必読本 第588冊目

案外、買い物好き
村上 龍(著)
¥1,470(税込み)
幻冬社
単行本:201ページ
2007年11月25日 初版
●村上龍が世界各都市で、新宿で、買い物をする。
イタリア・ミラノで購入した葉巻のためのいろいろな道具、
シャツにネクタイ、お菓子に電化製品――。
インターネットで買いたいもの――。
村上龍が購入したものをエッセイで綴る。
世界各都市で購入した日常品から嗜好品まで
一つひとつに思いを馳せながら、
氏の視点で世界を、日本を見つめる。
●友人中田英寿がイタリア・ペルージャの
チームに移籍したことから、
何度もイタリアの地を踏んでいるうちに、
突如シャツに開眼。
今まで全くと言っていいぐらいに
ファッションに無関心だった著者だが、
堰を切ったように突如、衣服に金を投入する。
我々一般人がとても真似できないような
高価格のシャツを大量に買い込む。
併せて、ネクタイにも靴にも惜しみなく
金を注ぎ込む。
ホテルでも空港でもとにもかくにも
ファッションのことが気になって仕方ない。
日本随一の人気作家だけができる
至福の買い物体験記。
●まあ、龍氏ぐらいの地位にいる人間だったら、
これぐらいの浪費癖があろうとも
誰も文句は言わない(言えない)だろうが、
本当にこの人はいくらぐらい収入があるんだ?という
ぐらいに高級ブランドを質量ともに
大人買いしまくる。
読んでいてもイヤミなところが全くなく、
その買いっぷりの良さはアッパレと言うしかない。
お店側としては、値切ることもなく
大量に高額商品を買ってくれるだけに、
こんな常連客がいたらいいのなぁと小売店店主ならば誰もが思う。
●相当のブランド品好きの人でも知らないであろう
海外のマニアなブランドの名前もかなり紹介されているので、
そちら方面が好きな方には是非ともご一読をおすすめします。
巻末にはパリ、ローマ、ミラノ、ソウル、上海、マウイなど、
著者が旅した都市のブランド店の地図も掲載されているので、
かの地に旅行に行く予定のある方は
参考にしてみたらよろしいでしょう。
●もともとはDCカードゴールド会員向けの
会員誌「GRAN」に連載されていた
エッセイだったため、
一話独立で、3ページと非常に文章が短い。
200ページだがあっという間に読破できる。
ちょっとした休憩時間などに
読むのに最適な本。
龍氏の文章だとは思えないほど、
実に肩のこらないあっけらかんとした日記風の
文体となっているので、サラリと読み通せます。
【マストポイント】
@出先で、ビビビと来たものには
すぐさま買いを入れる。
多少高くても、直感的に欲しいと思ったものには、
何か人知を超えた運命的な出合いがある。
ブランド品の中には、大量生産していない
一点モノも多い。
いつかそのうちなどとチャンスを逃すと、
すぐに別の人からさらわれてしまい、
永久に手に入らないことも少なくない。
特に海外で一目惚れしたものには必ず買いを入れる。
帰国した後にやっぱり買いたいと思っても、もう遅い。
A日本のファッション雑誌は、
海外のファッション事情を正確に伝えていることは
皆無である、と思っていた方がよい。
ファッションに限らず、雑誌というものは、
実状よりもその雑誌で扱っている商品が売れることを
第一に誌面作りをしている。
雑誌の言っていることを鵜呑みにすると、
とんだ赤っ恥をかくこともある。
百聞は一見にしかずで、やはり自分で現地に行って
流行っているものを確かめるのが一番確実である。
Bシャネルやヴィトンやロレックスだけがブランド品だと
思っている人が多すぎる。
海外には、日本人には無名のブランドでも、
非常に品質の良い、耐久性の良いものがある。
ブランドの名前だけ重視で
品質無視では、いつになっても
本物を見分ける「目利き」にはなれない。
【著者略歴】
村上 龍
1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』で第75回芥川賞を受賞。経済学絵本『あの金で何が買えたか』、ひきこもりをテーマにした『共生虫』や集団不登校を始めた中学生たちが半独立国を築くまでを描いた『希望の国のエクソダス』など、話題作を発表し続けている。99年から金融経済を中心に扱ったメールマガジンJapan Mail Media」の編集長を務める。





