2010年10月16日

必読本 第930冊目 リンゴが教えてくれたこと

必読本 第930冊目

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リンゴが教えてくれたこと

木村秋則(著)

¥893(税込)

日本経済新聞社

単行本:240ページ

2009年5月8日 初版


●自然は全部知っている。私は自然が喜んでくれるようそっとお世話をしているだけだ。

常識はずれの無農薬・無肥料・リンゴ栽培を成功させ、

「奇跡のリンゴ」で時の人となった農業家が苦難の足跡をたどりながら独自の自然観を語る。

●先日、木村さんの本(必読本 第925冊目 参照)はご紹介したばかりですが、

あまりにも面白かったので、続けざまに図書館から借りて読んだ本。

昨年、『奇跡のリンゴ』(必読本 第875冊目 参照)に続けて発売された本だと記憶するが、

今回の本も傑作である。

結構多忙だったのだが、他のことを脇にどけても先が読みたくて、一気に読破しました。

●本書は、今や余りにも有名になりすぎた無農薬・無肥料でのリンゴ栽培成功までの

苦難のエピソードのみならず、米、大豆栽培のやり方や、

雑草、虫、微生物、土壌に関する独自の考え、

日本の農政など、より専門的な内容に話が及んでいる。

農業に直接関係のない人でももちろん楽しく読めるが、

本書は、実際、農業に従事している方々にとっては、

土壌作り、種植え、雑草取り、害虫駆除、作物の刈り取り、経営的なことまで

より踏み込んで語られているので、一層関心を持って読めるかと思う。

●本書で、特に個人的に衝撃を受けたのは、

世間で広く流通している「有機野菜」と名がついたものが、

著者の実験によれば、意外に早く腐敗することが多く、

人々が思っているほど、安全で健康的なものではないという事実である。

従来の農業のあり方をことごとく転覆させてみせる木村さんの主張とともに、

やはり、他人の噂話や世間の常識というものは、鵜呑みにはできない、

自分で実際に検証するまでは、安易に信用はできないと思わされる。

●木村さんの本がこれほど読みやすい理由は、

本文中にもあることだが、手紙やFAX文書など、とにかく筆まめで、

なおかつ無類の書物好きなことにある。

ユーモラスな内容とともに、いっぱしのビジネス系作家が霞んでしまうほど、

文章は軽妙洒脱で、一気に読み進んで行けます。

出版不況の中、次々と新作が出る理由でしょう。

●本書は、現在、何か目標に向かって日々努力しているが、

なかなか結果が出ず、煩悶している方、

生きるか死ぬのかの大問題に一人悩んでいる方にこそ読んでいただきたい。

家族を路頭に迷わせないために、風俗店のバイトで犬畜生の扱いを受けても、

その地域一帯から白眼視され、村八分の孤立状態になっても、

己の信念を貫き通した木村さんの実体験を読めば、

ちょっとやそっとのことでは負けていられないというファイトが体の奥底から溢れ出てきます。

併せて、無農薬野菜など健康で安全な食材に興味がある方や、

農業への就職、転職をお考えの方、家庭菜園をお考えの方にもおススメです。

 

【マストポイント】

@「私は死に損ねたわけですが、死ぬ気持ちで行かないと自然は答えを教えてくれませんでした。

自然は残酷だと思いましたが、こうして生きて自然栽培のリンゴにたどりつくことができました。

私は何度も失敗して答えを得ました。失敗がなければ答えがないわけです。

人よりも多く失敗したから答えを多く得た、ただそれだけじゃないか。

私はバカだからそれを乗り越えた。リンゴも仕方ないと思ってくれたのでしょう。

山の自然からのご褒美だったかもしれません」

A「(無収入のため、ピンサロでアルバイトをする著者を、親戚が偶然目撃し、

)酒臭い息を吐きながら、見下げたような言葉を私に吐きました。

私も夜の世界の水商売を低く見たことがあります。

しかし、この世界に飛び込んでみて初めて、仕事に良い悪いはないと思いました。

実家の母が、「仕事に貴賎なし」と言ってくれた時、お袋がでっかく見えました。

人様に迷惑を掛けない限り、どんな仕事でもいいではないかと。

自分の見栄を捨てること、これが当時の私に必要でした。

見栄さえ捨ててしまえば、あいつはドンパチだとかかまど消し(共に、破産者、グウタラ者を意味する方言)だと言われようが、

もうそれより下がないのですから、何と言われても耐えられました」

B「私のような自然栽培をやろうとしたら、田んぼなら3年かかります。

リンゴなら8年かかります。

自然栽培には手間暇がかかります。

でも自分の子供をほったらかして育てられますか。

育てるというのは手間暇がかかることなのです。

お父さん、お母さんの愛情が必要です。でもそれは当り前です。

「手間暇惜しむものにいいものなし」。昔からそう言われます」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

木村 秋則
農家。1949年、青森県中津軽郡岩木町生まれ。弘前実業高校卒。川崎市のメーカーに集団就職するが、一年半で退職。71年故郷に戻り、リンゴ栽培を中心とした農業に従事。農薬で家族が健康を害したことをきっかけに78年頃から無農薬・無肥料栽培を模索。十年近く収穫ゼロになるなど苦難の道を歩みながら、ついに完全無農薬・無肥料のリンゴ栽培に成功する。現在、リンゴ栽培のかたわら、全国、海外で農業指導を続けている。



ラベル:木村秋則
posted by miura at 12:27| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康・食事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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