2007年09月04日

必読本 第467冊目 生き抜く力をもらう

必読本 第467冊目

酒井1.jpg

生き抜く力をもらう

酒井 雄哉(著), 孔 健(著)

¥ 1,470 (税込)

ビジネス社

単行本: 180ページ

2003年1月15日 初版

 

●苦難続きの半生の末、39歳で異例の得度。

過酷きわまる「二千日回峰行」をはじめ、

数々の荒行を成し遂げた大阿闍梨酒井雄哉師。

幾多の修行のなかで生死の境に立ち、生命の深淵を垣間みた阿闍梨さんが、

穏やかに語る「生きる力の源泉」。

●先日、テレ朝系『旅の香り』を

見ていたら、偶然にも酒井さんが出演されていた。

昨日書評した玄秀盛さんの師匠でもあるし、

これも何かの縁かと思ったので、

全く初めてだが、その著書の触れてみることにする。

●比叡山延暦寺の千日回峰行というものは

当然知ってはいたが、詳細までは知らなかった。

筆舌に尽くし難い難行中の難行であるこの修行を、

酒井さんは2度も、つまり二千日回峰行を

達成されたのである。

これは今までの歴史の中で、

3人しか達成されていない奇跡的偉業だという。

●本書は、酒井さんと、あの孔子の直系第75代子孫である、

孔健さんの共著という形をとる。

孔子の子孫という数奇な運命のもと生まれた

孔健さんは、当然のごとく、先祖である孔子の教え、

『論語』の思想を、

世界中に伝道するという使命感を持ち続けて生きている。

彼は、日本において、酒井さんを自分の仏様として、

かねがね崇拝されていたのだという。

日本語も堪能で、日本の国情にも通じている方ゆえ、

日本人が、『論語』を自らの仕事や人生の中で、どのように

活用していけばよいかのヒントを数多く得られるだろう。

冷静なインテリ中国人が見た日本人の問題点、日中の関係性を

語った部分は、狂信的、過激な性格の人間が少なくない

かの地の現状を鑑みると、貴重な提言かと思う。

●しかし、学もない酒井さんの語る言葉は、

実に素朴で、特別斬新なことも述べていないのだが、

我々凡人たちの心に強く響く。

極限状況を2度にもわたって達成した人間でしか

語りえない、人間の本質、人生の真実がズバリと語られている。

自ら奥様を不幸な形で亡くされている方ゆえ、

自殺問題、死生論にはとりわけ深い関心があるようで、

紙数を多くとり重要なアドバイスが語られている。

タイトルの通り、「生き抜く力をもら」いたいと考える、

人生に疲れ切った方ならば、是非とも手に取るべき本だ。

●他には、青年時代に仕事が定まらずフラフラしていて、

40歳になってから僧侶の道に入った遅咲きだったゆえ、

リストラなど仕事の問題に悩まれている会社員の方にも、

参考になる話が多い。

他には、教育、家族、酒井さんの健康法の話も

興味深いことが語られております。

脚注で、論語の名言や、酒井さんにまつわる仏教用語や、

時事的なデータなどの解説文が豊富に付記されているのも

親切でうれしいです。

●本書には、修行の風景や、

日々の生活の様子を撮影した、酒井さんの

モノクロ写真が多数掲載されているのだが、

「高僧」という言葉には似ても似つかない、

素朴で謙虚で人なつこい人相がとりわけ印象的な方である。

世間には、偉いお坊さんと尊敬されつつも、

金勘定や女遊びや立身出世ばかりしか頭にない生臭坊主や、

威張ったり怒鳴ったり悪口ばかり言う、

とても悟り人とは言い難いニセモノ坊主も実際数多い。

酒井さんの人相ひとつとっても、

ホンモノ、ニセモノを見分ける指標の一つになるかと思う

(ついでに言えば、孔子の実際の顔つきも、

いかにも仙人、君子というような、

強烈なオーラがある風貌というよりも、

むしろ、そこらへんを散歩している年寄りのような、

「あの人が孔子だよ」と言われなければ、誰も振り向かないような

素朴で平凡な外見だったのではないかと私などは想像する)。

 【著者略歴】

酒井 雄哉
1926年(大正15年)大阪生まれ。夜学に通い、予科練を経て特攻隊基地で終戦を迎える。戦後、様々な職を転々として、39歳で比叡山にて得度。以後、常行三昧、千日回峰行などの苦行を積み、前人未到の修行僧となる。国内各地に加え、中国など世界各国へも精力的に巡礼。現在、比叡山飯室谷の長寿院住職。

孔 健
1958年中国山東省・青島市生まれ。世界的思想家・孔子の第75代目の直系子孫。1985年に中国画報社駐日総代表として来日するとともに、上智大学大学院新聞学科博士課程を終了。現在、チャイニーズドラゴン新聞編集主幹を務めるほか、中国孔子文化大学教授等の役職に。

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