2007年10月28日

必読本 第514冊目 奇跡を呼ぶ男 落合博満物語

必読本 第514冊目

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奇跡を呼ぶ男 落合博満物語

綾野 まさる(著)

1,300円(税込み)

小学館

単行本: 194ページ

1999年4月1日 初版

 

●プロ野球の世界は、とてもきびしいところでした。

やめてしまいたいと何度もくじけそうになりした。

でも好きという気持ちがほかの人よりも強かったから…。

三冠王三度、奇跡の一打。

史上最強の四番打者が、熱く語る野球生命。

●プロ野球関係者の中では、

落合博満という人は、とりわけ

興味をそそる人物の中の一人である。

改めて言うまでもなく、唯一の3冠王3回達成者、

監督になってからも、コーチ経験が皆無なのにもかかわらず、

監督一年目からいきなりきちんとした結果を残し、

よく言われる「名選手必ずしも名監督にあらず」という

ジンクスを見事にはね返した。

●引退後の解説者時代も、

各方面に波風が立つことを恐れ、

あまり突っ込んだことをテレビでは言わないものだが、

落合さんはそんなことお構いなく

ズケズケと一刀両断の解説することが多く、

文句なく本質的なことを喋れる希有な野球人だと

思ったものだ。

●又、監督になってから実に素晴らしいと思ったのは、

試合中ベンチに座っていても、

ほとんど己の感情を露にしないことである。

選手がホームランを打ったら大喜びし、

凡プレーをしたりすると、ベンチを蹴飛ばしたり、

物を投げたりなど、激高したりする監督が昨今多いことを

考えると、この冷静沈着な態度は特筆に価する。

かねがね、指導者はかくあるべきだと思っていた。

●先般のクライマックスシリーズで、

巨人を3タテして更に名声を上げたこともあり、

あらためて落合博満という人物のことが知りたくなった。

ちょっと古く、子供向けの本だが、

今回はこの本をご紹介致します。

●しかし、落合さんは、自分のことだけを考える利己主義者かと

誤解されることもあるが、意気に感じるというか、

稲尾和久、長嶋茂雄など、心から尊敬している人のためならば、

命を賭けるほどの力を傾注し、師匠のために尽くすという

仁義の人なのである。

目上の人間に敬意を払わない人が多い昨今、

これは見習いたいところである。

●又、落合選手の徹底した、一匹狼のマイペース主義も

是非とも記しておかなければならないところである。

冷静沈着な自分の目で考えた練習法、生き様は

時に「オレ流」などと揶揄され、散々批判もされてきたが、

明日の生活も保証されておらず、

自分のバット1本で生活していかなくてはならない

プロならば、ある意味当然な姿勢なのである。

(しかし、一匹狼のわりに、落合さんは

威張り散らすようなことや暴力的なことは

後輩に行わず、意外に面倒見が良いのは素晴らしい長所だ)。

●徒党を組まず、まわりの雰囲気に流されず、

常に正しいもの、自分にとって大事なことに

固執し、己の信念を貫くという姿勢はやはり賞賛に値する。

名球会入り拒否など、己の信念に沿わないものには

妥協しないなど、プロの職業人としては見習いたい部分である

(ただ、この件は、新人の頃、前任の金田正一元ロッテ監督に、

打撃フォームをケチョンケチョンに酷評されたことを

根に持った落合さんが、名球会のドンである金田さんに対して

反旗を翻したという見方もできる)。

●又、落合選手の成功の陰には、

信子夫人の存在が大きいと言われるが、

全くその通りであると本書を読んで思った。

男の出世や成功の陰には

必ず良妻がいるものだという典型例であろう。

家庭内で、男を奮い立たせるトーク術、細かな心配りなど、

女性ならば見習うべきエピソードが多い。

「悪妻は百年の不作」ということわざと共に、

見てくれだけではない本物の女性を

女房にしなくてはならないという教訓を得られる。

●ヘンテコなユニフォームを着ているカバー写真や、

時勢に合わない記述が散見されるため、

既に絶版になり、古本価格は結構なプレミアがついている。

野球少年のみならず、大人が読んでも

面白い自伝なので、古本屋さんか図書館ででも

探してみて下さい。



【マストポイント】


@野球が大好きだったが、理不尽ないじめや暴力が

横行する高校野球時代や、実力がないくせに、

年長だというだけで威張っている先輩の多い大学野球時代には、

全くやる気が起きず、才能は開花しなかった。

やはり、環境が大事。

実力者でも、その場の環境が悪いと全く実力を発揮できない。

悪い環境を甘受せず、自分に合った環境を求めること。

A18歳から22歳ぐらいなどの年齢でプロ入りする人が

大勢を占める中、落合さんは25歳という遅咲きでプロ入りした。

タモリさんが芸能界入りしたのは30歳を過ぎてから。

遅く入ったことが、必ずしも不利になるわけではない。

Bスポーツでは、自分が見てホレボレするような

理想的なフォームの先輩を見つけ、ひたすら真似をすること。

野球や剣道やゴルフに代表されるように、

「型」、「構え」がキレイな人はまず間違いなく実力が伸びる。

落合選手の打席での構えの美しさや

はらうような独特の打ち方は、

先輩の捕手、土肥健二というモデルを真似し、

並々ならぬ練習と研究の末、完成されたものだった。

 

【著者略歴】

綾野 まさる
本名・綾野勝治。1944年、富山県生まれ。67年、日本コロムビア入社。5年間のサラリーマン生活後、フリーライターとして、特にいのちの尊厳に焦点をあてたノンフィクション分野で執筆。94年、第2回盲導犬サーブ記念文学賞受賞。

posted by miura at 12:38| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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