2007年12月03日

必読本 第544冊目 走ることについて語るときに僕の語ること

必読本 第544冊目

走ることに1.jpg

走ることについて語るときに僕の語ること

村上 春樹(著)

¥ 1,500 (税込)

文藝春秋

単行本: 248ページ

2007年10月15日 初版

 

走ることは彼自身の生き方をどのように変え、

彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう?

日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれたのか?

村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、

そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。

●春樹さんの話題の最新刊。

次のノーベル文学賞候補かとも期待される

国民的作家が、

ずっと続けているという「走る」という行為の意味、楽しみを

初めて赤裸々に語る。

●本編には合計9個の「走る」ことをテーマにした

文章を収める(前書きと後書きもとても面白い)。

「走る」ことを開始したそもそものきっかけから、

普段の練習内容、レースで心がけていることなどを

文字通り「駆け足」のごとく流麗な文章で述べ続ける。

それに加えて、普段の創作風景、海外生活、健康法、

無名時代の秘話、瀬古俊彦、有森裕子などトップランナーとの

交遊録などなど、普段ほとんど書かないようなレアな

お話も非常に多く披露しているという意味において、

「村上春樹」という作家の全体像を知るには、格好の1冊です。

●しかし、改めて痛感するのは、

内容の面白さもさることながら、

立て板に水のごとくのその美麗な文体である。

「ものを書く」ということを生業にしたいとお考えの方々ならば、

まず氏の通俗的なエッセイなどを丹念に読み、

その言葉選び、論理展開などを真似していけば

文章は相当達者になるはずである。

本書も、内容の秀逸さもあり、

おそらく一旦読み始めたら最後まで一気に読みきってしまう

人が大半だろう。「文章読本」的にもオススメできる。

●中盤に、若かりし頃からの春樹さんの

練習風景、競技大会での姿が

何枚も写真で収められているのも、

プライベートの姿をあまり晒したがらないはずの

著者としては、大変貴重なことだと思う。

常に体を鍛えているだけに、若い時と最近の姿で、

容貌にも肉体にもほとんど「老い」が見られないのは、

やはり文句なく称賛に値する。

誰もが、自分もそろそろジムにでも通おうか、

村上さんを見習って体を鍛えなくてはという

思いを持つはずである。


【マストポイント】

@他人と競わず、さほどお金もかからず、

黙々と一人でこなす趣味を持つのは、

極めて有益なことである。

内省的な作業ができるからだ。

ウォーキング、絵画、書道、ヨガ、

編物、ガーデニングなど、何歳になってもできるものが好ましい。

A人から強制されてやらされることは、

全くやる気が起きず、何一つ益にならず、すぐにやめたくなる。

自分からやりたいと思って自発的に開始したことは、

率先して学ぼうとするし、ずっと継続できるし、

色々と得るところも多い。

B「学校で僕らが学ぶもっとも重要なことは、

「もっとも重要なことは学校では学べない」という真理である」。

(本文より)

 

【著者略歴】

村上春樹

1949年1月12日、京都府京都市生まれの兵庫県芦屋市育ち。住職の息子で国語教師でもある父と、大阪の商人の娘である母の間に生まれる。兵庫県立神戸高等学校卒業。早稲田一文に入学。その後演劇映像専修へ進む。大学在学中に陽子夫人と結婚。結婚後、国分寺市に転居し、大学に在学しながらジャズ喫茶を開業する。大学を7年かけて卒業後,閉店後の店で小説を書き、1979年『風の唄を聴け』で群像新人文学賞を受賞しデビュー。1981年には作家専業で生きていく決意を固め、ジャズ喫茶を廃業した。全共闘世代、団塊の世代を代表する作家であるが、政治活動にかかわることを避け、全共闘運動からは遠く距離を置いている様子が、作品の端々からうかがわれる。1987年『ノルウェイの森』が、空前の大ベストセラーとなり、一般的にも認知される。その後、出せば必ず売れる作家の1人に数えられるようになった。作品は韓国、米国、台湾などでも絶大な人気があり、1980年代以降の日本文学、現代文学を代表する最も評価の高い文学者の1人である。

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