2009年02月15日

必読本 第855冊目 借金の底なし沼で知ったお金の味  25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記

必読本 第855冊目

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借金の底なし沼で知ったお金の味

25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記

金森 重樹(著)

¥1,680(税込み)

大和書房

ソフトカバー:279ページ

2009年2月15日 初版



●生きることへの「夢」とか「希望」とか、

そんな言葉が別世界の事柄に感じられるくらい、

「人並みのしあわせ」を求める可能性をすべて奪い去ってしまう、

膨れ続ける借金という巨大な壁…。

自己破産すらできない本当の地獄の底からどう這い上がるか。

●現在、アマゾンのビジネス系分野で、特に話題になっている本。

あの金森重樹さんの初の「自伝」である。

金森さんには著書が非常に多く、その中で、

若い頃にとてつもない借金を抱えてしまい、その返済のために、

マーケティングの技術を独学で磨いたということを事あるごとに

書かれていたが、肝心の借金を抱えてしまった経緯については一切語られることがなかった。

本書は、そのあたりも含め、借金を完済し現在に至るまでの遍歴を忠実に語った自叙伝である。

●東大文Tにさほど苦労することなく入るぐらいの秀才であったが、

高級官僚、大企業サラリーマンなど、組織の歯車として働くことに違和感を感じ、

独力でお金持ちになりたいと夢想する、世間知らずの青臭い若者だった。

田舎者の悲しさで、上京早々、悪どい洋服屋に騙され、高額ローンを組まされる、

東大進学者の大半が、金持ちのボンボンで、中高一貫の有名進学校出身であり、

その経済格差、意識レベルの違いに愕然とし、孤独をかこつ、

親しい友人が出来なければ、都会では当然のようにギャンブルに走ることになり、

一時セルフコントロール不能のパチンコ中毒になるなど、

生き馬の目を抜く、強烈な「東京体験」の数々が紹介されている。

私も山形という田舎から東京の有名私大に進学した過去があるのでわかるのだが、

ここらあたりのカルチャーショックは、今から首都圏に進学就職予定の田舎出の若者は

実に共感できる部分で、身を誤らないために是非とも読んでおきたい

(余談めくが、私が大学受験をした当日には、

緊張でガチガチになっている地方受験生につけ込むバイトなのだろう、

合格発表当日、合格掲示板を直接見れない人のために、

電話でいち早く合格か不合格か知らせてくれる現役学生のアルバイターが

無知な受験生に盛んに声をかけていたものである。

今はやっているのかわからないが、1万円ぐらいの法外な料金を払わされた記憶がある)。

●お金にまつわるトラブルというものは、

ギャンブル、株、車、ブランド品、女など、例外なく細かいことから

スタートするもので、著者が後年抱えることになった大借金の原因は、

アルバイト先に出入りする、よく知りもしない男から、先物取引を熱心に勧められ、

よく検証することもなく、その男の手練手管に言いくるめられたことなのであった。

やはり、「世の中にウマい話はないと知れ」、

「人から持ち込まれた儲け話は、まず疑ってかかれ」、

「投資利殖は、人任せは厳禁。

どこまで行っても自分で研究し、自己責任の下で行うこと」である。

どんなに親しい人からの話であっても、保証人、街金、マルチ商法、先物取引の

「4悪」だけには絶対に手を出したらいけない、という良い教訓ともなる。

●雪だるま式の大借金をかぶってしまい、それをどう返済していったかについては、

読む楽しみを損ねたくないので本書を是非参照していただきたいが、

印象に残ったのは、日々膨張していく数千万円規模の借金を抱えつつも、

不動産屋では熱心に仕事をし、退勤後は、マックでコーヒー1杯で閉店まで粘り、

金融、不動産の勉強を日々重ねる冷静沈着な姿であった。

どっちみち早期に完済することなど不可能なこともあり、逆に腹が据わるのだろうか。

100万円単位の比較的小額の借金だと一般人は意外にジタバタしてしまうが、

1億円単位の大借金を抱えている経営者は逆に開き直ってしまうのが、このことからもわかる。

自己破産も自殺も夜逃げも許されない、究極の自己責任を突きつけられる場面では、

どんなひ弱な人間でも、火事場のクソ力的なパワーが生まれてくる。

地に足がついていない学生、フリーター時代から、

不動産屋でメキメキと頭角を現す姿には、

同じ人物なのかというぐらいの劇的な成長変化を感じさせます。

●1冊の中にすべてを詰め込もうと思ったので、

肝心な部分で不明な点、曖昧な点が何点かある

(内容の秀逸さもあり、上・下2冊セットに分けてもよかったか)。

たとえば、マンションの頭金として母から渡された1千万円を先物投資に

突っ込んで霧散してしまい、それを後年どのように説明、納得してもらったのかということ、

信用のない著者に無担保で巨額の融資をしてくれた事業家K氏と先物会社セールスマンH氏は、

裏でどんなつながりがあったのかということ、

一蓮托生の仲となった奥様と、どのようにして出会ったのかということ、

不動産屋時代に得た知見を元にマンションビジネス、行政書士ビジネスをスタートするわけだが、

開始前に絶対にうまくという手応えがあったのかということ、

そしてサラリーマンから独立開業した時期の描写がほとんどないことなどである。

紙数の関係もあるのか、一部、端折りすぎたところがある。

●まあそれはさておき、命を懸けて

大借金を独力で完済した人のドラマには、万人を信服させるパワーがある。

読破後は、色々なことを否応なく考えさせられます。

安易な儲け話の怖さ、欲得に踊らされ、表舞台から消えて行く人間の悲しい姿、

既得権益を決して離さず、常に勝ち組であり続けるごく少数のエリート層と、

その狡猾なメカニズムも知らず彼らに搾取され続ける大多数の国民、

法律知識を十分駆使すれば、どんな敵にも怯える必要はない、

人生諦めたら負け、どんなにどん底に落ちても、諦めなければ最後には「救済」される、

言い訳はご法度、ビジネスをやるなら徹底的に不確定要素を潰していき、

どこまで行っても責任転嫁しない冷徹な姿勢が欠かせない、などなど・・・。

●本書冒頭にもあるが、いわゆる「幸せなお金持ちになろう」

(要するに、同じ出版社から出た本田健さんを暗に指しているわけだが)

的な軽いノリの「お金持ち本」とは真っ向対極に位置する本。

まさに「ナニワ金融道」を地で行くような、金にまつわる人間のドロドロとした暗部を抉り出すような快著。

現実から遊離したような、お上品な「お金持ち本」に食傷気味だった方、

今現在、売上減、資金繰りの悪化で経営危機、その筋の人とのトラブル、

ギャンブル狂、保証かぶり、浪費散財に悩まれている方などは必読です。

間違いなく、お金に対する概念を一変させられるでしょう。

早くも、今年の「ビジネス本ベスト10」に入りそうな予感がある本です。


【マストポイント】

@「人生、乗り越えられない壁はありませんが、乗り越えたくない壁は無数にあるものです。

僕は、事件が起こった時、自分にとって、

この問題はあまりに大きすぎて乗り越えられないのではないかと

何度も考えました。

でも、結局それは乗り越えられない壁ではありませんでした。

人生はその人の器の大きさに応じた試練を人に与えるようにできているのだと思います。

ですから、あなたに与えられたその試練は、たとえそれがどんなに大きくても、

きっと乗り越えられる壁なのです」

A「よく、「自分は事業自体がギャンブルのようなものだからギャンブルはやらない」という

経営者がいますが、ギャンブルとは勝つか負けるかわからないハラハラ感を味わいたくてやるものです。

これに対して、事業はロジックによってきっちりと仕上げるものだから、

事業自体がギャンブルのようなものだと受け止めて事業をスタートすると危険です。

確実に不確定要素を潰していって、極限までリスクを抑えるのが事業というものだから、

その不確定要素をギャンブルのようなものと受け止めていては、成功は覚束ないです。

事業をやるのに度胸が必要だと考えているようでは、まだ不確定要素が潰しきれていませんので、

その事業をスタートする段階ではありません。

十分に目算が立って、何度も頭の中で成功を思い描けるようになるまでは、

その事業をスタートするべきではないのです」

B「僕は、限界許容量をはるかに超えるヤバイ状況は、ひとまず脇に置いておいて、

「寝てしまえば何とかなる」と考えることが肝心だと思っています。

これは、単純な現実逃避ではなく、大切な技術です。

僕はこれまで、自殺してもおかしくないような、

いろいろな喧嘩、トラブル、追い込みなどに遭遇していますが、

そんな時でも平気でいられるのは「よく寝る」からです。

長い人生には、いろいろな事態が起こります。

自分の許容量を超える外部環境に適応しなければならない時が、人生には何度かあります。

許容量を超えたものは、許容しないで受け流すことです。

許容できない場合には、僕は美味い物を食べて、寝てしまいます。

そうすると寝ている間にも、人間はあれこれ心の中で考えているんです。

答えがみつからないからと焦るよりも、寝てしまったほうがいいのです。

絶望からは何も生まれません。

そして、朝が来て目覚めたら、気持ちを切り替えて対処すればいいのです」

(これは、本書における最も重要なアドバイスのひとつ)

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

金森 重樹
1970年生まれ。25歳年収240万円のフリーターのときに負った5400万円の借金が、5年間で利息と遅延損害金で1億2700万円まで膨れ上がる。借金は免責不許可事由に該当するため自己破産もできない状況に追い詰められる。会社に就職してサラリーマンになるとともにマーケティング技術を極め、その後独立し10年かかって借金の完済に至る。借金の苦しみから得た気づきを基に、借金で苦しむ人間同士が、お互いに助け合える相互扶助コミュニティ『倒産救済会』を作り救済活動を行う。株式会社金森実業代表取締役社長。不動産会社経営、ホテルチェーン経営、行政書士事務所経営などを行う。







posted by miura at 15:28| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | お金・貯蓄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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