必読本 第984冊目
ライフ・ヒーリング
ルイーズ・L. ヘイ(著), 中西 珠佳江(翻訳)
たま出版; 〔新装版〕版
¥ 1,470
単行本: 342ページ
1993年11月15日 初版
●米国でニュー・エイジ・ムーブメントの代表的活動家として有名な著者は、
「もしあなたがメンタルワーク(精神力の活用)を行使できるなら、
きっと健康と幸福を実現できる」という信念を持っている。
メンタル・ワークで万病を癒すクリエイティブキーワード。
●先日ご紹介した本(必読本 第976冊目参照)の著者を代表する傑作。
のみならず、あまたある世界の自己啓発本のなかでも、
指折りの名著50冊の中の1冊に選定されているという誉れ高い本(こちらから)。
現在絶版のため、アマゾン、ヤフオクでは非常に高価で取引きされている。
ブックオフでもまずお目にかかれない希少な品だが、
先日運よく安価で入手できた。
●やや直訳的というか、拙劣な翻訳であることに少々失望させられるが、
そんなことがあまり気にならないほどに、
やはり内容は期待に違わぬレベルの高さで、先へ先へと読書欲をそそる。
●この本で主張されている理論を一言でまとめるのは難しいのだが、
あえて自分なりに要約してみると、
「我々が社会的に成功できなかったり、健康を享受できないのは、
『思考のパターン』が間違っているからであり、
それを是正することによって、現実の世界、自分に起こる事態を
変革することが可能である」ということにでもなるかと思う。
我々が幸福感を感じられないのは、子供のころに焼き付けられた
間違った「思い込み」に固く縛られているからで、
それを解き放ち、なりたい自分、得たい物などを強烈に「信じ」込めば、
必ず現実にそれを得られる、などという記述も、大いなる希望になる。
●自分を変えるための具体的な方法として挙げられているのが、
いわゆる口ぐせの言葉、アファーメーションの言葉であり、
本書でも極めて多くの数の言葉が紹介されている
(例えば、「自分を受け入れます」という言葉を、
一か月毎日300回〜400回唱える、など)。
また、なぜその言葉を唱えることが「思考のパターン」を変えることに結びつくのかを、
論理的にわかりやすく解説してくれている点も、
類書ではなかなか見かけない部分で、本書に説得力を持たせている。
●他にも、人を許すこと、鏡を使う技法、愛の大切さ、
食事のポイントなどなど、単なる口ぐせ本に終わることなく、
成功法則のメソッドがバランスよく詰め込まれている。
各章末に、その章の内容を象徴的にまとめた著者の自作詩が
掲載されているのだが、これを朗読するのも大いに効果がありそうだ。
●本書の後半部分には、本書を全世界的なスーパーベストセラーに
押し上げた主因である、様々な病気の発生要因と、
そしてそれを改善させるための新しい思考パターンと口ぐせの言葉が、
多くの紙数を取って列挙されている。
ある意味、おまけ的な扱いになるかもしれないが、
自己啓発的なメイン部分よりもある意味重宝がられる、医学百科的な使い方ができる内容で、
慢性病、難病などに悩まれている方などは、このためだけでも、高額な書籍代を払う価値はあるだろう。
「病気」に対して、今までと違った視点、示唆を確実に与えてくれる。
●著者の半生を記した最終章は、
レイプ、虐待、私生児の出産と別れ、離婚、ガン闘病など、
よくぞこれほどまでの過酷な人生から、成功哲学指導者までのし上がったものだと
感嘆しないではいられないもので、
そこらへんの有名人の自伝よりも、よっぽど心を打つ。
今、絶望状態の人ならば、自分の悩みがちっぽけに思えてくるだろう。
●本書は、2004年にPHPからも
違ったタイトルで再発売されているが、原著は同じである。
PHPの方が翻訳はやや洗練されているようなので、
後は好みの問題だろう。
どっちを選んでもそう効果に大差はないと思う。
心ある出版社からの復刊にも期待したい。
本書は、必読本1000冊目突破記念で紹介するために、
取っておきたかったような掛け値のない傑作です。
【マストポイント】
@「過去を解き放ち、人に対して自分自身に対して寛大にならなければなりません。
自分のことも他人のことも快く許すことが心を清める第一歩です。
私たちが本当に「ありのままの自分」を認め、慈しみを受け入れたならば、
何もかもうまくいきます。
小さな奇跡がいたる所で起こるかのようです。
私にとって自分を愛するとは、何に対しても批判しないことを意味します。
批判とは、変わろうとする私たち自身を封じ込めて鍵をかけてしまうことです。
理解すること、自分に優しく接することであらゆることがうまくいきます。
努力などしなくてもそうなるのです」
A「たいていの人は、雨降りの朝に目を覚ますと、
「あーあ、うっとうしい日だなあ」と言いますが、あなたもその一人ですか。
でもうっとうしい日ではないのです。
しっかりとレインコートを着て気分を一新させれば、雨降りも楽しくなります。
雨降りをうっとうしいと心底信じていると、雨が降れば気分が沈むでしょう。
その時の出来事に身を任せられず、一日中争い事が絶えないでしょう。
「好」天気も「悪」天気もないのです。
ただあるのは、天気と天気に左右される私たち自身です」
B「<私の人生観の要点>
自分の経験には100%責任を負う。
考えることは未来を創造すること。
いつもこの瞬間に力を発揮できる。
誰にでも自己嫌悪や罪悪感はある。
心の奥底では、誰でも『自分はできがよくない』と思っている。
それは一つの考えにすぎない。そして考え方は変えられる。
恨み、批判、罪悪感が最も有害なパターン。
恨まなくなれば、ガンさえも治る。
心から自分を愛したときに、なにもかもうまくいく。
過去を解き放ち、人を許せるようでなくてはならない。
自分の愛し方を学ぶ気持ちにならなければならない。
自分自身を認め、受け入れることが、前向きに変わる鍵。
いわゆる『病気』は自分自身が造り出している
(本書冒頭に記されている言葉)」
(以上本文より。一部改変)
【著者紹介】
ルイーズ・L.ヘイ
1925年貧しい家庭に生まれ、虐待を受けて育つ。高校を中退するも、成人してからはファッションモデルとして活躍。結婚し幸福な生活が続くと思われたが、14年後夫の浮気で離婚。その後、子宮頚ガンとなる。しかし、ガンは子供のころからの恨みや怒りを持ち続けていることが原因だと確信し、その恨みや怒りを手放し、自然療法による健康回復に全力を尽くすことで、ガンを克服した。1984年には出版社ヘイ・ハウスを創設。