2008年02月19日

必読本 第610冊目 芸術の神様が降りてくる瞬間

必読本 第610冊目

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芸術の神様が降りてくる瞬間

茂木 健一郎(著), 町田 康(著), 金森 穣(著),

山下 洋輔(著), 立川 志の輔(著), 荒川 修作(著)

¥ 1,575 (税込)

光文社

単行本(ソフトカバー): 368ページ

2007年10月30日 初版



●芸術の各分野で活躍する天才たちの脳は、

どのように発想し、

どのようにわれわれの心を打つ作品をつくりあげていくのか。

その個性ある脳に迫る対談集。

町田康、金森穣、山下洋輔、立川志の輔、荒川修作。

BS日テレで好評を博した「ニューロンの回廊」待望の書籍化。

●NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の

司会で有名な脳科学者茂木健一郎さんが

気鋭のアーティスト5人を招き、

その天才たる秘密を探り出していく対談集。

正直言うと、茂木さんの本はほとんど読んだことがなく、

ほぼ初めて読むぐらいの感じである。

どうも、脳関係の本は敷居が高いというか、

愚鈍な私が読んでもどうせ理解できないだろうと、

昔から敬遠してきたからだ。

●結構分厚い本だが、

対談集なのでそれほど時間を要せず読み切れる。

私のように、脳関係の医学用語に閉口してしまうような

素人でも、それほど難解な言葉も出てこないので、

十分楽しく読めます。

町田さんの頭頂部にチャクラのような穴が開いて出来た話、

志の輔さんが、創作落語のネタ作りに行き詰まり、

どうにもこうにも苦悩していた時に、たまたま入った定食屋で、

神の恩寵のように最高の題材と巡り合えた話など、

まさに、「芸術の神様が降りて」きたかのような

不思議エピソードも沢山紹介されております。

●又、本書の中で特に大切だと思った話は、

「セレンディピティ」の概念である。

これは、先日読んだ勝間和代さんの本(
必読本第605冊目参照)にも

偶然チラリと出てきた。

これは、「思わぬものを偶然発見する能力。

幸運を引き寄せる力」のことを言うのだが、

この力を身に付けるためには、

茂木さん曰く、「常に正しい質問を自らにすること」に

あると述べられている。

問題意識もなく、日々ボーっと生きていても、

セレンディピティを得ることはできないということだ。

●最終章、荒川さんの対談部分に

氏がデザインした建築物写真がある以外は、

対論者の顔など、写真が皆無だったのは非常に残念。

一部、それほどメジャーではない方がいただけに、

是非載せてほしかったです。

 

【マストポイント】

@「いろんな仕事がありますけど、どこかで真剣にやっていると、

だれかが必ずその真剣な仕事を見て、この人は真剣に

仕事をやってるんだなって通じる場合が、実感として

ありますけどね」(町田康)

A「携帯電話っていうものも含めて、落語だと思わないと」

(立川志の輔。落語を大勢の観客の前で演じていて、

話の佳境に差し掛かった時に、ある客のケータイが鳴り出して

一気にその場の空気を台無しにしてしまった。

だが、志の輔さんは、それにキレることなく、

即座に話の中にケータイの話を盛り込んで、

逆に大笑いを取った。

客が居眠りしているとか、赤ちゃんが泣いたとかで、

退出させたり、怒鳴りつけたりする芸人がたまにいるが、

天才は不測の事態も逆手にとって笑いにする)

B「私がしてきた学問なんていうのは、全部体験と経験を

通したものを、もう一度やり直しているだけで、

いわゆる本とかそういうものを、私は嫌ったの」

(荒川修作。希代の天才建築家は、他人の本を読んで

模倣するようなことを断固嫌うらしい。)

(以上本文より抜粋)

 

【著者略歴】

茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)

1962年東京生まれ、脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、東京工業大学大学院連携教授(脳科学、認知科学)、東京芸術大学非常勤講師(美術解剖学)。その他、東京大学、大阪大学、早稲田大学、聖心女子大学などの非常勤講師もつとめる。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組み、近年はメディアでの活躍も目覚ましい。『脳と仮想』で、第四回小林秀雄賞を受賞。主な著書に『脳とクオリア』『生きて死ぬ私』『心を生みだす脳のシステム』『意識とはなにか――<私>を生成する脳』『脳内現象』『「脳」整理法』『クオリア降臨』『脳の中の人生』『ひらめき脳』『クオリア入門ー心が脳を感じるとき』がある。

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