2008年02月02日

必読本 第596冊目 第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

必読本 第596冊目

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第1感

「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい

M・グラッドウェル(著),

沢田 博(翻訳), 阿部 尚美(翻訳)

¥1,575(税込み)

光文社

単行本:263ページ

2006年3月1日 初版



●「第六感」という言葉は、

理屈で理解可能な、身体的な五感の優越を前提として、

理屈を超えた六つ目の感覚を想定している。

しかし、五感に優越する、

誰もが心の底のどこかで抱いている、

「第1感」が存在することを検討する。

●先日ご紹介したばかりの

勝間和代さんのベストセラー(必読本第594冊目参照)の中で

推薦されていた本。

『ティッピング・ポイント』で名高い

マルコム・グラッドウェルの本です。

私自身、常日頃から「直感」に関しては、

極めて関心が高かったこともあり、

図書館から借りて読んでみることにしました。

●本書でまず興味深いのは

数多くの紹介されている実例の数々である。

冒頭の、アメリカの美術館が、散々科学的検査を重ねた結果、

本物だと断定し、超高額で購入した古代ギリシャの彫刻が、

高名な美術鑑定家たちがほんの一瞥しただけで、

贋作だと見抜いた話、

夫婦にほんの15分間会話させただけで

15年後に離婚するかどうかを予測する話

(ちなみに、本書によれば、

「批判する」ことよりも、「軽蔑がある」か否かが

離婚するか否かの判断材料になるとのこと。

覚えておいて損はないでしょう)など刺激的なエピソード満載です。

特に、最終章の、エクマン教授が開発した

「表情記述法」の話は驚きである。

よく「顔には心が表れる」というが、

それを理論的に証明してみせたのである。

この理論によって、クリントン元大統領や

O・J・シンプソン被告がほんの一瞬顔に表した表情によって、

心の奥底の本音、真の性格傾向などを

ずばりと当てて見せたエピソードは実に面白かった。

これによって、ほんの一瞬顔に出した表情で、

心に思っていること、真実の姿が一発で判明する。

嘘発見器よりもよほど正確に犯人を当てられるのではないのか。

●私のように、第一印象、直感、

先入観、偏見などのテーマに

常日頃から関心が高かった人には

おすすめできる本である。

直感の優れた点、そして逆に注意しなくてはならない点などを

いろいろな角度から解き明かした相当の労作です。

翻訳文も読みやすく、それほど読破に時間はかかりません。

●ただ、難点は、よくアメリカの翻訳本にありがちな、

文章量はギッシリだけど、

実験結果やエピソードをばかり羅列し、

焦点がややぼやけていること。

主張や論理に明確さとまとまりを欠き、

ただの、面白エピソード紹介に終始しているきらいがある。

章末にポイントがまとめられていたりなど、

読みやすい工夫があれば良かった。

前述のように、実験データは面白いものが多いので、

それだけを飛ばし読みするだけでもいいかもしれません。

【マストポイント】

@「理由をはっきりと説明できない。

でも、そう感じる」。

長時間かけて理論的に検証、熟考を重ねるよりも、

ほんの一瞬のひらめきで、物事の実相を正確に掴むことができるという

「第1感」という能力が我々にはある。

A正しい判断を下す時には、

1、熟考と直感的な思考のバランスが必要である。
2、優れた判断には、情報の節約が必要である。
  無数の雑多な要素があったら、ごく単純な要素に絞り込んで
  判断材料とすること。

B第1感の力は一朝一夕には獲得できない。

美術鑑定家、スポーツのベテランコーチ、

高名な科学者など、無数のデータを長期にわたって

見続けてきた結果によって養われることが多い。

素人の単なる「勘」は、

ただの先入観、偏見、思い込みであることが多く、

第1感とは似て非なるものである。



【著者略歴】

マルコム・グラッドウェル
イギリスに生まれカナダで育つ「ワシントン・ポスト」紙のビジネス・サイエンス担当記者を経て、雑誌「ニューヨーカー」の専属ライター。著書『ティッピング・ポイント』は世界的なベストセラーとなった。現在はニューヨーク市在住。

沢田 博
1952年、東京生まれ。東京都立大学人文学科卒、東京大学新聞研究所修了。「ニューズウィーク日本版」編集長、「エスクァイア日本版」編集長を歴任。現在、「ニューズウィーク日本版」編集顧問。

阿部 尚美
1959年、三重県生まれ。南山大学文学部英語学英文学科卒。シラキュース大学コミュニケーション学部広報学科修士課程修了。会社員を経て翻訳者に。


posted by miura at 17:37| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 精神世界・不思議系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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