2009年06月19日

必読本 第891冊目 リストラなしの「年輪経営」

必読本 第891冊目

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リストラなしの「年輪経営」

塚越 寛 (著)

¥1,470 (税込)

光文社

ハードカバー:189ページ

2009年2月25日 初版



●長野県伊那の寒天メーカーに、

大企業の幹部たちが続々訪れているのは、なぜなのか…。

創業以来、48年連続の増収、増益の記録を達成した未公開企業の経営戦略。

●以前から、私の「心の師匠」である鍵山秀三郎先生の著書で

頻繁に名前が出てくる(共著も出てますね)ので、

その存在だけは知ってはいたのだが、

なかなか読む機会がなかった塚越寛さんの本。

最近、何か各方面で盛んに名前があがっている様なムードがありますので、

遅まきながら一昨日に読んでみました。

初めに申し上げておきますが、本書は紛うことなき「名著」ですよ!

皆さん!!

読書中に震えが起こるなどということはめったにはないのですが、

最近の中では特に強烈なインパクトを与えてくれた本です。

●一読してまず思った感想は、著者は、

二宮尊徳か渋沢栄一か何かの生まれ変わりではないのか、

ということだった。

それなりの大企業を経営していれば、どうしても矛盾にぶち当たる、

陰の面、負の面、自分の意に添わないことでも

心を鬼にして断行しなくてはならない時がある。

しかし、著者は、経済利潤行為と人間教育という本来相容れないものを、

非常に高い地点で昇華、融合、共存させている。

社員にもお客さんにも取引先にも地球環境にも、

文字通り、誰も犠牲者の出ない八方に優しい経営方針を貫いておられる。

儲けのために、人倫にもとる行為は一切行わない。

己の立ち位置を見失わず、時流に流されず、

亀の歩みのように堅実な経営を貫き、

ずっと存在し続ける「永久企業」を目指しておられる。

名だたる大企業の重役陣が日参するほどの人物であることも納得です。

●内容的にも、こんな短いブログの記事では収まりきらないほどに、

名言やメッセージに満ちております。

全社的にトイレ掃除が徹底されていて、

会社の便器にはしずく一滴さえ落ちていない、

地元の飲食店で、塚越さんの企業の社員は皆大変礼儀正しく、

好感の持てる人ばかりなので、名乗らなくても一発で見分けがつく、

通勤時に渋滞を招くので、社員には自家用車を右折で会社敷地内に入車させず、

遠回りになっても左折のみで入れさせる(!!)、

「コンプライアンス(法令遵守)、コンプライアンス」と大騒ぎするのは

全く意味不明、法律を守るのは当然過ぎるほど当然な話、

新入社員研修で100年年表を掲示し、自分の命日を書かせ、

人生の短さ、命の大切さを心の底まで叩き込むなど、

まさに、次から次へとパワフルな話が続きます。

(惜しむらくは、著者の顔写真は数多く掲載されているのだが、

社員さんを数多く集めた集合写真も是非載せてほしかったこと)。

●軽妙洒脱な文体で、なおかつ字体が比較的に大きめ、

200ページに満たないこともあり、すんなりと読破できるかと思ったが、

感動の連続に文字通り身震いする思いが再三再四あり、

一気に読破するのがもったいなくて、

じっくりと味わい尽くすかのように読んでいきました。

皆さんも、実際に手にとっていただければ、

私の言葉が誇張ではないことがおわかりいただけるでしょう。

●最近の企業経営者モノの本では筆頭の傑作。

他のビジネス本をすべて脇にどけても

文字通り真っ先に読む価値のある本です。

経営に行き詰まりを感じている社長、店長への差し入れとしてもお薦めです。

私も塚越さんの本を読むのが遅かったと今更ながら反省するとともに、

他の著書も急いで買い求め、遅滞なくご紹介したいと思っております。


【マストポイント】

@「わたしはあえて『利益はウンチですよ』と言っています。

経営者の方にそう話すと、みんな変な顔をします。

でも、『利益って、その程度のものだよ』と、私は言いたいのです。

ウンチを出すことを目的に生きている人はいません。

でも、健康な身体なら、自然と毎日出ます。

出そうと思わなくても、出てきます。

ここがポイントです。

健康な会社であれば、利益というウンチは自然と出てくるはずです。

毎日、出そうと思わなくても、出てくるものです。

だから、「利益」を出そうと思えば、

「健康な会社」をつくることを考えればいいわけです」

A「忘れてならないのは、人というものは特に若い人は、

心の底では正義感を持っているということです。

会社や経営者が、反社会的なことをしていれば、

社員のモチベーションは確実に落ちます。

反対に、自分たちのやっていることが、

世のため、人のためになると確信できれば、

どんなに苦しくても頑張って働こうと思うものです。

『間違った世の中に棹差してやろう』くらいの気概を持った経営者に、

社員たちは付いてくるのです」

B「よく周囲から「48年も増収増益を続けてすごいですね。

秘訣を教えて下さい」と言われます。

講演の依頼もたくさんきます。

でも、私は大概はお断りしています。

なぜなら、経営には即効性はないからです。

私がお話できるのは、

「当たり前のことを当たり前にやるしかない」ということだけです。

これでは、講演にならないでしょう。

今の経営者は即効薬を求め過ぎます。しかし、そんなものはありません」

C「人が幸せになる一番の方法は、大きな会社をつくることではありません。

お金を儲けることでもありません。それは、人から感謝されることです。

人のために何かして喜ばれると、すごく幸せな気分になるでしょう。

そのことを仏教では「利他」と言います。幸せになりたかったら

人に感謝されることをしなさい、ということです。

私は半世紀に亘って会社を経営してきましたが、

人のためになることをして損をしたことは一つもありません。

むしろ、もっと大きくなって自分のところに返ってきます。

これは経験から、確信をもって言えることです」

(以上本文より。一部改変。名言が多すぎたので、特別に4つ掲載)


【著者略歴】

塚越 寛
1937年、長野県駒ケ根市生まれ。伊那北高校を肺結核のため中退。’58年、伊那食品工業株式会社に入社。’83年、伊那食品工業株式会社代表取締役社長に就任。2005年3月、同社代表取締役会長に就任。相場商品だった寒天の安定供給体制を確立し、医薬、バイオ、介護食などに新たな市場を開拓した功績が認められ、1996年に、「黄綬褒章」を受章。また、1958年の会社設立から48年間連続の増収増員増益を達成し、その財務内容および理念と実績、将来性などが総合的に高く評価され、2002年に、中堅・中小企業の優れた経営者を表彰する「優秀経営者顕彰制度」(日刊工業新聞社)の最高賞「最優秀経営者賞」を受賞。2007年、社団法人中小企業研究センターより「グッドカンパニー大賞」の最高賞「グランプリ」を受賞。






ラベル:塚越寛
posted by miura at 12:44| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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