2009年02月07日

必読本 第850冊目 大金星

必読本 第850冊目

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大金星

水野 敬也(著)

¥1,575(税込み)

小学館

ソフトカバー:365ページ

2008年12月13日 初版



●「お金も才能も肩書も容姿も関係なく

僕たちでも手に入れられるものが一つだけある。それは―」

170万部突破の大ベストセラー「夢をかなえるゾウ」著者

水野敬也が贈る、新感覚エンターテインメント。

●スーパーヒットとなった「夢をかなえるゾウ」に続く水野敬也さんの最新刊。

期待感は高く、発売前には、異例とも言える

大々的なプロモーションがかけられたが・・・、

初めにお断りしておくが、今回はちょっと厳しい書評になります。

常々、他人の悪口をひとつ言い始めると、際限なく悪意のこもった悪口を

言い続ける羽目になるので、極力、他人の欠点や短所には触れまいと自戒しているのですが、

ちょっと今回は歯に衣着せぬ論調になりますので、あらかじめご了承下さい。

●一言でいえば、

「夢をかなえるゾウ+電車男+著者の恋愛マニュアル本(私は未読)+スーパーフリー÷4」

とでも表現できる本。

女にモテずに悶々としているゲーマーの大学生「御手洗」が、

犬を連れた西郷隆盛(山下清)風の謎の男「春男」を

師匠として、イケメン金持ち一流大学のライバルたちと戦い、

かわいい女の子をゲットしようという新感覚恋愛マニュアル小説である。

●一読すれば明らかだが、「夢をかなえるゾウ」で味をしめたのか、

最初から「テレビドラマ化」を前提にした小説でしょう

(確証的な言い方はできないが、おそらく、テレビ局からは、

「次回作も、将来ドラマ化できるような小説をひとつお願いします」的な

オファーがあったはずである)。

ドラマの脚本を読んでいるのか思われるほどに、セリフ、場面、人物設定が

異様なぐらいに微細に描かれているのである。

主人公役はあの男優だな、女子大生役はあの女優だな、

春男役はあの男優だななどと、

想像しながら読むと意外に楽しめる

(しかし、最後の方に出てくる、慶大生で、親が広告代理店のお偉いさん、

人気絶頂のアイドルって、まるっきり、ジャニーズのあの人がモデルじゃん!!

って突っ込み、クレームが来ると思うのだが、もうちょっとひねりはきかせられなかったのか?

また、著者がいかな慶大出身者とはいえ、慶大本体も眉をひそめる内容の本。

架空の大学名の方が好ましかった)

●物語の後半は、世間を騒がせたSEX犯罪サークル「スーパーフリー」と何ら変わらない、

イベント系サークルのコンパに御手洗と春男が潜入し、

美容整形した昔のブサイクゲーマー友達との再会、

そのサークルを仕切る「勝ち組」イケメン大学生たちとの

かわいい女の子ゲットを巡る攻防戦が描かれている。

単刀直入に言うと、下品なホストクラブか、

オバカな若者の夜の飲み会での乱痴気騒ぎが物語の大半で、

ただバカ騒ぎが繰り返されているだけ、

感動とか、斬新なアイディアとか、

何か実になるようなものはほとんど全くと言ってよいほど見出せない。

読めば読むほど、頭痛がしてくる。

●主人公を犬畜生のように罵倒するサークルメンバーたちの話し言葉や態度は、

いかな現代の若者のリアルな感じを表現しようと目論んだにせよ、

吐き気を催すような超低レベルなもので、

良識派の大人はとても読み続けることはできないだろう。

美輪明宏さんなどが読んだら、烈火のごとく怒りそうな本。

しかし、このご時世、東京の大学生は、女とHすることだけが目的の、

こんなバカみたいなコンパをいまだにしているのか?

ちょっと現実離れしている感じがある。

昨今問題になっている薬物、トイレでのレイプ、イッキ飲み、暴力を

想起させるような表現も多々描かれていて、

「夢をかなえるゾウ」を書いた同じ作者かというぐらいの失望感を味わう。

学生を持つ親は、とても我が子に読ませられるような代物ではない。

●発売からたった2ヶ月で、アマゾンでは、ありえない古本価格が現在ついているが、

それがすべてを物語っているといってよいでしょう。

大ヒット作の後にありがちな、オオコケ作品。

そもそも、こんな内容の本に小学館はなぜGOサインを出したのか?

なぜ、「夢をかなえるゾウ」の続編的内容で押さなかったのか?

本来、この人の実力はこんなもので、「夢をかなえるゾウ」は

まぐれホームランだったのか?

本書は「つづく」で終わっていて、「上巻」という位置付けらしいが、

おそらく、次に出る「下巻」は、目も当てられない売上結果になる可能性が高い。

なぜなら、ライバルとの試練に次々と遭いつつも、

最後には、電車男的ハッピーエンドで終わるだろうということが、

読者の方で容易に予想できるからである。

よくありがちな結末になるのがミエミエ。

●本書は大きく期待を裏切る形になった。

「夢をかなえるゾウ」でたんまりと収入を得たせいで、

頭のキレがなくなったとでもいうのか

(しかし、ちょっと前に、著者が「笑っていいとも!」にゲスト出演されていた時は、

嫌らしい所のない好人物だったとお見受けしたが)。

著者は、この苦境をどうやって盛り返すのか。

ブレーンが何人もいるようだが、

もうちょっと、まともな大人がきちんと読めるような代物に

作り込んでほしい。


【マストポイント】


@御手洗「福沢諭吉ィ!てめぇ、『天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず』って

ふざけたこと言ってんじゃねえよ!

天はよぉ、天は明らかに人を上と下に分けてるじゃねえかよお!

『イケメン』と『ブサイク』に分けてるじゃねえかよ!

『二重まぶた』と『一重まぶた』に分けてるじゃねえかよ!」

A御手洗「全然わかってないみたいだから言わせてもらうけどさ、

『笑われる』っていうのと、『笑わせる』というのは全然違うんだよ。

さっきから春男は使い走りみたいなことをやってるけど、

それって結局『笑われ』てるだけじゃないか。

バカにされてるだけだろ?」

春男「『笑われる』ことの何がいかんのでごわすか?

おいどんには分かりもはん。笑わせるか、笑われるかが、それほど

大事なことでごわすか?本当に大事なのは、相手が喜ぶか、

喜ばないかではごわはんか?

そして、相手が喜ぶんじゃったら、この春男、使い走りもやりもすぞ。

地面に額もこすりつけもすぞ」

B春男「空気は読むものではなく、作るものでごわす」


(以上本文より。一部改変。

本文にある印象的な言葉を、あえて抽出してみました)



【著者略歴】

水野 敬也
1976年生まれ。処女作「ウケる技術」(共著)がベストセラーに。






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