2009年02月18日

必読本 第858冊目 挑戦 我がロマン (私の履歴書)

必読本 第858冊目

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挑戦 我がロマン (私の履歴書)

鈴木 敏文 (著)

¥1,680(税込み)

日本経済新聞社

ハードカバー:250ページ

2008年12月1日 初版



●日本で初めてのCVS・セブン-イレブンの創業、

商品の共同配送やPOSによる単品管理、イトーヨーカ堂の業革、銀行業への参入。

流通業界の常識や慣例を打破し続け、

新興スーパーを日本一の巨大流通グループに育て上げた稀代の経営者が、

その改革のドラマを語る。

2007年4月に日経新聞朝刊に連載されたセブン&アイ・ホールディングス会長・

鈴木敏文氏の「私の履歴書」単行本化。

●流通業界で革命を起こし続け、日本を代表する経営者として名高い、鈴木敏文さんの自伝。

日経新聞「私の履歴書」にまるまる1ヶ月間連載されたものに加筆補正されて

一冊にまとめられたもの。

●元々はトーハンという出版関係の仕事に在職し、

日常的に執筆、編集作業に携わっていたこともあり、

文章は非常に滑らかで読みやすい美文である。

分量的に一日で読破は無理かと思ったが、

内容の面白さに引き込まれたこともあり、一気に読破してしまった。

●鈴木さんの人生を端的に示すと、「アウトサイダーとしての強さ」、

「百万人といえども我行かん」ということに尽きる。

元々、小売業というものに何の関心もなかったことが逆に幸いし、

業界の矛盾点をまっさらな視点で発見することができるのである。

●簡単にまとめれば、「顧客目線での斬新な提案→周囲の猛反対に遭う→

それを押し切って断行→結局、業界リーダーとなるような大成功を収める」

という歴史を繰り返している。

ともかく、日本初のコンビニであるセブン・イレブンを立ち上げる時にも、

決済専門銀行であるセブン銀行を立ち上げる時にも、

「絶対に失敗する」、「素人に何がわかる」などと、

周囲の者からあらん限りの反対を受ける。

しかし、孤立無援であっても断固として押し切ってしまうのは、

常に売り手目線ではなく消費者目線であったこと、

時代の変化を敏感に察知し、改革を先取りして実行したことなどがあったためなのであった。

業界の伝統、慣例を破ろうとすれば猛反対を浴びるのは必定だが、

世の中のニーズを見極め、確かな手応えがあれば、

初めに行動を開始した者が最も成功する、という良い教訓となる。

●妥協を許さない性格も特筆に価する。

理想に近づくまで、赤飯おむすび、チャーハンを何度となくやり直しを命じた話や、

ヨーカ堂本体が経営悪化になるやいなや、全社員が震え上がるような組織再編を断行した話、

死に筋商品をしらみつぶしに探し出し、品揃え変更を命じた話には、

鬼のような怖ささえ感じさせる。

アメリカセブン・イレブン本社が経営悪化となり、逆に再建援助した話、

「難攻不落の地」中国大陸に進出し、

数々の難題にも屈せず、ヨーカ堂、セブン・イレブンを根付かせた話なども、

外国人とのハードな交渉をまとめ上げたタフネゴシエーターとして、

この国際化の世の中、何かと参考になるでしょう。

●日本マクドナルド藤田田、クロネコヤマト小倉昌男、京セラ稲盛和夫などとともに、

誰一人賛同者がない四面楚歌の中で、我が国を代表する事業を創始し、

それを業界トップにまで押し上げた男の物語として、

最高の感動と教えを得られる傑作です。

最近読んだ経営者の自伝モノの中では、文体が美麗だいうことと、

文章に冗長なところがなく、ポイントが手際よくまとめられていること、

ビジネス上のヒントに満ちているという意味で、特にお薦めの一冊です。

豊富な写真と巻末年表なども、セブンの歴史を概観できるという意味で便利です。

下に、泣く泣く3点だけマストポイントを挙げておきましたが、

候補になるものが6点ほどあり、

どれにするか迷うぐらいに名言が多かったことも付記しておきます。


【マストポイント】

@「(本当はやりたい仕事ではなかったが、ヨーカ堂に)自分で留まると決めた以上、

自分の生き方に責任をとらなくてはならない。

だから逆に会社にしがみつかず、反対されても言いたいことを言い、

やりたいことに挑戦していった。

やるべき価値があると思ったら、反対されてもあきらめずに説得を重ね、実現していく。

それにはエネルギーが必要だが、それは誰もが本来持っている。

ところが、いざというとき発揮できなくなるのは、

そのエネルギーをそぐように、組織にしがみつく力が働くからだ。

人間は何かにしがみつくと本当の力は出せない」

A「既存の常識で不可能なら可能になる方法を自分たちで考える。

必要な条件が揃っていなければその条件を変えてみる。

常識とは過去の経験の積み重ねから生まれる。

素人集団で経験がなかった分、買い手の発想でウソが見えた。

世の中の強いニーズがある以上、きっと成り立つ。

それは一つの信念だった。

みんながいいと言うことは単純競争に陥りたいてい失敗し、

みんなに反対されることはなぜか成功する。

私は常に「顧客の立場」で考え、判断してきた。

だから決定的な失敗をせずにここまでこられた」

B「「われわれの競争相手は競合他社ではなく、

真の競争相手は目まぐるしく変化する顧客のニーズそのものである」

これがわれわれのグループの経営を根底から支える一貫して変わらぬ理念だ。

競争相手に勝つことが目的であれば、勝った時点で挑戦は終わる。

しかし、顧客のニーズが真の競争相手だとすれば、

今日は応えることができたとしても、

明日はまたニーズは変化している。

だから、今日の満足に留まらず、常に一段上のあるべき姿を追って、

挑戦は、限りなく続く。

挑戦し続けることこそ、人間らしい生き方といえる。

だから、何かに挑戦しようとするとき、

初めは反対していた人々もやがて心強い協力者に変わって、支援してくれる。

私自身、自分ひとりの力では何もできず、

これまで多くの人々の助けを受けて今日に至った」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

鈴木 敏文
株式会社セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)。1932年、長野県生まれ。1956年、中央大学経済学部卒業後、東京出版販売(現・トーハン)を経て、1963年、イトーヨーカ堂に入社。1973年、周囲の猛反対を押し切ってセブン‐イレブン・ジャパンを創設。同社をコンビニエンスストアとしてのみならず、小売業としても日本一に育て上げる。経団連副会長、経済戦略会議委員をはじめとする各種審議会委員等を歴任。現在セブン&アイ・ホールディングスの会長兼CEOとして、コンビニ、スーパー、百貨店など全世界で店舗総数3万3千店、総売上8兆円の巨大流通グループを率いる。


posted by miura at 12:45| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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