2009年05月14日

必読本 第884冊目 自分を育てるのは自分―10代の君たちへ

必読本 第884冊目

bw_uploads/tm_toui1.jpg

自分を育てるのは自分―10代の君たちへ

東井 義雄 (著)

¥ 1,260 (税込み)

ソフトカバー:173ページ

2008年10月30日 初版



●「世界でただ一の私を、どんな私に仕上げていくか。

その責任者が私であり、皆さん一人ひとりなんです」

教育界の国宝と呼ばれた「いのちの教育」の実践者が若者に向けて、

自分で自分を育てる責任について説いた講演録。

●致知出版社関係の書物にやたらと名前が出てくるので

以前から名前だけは知っていたのだが、

手に取る機会が今までなかった著者。

あの森信三とともに、多くの同業教師陣が仰ぎ見るほどの

存在だったという伝説的名教師、東井義雄さんの講演録である。

本年4月に読了し、既に他の方に譲ってしまって、

今現在本体は手元にないのだが、記憶を辿りつつ書評を書いておきます。

●まず、超極貧の中から、言語に絶する奮闘努力の末、

教職の資格を取得したという著者の生い立ちに衝撃を受ける。

自転車もなく、片道数十キロを徒歩で通学していたという話など、

贅沢繁栄の極みの現代人から見れば、

息を呑むほどの過酷な話が続き、軽い気持ちで読み始めた読者は、

一気に真剣な気持ちにさせられる。

●それに続き、著者が出会った数々の障害者の苦労話、

感動話が続くのだが、ほとんどの読者は涙を抑えることができないだろう。

世の中には、これほどまでの不遇にもかかわらず、

己に負けずにたくましく生きている人がいる。

不平不満だらけだった人は、

すべてのことに感謝しないではいられなくなる。

●結論として言えば、社会経験のない子供、生徒たちに向かって、

「生きるということはどういうことか」、

「どういう精神で短い人生を生きなくてはいけないのか」をテーマに

語ったものだが、まずもって大人が読むべき書物である。

いやがうえにも、一刻一秒真剣に生きなくてはならない、

他人任せ、責任転嫁をしていては絶対に幸せになれないと痛感させられます。

口語体なので読みやすさは最上ですが、読後は、あまりの感動に、

しばらくの間は茫然自失の状態になること必定です。

●将来、教師を目指している方ならば、当然の必読本。

のみならず、若い人を束ねていかなくてはならない

中間管理職、経営者などにもおススメです。

校長として、並々ならぬ業績を残した東井さんの姿に、

統率者としての不動の精神を学ぶことができます。

また、前回ご紹介したワタミ渡邉美樹さんの本とともに、

5月病でウツ気味の若者にも是非推薦したい。

自分の悩みがちっぽけに思え、一気に力を取り戻すことができます。


【マストポイント】

@「結局、道にいい道、悪い道というのがあるのではない。

その道を、どんなふうに生きるかという、その生き様によって、

良く見える道も悪くなったり、悪く見える道も良くなったりするんですね。

結局「僕の10年先を見とれ!」ということにならんと、

人間はものにならんということです。

どうか、そんなつもりで進路の問題を考えてください」

A「今が本番、今日が本番。

明日がある、あさってがあると思っているようでは、

何もありはしない。かんじんの今さえないんだから」

「子供こそは、大人の父ぞ」

「いくらまわされても 針は天極をさす」

(高村光太郎の言葉。「磁石の針はいくら回しても、

結局天の極まるところを示して、狂うことがない」の意。

「毎日予想外の大変なことがたくさん起きるが、子供たちのために学校がある、

子供たちのために自分がお世話させてもらっている、このことは

絶対に動かしてはならない」と、いつも自戒していたという)

B「皆さん、お父さんもお母さんも先生方も、

皆さんについて来てくださることができない日がくるんですね。

皆さんが自分の二本の足で歩く日が来るんですね。

このことを忘れていると、今から始まる人生、ろくな人生にならんでしょう。

そして、今のような、豊かな、恵まれすぎた状況の中におればおるほど、

人生がダメになってしまうことでしょう。

独り来たり、独り去りて、ひとりも随(したが)う者なけん」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

東井 義雄
明治45年兵庫県但東町に生まれる。昭和7年姫路師範学校を卒業、豊岡小学校に着任。以後、但東町内の小学校に勤務、32年『村を育てる学力』で反響を呼ぶ。34年但東町の相田小学校校長に就任。中学校長を経て39年八鹿小学校校長に着任。41年より『培其根』を発行。47年定年退職し、兵庫教育大学大学院、姫路学院短期大学講師などを務める。平成3年死去。享年79歳。「平和文化賞」(神戸新聞社)、「教育功労賞」(兵庫県・文部省)、「ペスタロッチ賞」(広島大学)、「正力松太郎賞」(全国青少年教化協議会)などを受賞。

ラベル:東井義雄
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。