2010年12月13日

必読本 第942冊目 トイレの神様

必読本 第942冊目

51apT9J7XbL__SS400_.jpg 

トイレの神様

植村 花菜(著)

¥ 1,000

宝島社

単行本: 206ページ

2010年7月9日 初版


●いっぱいつらい思いをして、心が折れそうになったときにも、

私は毎日、せっせとトイレを掃除していました…。

シンガーソングライター・植村花菜が最愛の家族への思いを綴った、

今いちばん泣ける歌「トイレの神様」の誕生秘話。

●今年一番と言ってもよい話題の曲「トイレの神様」を歌った植村花菜さんの生い立ち、

ならびにこの歌が完成した経緯を書き記した自伝的な本。

年末の紅白歌合戦に出場も決り、注目度も高いということもあって、

今回はこの本を取り上げます。

ちなみに、この歌は、今年の春頃、池袋ラーメン屋のバイトで深夜に働いていた時、

有線放送から頻繁に流れてきて、 初めて耳にした時から何か感じるものがあり、

店内のトイレ掃除を一人でしている時などに自然と口ずさんでいた、

というちょっと思い出に残っている歌でもあります。

●4人兄弟の末っ子として生まれ、両親は花菜さんがごく幼い時に離婚。

母は世間一般の常識からはちょっと離れた変人で、

子どもの頃から花菜さんを散々振り回し続ける。

隣に住む祖父(実は血がつながっていない特殊な間柄であることが後に判明する)が急死したことにより、

ひとりぼっちになった祖母がかわいそうだということで、花菜さん一人だけが一緒に住むことになる。

祖父が亡くなってからは、今までの裕福で幸せだった家庭環境が一変。

母と兄との確執など、心落ち着く時がなくなるほどに家族がバラバラになる。

客観的に自分の生い立ちを綴っているが、家庭環境的にかなり異質な部類に入り、

子どもの頃はかなりの苦労、孤独を感じて生きてきたらしい。

末っ子ながら、離散した家族の心を一つにまとめようとする花菜さんの姿が

けなげで微笑ましく、何枚も挿入されている子ども時代の写真や日記の文章と共に、ホロリとさせます。

●「トイレの神様」という曲が生まれた経緯ももちろん興味深いのですが、

それ以上に個人的に惹き付けられたのは、

デビュー初期にしてコンテストでグランプリを獲るという幸運を勝ち取るも、

ずっと泣かず飛ばずで、レコード会社からの契約打ち切りもやむを得ない、

それぐらいにアーティストとしてどん底状態にあっても、

売れなくても歌を歌い続けることはずっと可能だ、職業を飛び越えてでも歌うことは自分のアイデンティティそのものなのだ、

という風に気持ちをポジティブに切り替えているところである。

人生が思い通りにならないと、落ち込んでいる方ならば非常に勇気づけられるはずです。

書ける時は、それこそ神の恩寵というぐらいにメロディが一気に浮かんでくるのに、

煮詰まった時はそれこそ全く何も出てこない、というアーティストの創作上の苦労を述べた箇所も、

ファンには興味深いです。

悲喜こもごもの恋愛経験を忌憚なく記した箇所も、女性読者には非常に参考になるでしょう。

●おばあちゃん子として育てられてきた私は、

祖母が病院で危篤になり、その後葬式を上げて火葬場まで行く場面を記した下りを

読んだ時は、自分の過去と重ね合わせてしまい、思わず込み上げるものがありました。

家族の連帯感などを感じたい方には、非常におススメの本です。

挿入されているイラストもほのぼのとして、心温まります。

 

 【マストポイント】

@「子どものころは本当につらくて、なんでこんな家に生まれてきたんだろう、

もっと幸せな家がよかったといつも思っていた。

でも、人はやっぱり、傷ついたりつらかったりするところから学ぶのだ。

私がいま歌っているのは、家があんなふうだったからだ。

つらいのは確かだけど、でも、つらいなと思う反面、

本当に面白いとも思う。

こんないろんな経験をさせてもらえるのも、あの家だからだ。

私は思っている。人生、一個でも楽しいことが多いほうがいいと。

同じことが、こっち側から見たらつらくても、あっち側から見たら楽しく思えることもある。

だったらあっち側から見たほうが、人生、得だ。

そう考えていれば、何があっても生きていけると思っている」

A「私は、おばあちゃんや家族から、人生は考え方次第だということを学びました。

つらいことや悲しいこと、嫌なことに遭遇したとき、自分の置かれている環境をどう楽しめるか。

「つらい」「泣きたい」「苦しい」ばかり考えていると、自分が損してしまう。

物事は、自分の受け止め方次第でどうにでも変わる。

と、えらそうに言っても、やっぱりつらいこと、嫌なことはたくさん起こります。

どうしても腑に落ちないことは、相手に伝え、相談し、解決法を見つけるけれど、

それでもしようがないことは、忘れるのがいちばん!

そして、「これも自分の運命なんだ」と受け止める。

クヨクヨしている時間がもったいないといつも思う。

文句や不満を口にするのは簡単だけど、その不満をどうすれば解消できるか、

どう動けばいいか、百パーセント完璧なんていう答えはない。

百パーセント完璧がないならば、まだ自分にできることがどこかにあるはずなんだと思う。

いつも、まだ私にできること、しなくてはいけないことを探してがんばっている最中です」

(以上本文より。一部改変。今回は2個だけ)


【著者紹介】

植村 花菜
1983年1月4日、兵庫県川西市生まれ。19歳よりストリートで音楽活動を始め、2002年「ザ・ストリートミュージシャン・オーディション’02」グランプリに。2005年5月にシングル『大切な人』でキングレコードからメジャーデビュー。2010年3月に発表したアルバム『わたしのかけらたち』の収録曲「トイレの神様」が話題に。  



posted by miura at 10:37| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。