2011年07月13日

必読本 第996冊目 愛すること、生きること 全訳『愛と心理療法』

必読本 第996冊目

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愛すること、生きること 全訳『愛と心理療法』

M・スコット・ペック(著), 氏原 寛(翻訳), 矢野 隆子(翻訳)

¥1,890

創元社

単行本: 352ページ

2010年9月10日 初版



●精神的成長という“往く人の少ない道”(本書の原題)をいかに歩むか…

「ニューヨークタイムズ」ベストセラーリストに13年連続ランクインした古典的名著、

待望の完訳版。

●世界の名だたる自己啓発本のエッセンスを紹介することで人気のあるこの本(→こちら)の中で

紹介されていて興味を持ち、図書館で借りて読んだ本。

精神分析療法が活発なアメリカでは大変評判になった本のようで、

相当長い間ベストセラーリスト入りしていたという、この分野を代表する名著。

●内容的には、著者が治療を行った患者との臨床場面での興味深いエピソードを

数多く紹介しながら、

各種の精神疾患、ストレス、人生の辛さを克服するにはいかにすればよいのか、

とりわけ、昔から各種の本でその重要性が言われ続けている「愛」というものが、

なぜ人を癒す力を内包しているのか、人の精神的成長を促す力を持つのかを、

医学者らしい論理だった筆致で解説してくれる本です。

●アマゾンのレビューでは、一部読みづらいという意見もあったようだが、

私はそれほどチンプンカンプンな本だとは思わなかった。

第1部の「訓練」などは、うつ病などの治療現場を例示しながら、

人生で起こる苦労や困難から逃げずに、いかにしてたくましく生きていけばよいのかを、

非常にわかりやすく解説してくれている。

終始一貫して、精神医学的視点から書かれているので、

一般の自己啓発本のイメージとはかけ離れている本だが、

この第1部はそういうオールマイティな読み方ができる部分で、非常に参考になった。

●続く第2部は本書のメインテーマである「愛」の概念を考察した部分。

本書全体を貫く重要な章で、特に精読したい。

第3部と第4部は、宗教やスピリチュアル現象を織り交ぜながら

解説してくれる章だが、キリスト教になじみがない人や、

セレンディピティなど、精神現象にまつわる解説にややまとまりを欠き、

ちょっとしんどい部分かもしれない。

特に最終章は、今回の完訳版で初めて掲載された内容とのことで、

結局、結論は何なのだ?というぐらい冗長な文章がラストまで続き、

じれったささえ感じた。

同様な感想を覚えたら、飛ばし読みでいいかと思う。

●後半部分はやや話に飛躍があったり、専門的すぎる内容であることもあり、

ちょっとしんどさを覚えるかもしれないが、

心の悩みに一人苦しんでいる人や、誰にも言えない性的な問題を抱えている人

(特にその症例が数多く掲載されている)などには、

得るところが大きい本だと思う。

昨年に発売されたばかりで、あまり注目度が高くないような気がするが、

精神科、心理療法の門を叩くことに躊躇しているような方には、

是非とも手に取っていただきたい。

今までの苦しみが一気に晴れるような、

キラリと輝くメッセージをそこここに見出せるはずである。


【マストポイント】

@「誠実であればあれるほど、誠実であり続けることはたやすくなる。

それは、嘘をつくほど嘘を重ねなければならないのと同じである。

真実に忠実な人は、その率直さによって堂々と生きている。

隠し立てなく生きる勇気をふるうことで、

彼らはおそれとは無縁である」

A「心理治療によって治るためには、

今まで与えられなかった純粋の愛の、少なくともいくらかが

治療者によって与えられなければならない。

治療者が患者を純粋に愛することがなければ、

純粋の治療は起こらない。

どんなに信用のある、訓練を積んだ治療者でも、

愛を通して患者にまで自分自身を広げることができなければ、

その治療は概して思わしくない。

逆に、信用もなく、訓練もほとんど受けていない素人の治療者でも、

愛する能力を働かすことで、もっとも優れた精神科医に

匹敵するほどの治療結果を達成することがある」

B「誰もが愛されたいと望んでいる。

しかしまず愛すべき存在にならねばならない。

愛されるように用意しなければならない。

自ら愛すべき訓練された人間にならなければならない。

愛されることを求めれば―愛されることを期待すれば―それは叶えられない。

依存し、しがみつき純粋に愛することをしなくなるからである。

しかし、報酬を求めるそもそもの気持ちなしに、

自他を育めば、われわれは愛すべき存在となり、

求めてもいなかった愛されるむくいがわれわれを見出すのである。

それは人間の愛について言えることである。

神の愛についても同じである」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

スコット・M・ペック
ハーバード大学卒業。ケース・ウェスタン・リザーブ大学で医学博士号を取得。ヴェトナム戦争当時の米軍に精神科医として9年間勤務した後、コネチカット州で心理療法家、精神科医として活動。1978年、The Road Less Traveledを発表後、コミュニティと世界の平和・理解を促進するための非営利団体“コミュニティ・エンカレッジメント財団”を設立し、全米各地で講演、ワークショップを行うかたわら、文筆活動を続けた。2005年没。





posted by miura at 11:46| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 精神世界・不思議系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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