやすい翻訳になっている。

これはきちんと評価しておきたい。

全320ページあるのだが、何ら痛痒を感じることなく、

スイスイ読み進めていくことができる。

写真や図解が全くないので、退屈しないだろうかと

心配したが、杞憂であった。

ほとんど専門用語など出てこず、

PC関連に疎い人にも極めて平易な内容となっている。

●この手の自伝ものには珍しく、

全8章ある各章末尾に、その部分のポイントをまとめた名言、教訓集が

ついているのだが、読者の利便性を考えてあえてつけてくれたのだと

思うが、何かまとめ方が雑で、不要な感じがした。

それよりは、本書で出てくる重要文、ジョブズの発言などを

自分なりにアンダーラインを引いたほうがいいでしょう。

親切さがアダになった稀なケース。

●しかし、存命のビジネス界の巨人の中で、

ジョブズほど、各種の伝説、エピソードが多く、

人間的に興味の尽きない経営者はいないだろう。

自分が創設した会社にもかかわらず、一時追い出されてしまい、

その後復帰し、瀕死の状態からアップルを大復活させる。

超変人で、大学中退して一時インドヨガなどスピリチュアルなものに

傾倒し、膵臓がんになったが奇跡的に生還する、

ペスクタリアン(魚だけは食べるベジタリアン)である、

超癇癪持ちで、エレベーターでたまたま一緒になった部下の仕事振りが気に入らず、

その場でクビにしてしまった(隠語で「スティーブする」という)、

病的なほどのディテールへのこだわり、

有能な人材の流出を食い止めるためにストップオプションの仕組みを確立する、

最高の頭脳集団ばかりを少数精鋭で集め、使えない凡才は大量に切り捨てる、などなど。

●ペプシコ社長ジョン・スカリーを

「残る一生をずっと砂糖水を売っていたいですか、

それとも世界を変えたいですか?」と言って口説き落とし、

アップル社に迎え入れた有名なエピソード、

ソニーのウォークマンを蹴散らし、21世紀最高の製品という呼び声も高い

i-Pod開発の舞台裏(市場調査、ユーザーアンケートを徹底的に無視する。

お客は自分がほしい商品を知らない。こちらが教えてあげる)など、

非常に濃密な内容に満ちた本です。

ビジネス界のカリスマの人間像を堪能できるのみならず、

「世界を変えるために働いているのだ」という

アップル社員の使命感の高さ、社内の緊張感の高さにも

とても感銘を受けるかと思います。

●i-Pod、i-Phone、Mac愛用者ならば、読んでいないとモグリでしょう。

自分が所持しているアップル製品に対する愛着が一層湧いてくるはずです

(知り合いに教えてあげれば喜ばれるウンチク話も多い)。

普段多忙で、なかなか読書する時間がないビジネスマンが、

年末年始のヒマな時間に「これ一冊」として読むのにも最適な本。

年明けに「俺も今年は仕事で一花咲かせてやるぜ!」と

やる気を鼓舞されること間違いありません。

【マストポイント】

@「彼(=スティーブ・ジョブズ)は

たいていの人間は無能だと考えるエリート主義者である。

だが、彼は、無能な者でも使いこなせるほど使いやすい製品をつくる」

A「スティーブは、早くからi-Podについて、

とことんフォーカスすること、欲張りすぎないことが重要だと考えていた。

欲張っていたら製品が複雑化して、いずれだめになっていたでしょう。

大事なのは余分なものを取り除くことだったからです」

「スティーブのやり方がほかのみんなとちがうのは、

最も重要な決定は何をするかではなく何をしないかを決めることだ、

と信じていた点だ」

(ジョブズの、完璧なデザイン、シンプルさの追求など、

製品のこだわりは偏執狂的ですらある。

ある時、スカリーが彼の自宅を訪問したら、好みの家具が見つからないという

理由で、ほとんど家具らしい家具が置かれていなかった。

買い物するときは信じらないぐらいに慎重で、

ひとつの商品を買うために何週間も時間をかけ、家族会議まで開く。

それでも自分の理想にあったものがなく、結局何も買わないで済ます。

ペンもパイロット社以外のものは使用しない)

B「いまのコンピュータは20年後には使いものにならないだろう。

でも『白雪姫』はこの世に出て60年の間に2800万部も売れた。

子どもにヘロドトスやホメロスを読んでやる親はもういないが、

映画は誰でも観る。映画は現代の神話だ。

ディズニーはその神話をわれわれの文化にしている。

願わくはピクサーもそうでありたい」

(2006年にディズニーに巨額買収されたピクサー社は、

元々ジョブズが作ったプライベートアニメーションスタジオだった。

ここから『トイ・ストーリー』などの傑作が生まれた)

【著者略歴】

リーアンダー・ケイニー Leander Kahney
Wired.comのニュースエディター、ブログ「Cult of Mac」のメイン執筆者。著書にThe Cult of Mac(邦訳『The Cult of Mac』エスアイビー・アクセス)、The Cult of iPodがある。記者兼編集者として12年以上にわたってアップルを取材している。サンフランシスコ在住。

訳者紹介
三木俊哉 みき・としや
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。会社勤務を経て、主に産業翻訳に従事。訳書に『強い会社は「周辺視野」が広い』(ランダムハウス講談社)、翻訳協力書に『ゲリラ・アドバタイジング』(東急エージェンシー)、『10倍売る人の文章術』(PHP研究所)がある。


posted by miura at 17:27| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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