2009年01月14日

必読本 第840冊目 129職種の年収一覧―あなたの仕事の「世間相場」がわかる

必読本 第840冊目

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129職種の年収一覧―あなたの仕事の「世間相場」がわかる

野村 昌二 (著)

¥ 1,000 (税込)

プレジデント社

単行本: 131ページ

2008年10月13日 初版

 

●弁護士、バス運転手、添乗員、介護ヘルパー、システムエンジニア…。

実際にどんな仕事をして、どれくらい稼いでいるのか、きちんと知らずに羨んだり、

「上から目線」で語ったりしていませんか?

正しい「世間給与事情」を知らなければ、あなたの立ち位置も見えません。

●未曾有の不景気、血も涙もない大企業の派遣切りなど、

経済不安的なニュースが連日報道されております。

他人の月収や年収など、お金の問題を大っぴらに話すことを嫌うお国柄もあり、

実際のところ、他人の家庭では給料はいくらほどもらっているのか。

実入りがいいと思われている職業では、実際どれほどの収入があるのか。

世間で人気の仕事は実際どれぐらいもらっているのか。

そういうことは明確にはわからないものです。

●本書は、冒頭に、世間でよく知られる職業129の平均年収と平均年齢を

一覧にして掲載(平成18年度データ)。

その後、最近世間を騒がせているネットカフェ難民、派遣労働者、ワーキングプアや、

3K労働者、特に、最近転職志望者が多いという漁業、ホームヘルパーの知られざる実態、

一般に高収入職業だと思われている、弁護士、SEなどの「理想と現実」など、

計16人の人々を取材し、一冊にまとめたものである。

●アマゾンのレビューでも批判されているが、タイトルのつけ方がよくない。

正しくは、「ワーキングプアの生活実態」とでもすべき本。

最近ニュースなどで頻繁に取り上げられている貧困層、低収入者の

生活の過酷さ、労働状況の劣悪ぶりをレポートするのが主眼の本です。

いわゆる「セレブ」的な生活を謳歌しているお金持ち層のエピソードは一切出てきません。

個人的には、IT業界、証券マン、オレオレ詐欺犯、ホスト、

ラーメン屋さんなどという業種の方々の年収も取材してほしかったです。

●我々人間というものは、医者だ、歯医者だ、弁護士だ、

芸能人だ、政治家だ、社長だという肩書き、名刺を見ただけで、

その実態もよく知らないくせに、自動的に、彼らは金持ちだ、

楽して生活している、などという先入観を持ってしまい、

むやみやたらに卑屈になったり、畏敬の念を持ったりしてしまいますが、

やはり、数字というものは冷徹なもので、

その実際の年収の金額を明示されてみますと、

一般に思われているほど高収入ではない、

また、結構もらっているはずだと思っていた職業の方々が、

スズメの涙かというような心細い収入しか得ていないということが

判明し、大変な衝撃を受けます。

●本好きの私としては、最終章、年収210万円で毎日朝6時半出勤の

22歳男性書店員の方の、

「言葉は悪いですけど、書店員の給料は出版業界のなかで最下層。書店員は貧民だ」

という言葉が特に胸にズシンと響きました。

大手出版社の社員などと比べれば、彼らの勤務実態は驚くほど劣悪かつ過酷である。

今までそれほど書店の人には暖かな視線を送ってこなかったが、

これからは、本が乱雑に置かれていたらきちんと直したり、駐車場のゴミを拾ったり、

できるだけ書店の店員さんに対して優しい気持ちを持とうと自戒した次第であった

(改めて注意を喚起しておきたいことだが、

万引きは書店を閉店、経営危機に陥らせるほどの

大打撃を与えるそうなので、皆さん絶対にやめましょう)。

●また、ホームヘルパーさんの労働実態は、涙なくして読めないぐらいであった。

志高く働いているにもかかわらず、訪問したお宅の夫や息子から、

犯罪まがいのセクハラを受けることもあるという若い女性ヘルパーの話を

聞くに及び、こんな低賃金で奴隷のような労働環境ならば、

若い人が夢を持って参入してくる職場じゃないな、

(介護する方もされる方もどっちも過酷だという意味で)先が暗い業界だなと思わざるをえなかった。

●さほど時間を要せず一気に読める軽い内容だし、

千円札一枚で買える廉価もうれしいです。

世間の人々がどれほど涙ぐましい思いをして働き、

自分や家族の生活を成り立たせているのか、

大過なく働くことができるということがどれほど喜ばしいことなのか、

自分の生活がどれほど恵まれていることなのかを実感できる本です。

ニートの人(臆面もなく「家事手伝い」などと自称している女性も)や、
 
サラ金、ローンで浪費の限りを尽くしている人、
 
高学歴を鼻にかけて人を人とも思わない傲慢な態度でいるインテリ気取りの人
 
(旧帝大の博士号まで得ても、ワーキングプアに甘んじてるエピソードが出てくる)は、

爪の垢を煎じて飲むという意味で、ご一読をお勧めします。

仕事やお金や人生をナメていると、将来こういう姿になるという

良い教訓を得られるかと思います。


 
【マストポイント】

@「先のことは恐ろしくなるので、考えないようにしている。

とりあえず今、そして明日のこと。

2、3日余裕ができたら1週間先のことを考える。

でも1週間先は、死んでいるかもしれないと思うこともある」

(自宅を持たず、東京の繁華街を転々とするネットカフェ難民の男性の言葉。

こういう寒い季節は、暖を取るためだけという目的で、

山手線を何周も乗り続けることがよくあるという

あまりにも小汚い格好をしていると、コンビニ店員から露骨に嫌な扱いを受けるとも)

A「技能も賃金も高い美空ひばりはいらない。

必要なのは、代わりがきくモーニング娘。だ」

(派遣添乗員の女性が管理職の男性から浴びせられた暴言)

B「残れば過労死、辞めれば貧困―。

いまのニッポンの社会は、その究極の二者択一しかできない状況に

なっている。しかも、ちょっとしたつまずきが転落につながり、

一度悪循環に陥れば、抜け出すのは簡単ではない。

社会を支えるはずの若い世代が、自分ひとりの暮らしも維持できないでいるのだ。

しかも、その「予備軍」は着実に増えている。

少なくとも、私の目には「貧困から抜け出せない日本の労働市場はゆがんでいる」と

映った。企業に、社会に「見捨てられた」人は確かにいる。

ゆとりを失い、自力での脱出が困難な人には、

公的な協力と介入が必要だが、それも当てにできない。

「飽食ニッポン」という言葉は嘘だった」


(以上本文より。一部改変)

 

【マストポイント】

【著者略歴】

野村 昌二
ノンフィクションライター。1964年、広島県出身。駒澤大学卒。「プレジデント」「論座」「週刊金曜日」などで労働現場を取材したルポルタージュを執筆。『129職種の年収一覧』が単行本デビュー作。
 

posted by miura at 18:31| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | お金・貯蓄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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