必読本 第597冊目

スタバではグランデを買え!
―価格と生活の経済学
吉本 佳生(著)
¥ 1,680 (税込)
ダイヤモンド社
単行本: 284ページ
2007年9月13日 初版
●有名コーヒー店の値段のしくみ、
携帯電話の超複雑な料金体系、
100円ショップの安さの秘密…。
あのモノやサービスの値段は、
どうやって決まっているのか?
「コスト」という観点から社会のしくみを分析する。
●昨年話題になった本の中の1冊。
どこの書店でも平積みされてよく見かけたものだが、
初物食いに慎重なせいもあり、
今の今まで読まずにきた。
モノの原価、価格設定については、かねてより
ひとかたならぬ関心を抱き続けてきたので、
本日一通り読んでみることにしました。
●スーパーの中では、98円でペットボトルのお茶が
買えるのに、レジのお会計を済ませた
お客が、退店後に、店の入り口の自販機で
同じペットボトルのお茶を150円で買う。
なぜ、こんな不合理なことが起きるのか。
経済学者の著者が、値段にまつわる裏側の仕組みをわかりやすく解説する。
難解な経済用語もほとんど使われておりませんので、
一般の人もさほど困難なく読み進んでいくことができます。
●100円ショップの儲けのからくり、
高額だった家電製品がドンドン安くなる秘密
など、興味深いトピックが満遍なく取り上げられているが、
特に、一般消費者には全く理解不能なことで
悪名高いケータイの料金プランの仕組みを
解説した章は必読です。
企業側のどんな思惑が料金に反映されているのかを
知ることができるという意味で、
最も本書でタメになる箇所です。
料金プランをどれにするかはケータイ契約時に
誰もが頭を悩ます問題ですが、
本書の知識が頭にあれば、かなり役立つことでしょう。
●ただ、難点は、
内容が雑多過ぎなこと。
また、大学教授の本によくありがちですが、
文章がちょっと冗長な感じがあることでしょうか。
簡潔明瞭な本が好みの私としては、
本書の内容を、1,000円ぐらいのシンプルなムックにして
凝縮化できたのではないかという気がしないわけでもない
(もしかして、本当にムック化されるかも)。
分厚い本が苦手な人にはちょっとしんどい本。
【マストポイント】
@同じモノが違う価格で売られているのは、
それに「取引コスト」が加わるから。
取引コストには、時間などの手間、配送手段、心理的負担など
色々ある。
モノの値段を見る時には、常にこの要素を加えて
考えるクセをつけること。
Aどの集団でも、能率的に仕事をする上で
一番邪魔になるのが、自己過信タイプである
(高い自己評価で、低い能力しか持っていない人)。
仕事をする上で最も使えないのは、
能力が低い人ではなく、実は、
自分の能力を過信している人である。
B現行のケータイの料金プランは、
どれを選んでも、一長一短的な面が
あることは否めない。
完全定額(固定料金)制になれば
ユーザーとしては大バンザイだが、
当面のところ、そう簡単に実現できる見込みはない。
各社のプランを比較検討して、
面倒だからといって一度入ったプランを
放置せず、
本当に安く便利なプランを研究するマメさが
現時点では必要である。
【著者略歴】
吉本佳生
経済学者(エコノミスト)。1963年三重県紀伊長島町生まれ。名古屋市立大学経済学部卒業後、住友銀行勤務を経て、名古屋市立大学大学院経済学研究科満期退学。大学や企業研修などで、生活経済学、国際金融論、マクロ経済学、ミクロ経済学、経済数学、国際経済学、ファイナンス論などの講義・演習を教える経験をもつ。




