2009年03月10日

必読本 第871冊目 俺は、中小企業のおやじ

必読本 第871冊目

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俺は、中小企業のおやじ

鈴木 修(著)

¥1,785(税込み)

日本経済新聞社

ハードカバー:278ページ

2009年2月23日 初版

 

●かつてない危機をどう乗り越えるか。

創業期以来の数々の苦境を乗り越え、いままた世界自動車不況に敢然と立ち向かう!

スズキ会長兼社長が初めて語る。

●軽自動車業界を引っ張る小さな巨人「スズキ」の総帥、鈴木修さんの自伝。

初の著書ということで大変な話題になっており、好調な売れ行きを示しております。

日経新聞に連載していた「私の履歴書」を一冊にまとめたものなので、

先日ご紹介したばかりのセブンアンドアイホールディングス鈴木敏文さんの本と

必読本 第858冊目参照)全く同じ作りです。

本文でも記されているが、著者は、在職中に自分の過去を振り返ったような

自伝を書くということを潔しとせず、ずっと執筆依頼を断ってきたらしい。

本人曰く、「最初で最後の著書」とのこと。

●スズキを代表する名車アルト、ジムニー、スイフト、ワゴンRなどが

誕生された秘話が詳細に記されているという意味で、

クルマ好きにはたまらない本

(各車の車名を決めるまでのエピソードも面白い)。

未踏の地インド、ハンガリーなどに果敢に進出し、

無数の困難にも屈せずに企業を根付かせたという意味で、

発展途上国での起業、外資系企業での就職を目指す方々にもお薦めです。

自動車業界の来し方行く末を捉える上で、

いまや青息吐息のGMとの一連の業務提携を巡る話などは、

特に注目して読むべき箇所でしょう。

●本書を読んで非常に印象的だったのは、

歯に衣着せぬワンマン経営者として誰もが恐れる存在であったにもかかわらず、

その人相の良さや志の高さがあるのだろうか、

危機的な状況で、実にタイミングよく人に救われるのである。

外国企業との合弁事業においても、国内事業においても、

すんでのところで助け舟が現れる。

一般的に対立するはずの監督官庁からも支援を受けるし、

2代目社長の婿養子から社長という、周囲から妬まれる立場にもかかわらず、

実に部下や同僚に恵まれている。

●他にも、水一滴も漏らさないコスト意識の高さ、現場第一主義、

「鶏口牛後」主義など、

事業の規模を問わず、経営者にはヒントになるエピソードが満載である。

売れているのも納得の内容です。

●巻末には、本文にも出てくる言葉を含めた

鈴木さんの語録が一覧でまとめられている。

これは非常に利便性が高く、心に残ったものは是非手帳などに

メモしておきたい

(以前ご紹介したトヨタ生産方式の本(必読本 第759冊目参照)と読み比べてみるのも一興)。

スズキの歴史を示す略年表などのデータ類も併せて収録されておりますので、

ディーラー関係の方は、資料として一冊購入しておくと何かと便利でしょう。

●最後の方、自分の後継者として、官僚から自社に招いた自慢の娘婿が、

志半ばでガンで亡くなったことを記した箇所は、涙なくして読めない。

著者本人も、胸を震わせながら書いたであろうことがアリアリと伝わる。

カリスマ経営者ともてはやされつつも、人生は実に不条理なもので、

自分の努力では何ともならない不可抗力の悲劇に遭うというのも

非常に切ない気持ちにさせられます。

御年79歳にして、会長兼社長という超激務。

お眼鏡に適った後継者が早く現れることを祈るばかりである。


 
【マストポイント】

@「アルトが売れたとき、販売店もかなり景気がよくなりました。

「調子に乗りすぎると危ない」と感じることが多かったので、

「本当に儲かった分でいろいろ楽しむのは結構だが、

儲けがないなら水でも飲んでおけ」という話をよくしたものです。

当時は「キャッシュフロー経営」という言葉はありませんでしたが、

スズキの投資方針は、いまから思えばキャッシュフロー経営の典型でした。

自分で稼いだ金の範囲で投資し、その一線を踏み越えない。

これを肝に銘じていましたし、いまもそうです」

A「製造業は1円のコストダウンが生死を分ける。

その実践として、スズキでは、「小・少・軽・短・美」というスローガンを掲げる。

製品や部品はもちろん設備まですべてを含め、

いかに小さく、少なく、軽く、短く、美しくするかが、

コスト低減と、できあがったクルマの燃費向上となる」

B「できない理由を聞くヒマはない。

どうすればできるかを言ってくれ」

(部下から説明を聞くとき、できない理由を述べようとする部下に対していつも言う言葉。

まずは自分で、どうしたらいいのか、どうすればできるのかを考えてほしい。やる気が重要だという)

(以上本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

鈴木 修
スズキ株式会社代表取締役会長兼社長。1930年1月30日、岐阜県益田郡下呂町(現下呂市)生まれ。中央大学法学部卒業後、銀行勤務を経て、58年4月、鈴木自動車工業(現スズキ)に入社。2代目社長、鈴木俊三氏の娘婿となる。63年11月、取締役に就任。67年12月に常務、73年11月に専務、78年6月に社長就任を経て、2000年6月から会長、2008年12月には再び社長を兼務する。ハンガリー名誉総領事も務める。徹底して現場にこだわる強いリーダーシップで、社長就任時に売上高3,232億円だったスズキを、30年間で3兆円企業にまで育て上げた。この間、軽自動車トップの地位を固めるとともに、インドやハンガリーでの現地生産、米GMとの提携などを進める。



ラベル:鈴木修 スズキ
posted by miura at 10:08| 山形 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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