2007年07月10日

必読本 第414冊目 フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

必読本 第414冊目

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フェラーリと鉄瓶―一本の線から生まれる「価値あるものづくり」

奥山 清行 (著)

¥ 1,365 (税込)

PHP研究所

単行本: 193ページ

2007年4月9日 初版



●自動車、インテリア、都市計画…。

あらゆるジャンルで活躍する日本人デザイナーが語る、

「最高の価値」の生み出し方とは。

フェラーリやイタリアの視点から、

日本のデザインとものづくりに提言する。

●あの誰もが憧れるフェラーリのデザインを担当されたことで、

日本のカーマニアの羨望と尊敬を一身に集めた、

奥山清行氏の初の著書である。

以前、NHKの『
プロフェッショナル 仕事の流儀』に

出演されたのを見られた方は多いと思う。

渋いマスクと獣のような鋭い眼光、

数カ国の外国語を自在に操り、部下の欧米人をグイグイ指揮する姿に、

世界を股にかける真のプロという印象を持ったものだ。

最近少ない、「男が惚れる男」の見本のような人物である

(ついでに言えば、私と同じ山形県出身で、

最近の県人の中では、最たる誉れである)。

●文章は極めて流麗で、

本の構成も実にシンプルかつわかりやすくまとめられていて、

何ら困難なく読みきれる。

読書スピードが速い方は1時間あまりで読破できるかもしれない。

とてもとっつきやすい本です。

●イタリア暮らしが長かったせいもあり、

イタリア人の気質、生活実態、労働環境が

つぶさに解説されていてイタリア好きには実にたまらない。

多くの日本人がイメージしていたイタリア人の姿、

あの「LEON」のジローラモ的な伊達男的イメージとは全く

違った実態が事細かに説明されていてとても驚くはずです。

例えば、イタリア男は大卒後メチャクチャ薄給で、それがゆえに、

ほとんどすべての人がマザコンになるという話は正直笑ってしまった。

他にも現地で生活した者だからこそ語れる、

高級ブランド、ワインやイタ飯などのグルメ話、

別荘所有率の高さなど、知られざるイタリア話が

数多く述べられておりますので、

イタリアファンの方は楽しく読めるはずである。

●あと、当然のことなのですが、

現場にいる者しか知りえない、フェラーリ開発の舞台裏、

フェラーリという会社の実態、

他にも、車好き(特に外国車好きならばたまらない)ならば

よだれが出るような裏情報、マメ知識も詳細に語られております。

カーマニアの期待もやはり裏切りません。

●日本を離れてみて初めて気づく祖国の問題点ってありますよね。

海外生活が長く、一度も日本企業に勤めた経験がない

著者ゆえに、その指摘は客観的かつ実に的確で、

会社員の方など、組織に所属されている方々も参考になる話が少なくない。

特に心に残ったのは、「日本は何でも首都東京を経由しすぎる、

イタリアのトリノ、ミラノ、フィレンシェなどのように、

地方から発信することを考えなくてはならない」ということと、

「国際社会において、日本の美徳とされる「沈黙は金」は

全く通用しない、自己主張しないとドンドン世界からは置いて行かれる」、

の2点でしょうか。

他にも、これから世界を舞台にして活躍しようという気概を

持たれている若者の方には、参考になるメッセージが多いですよ。

●それと、同じモノづくりのカリスマという意味において、

岡野雅行さんのファンの方にも強くおすすめしたい本です。

車に限らず、生産やデザイン関係を将来志している若者ならば

必読の教科書となりうるでしょうね。

●最後に、車関係の余談ですが、

カーオーディオからは早晩完全にCDはなくなる、

カーナビは、取り外し可能の手持ちのナビを

車に乗る時だけ接続するタイプになるという

本文の未来予測は、ユーザー的には、ちょっと衝撃です。

今からその手の準備や心構えはしておいた方がよいですね。

色々な意味で。

 

【著者略歴】

奥山清行

1959年山形市生まれ。山形東高、武蔵野美術大学卒業。 1985年工業デザインの名門アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン(米)を卒業。卒業後、GM(米)、ポルシェ(独)で研鑽を積み、自動車デザインスタジオの世界的名門ピニンファリーナ社(伊)のチーフデザイナーとして活躍。 2000年母校アートセンター・カレッジ・オブ・デザインのトランスポーテーション・デザイン学部長に就任。2004年ピニンファリーナ社デザインディレクター。

奥山清行さん公式ホームページ http://www.kenokuyama.jp/

山形カロッツェリア研究会 ホームページ http://www.yamagata-carrozzeria.com/ 

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