2010年06月27日

必読本 第912冊目 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

必読本 第912冊目

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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎 夏海 (著)

¥1,680

ダイヤモンド社

単行本:288ページ

2009年12月4日 初版



●敏腕マネージャーと野球部の仲間たちが甲子園を目指して奮闘する。

高校野球の女子マネージャーのみなみちゃんは、

マネージャーの仕事のために、

ドラッカーの『マネジメント』を間違って買ってしまいます。

はじめは難しくて後悔するのですが、

次第に野球部のマネジメントにも生かせることに気付きます。

これまでのドラッカー読者だけでなく、高校生や大学生、

そして若手ビジネスパーソンなど多くの人に読んでほしい1冊。

●最近のP・F・ドラッカーブームを引き起こした端緒とも言える、

異色の青春小説。

昨年末に発売されてから、

漫画世代を取り込むかのようなアニメ的人物設定とカバーデザイン、

平易な文体もあって、高い人気を維持し続けている。

ちなみに私は、書籍ではなく、iTunesのアプリで本書を買い求め

(ちなみに、価格は800円で書籍版の約半額)、

i-Pod touchで読んだことを書き添えておきます。

今年は電子書籍元年とも言われておりますが、

iPadが発売されたこともあり、

書籍、新聞、雑誌などの文字媒体は、

電子ツールで読むという流れが加速度的に進むことになるでしょうね。

経験者ならばおわかりでしょうが、

タッチパネル上でページをめくる感覚は、

実際の書籍とは違った爽快感があり、

一度味わうと病みつきになってしまいます。

●ドラッカーの熱心なファンの方も含め、既に読まれた方も多いでしょうから、

内容のくどくどしい紹介はしません。

冒頭とも重複しますが、無名校の野球部マネージャーになった女子高生が、

言葉が似ているという単なる誤解から、

ドラッカーを代表する基本書にして随一の傑作でもある

『マネジメント 抄訳版』を買い求め、経営書でありつつも、

その奥深い内容に感銘を受けて、己のマネージャー活動に適用できること発見する。

●初めはシラケ気味だった野球部員たちも、

熱心な主人公とその彼女を支援する仲間たちの活動に次第に心を動かされ、

無謀とも思えた甲子園出場を目指す。

ラストシーンでは、誰もが予想しなかった展開を辿りつつ、

感動の結末を迎える…。

そんな内容の小説です。

●アマゾンの書評を見ると、大人気のベストセラーにありがちな、

高評価、低評価、真っ二つに分かれる、毀誉褒貶相半ばする書籍のようです。

個人的な感想をズバリと言ってしまえば、

まあ、ドラッカーのドの字も知らない全くの初心者の方が、

ドラッカーとは何ぞや?、経営の神様の本を知るきっかけとして読む分には

非常に適切な書物であると言えるでしょう。

高校野球好き(池田高校、PL学園などの実在校が出てくる)、

AKB48ファンの方(著者の略歴参照。

小説内の人物は、実際のAKBのメンバーがモデルになっているらしい)

も、それなりに楽しめるはずです。

●しかし、どうでしょうか……。

企画力の勝利と言うべきか(いずれ、テレビドラマ化、映画化も当然あるでしょうね)、

「ドラッカーの本質を深く知る」という意味では、全然物足りない、

あくまで入口の役目を果たすだけの本だという失望感が漂います。

私のような、それなりにドラッカーを齧った人間ならば、

同様な読後感を持つ方は少なくないはずです。

●ドラッカーとの関連を離れても、

本文にあるような付け焼刃の作戦で、

ずっと無名だった公立高校が、いきなり強豪校を連戦連勝で撃破し、

あっけなく甲子園出場を勝ち取ることが果たして可能だろうか、という疑問も当然出てきます。

重要な登場人物がいきなり死んでしまうという展開も、

『タッチ』や『世界の中心で〜』の単純な模倣を感じさせ、

何かシラけるものがありますね。

村上春樹さんの例の大ベストセラーを読破後に本書を読んだとしたら、

月とスッポンと言うべきか、

一読したらもういいやという感じのその作文的な稚拙な文体も、

大人の読者を閉口させること必定です。

小説としては、まあ、見るべきものはほとんどありません。

●しかし、本書の主人公を真似して、

自分の仕事にドラッカーの『マネジメント』を

愚直に取り入れ、「変革」を試みてみるも良し

(以前、NHKの『クローズアップ現代』でも紹介されていましたが、

ドラッカーの本をボロボロになるまで読み倒して、

自分のビジネスのよすがにしている若手経営者は結構多いらしい)、

下記のマストポイントにあるような、

ドラッカーのありがたい名言を書き記しておくもよし

(有名な言葉が結構沢山挙げられている)、

全く無駄な書物ではないことも一言書き添えておきます

(最後に余談ですが、W杯開幕前の大不振から、

現在のような大躍進を遂げた岡田ジャパンを見ていると、

まさにドラッカー的なマネジメント方法を、岡田監督は、

ひそかに取り入れているではないかと思ってしまう時があります。

下のマストポイントAなどは、まさにその通りだと思いませんか?)。



【マストポイント】


@「成長には準備が必要である。いつ機会が訪れるかは予測できない。

準備しておかなければならない。

準備ができていなければ、機会は去り、他所へ行く」

A「人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。

人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。

手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、脅威である。

しかし人は、これらのことゆえに雇われているのではない。

人が雇われるのは、強みゆえであり能力のゆえである。

組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、

人の弱みを中和することにある」

B「人は、優れているほど多くのまちがいをおかす。

優れているほど新しいことを試みる」

(以上、本文に記されているドラッカーの『マネジメント』の言葉より)



【著者略歴】

岩崎 夏海
1968年7月生まれ。東京都日野市出身。東京藝術大学美術学部建築学科卒。大学卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として「とんねるずのみなさんのおかげです」「ダウンタウンのごっつええ感じ」等のテレビ番組の制作に参加。アイドルグループ「AKB48」のプロデュース等にも携わる。その後、ゲームやウェブコンテンツの開発会社を経て、現在はマネジャーとして株式会社吉田正樹事務所に勤務。







posted by miura at 06:54| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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