2007年09月26日

必読本 第486冊目 14歳

必読本 第486冊目

14sai.jpg

14歳

千原 ジュニア(著)

¥ 1,470 (税込)

講談社

単行本: 189ページ

2007年1月15日 初版

 

●もう二度とこの友だちとは遊ばない。遊べない。

だけどこのままじゃ僕はつぶされてしまう。僕は僕を守るんだ。

悲しい色に塗り替えられてしまう前に。僕の心は僕が色を塗るんだ…。

幻の自伝的小説。

●ほぼ毎日聴いているニッポン放送系『テレフォン人生相談』で、

回答者の教育評論家の女性

(名前失念。べらんめえ調喋りの女性)が、

育児、教育問題に悩む親御さんに対して、

ことあるごとに本書を推薦していたため、

ずっと興味をそそられていた本。

言わずと知れた千原兄弟の弟、

千原ジュニアの自叙伝的小説である。

●最近、ケータイメールやブログの影響もあって、

「ものを書く」ということに抵抗感が少なくなってきているのか、

若手お笑い芸人が本を出すのが一種のブームに

なっているようである。

しかし、個人的にほとんど小説を読まないせいもあるが

(それではダメだといつも反省しているのですけど)、

全くこの手の路線の本を手にする気にはなれなかった。

小説自体、リリー・フランキーさんの『東京タワー』(扶桑社)以降、

1冊も読んでいない情けなさである。

●主人公は著者自身がモデルとなっており、

いわゆる引きこもりの14歳の少年。

共同生活になじめず、せっかく合格した

中高一貫制の進学校を登校拒否し、

家でも外でも一日中パジャマで過ごし、タバコも愛好し、壁に

取りとめもない絵を描きながら悶々と日々過ごす。

当然、父母とはいさかいが絶えず、

やりきれない思いがたまった主人公は、

時に壁を殴り穴を開け、又、自室に引きこもって、

テレビの画像を眺めながら、妄想に耽溺していく。

●テレビの砂嵐画像を「虫」と表現したり、

登校拒否児と母親の葛藤をつぶさに描くなど、

小説家として随所に鋭い才能を見せる。

特に絶賛したいのは、

行き場のない怒り、孤独感、焦燥感を募らせる

主人公の内部感情の表現である。

思わず感情移入してしまうほどのリアルさで、

引きこもり少年の持つ哀切さ、その家庭が持つ暗い雰囲気などを

鮮やかに活写している。

細部には微細な修正はあるのだろうが、

ほぼ99%実話なのだろう。

青春小説としては文句ない傑作である。

●巷間、登校拒否、ニート、引きこもりなどの

問題が常に論じられている。

しかし、世の中には、共同生活には馴染めない、

盲目的に権威や常識や体制に縛られるのをよしとしない、

大人からはちょっと変わっていると見られがちな、

繊細な心を持つ子供たちはたくさんいるものである。

しかし、彼らは異常者だろうか、

(そんな言葉自体使いたくないが)「負け組」だろうか、

将来見込みがない子供だろうか。

●この本は、現在、学校問題、進路問題、就職問題

に悩まれている当事者の方々、

特に少年少女、その親御さんに是非読んで欲しい本である。

学校批判、大人批判、教師批判的な部分が

かなり多いため、いわゆる体制側からは快く思われない、

尾崎豊的路線の本だが、

しかし、未来に希望が見出せずに部屋の中で

一人孤独をかこつ人、そういう子を持つ親御さんには、

何か光明が開けるような本であるはずだ。

いまだに金科玉条のごとく、高学歴、有名大学を目指すことだけが

成功者の証しだと思って、人生で本当に大切なものを

見失っている、学歴信仰者の学生や親御さんには、

非常にヒントになる本である。

●最近、やたらにテレビでは売れっ子の

千原ジュニアであるが、

この本を読んでむべなるかなという気がしました。

吉本の養成所に入ってから芸人デビューするまでの顛末を書いた

続編、もしくは、バイク事故で生死の境を彷徨った

内容を振り返る本(たけしさんの『顔面麻痺』の本のような)を

是非とも上梓してほしいと思います。

情報がないのであれですが、

本書は早晩ドラマ化、映画化されるのかな?

そんな印象も強く受けました。
 

 

【著者略歴】

千原ジュニア

1974年、京都府生まれ。本名・千原浩史。1989年、兄の靖史とお笑いコンビ“千原兄弟”を結成。千原兄弟の恒例ライブ「チハラトーク」は70回を超える。2003年には初の単独ライブ「囚(トラ)」を行い、好評を博す。役者としても才能を発揮し、主な出演映画として、「ポルノスター」「ナイン・ソウルズ」等多数。また千原浩史名義で、ネタ本『答え』や詩集『少年』などの著書もある。現在、「やりすぎコージー」などにレギュラー出演中。

posted by miura at 18:33| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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