
目に見えないけれど、人生でいちばん大切なこと
鍵山秀三郎(著) 木村秋則(著)
PHP研究所
¥1,404
単行本:187ページ
2014年2月19日 初版
●リンゴの心が私に自然の叡智を教えてくれた、掃除が人の心を変えた。
人生の達人が語り合うほんとうの幸せとは。
●私が私淑してやまない「掃除の神様」鍵山先生と、
今や映画化までされた「奇跡のリンゴ」を生み出した木村秋則さんの対談集です。
今年初めに出版されました。
鍵山さんは、桜井章一さんや木村一力さんなど、
似たような思想や価値観を持たれている著名人との共著、対談集も
多いのですが、最近は、木村さんと、特に講演会やセミナーなどで
交流を持たれることが度々ということで、
待望の出版ということになりました。
●「掃除」や「リンゴ栽培」などの、
一見、低く見られがちなことを日常の習慣、生業にされてきた
両者ですが、それを倦まず弛まず何十年も継続してきたことから
到達した気づきや信念などには、
我々凡人がハッとさせられるものが少なくありません。
下に、特に心に残った言葉を記しましたが、
大根はドリルのように回転しながら地中で成長する、
小松菜やホウレン草などの葉物野菜は、
一般的には緑色が濃いものが良いものだと思われているが、
それは間違いで、本当に良いものは黄緑がかっているものだなどという
木村さんの農業関係のウンチク話には、
目から鱗が落ちるようなものが多数ありました。
●この本を読破しますと、
本当に自分が信じたことや達成したい夢や目標があれば、
どんなことにも屈せずに継続することが大切で、
そのような「狭き門」をくぐって来た者だけに
最後は神が微笑むというか、
大願成就する、願望実現するということを痛感させられます。
誰もチャレンジしようと思わなかった、
困難な道を極めた達人2人の生き様からは、
多くの勇気とヒントを確実に得られるはずです。
対談集なので、肩肘張らずにサラッと読破できるのも
おススメな点です。
【マストポイント】
@「鍵山:私が尊敬する森信三先生は、『痛苦骨を噛む』という言葉を
残しておられます。
失敗や過ちこそが、自己教育の中核だと。
失敗こそが、自分を成長させてくれるんですね。
多くの方は、失敗は成功の反対だと思っていらっしゃるかもしれません。
しかし、成功の反対は失敗ではなく、目標を持たないことなんです。
ですから、結果はどうであれ、目標を持ったということ、
それ自体が非常に尊いことだと思っております」
A「木村:私がリンゴの木のお世話をする時には、
『もし自分がリンゴの木だったら』と考えます。
『自分だったら寒いだろう』『自分だったら重いだろう』
そう考えることで、今、何をすべきかわかるのです。
リンゴの木の身になってみるということですね。
人間も、『相手の身になってみる』といいですね。
そうすれば、人の痛みや苦しみも見えてくるんじゃないでしょうか」
B「鍵山:掃除をしますと生き方が変わるんですね。
私も最初は、ただきれいにすればいいと思っていたんです。
どうやったら手早くきれいになるか、楽にきれいになるかと。
ところが、今は違うんです。
もう手をかけて、手をかけてですね。
できるだけじっくりやるというふうに変わりました。
そこに喜びを見いだしているのですね。
ですから、私、草刈りなんかをしましても、
刈った草は全部根元をそろえてきちんと置きますね」
(以上本文より。一部改変)
【著者略歴】
木村秋則
株式会社木村興農社代表取締役。1949年、青森県弘前市生まれ。68年、青森県立弘前実業高校商業科卒業後、上京し、トキヨ(株)に入社。実家の都合により退社、帰郷する。農作業に従事、岩木町(現・弘前市)農業協同組合の金融業務に携わる。72年、木村美千子と結婚。木村家に養子入りし、家業のリンゴ栽培を始める。78年、妻が農薬に弱かったことがきっかけで無農薬のリンゴ栽培を始める。10年近くにわたる無収穫、無収入の日々を経て、絶対不可能といわれていた農薬も肥料も使わないリンゴ栽培に成功。
鍵山秀三郎
株式会社イエローハット創業者、NPO法人「日本を美しくする会」相談役。1933年、東京都千代田区生まれ。52年、疎開先の岐阜県立東濃高校卒業。53年、上京し、「デトロイト商会」入社。61年、「ローヤル」を創業し社長に就任。97年、東京証券取引所第一部上場、社名を「株式会社イエローハット」に変更。98年、同社取締役相談役となる。2008年、取締役を退任し相談役に就任。10年、相談役を退任、退社。創業以来続けている掃除に多くの人が共鳴し、有志により「日本を美しくする会」が発足。