必読本 第1005冊目
死を語り生を思う
五木 寛之(著)
角川書店
¥1,260
単行本(ハードカバー): 161ページ
2011年8月5日 新版
●少年の頃から死に慣れ親しんできた著者。
宗教・文学・芸術・免疫学の第一人者と本気で向かい合い、
人間はどこからきて、どこにいくのかという永遠の問いを真摯に語り合う。
●本当に久しぶりの五木寛之さんの書籍。
1994年にNHKのETVスペシャルで放送された、死をテーマとする、
やや精神世界めいた内容の対談を書籍化したものである。
対談者は、揃いも揃って豪華というか、
小説家の小川洋子さん、画家の横尾忠則さん、
小説家で僧侶でもある瀬戸内寂聴さん、
そして免疫学者の多田富雄さんである。
ファンだった小林正観さんが先日急逝されたこともあって、
人の人生の幕引きである、死や死後の世界を
今一度考えてみたいという思いに駆られ、本書を手にしてみました。
●病院秘書で、人の生死にかかわる医師と常に触れ合う機会の
多かった小川さん、
宗教家として、信者の深い悩みにいつも対応されてきたはずの瀬戸内さん、
病弱ながらも、非常にスピリチュアルな能力に長けている横尾さん、
免疫学の権威として、あくまで医療家の立場から、
人の生命に関する考えを冷静沈着に述べられる多田さん。
こういう生きにくい時代を生きる我々凡人に、
各界最高峰の立場から、生きるとは何か?
人間は輪廻転生するのだろうか?
死後の世界はあるのか?など、
誰もが興味ある深いテーマに関して、様々な示唆を与えてくれます。
五木さんも、ご高齢にもかかわらず、対論者に負けないぐらいの
非常に鋭い意見を随所に述べられていて、やはりさすがだと思わされます。
●個人的に学ぶ点の多かったのが、
何冊かその著書を読んだこともある、横尾さんと瀬戸内さんのお話だった。
横尾さんは、小林正観さんに通じるような、精神世界の深い部分のお話を
非常にユニークな視点で語られておられる。
やはり、横尾さんは、相当にスピリチュアルな能力が高いようである。
不思議系好きには特に面白く読める部分だろう。
死を深刻なものと捉えず、いつものようなあっけらかんとした感じで、
五木さんとやり合う瀬戸内さんのお話にも、
とても元気づけられます。
●対談本だけに、口語体ですこぶる読みやすいのも
長所ですね。
全5回分の対談が収められておりますが、
内容的にも、一般の人が理解できるように、
専門用語などを極力使わず、非常に平易なものとなっております。
近親者や友人の死に落ち込んでおられる方、
死に不安を感じている方などには、
非常に参考になるはずです。
【マストポイント】
@小川洋子「実は、子供の産声は非常に悲しみに満ちているんですね。
私、子供を産みましたときに、
子供が生まれてすぐ泣くのは、これから自分に与えられる苦しみを
悲しんで泣くのだとよくいわれますが、私もそう感じました。
生まれるということは喜びばかりではない。
すでに死を含んだ生をここに自分は授けられている。
生命の誕生は決して死と無縁ではない、
人間が宿命的に背負わされている、死にまつわる、せつなさのようなものを、
赤ん坊の産声は表現しているな、と思いました」
A五木「死というのは決してものごとの終わりではなくて、
やっぱりわれわれにとって未知の、すごく新しい体験への旅立ちというふうに考えたいということです。
そうすると、どきどきしながら死を待てますからね」
横尾忠則「むこうの世界から見れば、死は誕生でしょう。
地上からぴょーんっとあがってくるから誕生だし、
逆に、むこうの世界から転生して地上に生を受けるのは、
もしかしたら死かもしれないですよ。
だから実体をどちらにおくかで考えが割れますね」
B瀬戸内寂聴「このごろ、死ぬことがちっとも怖くない。
法話に来る人にもいいますよ。
皆さんね、私たち全部、平等の運命はみんなここにいる人たちが
死ぬことよ、って。
ひとりも残らないんだからいいじゃないの。
みんなで渡れば三途の川も怖くないわよっていうんですよ」
(以上本文より。一部改変)
【著者略歴】
五木 寛之
1932年、福岡県に生まれる。47年、朝鮮より引揚げ。早稲田大学文学部露文科中退。66年、『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞受賞。『青春の門筑豊篇』で吉川英治文学賞をうける。第一エッセイ集『風に吹かれて』は刊行40年をへて、現在総部数約460万部に達するロングセラーとなっている。ニューヨークで発売された、英文版『TARIKI』は大きな反響を呼び、2001年度「Book of the YEAR」(スピリチュアル部門)に選ばれた。
このような有難いブログ初めて知りました。 今年に入り、家族が雪降ろしの際の怪我により(頸椎損傷)、首から下の麻痺の宣告を受けました。
そこで、本人に読み聞かせるのに最適なものをご存知ないでしょうか。 こういう状態でも奇跡があると聞いたことがありますが、どう励ましたらよいか分かりません。
お時間のある時で結構ですので、もしもご存知でしたらお願いできますでしょうか。
愛読していただきましてまことにありがとうございます。
ご家族様のお怪我、本当に同情いたします。
慰めの言葉も思い浮かびません。
私が思うに、やはり、楽観的な思考というものが欠かせないかと思います。斎藤一人さん、小林正観さんの本はおススメです。
あと、ルイーズ・L・ヘイさんの本も推薦致します。著者名で検索してみてください。ガンを自力で治した方で、非常に示唆的なお話を展開されております。
また、ご連絡お待ちしております。
返信、ありがとうございます!!
家族というのは父の事なのですが、離れて暮らしている上、私も家庭の事情により(障害者を抱えている)頻繁に病院にも行けず、悔しい思いをしています。
幸い、母と妹がいてくれているので、有難いのですが…
父は大変落ちこんでいるようです。
ご紹介頂いた本良さそうですね。ありがとうございます。(^-^)
もしよろしければ、治療に役立ちそうな、自己啓発など?のCDなどご存知でしたら、教えて頂けますか? (すみません、父は、母に「本など読まなくていい!」と言ったそうです。まだ時期的に仕方ないですね…)
お時間ある時に返信下さいませ。
ご連絡ありがとうございます。
また何かございましたらよろしくお願いします。