2012年01月20日

必読本 第1016冊目 相場師一代

必読本 第1016冊目

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相場師一代

是川銀蔵(著)

小学館

¥630

文庫本: 318ページ

1999年10月1日 新版



●個人としては破格の数百億円の株取引に成功し

「最後の相場師」と称せられた“是銀”が93歳で記した唯一の自伝。

若干16歳で単身満州に渡って商売を始め、朝鮮半島で成功失敗を繰り返す。

そして株―。波乱の生涯と地道な独学の日々から導き出される故人の珠玉の言葉の数々は、

バブルが崩壊したいまも、勝負を決する名言である。

●ビジネス本プロデューサーの土井英司さんがかつて自著で推薦していた本。

自分自身、株式投資をしていない、

というか、生来の博打嫌い、投機的なトレードに批判的なので、

あまり関心を持っていなかったのだが、

最近食指を動かされるビジネス本が至って少ないことと、

偉人の自伝として読んでも面白いとのアマゾンのレビューを信用し、

図書館から借りて読んでみました。

●貧しい生家に生まれ、家計を助けるために、

小学校を上がると奉公に出される。

ただ、幼少の頃から人一倍野心家で、

どんな方法であっても、金持ちになって天下を取るという

気概を常に持っていた。

周囲の者から大反対を受けつつも、奇想天外な方法で大陸に渡ることに成功。

軍部にうまく取り入り、御用商人となったり、

人が見過ごすようなニッチな分野で商売を拡大、

20歳そこそこで社長に就任し、

すぐに一財産築いてしまうなど、

幼少時から類まれなる商売、金儲けのセンスがあった。

戦中戦後のドサクサの時期で、

上手くいっていた商売が突然破産したり、

公安から目をつけられブタ箱に放り込まれるも、

一巻の終わりという寸前で奇跡的に救われるなど、

アクション映画を見ているかのような、

手に汗握るスピーディー、激動の展開を見せる。

●事業に失敗し、日本で隠居生活をしている時に、

思うところあって、図書館に終日籠り、

独学で経済の勉強を開始する。

全くの無収入の期間が3年。よくも妻子を路頭に迷わせなかったなという

疑問もあるのだが、この勉強漬けの日々の果てに、

大学教授をも凌駕するほどの、経済理論の習得に成功。

その知識をもとに、株式投資の世界に打って出ることを決心する。

●株式取引でのエピソードにおいては、

目の付けどころがやはり違うという観察眼の鋭さ、未来予測の的確さと、

少々のことでは動じない肝っ玉の強さに、まず驚嘆させられる。

日経の記事で儲けの種を見つけるが(氏の購読紙は日経一紙のみ)、

それを鵜呑みにせず、自ら現地まで行って調査確認し、

100%の確信を持てる段階になって、初めてゴーサインを出す。

そして、一旦行動に移したら、一刻の猶予もなく、

あらゆる方法を使って株を買い集める

(ほとんど種銭もなかったのに、よくもこれほどまでの

株式を買い集められたものだということも驚き)。

徹底した勉強主義に裏打ちされた確信と、

迅速な行動力が、著者の2大特長である。

●株式投資で巨万の富を築き上げたというと、

何か、私腹を肥やす、血も涙もない金の亡者というイメージを持ちがちだが、

普段の生活は至って質素で、酒も女もやらず、

菜食主義的な食事をモットーにしていた(このことが、高齢になってからも

頭が冴え渡り、なおかつ長寿を達成した原因になった)。

稼いだ金の大半は慈善事業に使うのが目的で、

灯油代を買うことができなくて寒さに震えるという福祉施設の

子供たちの記事を読んで、行政に駆け込み、

お年玉まで配って、恵まれない子供たちの援助をし続けた、などのエピソードなどを読むと、

とても情け心がある人情家なのだなと、ホロリとさせられます。

卑怯な手で金儲けをすることを潔しとせず、

筆頭株主になっても会社に理不尽な要求は一切しない。

逆にその会社のためになるようなことなら、身銭を切ってでも応援してやる、

日本統治下の中国朝鮮においても、現地の人々を差別せず、

日本人同様の待遇を与えて使った、などの話も出てきて、

これらも氏が没落することなく長きにわたって活躍できた理由の一つでしょう。

●冒頭記したように、

株式投資に興味がない人が読んでも文句なく引き込まれる本です。

金儲けの秘訣、先見の明の養い方、

独学の方法、逆境にも挫けない強い心の作り方、

人脈の築き方など、多くのヒントに満ちた本です。

文庫本で字が小さく、また、それなりのボリュームがありますが、

波乱万丈の100年を生きた男の一代記は、

読み始めたら止まらない面白さがあります。



【マストポイント】

@「社長だったから、酒や女の誘惑はのべつ声がかかった。

しかしそういう極道はいっさい相手にしなかった。

もしそういう極道を立場にまかせしておったら、

私はとうの昔に棺桶に入っていただろう。

なんぼでも極道ができる立場にいながらしなかったのは、

いま考えても、やはり、私は普通じゃなかったと思うのだ。

私は、おそろしく意志の強い性格を先天的に持っていたことは

間違いないようだ。

これだと思ったら、どんな困難があってもやり通す。

しかし、やっちゃあいけないことはどんな誘惑があっても手を出さない。

この意志の強さがいまの相場師・是川銀蔵を作ったのだと思っている」

A「大儲けした時はそうだった。

人が気づかぬところにいかに目を配り、

人が気づく前にどれだけ早く行動しているか。

買って、売って、休む。

これが商売で成功する三筋道なのだ」

B「人間っていうのは欲から間違いを引き起こすものだ。

本当に欲に限りない、浅ましい動物である。

私も相場では人後に落ちぬほどの勉強をし、

苦労を積んできたはずなのだが、

やはり相場とは『天井では、欲に迷い、勝ちに乗じ、

分限不相応の金高を買い重ねる』のが常なのである。

相場はまさに克服し難い魔物なのだ。

始めに心に決めた予想を出したら、それで満足すべきなのである」

C「私は一日一日、それこそ真剣勝負をやっておるんです。

失敗しても誰も助けてくれんし、自分の努力で運命を開拓していく以外、

生き残る道はない。

だから、私は一秒、一分間に全力を傾けて真剣勝負を続けました。

だから、どんな状況の時でも正確な判断が要求され、それを下してきた」

D「私だって本当は勉強は好きではない。

ただ、普通の人と違うのは勉強する時は全力を傾けて勉強するということだ。

一夜漬けの勉強など、それこそ大学を出たら忘れてしまうが、

心血を注いで勉強し、身につけた知識や経験は何十年経ったって

頭の中に生きているものだ」

(以上本文より。一部改変。今回は特別に5つ)


【著者略歴】

是川銀蔵(これかわ ぎんぞう 1897年7月28日 - 1992年9月12日)
日本の投資家、相場師。激動の時代に翻弄されながらも、時には目の前の金をドブに捨てることも厭わない信念と人間味にあふれた生き様は、まさに最後の相場師の称号に値する。







ラベル:是川銀蔵
posted by miura at 15:47| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | お金・貯蓄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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