2011年03月08日

必読本 第964冊目 超思考

必読本 第964冊目

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超思考

北野 武(著)

¥ 1,470

幻冬舎

単行本:204ページ

2011年2月10日 初版


●バラ色の夢を語っても意味はない。人の世を生き抜く最低限の力をつけろ。

思考停止した全国民に捧ぐ、現代社会を読み解く視点。

●幻冬舎の雑誌「パピルス」に2007年から2010年までに掲載された

武さんの連載記事を一冊にまとめた本。

タイトルから容易に想像できるが、

以前同じ出版社から出された本(必読本第365冊目 参照)と同種のテイストの本。 

最新の政治、芸能、自らの仕事など、全19編にわたって、

武さんなりの鋭い視点に立った考えが一気に述べられております。

●例によって、常識にとらわれない独特の思想、着眼点は、

一度読み始めたら止まらない面白さで、時間を忘れて没頭させられます。

武さんの他の本と比べて、下ネタや毒舌など、「遊び」の要素がほとんどなく、

一貫して真面目路線が特徴の本です。

●下のマストポイントに特に心に響いた言葉を3点だけ書きましたが、

他にも、肉親以外に、黒澤明、淀川長治、鈴木その子などの

恩人たちの思い出の品を仏壇に収め、毎朝どんなことがあっても水を供えて

手を合わせるなどという秘話を語ったり、

単なる下ネタをやることは下品なのではなくて、

大衆に媚びること、迎合することが本当に下品で、自分は絶対に出来ないと述べたり、

今流行のお笑い芸人たちが、実はテレビ局や事務所から、

本人たちも気づかないような巧妙なやり方で消費され続けていることを喝破したり、

日本人が、臆面もなく人気商品を買うために行列に並ぶことの恥ずかしさを鋭く解説したり、

インターネットやケータイに四六時中縛られている人間ほど、

本当の有産階級に最も搾取されているのだと述べたりなど、

相変わらず、よくもこんな見方ができるものだなというような卓見を述べております。

貧しくも気骨ある精神で武さんを教育した、母さきさんの思い出話の

数々にも教えられることが多かったです

●武さんの本は、知らず知らずに硬直化してしまう我々凡人の思考を

柔らかく解きほぐしてくれたり、

マスコミなどが流す情報をそっくりそのまま鵜呑みにするのではなく、

一旦自分の脳を使って、その真贋を見極めたり、

熟考したりすることが大切だ、ということをいつも教えてくれます。

私自身、発売後すぐには読めないことも少なくないのですが、

ファンであるなし関係なく、新刊は必ずチェックするべきでしょう。

本人出演のテレビ番組や映画監督作品よりも、

よっぽどタメになるかと思います。

 【マストポイント】

@「俺の場合、誰よりも自信があると思っているのは、

状況判断能力だ。

ある意味で、それが俺の最大の能力だと思っている。

漫才をやっていた若い頃からそうだった。

自分の能力が落ちたと感じた瞬間に、やめようと思った。

漫才を続けるために、努力しようなんてことは一切考えなかった。

年をとれば反射神経が衰えるから、若い者に勝てなくなる。

そうなってまで、漫才をやるつもりなどさらさらなかった。

だから、あっさり漫才をやめた。

その状況判断が速いから、乗り換えにはまったく苦労したことがない」

A「仕事の本当の面白さとか、やりがいというものは、

何年も辛抱して続けて、ようやく見つかるかどうかというものだろう。

最初から簡単にできたら、面白くもなんともない。

自分に合った仕事を探すという考え方がそもそもの間違いだ。

そんなものはない。

お腹の中の赤ん坊が、「自分に合った世界に生まれたい」なんて考え始めたら、

この世に生まれてこられるわけがない。仕事だって同じ。

仕事を自分に合わせるのではなく、自分を仕事に合わせるのだ。

だいたい職業なんてものは、あんまり自分の気の進まないものを選んだ方が上手くいくものだ。

幸せになりたいなら、いちばんやりたいことは趣味にしておいた方がよい。

野球選手になって野球をやるより、草野球の方が楽しいに決まっている。

気が進まないくらいの方が、いろんなことがよく見える。

どんな仕事にだって、誰も気づかない盲点というものがあるのだが、

そういうものに気づくのは、好きでたまらない人間よりも、むしろちょっと引いたところから

眺めている部外者だ。

もし今の自分の仕事にやりがいを感じないとしたら、

それは不幸なことではなくて、むしろチャンスなのだ。

自分はこの仕事を冷静に見る目を持っていると思えばいい。

冷静に考えれば、どんな仕事であろうとも、今よりは面白くできる」

B「師匠として、軍団に何かを教えたとすれば、礼儀ぐらいなものだ。

礼儀だけは厳しく躾けた。

タレントの側は、テレビのADをどうしても見下してしまうのだけれど、

それも許さなかった。きちんと敬語で話して、名前には「さん」をつけて呼べと、

それだけはうるさく言った。

礼儀だけはしっかり守れ、あとは何をやってもいいよというのが

俺の弟子に対するスタンスだ」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

北野 武
1947年東京都生まれ。お笑いタレント。映画監督、俳優、東京芸術大学大学院映像研究科教授。テレビ番組、CMなどに数多く出演する一方、89年「その男、凶暴につき」を初監督し、好評を博す。7本目の監督作品「HANA‐BI」(98年公開)でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞したほか、国内外の映画賞を数多く受賞している。また、2010年にはフランスの芸術文化勲章の最高章コマンドゥールを授与された。



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