2007年10月25日

必読本 第511冊目 二宮翁夜話

必読本 第511冊目

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二宮翁夜話

村松 敬司(編集), 二宮 尊徳(著), 福住 正兄(著)

10,290円(税込み)

日本経営合理化協会出版局

単行本: 445ページ

1995年1月24日 初版

 

「道徳を忘れた経済は罪悪であり、

経済を忘れた道徳は寝言である」。

幕末の大実践家、二宮尊徳珠玉の言行録、遂に現代語訳なる。

現代経営者に「真の繁栄の道」を明示。

●久しぶりの日本経営合理化協会の本である。

箱入りの1万円本として、

中村天風、オグ・マンディーノの『地上最強の商人』などと

並び、名著の誉れが高い本。

言わずと知れた二宮尊徳の大名著『二宮翁夜話』である。

●構成は、全3部(天の巻、地の巻、人の巻)に分かれ、

全281話分の話を収録する。

簡単に言うと、「天の巻」では、天地自然の理を、

「地の巻」では、商売のコツを、「人の巻」では、

長く幸せに生きる方法を語ってくれる。

しかし、改めて尊徳がすごいと思ったのは、日本古来の神道や

釈迦をはじめとする仏教や、老子や孔子などの中国の古典など、

万巻の書に通じつつも、それらの先人の教えに流されないで、

己の中でよくよく咀嚼し、各思想の長所を抜き出して、

経済と道徳を両輪とする、

独特な「報徳学」という教えにまとめ上げたことである。

日本人のみならず海外でも高い評価を受けるのも

むべなるかなである。

●構成的には、原文は掲載されず、

ひたすら現代語訳のみとなっている。

文章も口語体のため、読みやすいことこの上ない。

本年、致知出版社から尊徳の『一日一話』が

発売された(必読本第436冊目参照)
が、

その本は原文があるのだが、簡単な注釈があるのみで現代語訳がなく、

何でこんな作りにしたのか全く意味不明な本であった。

そのことを考えると、一際この本の価値は高くなる。

●文末の編著者村松氏の解説文も、

余計なことが一切書かれておらず、

重要な部分が手際よくまとめられていて、

じっくりと読む価値がある。

尊徳のプロフィールや思想をピンポイントで

掴むためには実に役立つ箇所である。

個人的には、尊徳が子供のころ、極貧のため

みすぼらしい格好で本家の葬式に出たところ、母と共に大変冷遇され、

その辛い体験が何よりも経済観念を鍛えようという

契機になったという逸話に心を打たれた。

●結論として言えば、

やはり1万円の元は必ず取れる本だと言える。

中身を見ないで、ネットで購入するのに

ずっと尻込みされていた向きには、

是非とも購入されることをオススメする。

文句なくホレボレするような本だ。

450ページの分厚さ、箱入り、重厚なカバーで、

一生の使用に耐えられる。

耳学問が好きな方は、同書のCD版も出ているようなので

ご自分で検索してみて下さい。

●日本経営合理化協会の本は、

高額なものが少なくないが、

やはり、法外だというそしりは

全く当たらないだろう。

「薄っぺら」な1,000円の本を10冊買って大して

身にならないよりも、清水の舞台から

飛び降りるごとくに、本書のような高額本を買って、

終生の座右の書とした方がよっぽど得るものは多い。

巻末に挙げられた松下幸之助、渋沢栄一、御木本幸吉、豊田佐吉

など、そうそうたる面々が己の経営哲学に

尊徳の教えを取り入れたことを考えれば、

誰もが納得できることでしょう。



【マストポイント】


@天道と人道の違いを知ること。

天道の動きをじっくりと観察し、

それに人道を従わせれば、

おのずと正しい道を歩むことができる。

A高遠な思想や机上の学問を一切評価しない。

学問は、まず何よりも生きていくことに実際に役に立つ、

「実学」でなければならない。

ご飯が食えないのに偉そうな思想を語っても、

そんなものには一文の価値もない。

「道徳を忘れた経済は罪悪である、

しかし、経済を忘れた道徳は寝言である」を銘記すること。

B何の仕事でも、倹約と勤労が成功するための基本である。

そして、欲張らず、利他の精神を失わないこと、

バランスの取れた中庸精神で生きることが最上の道である。

【著者略歴】

二宮尊徳

本名、二宮金治郎。1787年生まれ。苦労の末、若くして親の失った家産を買い戻し富農家となる。 1818年小田原藩家老の服部家の再興を引き受ける。1822年小田原藩の分家、宇津家再興のため、名主格として下野国桜町へ赴任。以降、6百余の藩や郡村を再興、再建の神様として名声が広まる。 1842年幕府の御普請役格。1844年、幕府より日光ご神領地の再興調査を命ぜられる。1856年御普請役、同年に70歳で逝去。詳しくは本書の解説編に。筆記者福住正兄について1824年相模国金目村生まれ。兄勇助に続き、21歳の時に二宮門下に入る。 1850年、箱根湯本の福住家を相続するまで、尊徳のもとで修行、直接、二宮翁の薫陶をうける。稼業の旅館経営のかたわら湯本村名主となり、14カ村の取締を兼ねた。報徳思想の普及につとめ、著書「二宮翁夜話」のほかに「富国捷径」「報徳学内記」など多数を残す。1892年(明治25年)逝去。

村松敬司

1915年静岡県掛川市生まれ。慶応大学経済学部卒。会社勤務を経て、戦災により掛川に帰郷。掛川農協理事、県立高校校長を歴任、1977年より1986年まで浜松短期大学講師。 1949年大日本報徳社参事、以来報徳社の役職を歴任。平成バブル崩壊後に尊徳思想が再評価され、同社専務理事として東奔西走の忙しい日々を送っている。主な著書に、「報徳一円」(日経BP社)、「二宮尊徳のすべて」(共著・新人物往来社)他。 社団法人大日本報徳社明治8年(1875年)報徳精神普及のために尊徳の高弟、岡田良一郎が中心となって、掛川市に、遠江国報徳社を設立。1911年に現在の大日本報徳社に改名。全国に支部をもち、現在も、全国大会には毎年1000人の参加者が集まる。


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