2009年08月09日

必読本 第902冊目 いい会社をつくりましょう。

必読本 第902冊目

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いい会社をつくりましょう。

塚越 寛 (著)

¥1,260 (税込)

文屋

ソフトカバー:217ページ

2004年7月28日 初版



●どう働くのか、いかに経営するか、どんな社会をめざすのか?

年輪のように確かな安定成長による永続こそ、

会社をとりまくすべての人々を幸せにする…。

不況に左右されない中小・中堅企業経営の原点をまとめる。

●最近、各方面から熱い注目が注がれている話題の経営者、

かんてんぱぱ、伊那工業社長塚越寛さんの5年前に発売された処女作。

前回ご紹介した著書(必読本 第891冊目参照)に大変感動したので、

出版順序的には逆になったが、今回は本書を紹介したいと思います。

●幼くして芸術家の父を失い、極貧の中で学業に励むも、

当時死病と恐れられた結核に冒され、

成績優等にもかかわらず高校を中退、療養生活を余儀なくされる。

闘病中に、生きていること、働くことができることの素晴らしさに開眼し、

病気治癒後は、当時誰からもほとんど見向きもされなかった

寒天製造業を任され、この道で生きていくことを決意。

ほとんど独学で、製造、経営をマスターし、新規事情を次々と成功させ、

今日まで続く超優良企業の礎を築く。

本書は、塚越さんの経営哲学のすべてを、

平易な言葉で思う存分に語った内容となっております。

●口述筆記したものを文章化したものなのだろうか。

非常に淀みない文章で、スイスイと読み進めていくことができる。

内容の面白さもあり、速い人だったら1時間弱で読破可能です。

すべての文章に罫線が振られているのも、本としては珍しく新鮮です。

●著者が私淑しているという二宮尊徳の名言を頻繁に引用し、

時代のブームに踊らされることのない、

地道で、手堅い塚越流経営哲学のポイントが淡々と語られている。

株価や売上など、経営数字的な意味での「良い会社」ではなく、

社員からも、お客さんからも、取引先からも、地元住民からも、

誰からも反感を持たれない、万人が好印象を抱くという意味での

「いい会社」を目指す。

業種や規模を問わず、あらゆる経営者にとって、

非常に教訓的なメッセージをそこかしこに見出すことができます。

●ただ、内容的には素晴らしいものがあるのだが、

一般的には無名の長野県の一出版社が製作出版した書籍ゆえ、

前回ご紹介した大手から出た本と比べると、

全体的に小じんまりとしているというか、

完成度的にはやや見劣りがするかもしれない。

だが、私が手に取った本の奥付を見ると、2009年4月28日時点で第18刷。

根強い人気を維持しているようである。

塚越さんが世に知られることになった処女作であることもあり、

読んでおいて損はないでしょう。


【マストポイント】

@「便利になることや新製品が開発されることと、人間の幸せは違います。

お年寄りでもついていけるくらいの科学の進歩でもって、

世界中の人々がもめごとなく幸福に暮らすことはできないものでしょうか。

近年の異常気象は、自然界の何か偉大なるものから人類への、

警告ではないかと思います。

衣食住は基本的に満たされています。

人間にとって本来必要なものは何か。

それを考えていれば、もっと豊かさを実感できると思います」

A「当たり前のことをきちんとやる。

このことを当社ではずっと教育しつづけてきました。

いったん決めた以上は、徹底させます。そうでないと意味がありません。

経営者は、給料さえ払えば責任を果たしたと思いがちです。

私は、会社は教育機関であるべきだと思っています。

人事権という一番強いものをもっていますから、教育はしやすいともいえます」

B「一国の歴史の流れを見ると、

モノづくり大国になったあとは、観光大国となって経済を潤しています。

経済大国時代に築いた遺産は、つぎの段階では二つの方向へ分散していきます。

国内には、最先端分野を開発する志向の、

少量・多品種生産の高付加価値型産業が残ります。

他方、量産型の業種・分野は、生産拠点を発展途上国へ移転するようになります。

欧米諸国のそうした歴史をふまえて日本の将来的なイメージを考えると、

第一に「ハイテク技術の開発と発信」、

第二に「高級かつ上質な生活の場の創出」、

第三に「美しい国の醸成」という方向へ向かうものと思われます。

ヨーロッパではすでに、産業の重心が高級ブランド品の発信と観光産業に

移行しています。

これからは、良い意味でのナショナリズム、愛国心の育成が大切になるでしょう。

愛国心は、郷土愛や会社への愛、隣人や家族、

最後は自分への愛情に通じていきます」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

塚越 寛
1937(昭和12)年、長野県駒ケ根市生まれ。58(昭和33)年、伊那食品工業株式会社に入社。83(昭和58)年、代表取締役社長に就任。90(平成2)年、日本寒天工業協同組合理事長に就任。95(平成7)年、科学技術庁長官賞(科学技術振興功績者表彰)、96(平成8)年、農林水産大臣賞(リサイクル推進協議会)、黄綬褒章を受章。2002(平成14)年には、わが国の産業と地域社会の発展に大きく貢献した、中堅・中小企業の優れた経営者を表彰する「優秀経営者顕彰制度」の最高賞「最優秀経営者賞」(日刊工業新聞社)を受賞。相場商品だった寒天の安定供給体制を確立し、医薬・バイオ・介護食などに新たな市場開拓。58年の会社設立から46年間連続の増収増益を達成。財務内容および理念と実績、将来性などが総合的に高く評価されている。






posted by miura at 20:35| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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