2010年11月04日

必読本 第933冊目 ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

必読本 第933冊目

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ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階 

ジェームズ・C・コリンズ(James C. Collins)(著), 山岡 洋一(翻訳)

¥2,310

日本BP社

単行本:316ページ

2010年7月26日 初版


●メルク、モトローラ、HP…。

かつて取り上げた偉大な企業は、なぜ衰退したのか。

転落を阻むポイントは何か。

克明な調査・分析で明らかになった「偉大な企業」衰退の真実とは。

シリーズ総括の書。

●傑出した業績を長期間持続することに成功した超優良企業の条件を

膨大なデータから導き出した名著『ビジョナリー・カンパニー 2   飛躍の法則』

必読本 第162冊目参照)は、多くのビジネスマンから絶賛され、

経営学の必読書の中の1冊として、読んでなければモグリだとまで言われるような地位を獲得しました。

その本が2001年に日本で発売されてから約10年ほど経ち、

世界の経済情勢は誰も予想もしないような展開を辿りつつ、急変することになり、

著者が超優良企業として挙げた企業の中でも没落の憂き目に遭うところが出てくるようになりました。

●本書は、かつて超優良企業としての栄華を誇ったにもかかわらず、

ごく凡庸な企業になり下がったり、甚だしきは倒産、消滅まで至った企業に共通する要因を

「衰退の五段階」としてまとめ、どのような経過を辿って、優良企業が転落していくのかを

各企業の事例を豊富にあげながら解説していくという内容の本です。

●例によって、堅牢なハードカバーと、分厚いページ数で、

読み始める前には相当の心の準備が必要な本かと思ってしまうが、

意外にも文章量は少なく(ページ数の割には文章はスカスカ。パート2ほど分量はない)、

巻末付録前までは200ページ足らずなので、一気に読めます。

翻訳文もこなれていて、非常に読みやすいです。

●転落していく企業というものは、「成功から生まれる傲慢」→「規律なき拡大路線」

→「リスクと問題の否認」→「一発逆転策の追及」→「屈服と凡庸な企業への転落か消滅」という

「衰退の五段階」をほぼ必ず歩むと、本書では述べられているが、

これは別に超一流企業に限った話ではなく、ちょっと繁盛し始めた中小企業や個人商店、

果てはどん底から成り上がった成功者にも言えることでしょう。

ちょっと成功するとのぼせ上ってしまうのが、凡人の常です。

天狗になるのを抑えるための自己啓発書として読んでも得るところの多い本でしょう。

●ほぼ同じビジネスモデルを持ちつつも、エームズが消えうせ、

ウォルマートが今も繁栄を保っている(創業者サム・ウォルトンの謙虚で質素で勉強好きな性格)、

短期に急成長を遂げた傲慢さによって、次世代携帯電話市場を読む目が完全に曇ってしまったモトローラ、

一時は危機に陥るが、再度復活を遂げる企業は、自社の中からCEOが出てくるが、

衰退していった企業は、ほぼ例外なく、外部から頻繁にCEOをスカウトしてくる、

絶対確実なデータがなかったことにより起きてしまったチャレンジャー号の爆発事故、

受付嬢からCEOになったということで、芸能人的な注目を集めただけに終わったHP、

絶望的な状況でも絶対に諦めることをやめなかったチャーチル英首相など、

採用されているエピソードにも興味深いものが非常に多い。

下記のマストポイント以外にも、重要なメッセージを沢山見出すことができるはずです。

●結論としては、やはり、これ1冊だけを読むのではなく、

シリーズ3部作を通して読むことを是非おススメします。

企業経営の成功と失敗の要因を両輪で学ぶことができます。

 

【マストポイント】

@「不適切な人材と適切な人材の違いでとくに目立つ点の一つは、

不適切な人材が自分はこれこれの「肩書き」をもっていると考えるのに対して、

適切な人材が自分はこれこれに「責任」を負っていると考えることである。

主要なポストにある人はみな、「どのような仕事をしているのですか」と質問されたとき、

肩書きをあげるのではなく、個人として負っている責任をあげて答えられなければならない。

「わたしはこれとこれに対して最終責任を負っている。

前後左右を見渡しても、他に最終責任を負っている人はいない。

そしてわたしは、この責任を引き受ける」と」

A(著者が、ロック・クライミングの講習であわや転落というパニック状況に陥り、

生存とは正反対の行動を反射的にとってしまったとき)

このとき得た重要な教訓は今でも忘れない。

■問題にぶつかったとき、転落の瀬戸際にあると気づいたとき、

生存本能によって、そして恐怖心によって、生き残るためには絶対にとってはならない行動を

反射的にとってしまうことがある。

必要なものとは正反対の行動をとり、もっとも恐れている結果を引き起こすリスクをおかすことになる。

衰退の道を歩む企業をみていくと、わたしはこの教訓をあらためて痛感する」 

B「戦いで重要な点は生き残ることではない。

世界のうち関係した部分に特有の影響を与え、

しかも優れた業績をあげながらそうした影響を与えるので、

存在しなくなれば大きな穴ができ、他の組織が簡単に埋めるというわけにはいかない、

そういう企業を築くことである。

これを達成するには、指導者が、単なる生き残りよりも大きな目標(自社の存続よりも大きな目標)を

追求する戦いに勝利する道を見つけられるという確信を持ち続けると同時に、

この目標を達成するために必要なら、どれほど耐えがたいものであれ、どのような行動でもとるという

強い意思をもちつづけていなければならない。

闇のなかで脱出の道を見つけだし、充分に根拠のある希望を与えてくれるのは、

このようなタイプの指導者である」 

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

ジェームズ・C・コリンズ
スタンフォード大学大学院修了。同大教授などを経てコロラド州で経営研究所を主宰。ピーター・ドラッカーの教え子。ジェリー・ポラスとの共著『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の法則』(BUILT TO LAST)、続く単著の『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(GOOD TO GREAT)は、ともに世界的ベストセラーに。



posted by miura at 09:56| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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