2009年05月22日

必読本 第886冊目 心を込めて生きる

必読本 第886冊目

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心を込めて生きる

塩沼 亮潤(著)

PHP研究所

¥1,470(税込)

ハードカバー: 199ページ

2009年4月6日 初版



●大峯千日回峰行を満行した著者が、

最も大切にしている「わがままな心をおさめ、心を込めて生きる」

という心得を、やさしく説く。

人と人、心と心をつなぐ、心の殻を突き破る、自らを省みる、などを語る。

●以前ご紹介し(必読本 第845冊目参照)、大変な感動と衝撃を与えた千日回峰行達成者、

塩沼亮潤さんの最新刊。

先月4月頭に発売された後、飛びつくように即刻購入していたのだが、

引越し作業の忙しさがあって、読まずに後回しになっていた。

サラリと読めそうだったので、昨日午前一気に読破しました。

●著者は、毎週日曜日の午後1時に、ご自分のお寺において、

護摩祈祷の後、参拝された方々に講話をされているらしいのだが、

本書はその時のお話が一冊にまとめられたものである。

本年41歳という若さながら、超人的な修行を掻い潜られた高僧だけに、

地元のみならず、日本全国から数々の悩み相談が寄せられているのだろう。

本書は、それら苦しみ多き人々に向けて語るかのような形で、

いかにして楽に生きることができるかを淡々と説き明かしてくれる本です。

●言葉は易しいが、非常に示唆に富む書である。

下に3点ほど重要なメッセージを抜書きしておいたが、

それだけに絞りきれないほど、至言名言が散りばめられている。

他に心に響いたこととしては、

「誰一人見ていない時でも、居住まいを正す」、

「何百回、何千回もやっているわかりきったこと、

単調なことでも、手を抜かずに愚直に繰り返す」、

「嫌な人は、自分を修行をさせるために現れたのだと思ってつきあう」

などであろうか。

狭い寺の小僧時代に、いじめ、無神経な同僚に相当に苦しみ抜いたとのことで、

会社や学校での人間関係に悩んでいる方には、特に参考になる。

●ただでさえ、口述したものなのでスラスラ読めるのだが、

字体も大きいので、速い人だったら1時間ほどで読破できる。

こういう聖人のような方のお話は、

万難を排してでも直接聞きに行くべきなのだが、

遠方の方々は、なかなかそういうわけにもいかないでしょう。

解脱した人というのは、これほどまでに人相が良くなるものかと

感嘆させられる塩沼さんの顔写真とともに、心を洗いたい方、必読の書です。

ちなみに、いわゆる千日回峰行時の苦労話はあまり出てこないので、

読む順番的には、前回の塩沼さんの著書を読破後に読まれることを

老婆心ながら付記しておきます。


【マストポイント】

@「努力というものは、できるときにたくさんしておいたほうがいいと思います。

努力のコツのようなものをつかんでいる人は、

放っておいても一人でどんどん努力していきますが、

努力が嫌いになったときに、やる気を起こさせることは至難の業です。

人生には、初めからなんでも上手にできるということはありません。

どんな達人と言われる人でも、初めは初心者です。

「がんばります」と奮起しても、迷うときもあり、悩むときもあります。

不平不満をもつときもあり、押しつぶされそうになるときもあります。

しかし、心の片隅でもかまいません。

「がんばるぞ」という、小さな小さな努力の火を絶やすことなく

もち続けることです」

A「どんなことがあってもいいように、

「仕事は早く丁寧に」を心がけ、全体の流れに支障がないように、

時間の貯金をしなければなりません。

何事もアクシデントが起きてしまってから対応したのでは、後手になります。

どんなことがあってもいいように、必ずゆとりをもつことです」

B「自分の集中力に百の段階があるとしますと、

スタートしてから、一、二、三……十、二十、三十と、

高まっていって最終的に百になるのではなく、

スタートの時点で百の土台に高まっていなければなりません。

精神を集中し、百の土台から始まるからこそ、

プラスアルファの不可思議な力が出て、初めて人の心を動かし、

皆さんに感動してもらえます。

自分の限界を押し上げるような努力をするからこそ、

自己の成長があります」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

塩沼 亮潤
1968年仙台市生まれ。1986年東北高校卒業。1987年吉野山金峯山寺で出家得度。1991年大峯百日回峰行満行。1999年大峯千日回峰行満行。2000年四無行満行。2006年八千枚大護摩供満行。現在、仙台市秋保・慈眼寺住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。





ラベル:塩沼亮潤

2009年05月14日

必読本 第884冊目 自分を育てるのは自分―10代の君たちへ

必読本 第884冊目

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自分を育てるのは自分―10代の君たちへ

東井 義雄 (著)

¥ 1,260 (税込み)

ソフトカバー:173ページ

2008年10月30日 初版



●「世界でただ一の私を、どんな私に仕上げていくか。

その責任者が私であり、皆さん一人ひとりなんです」

教育界の国宝と呼ばれた「いのちの教育」の実践者が若者に向けて、

自分で自分を育てる責任について説いた講演録。

●致知出版社関係の書物にやたらと名前が出てくるので

以前から名前だけは知っていたのだが、

手に取る機会が今までなかった著者。

あの森信三とともに、多くの同業教師陣が仰ぎ見るほどの

存在だったという伝説的名教師、東井義雄さんの講演録である。

本年4月に読了し、既に他の方に譲ってしまって、

今現在本体は手元にないのだが、記憶を辿りつつ書評を書いておきます。

●まず、超極貧の中から、言語に絶する奮闘努力の末、

教職の資格を取得したという著者の生い立ちに衝撃を受ける。

自転車もなく、片道数十キロを徒歩で通学していたという話など、

贅沢繁栄の極みの現代人から見れば、

息を呑むほどの過酷な話が続き、軽い気持ちで読み始めた読者は、

一気に真剣な気持ちにさせられる。

●それに続き、著者が出会った数々の障害者の苦労話、

感動話が続くのだが、ほとんどの読者は涙を抑えることができないだろう。

世の中には、これほどまでの不遇にもかかわらず、

己に負けずにたくましく生きている人がいる。

不平不満だらけだった人は、

すべてのことに感謝しないではいられなくなる。

●結論として言えば、社会経験のない子供、生徒たちに向かって、

「生きるということはどういうことか」、

「どういう精神で短い人生を生きなくてはいけないのか」をテーマに

語ったものだが、まずもって大人が読むべき書物である。

いやがうえにも、一刻一秒真剣に生きなくてはならない、

他人任せ、責任転嫁をしていては絶対に幸せになれないと痛感させられます。

口語体なので読みやすさは最上ですが、読後は、あまりの感動に、

しばらくの間は茫然自失の状態になること必定です。

●将来、教師を目指している方ならば、当然の必読本。

のみならず、若い人を束ねていかなくてはならない

中間管理職、経営者などにもおススメです。

校長として、並々ならぬ業績を残した東井さんの姿に、

統率者としての不動の精神を学ぶことができます。

また、前回ご紹介したワタミ渡邉美樹さんの本とともに、

5月病でウツ気味の若者にも是非推薦したい。

自分の悩みがちっぽけに思え、一気に力を取り戻すことができます。


【マストポイント】

@「結局、道にいい道、悪い道というのがあるのではない。

その道を、どんなふうに生きるかという、その生き様によって、

良く見える道も悪くなったり、悪く見える道も良くなったりするんですね。

結局「僕の10年先を見とれ!」ということにならんと、

人間はものにならんということです。

どうか、そんなつもりで進路の問題を考えてください」

A「今が本番、今日が本番。

明日がある、あさってがあると思っているようでは、

何もありはしない。かんじんの今さえないんだから」

「子供こそは、大人の父ぞ」

「いくらまわされても 針は天極をさす」

(高村光太郎の言葉。「磁石の針はいくら回しても、

結局天の極まるところを示して、狂うことがない」の意。

「毎日予想外の大変なことがたくさん起きるが、子供たちのために学校がある、

子供たちのために自分がお世話させてもらっている、このことは

絶対に動かしてはならない」と、いつも自戒していたという)

B「皆さん、お父さんもお母さんも先生方も、

皆さんについて来てくださることができない日がくるんですね。

皆さんが自分の二本の足で歩く日が来るんですね。

このことを忘れていると、今から始まる人生、ろくな人生にならんでしょう。

そして、今のような、豊かな、恵まれすぎた状況の中におればおるほど、

人生がダメになってしまうことでしょう。

独り来たり、独り去りて、ひとりも随(したが)う者なけん」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

東井 義雄
明治45年兵庫県但東町に生まれる。昭和7年姫路師範学校を卒業、豊岡小学校に着任。以後、但東町内の小学校に勤務、32年『村を育てる学力』で反響を呼ぶ。34年但東町の相田小学校校長に就任。中学校長を経て39年八鹿小学校校長に着任。41年より『培其根』を発行。47年定年退職し、兵庫教育大学大学院、姫路学院短期大学講師などを務める。平成3年死去。享年79歳。「平和文化賞」(神戸新聞社)、「教育功労賞」(兵庫県・文部省)、「ペスタロッチ賞」(広島大学)、「正力松太郎賞」(全国青少年教化協議会)などを受賞。

ラベル:東井義雄

2009年05月12日

必読本 第883冊目 強運になる4つの方程式-もうダメだ、をいかに乗り切るか

必読本 第883冊目

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強運になる4つの方程式-もうダメだ、をいかに乗り切るか

渡邉 美樹(著)

祥伝社

¥777(税込)

新書: 202ページ

2008年5月1日 初版



●こうすればピンチがチャンスに変化する!

ワタミ社長が日々実践している「成功法則」。

●ワタミ創業者の渡邉美樹さんは、今更言うまでもないことだが、

24歳にして起業後、40歳にして東証一部上場を達成、

グループ全体で1000億円規模の売上を誇る、

日本を代表する大企業をたった一代にして作り上げたという意味で、

大変な尊敬を得ている社長さんである。

ファンの方も多いことでしょう。

本書は、その大成功の要因を4つの要素に分解し自己分析、

知られざるエピソードを散りばめながら、自伝風にまとめ上げた書物である。

●一読して痛感させられるのが、

渡邉さんの強固な克己心と、夢、目標に対する要求水準の高さ、

人格の高潔さである。

ここまで己をセルフコントロールできるものかと、誰もが驚愕させられる。

後半、人の顔つきを見れば、その本性が一発で読めると

書かれている箇所は、誰もが身につまされると思う。

挨拶、礼儀、目線、服装髪型、話し言葉がいい加減な若年サラリーマンは、

自然と背筋が真っ直ぐになるはずである。

●渡邉さんには大変著書が多いので、

個人的な来歴はそれなりに知っていたつもりだったが、

特に、師であるつぼ八の石井誠二さんとの出会いと薫陶に関する

エピソード、佐川急便で地獄のような労働環境にもかかわらず、

そこから逃げずに300万円の開業資金をきっちり1年で作った話が心に残る。

他にも、例のコムスンの介護事業引き受け話における顛末、

政治家など、有力者を使った裏取引は嫌いだという話、

無数のデータが頭に入っているからこそ、直感で答えが出るという話、

門外漢だから、逆に外食でも介護でも成功することができたという話、

どんなに大金を得ても、自家用ヘリ、フェラーリなど、

一線を超えた贅沢品を買わないという話なども面白かった。

●巻末はお悩み相談コーナーである。

就活中の学生や、新人サラリーマンから

必ず出てくるだろう典型的な質問が列挙され、

渡邉さんが明快な答えを寄せている。

本書は、5月病になりかけている方に是非ご一読をお勧めしたい。

意気揚揚と4月に入学、入社したにもかかわらず、

「理想と現実」のギャップに悩み苦しんでいる人のカンフル剤になりうる。

自分の甘さ、心の弱さを猛省させられるはずです。


【マストポイント】

@「私は、仕事においても人生においても、

必ず「違うこと」を想定しておきます。

いつも「こうなったらこう」、でも「こうではなかったらこう」というように、

ふたつのシナリオをあらかじめ考えておくわけです」

A「私は、最終的に、売り上げが上がらない、

もしくは利益が取れない事業というのは、

社会から歓迎されていないというように解釈しています。

つまり、自分がいいと思うことを提案しても、

売り上げが上がらないということは、受け入れてもらえていないということ。

社会は、その提案に対して、

「まあまあだね」という評価しかくだしていないということです。」

B「私は嫌いなことや苦手なことをやるほど、人生は長くないと思います。

人生は短いし、人間はすぐ死ぬものなのです。

嫌いなものや苦手なことを克服する時間などありません。

私は、10歳のときに母親を亡くしました。

その影響もあってか、私は常に時間を意識して使っています。

明日死ぬかもしれないという、強迫観念があるからです。

一流の人間と凡人との分け目は、「今日を一生懸命生きなきゃいけない」ということを

意識しているかどうかだと思います。

時間を有限だと思っている人は、一流に近い。

今日も明日も、なんとなく時間が続いていくと思っているような人で、

一流になった人間はおそらく一人もいないでしょう。

ですから、嫌いなことや苦手なことではなく、

好きなことに全力を投じるべきです」


(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

渡邉 美樹
1959年、神奈川県生まれ。ワタミ株式会社代表取締役社長・CEO。92年、居食屋「和民」を開発。2000年、40歳で東証一部上場を果たした。06年、持ち株会社に組織を改め、外食事業の他、介護、農業、環境の各事業を本格展開中。郁文館夢学園理事長、盈進会病院理事長、NPO法人「スクール・エイド・ジャパン」理事長、日本経団連理事でもある。




ラベル:ワタミ 渡邉美樹

2009年05月04日

必読本 第881冊目 斎藤一人 この不況で損する人この不況で得する人

必読本 第881冊目

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斎藤一人 この不況で損する人この不況で得する人

斎藤 一人(著)

KKロングセラーズ

¥1,575(税込)

単行本: 109ページ

2009年5月1日 初版



●今は夜明け前。暗黒の時代の終わり、のはじまりです。

そのときには、学ばなくてはならないことがあるのです。

その学びをみんなが終えたら朝日がのぼり、不況も直ります。

それは、まさしく「日の丸」の時代、日本の時代がくるのです―

こんな考え方があったのか!目からうろこがゴロゴロ落ちる。

斎藤一人プレミアムCD付。

●今月頭に発売されたばかりの一人さんの新刊。

昨年末に何冊か関連書籍が発売されたが、

今年になってからはあまり動きがなかった。

初夏の訪れとともに、ここに来て、出版ラッシュが続いている。

●内容的には、心の仕組みや不思議現象を論ずることが多い一人さんには

非常に珍しく、日本経済の見通し、不況の脱し方を語った内容になっている。

本年1月6日に行った講演会の模様を文章化したもので、

本文とおまけのCDは全く同じ内容である。

文章を読むのが億劫な人、車通勤の人などは、

CDだけを聴いても全く問題はない。

●一応、メインテーマは「不景気の脱し方」ということになっているが、

やはりというべきか、結局のポイントは、

感謝、愛、言葉がきれいかという、毎度おなじみの一人流成功哲学に

帰着する。

読む楽しみを無くすので詳述まではしないが、

これほどまでのモノ余り、先進技術の行き詰まり現象の世の中、

その会社、働く人間の心が崇高なものかどうか、

その人の心の中に愛があるかどうかが、未来の命運を決するという。

同じ商品を扱っているチェーン店でも、

つっけんどんで、無愛想な店員がいる店よりも、

愛想がよくて、何かと細やかな気遣いができる店で

買い物したくなる消費者心理を指しているのと、

言わんとしていることは結局同じであろう

(上京後気づいたことだが、

同じ池袋にあっても、無印良品、ツタヤ、マクドナルド、

同じ商品を扱っている店の間で、接客のレベルに明らかな優劣がある。

やはり、好ましい印象の店でリピーターになるのは

人情として当然であろう。

また、東急ハンズと、スタバの接客の良さも出色であった)。

●何か、自分では見当もつかないようなスランプ状態にある方、

どうも最近客離れが激しいとお悩みの店主、

リストラに怯えているサラリーマン、

普段自分が喋っている話し言葉が下品だとお悩みの方(笑)などに

推薦したい本です。

例によって、極めてシンプルな作りとなっておりますが、

非常に深い意味が込められた本です。


【マストポイント】

@「技術的なことは、機械でも、要するにロボットにでもできます。

知識は、今、電子辞書にも入っています。

そのなかで、大切にされる人間は、

「この人の心が素晴らしい」といわれる人です。

知識だけ、いっぱいある人よりも、

「この人だったら、部下としてついていきたい」という人が

出世するようになるのです」

A「ストレスとは「嫌なこと」です。

ただ、この世から、嫌なことを消すことはできないのです。

その意味では、この世からストレスはなくならないけれど、

実は人間はストレスを消すことができるんです。

なにか嫌なことがある度に、

「これはいいことなんだ」と思ってください。

「嫌なことなんだ」と思う前に、「これはいいことなんだ」って。

「いいことなんだ」と思うと、ストレスの大半、

全部はなくならないけれど、だいたいは消えるようになってるの。

「今日はいい日だ」というのもいいです。

いえば、今日一日がいい日になっちゃう。

本当なんです、これ」

B「私は別に「会社に色んな不満をぶつけたり、要求をしてはいけない」

「『つらい』といってはいけない」といっているのではありません。

私がいってるのは、

「あなたの言葉に、愛があるだろうか。

しゃべっている言葉に、心の豊かさがあるだろうか。

心が豊かにならないと、実際に豊かになれない時代がきたんですよ」

ということです」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

斎藤 一人
「スリムドカン」などのヒット商品でおなじみの『銀座まるかん』創設者。1993年以来、毎年、全国高額納税者番付(総合)10位以内にただひとり連続ランクインし、2003年には累計納税額で日本一になる。土地売却や株式公開などによる高額納税者が多いなか、納税額はすべて事業所得によるものという異色の存在として注目される。




ラベル:斎藤一人

2009年03月21日

必読本 第877冊目 掃除が起こした「奇跡の力」

必読本 第877冊目

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掃除が起こした「奇跡の力」

鍵山 秀三郎(著)

¥1,575(税込み)

講談社

ハードカバー:206ページ

2008年12月18日 初版



●掃除は心磨き。掃除で社会が、日本が変わる。

きれいな心の人が掃除をするのではなく、掃除をするから心がきれいになる。

掃除こそが自分を変え、周りを変える。

教育や行政の現場で掃除が起こした奇跡の数々。

●久しぶりに読む私の「心の師匠」鍵山秀三郎さんの本。

大変な尊敬を得ている人物であることもあり、

ここ数年は色々な出版社から数多くの著書が出版され続けているが、

なかなか新刊を手にする機会がなかった。

講談社からは初めての出版となるだろうか。

●本書は、「学校」、「地域」、「企業」、「生き方」など、

テーマごとに全5章に分かれ、

鍵山先生の掃除哲学に共鳴し、掃除を実践したことによって

どのような「奇跡」が起こったのかを

わかりやすい文章で報告してくれる内容となっている。

写真が数多く掲載されているのも特徴のひとつ。

●既刊の著書とも重複するものがあるが、

やはり、何度読んでも心にズシンと響くような感動的エピソードが多い。

収容施設に連れて行かれる前に掃除哲学に目覚めた不良少年の話、

世界一の歓楽街新宿歌舞伎町を一斉掃除し、

治安が回復された話などが特に心に残る。

著者と深い縁のある、塚越寛、元岡健二、藤本幸邦、桜井章一、

花森安治、森信三、下村湖人、河井寛次郎さんなどという著名人の名前も見える

(ただ、つい最近、不倫問題で世間を大きく騒がせた

横浜市長中田宏さんを絶賛する箇所だけは、本書的にはタマにキズである。

講談社も、アチャーと思ったことだろう。

ゴミ問題には並々ならぬ熱意を持っているようだが、

私生活が乱れていては、そのうち鍵山先生の信頼を失ってしまうことになる)。

●実名は避けられているのだが、

大企業、権力の中枢にいる人間を批判するメッセージも非常に多い。

本はずっと残り、ちょっとした発言ひとつで大騒動に発展することが

ままあるので、あまり特定人物を批判するようなことは避けるものなのだが、

鍵山先生はそんなことを恐れもせず、

私が言わなければ誰が言うんだ、というある種の義憤に駆られながら、

ズバッと世の中の問題点を指摘する。

●最終第5章は、鍵山先生が最近思うことをアトランダムに綴った箇所なのだが、

非常に考えさせられるような内容が多い。

食品偽装や食料自給率の低下は、自分勝手な消費者に起因する問題、

裁判員制度は日本人には馴染まない、

手間隙かかった商品がそれなりの値段になるのは当たり前、

製造業者に敬意を払うことを忘れてはならないなどという言葉は、

全日本人がよくよく噛み締めなければならない言葉だと言えましょう。

●しかし、私も初めて知って驚いたのだが、

鍵山さんは、奥様から呆れられつつも、

毎朝通勤するために、5:09の始発の電車に乗り、

自宅を4:45に出ることを自分に課しているのだという(!!!)。

自宅で出た野菜くずなどを捨てず、

会社の近くの公園内にあるゴミ置き場に持参して堆肥作りをしているなど、

恐れ入るとしか言い様がない。


【マストポイント】

@「どんなに才能があっても、傲慢な人は人を幸せにすることはできない。

人間の第一条件は、まず謙虚であること。

謙虚になるための確実で一番の近道が、トイレ掃除です。

文字通り身を低くして掃除をすることで、

下からものを見ることができるようになります。

いつも上から見ていたものが下から見るとまったく違って見える。

それまでは「汚くていやだ」と思っていたトイレを磨く立場となって、

使う人のことを考えることができます。

きれいに使ってくれる人には心から「ありがとう」と思えるようになる。

相手が変わらなくても、自分が変わることによって、

自分と相手の関係性を変えることができます。

そのうちに自分が変わった分だけ、相手も変わってくるものです」

A「今の日本の企業は、大きくなればなるほど、

自社の利益ばかりを追い求めるような姿が目につきます。

環境対策や寄付行為なども行っていますが、

イメージアップや売上向上のためのセールストークにすぎない場合が多いのです。

そして、そのことに消費者も気づきはじめています。

心ある人たちは「エコ」という言葉に疑念を抱いてもいるのです。

本来、企業は大きくなればなるほど、地域社会と密着すべきです。

自分たちの会社のまわりを汚しておいて、地球の裏側の環境対策のために

莫大な投資をするというのでは本末転倒。

自分の手足を動かし、まずは地域のために役立つよう、誠心誠意尽くすこと。

その行為なくして、本当の社会貢献はありません」

B「いいことを実行するうえで心がけなければいけないのは、

人に認めてもらおうとしないことです。

いいことをしても、まず人は何か裏があるのではないかと疑ってかかります。

掃除やゴミ拾いといったレベルのことでも、

3年、5年と続けてはじめて気づく人がいるくらいなものです。

いいことは続けなければ意味がありませんが、

人に認めてもらうという見返りを期待しては、

とうてい続くはずがないのです。

同様に、神仏に何かを与えてほしいと期待してはいけないし、

人に対しても、自分の願いごとのためにあてにすべきではありません。

人が自分の思ったように考えたり、行動したりすることはないのです。

期待すればするだけ、がっかりすることになります。

何かに期待し、見返りを求め、それが裏切られたときには他人のせいにして

ばかりいては、幸せな人生にはつながりません」

(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

鍵山 秀三郎
1933年、東京都生まれ。52年、疎開先の岐阜県立東濃高校を卒業後、一時代用教員を務める。53年、上京して自動車用品会社「デトロイト商会」に入社。61年、独立して「ローヤル」を創業。当初は、自転車1台の行商からスタートした。97年、東証第一部上場とともに、社名を「イエローハット」に変更。98年、同社相談役となる。創業以来続けている掃除に共鳴する人が増え、93年に「日本を美しくする会」が発足。その後、「日本を美しくする会・各地区掃除に学ぶ会」として国内外に広がり、国内118ヵ所、海外4ヵ所が登録されている。現在、同会の相談役を務めている。


ラベル:鍵山秀三郎

2009年03月17日

必読本 第874冊目 食いしばるために、奥歯はあるんだぜ!―会社と社員が元気になる伝説の人生相談

必読本 第874冊目

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食いしばるために、奥歯はあるんだぜ!

―会社と社員が元気になる伝説の人生相談

大條 充能 (著)

¥1,155(税込み)

ポプラ社

ソフトカバー:247ページ

2008年12月3日 初版



●リクルートの社内報で17年間、

社員の悩みに答え退職して10年経った今も連載中。

『ダ・ヴィンチ』『B‐ing』『就職ジャーナル』…

さまざまな雑誌でも独特の人生相談を展開。

大條充能の人生相談には、

マイナスをプラスに劇的に変換するすさまじいパワーがある。

ビジネスや人間関係に応用できるヒントに充ちた驚異の一冊。

●著者の存在は今まで全く知らなかったのだが、

図書館の新刊コーナーになにげなく置かれていたので、読んでみた本。

リクルート社の社内誌、関連雑誌で、十数年もの間好評連載中という、

一風変わった人生相談本である。

●見開き2ページに右に質問文、左に回答文という構成。

著者と社員時代に縁のあった著名人4名も含め、

約100個ほどの悩みが掲載されているのだが、

とにかく、回答者の口調がぶっきらぼうで、へんてこりんなのである。

今はなきホットドッグプレスに連載されていた北方謙三さんの

伝説の人生相談コーナー「試みの地平線」(必読本 第338冊目参照)に

影響を受けたということもあり、

「熱いぜ!」という言葉が事あるごとに

文中で繰り返され、小気味のよいリズムを与えているのである。

人生の酸いも甘いも経験したアニキが後輩に懇々と説教するスタイルを

とっているのだが、時に暴論、時に爆笑が絶妙に挟み込まれ、

熱めな男なのに、不思議とウザさは感じない。

●なぜなら、路線はあえて奇をてらっているのだが、

著者の思想、志は非常にまっとうだからである。

この手の人生相談本にありがちな、

変に常識におもねった、きれいごと的な回答で済まさず、

ピアスと茶髪で就活したい学生には、サングラスまでかけて目立てと言うし、

外食ばかりの生活をどうにかしたいサラリーマンには、

外食にお金を使うのは消費拡大、景気回復に繋がるすばらしいことだ、

お金をドンドン使って人脈やいい店を開拓しろと言うし、

とにかく、そんな角度から来たか!と膝を打ってしまうような

斬新な回答を寄せている。

扱われている内容も、恋愛離婚、人間関係、お金、ダイエット、

性格改善、仕事など多岐にわたる。

どんな年齢層の人が読んでも楽しく読める。

●初めは何気なく読み始めた本だが、

読むごとに引き込まれ、一気に読了してしまった。

読んだ後の爽快感は格別なものがあるし、

悩んでいたり、落ち込んでいたりする学生、社会人の方は、

確実に元気と勇気がもらえるはずである。

しかし、著者は、青森県から高卒でリクルート入りしたという

経歴だそうだが、

田舎者にありがちな変に物怖じしたところが全くなく、

やりたいこと、言いたいことを何でも速攻でやってしまうという

このバイタリティの強さにはホトホト感服させられる。

それほどメジャーな方ではないかもしれないが、

これからもっと脚光を浴びる予感がします。


【マストポイント】

@「そもそも自立ってことは、精神的にも経済的にも苦しいことだぜ!

親が子どもに干渉するのは当たり前のことだぜ。

それは、愛情以外の何物でもないぜ。

そして、その愛情から徐々に距離を取っていくことが自立ってことだぜ」

A「お金に対して甘えるやつは人生すべてにおいて甘えるぜ。

支払い方が人格を決めるぜ!

本来、どんなことがあっても正しい人間関係は割り勘だぜ。

払ってもらうことに慣れているやつは人間失格だぜ!

ただより高いものはないという事実を実感できないやつは、

必ずや人生において落とし穴にはまるぜ!」

B「プライドと見栄は全く違うぜ!

あえて言っておくぜ。

見栄というのは、自分を偽って良く見せようとすることだ。

プライドとは、ありのままの自分を信じることだぜ。

もし、お前が素直になれないというのであれば、

そんな見栄は捨ててしまえ!」

(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

大條 充能
1965年生まれ。1984年株式会社リクルートへ入社。総務部にて社員向け全社イベント企画を担当。リクルートのお祭り男として稀有の才能を発揮し注目を集める。90年、リクルート事件のさなか「総務部DaijoBand」を結成し、TBS『いかすバンド天国』に出演したことが社内で話題に。91年リクルート社内報『かもめ』で人生相談コラムを開始し、リクルートナンバーワン有名人の座を不動のものとする。更にリクルートが発行する情報誌『ダ・ヴィンチ』、『B‐ing』、『就職ジャーナル』、『フォレント』や当時リクルートに資本参加していたダイエーの社内報『Dai好き』などでも人生相談コラムが実施され、その人気はリクルート関係者の誰もが認めるものとなる。現在も『かもめ』、『ダ・ヴィンチ』の人生相談コラムはキラーコンテンツとして17年目に突入。98年にリクルートを退社。IO(イオ)契約社員1号として、同社と契約を結ぶ。99年、企業の節目に社員総会などのコミュニケーション施策によってインナーブランディングをプロデュースする会社、株式会社ゼロインを設立、代表取締役社長に就任。



ラベル:大條充能

2009年03月05日

必読本 第868冊目 一日一生

必読本 第868冊目

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一日一生

天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉 (著)

¥735(税込み)

朝日新聞出版

新書:191ページ

2008年10月30日 初版



●現代の“生き仏”と称される酒井雄哉・大阿闍梨の慈雨の言葉。

なぜ生きるのか。どう生きるべきか。

苦しみや死をどう受け止めたら良いのか。

人生に迷い悩むすべての人に。

●千日回峰行を2回も達成したという、超人的な僧侶、酒井雄哉さんのエッセイ。

昨年末に発売された。

新書ブームということもあり、各出版社からは興味を引く本が

続々と出版され続けているが、

本書は頭の隅でずっと気にかけながらも読む機会が延び延びになっていた本。

●口述したものを録音し、後で文字化したものゆえ、

極めて読みやすい文章になっている。

飾らない言葉の中に、酒井さんの親しみやすいお人柄がにじみ出ております。

「一日一生」、「道」、「行」、「命」、「調和」とテーマ別に

章が分けられ、各話が2〜4ページと短文であるので、

多忙な人にうれしい構成です。

全体通しても1時間ほどで読破可能です。

●学生時代、軍事学校で戦地に行く専門訓練を受けていたこと、

戦後働き始めるも職が定まらず、浮き草のような生活を送っていたこと

(株暴落で多額の負債を抱え、借金取りに追われる、

荻窪駅前で営んでいたラーメン屋が火事(放火の可能性も)になり、

挙句の果てにその一等地を国から強制没収までされる)、

新婚2ヶ月目の奥様をガス自殺で失い、途方にくれていた時、

導かれるかのように比叡山延暦寺の門を叩いたことなど、

ともかく、著者の前半生は挫折続きの連続、悲惨さを極めていた。

これほどまでの偉業を達成された高名なお坊さんにもかかわらず、

少しも偉そうな素振りを見せず、にこやかな笑顔を絶やさないのは、

そういう数奇な人生を歩んでこられたという背景があるのである。

●また、印象的だったのは、命まで関わるほどの過酷な修行を日々行いながらも、

悲壮感など全くなく、あたかも毎日の洗面や歯磨きと同じぐらいの

当たり前さで、一瞬一瞬、一日一日をこなしていくその堅実な姿だった。

以前、ご紹介した千日回峰行の本(必読本 第845冊目参照)と比べ、

ハードな体験談がほとんど語られていないのである。

あたかも、鬼ヶ島に鬼退治に行く桃太郎よろしく、

犬2匹を引き連れて千日回峰行の野道を散歩のように楽しむ話や、

琵琶湖の絶景に感激する話など、

神仏のみならず、森羅万象すべてに守られながら、

過酷な修行をエンジョイしつつ達成したとしか思えないものがある。

●千日回峰行達成日の満面の笑顔、履き潰した草鞋の数々、

飼い犬「金チャン」と戯れる姿など、

随所に収められている写真などにも、著者の普段の生活が感じられます。

女の子を陰湿にいじめていた話、会社の金を横領していた話、

師匠、両親、海外で見聞きしたエピソードなども心を打つでしょう。

章末尾には、本文で出てくる「比叡山」、「千日回峰行」の用語解説をする

コラムがあるのも、初心者には親切ですね。

●学校中退、中途退職など、人生にドロップアウトしてしまった方、

悲惨な体験がトラウマになり、いまだに精神的に立ち直れない方などに

非常におすすめの本です。

サラリと読めますが、生きる活力が沸々と湧いて来るはずです。


【マストポイント】

@「「二度の千日回峰行を経てどんな変化がありましたか」と

よく聞かれるけど、変わったことは何もないんだよ。

みんなが思っているほど大層なもんじゃない。

行が終わっても何も変わらず、ずーーっと山の中を歩いているしな。

戦後、荻窪の駅までラーメン屋をやってたことがあるんだ。

今でも材料があれば、チャッチャッチャって作っちゃうよ。

今と同じですよ。

人間のすることで、何が偉くて、何が偉くないということは

ないんじゃないかな。

仏さんから見ればみんな平等。

自分の与えられた人生を大事に、

こつこつと繰り返すことが大事じゃないかな。

自分の身の丈に合ったことを、毎日毎日、

一生懸命やることが大事じゃないの。

人間から見た偉いとかすごいこととかなんて、

仏さんから見れば何も変わらないから」

A「ひどいよな。

荻窪駅前の土地を、スズメの涙の立退き料で没収された時には、

目の前が真っ暗になったよ。

そういう時代だったのかもしれないがな。

どんなにひどい目にあっても、時間がたてば必ず、

いろいろなことがあったなあ、と思える日が来るよ。

後になってから意味がわかることもある。

だから、あせることも、自分はだめだと思うこともないよ。

目の前のことをただ、一生懸命やるだけだよ。

人生はその時だけじゃないんだって」

B「行の最中、力尽きてここで倒れて死んだら、

ぼくの体は小山の土になるんだなあと思った。

それがうれしいような気がした。

いろいろな生き物たちの栄養になれるなら、それは幸せなことだなあと。

今でも、どこかを歩いている最中にパタッと倒れて、

そこで埋めてもらって土に還ったらいいなあと思うんだよ。

外国だったら、「どうやら日本人のようだがなあ」なんて言われたりしてな。

だから、「おれが死んだら、念仏はいらないよ」ってよく言っているの。

坊さんが坊さんに経を上げてもらうなんてちょっと照れくさいしな。

死ぬときは「じゃあ、ちょっとそこまで出かけてきますわ」

なんていうのがいいな」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

酒井 雄哉(さかい ゆうさい)
比叡山飯室谷不動堂長寿院住職。1926年、大阪府生まれ。太平洋戦争時、予科線へ志願し特攻隊基地・鹿屋で終戦。戦後職を転々とするがうまくいかず、縁あって小寺文頴師に師事し、40歳で得度。約7年かけて約4万キロを歩くなどの荒行「千日回峰行」を80年、87年の2度満行。その後も国内や世界各地を巡礼している。





2009年03月01日

必読本 第866冊目 起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

必読本 第866冊目

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起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術

勝間 和代 (著)

¥1,575(税込み)

ダイヤモンド社

ソフトカバー:351ページ

2008年11月28日 初版



●勝間和代が、本格的に書き下ろした、初の自己啓発書!

「勝間式4つの技術」で、運を戦略的につかむ!

「運命の成長パス」を無限に広げる方法。

勝間式「捨てる技術」。

グズグズ、ダラダラの優柔不断な自分を変える方法。

実践!勝間式「立体思考法」。

「4つのダイヤ」で「パーソナル資産リッチ」になる方法。

人間関係を安定させるにはどうしたらいいのか。

●一頃は、世の流行もあって熱心に呼んだ「勝間本」であるが、

最近は似たようなテーマの本ばかりが量産され続けていることもあり、

少し距離をおいてきた

(余談だが、テレビの司会はどこもかしこも島田紳助ばかり、

出版界も勝間和代におんぶに抱っこ。

大ハズシしたくないばかりに、「手堅い」人ばかりが重用されるという現象がある)。

本書は、昨年末に発売された著者初めての「自己啓発」本という触れ込みの本。

地元図書館で運良く借りることができましたので、

2日ほどかけて一通り読んでみました。

初めに感想を記しておくと、「う〜〜〜ん」と唸ってしまうような本であった。

●副題にあるとおり、人知ではどうにもならない「運」というものを

戦略的に引き寄せるためにはどのようなことを行っていけばよいのかを

事細かに解説してくれる内容。

今まであまり触れることがなかった子供、学生時代のパッとしなかった思い出話も

包み隠さず公開し、どのようにして今の大成功を得ることができたのかを、

読書や会社員時代の体験と絡めて具体的に解説していく。

●例によって、情報量は膨大で、初めて著者の本に触れる読者は、

余りの多さに戸惑いさえ覚えるだろう。

しかし、ベテラン読者はやや食傷気味、毎度の「ごった煮」的な印象は否めず、

「確かにここで紹介されている法則をすべてこなせば運は良くなるだろうけれども、

現実にすべて記憶し、実行できるような人など、

時間的にも資金的にも精神的にもまずはいないだろうな」という

空虚感だけを抱かせる。

利他主義の効用、潜在意識の利用の仕方など、随所に

類書では見られない鋭い分析が施されていてハッとさせられるが、

説明調の文章にややくどさがあり、

もっとシンプルに書けなかったのかという疑問もあります。

読後、実行可能なのは「仏教三毒」のくだりだけか。

●女優黒木瞳、コピーライター糸井重里など、著名人との交遊録、

著作の売れ行き冊数、過去に勤務した有名外資企業でのエピソード、

神田昌典さん、和田裕美さん、高野登さんなど、

公私共に縁の深いビジネス界のカリスマから得た話が

数多く紹介されているが、本人にその意図は全くないにしても、

単なる「自慢話」「受け売り」的な色彩が非常に濃く、

後半ぐらいになってくると、いい加減読むのがしんどくなってくる。

●たしかに、功なり名を遂げた人物だけに、

何かと自分の実績や経歴を披瀝したくなるのは人情としてわからなくもないが、

地方の片田舎に住んでいる私などから見れば、

何か別の国の金持ちたちの高尚な世界にしか思えない部分がある

(別にケチをつけるわけではないが、本文で盛んに名前が出てくる

ご自身企画主宰の印税海外募金プロジェクトにしても、

確かに海外極貧国の援助ということは意義深いことだと思うけれども、

先進国でさえ大不況の真っ只中で、誰もが自分の生活で精一杯の中、

こんなプロジェクトをやることだけでもお金持ちだけにしかできない余業だな、

という冷めた見方さえしてしまいたくなる。

キッチリとした金額の切手を貼らずに、

多めになっても80円切手だけを使うというのも、

細かいお金をないがしろにする金持ちの傲慢さが感じられて、

10円でも大変な価値があるはずの貧困国へのボランティアとは

矛盾するものを感じる。

個人的には、学歴も財産もない若者でも「自己実現」できる私塾みたいなものを

ボランティアでやってもらいたいものだと勝間さんには期待しているが、

まあ、勝間さんの最終目標は、名が知れた大学での経済関係の教授職だろう)。

一般人には手が届かない「高級な自慢話」に持っていくのが著者の最大の欠点で、

もっと普遍的な、汎用的な、素朴な事例を挙げて、話を進める事が

これからはより一層求められる。

●結論としていえば、

個人の体験談を一切抜きにした正統派の自己啓発本スタイルか、

あるいは、良いことも悪いことも包み隠さず公開した

「自伝 勝間和代」という伝記スタイルに絞って行けばよかったのに、

成功マニュアル本と個人体験記がごちゃ混ぜになったような本。

変なたとえだが、生徒会長をやるほどの学校一の秀才女子学生が、

「理想的な学生像」という話を全校集会で得意げに発表しているような本。

確かにそれができれば苦労はしないだろうけれど、

実行できるのはあなただけじゃないの?という感じ。

みんな、顔では賞賛するふりして、心では反感を持つというか。

●ダイヤモンド社から発売された前著は「広く深い」優れた本だったが、

それと比べると、「広くはあるが、浅い」本。

過去本との重複も多く、オリジナルな部分はほとんど見られない。

いかな勝間さんといえどもネタ切れ感は否めないでしょう。

ただ、巻末の愛用品グッズの紹介ページだけは

勝間さんのプライベートな部分が垣間見えて面白かった。

●これほど名前が売れすぎた著者は、

変に自分のプライバシーを隠し立てたりすることは

もはや不可能になるだろうが、次に出る本は、

著書で絶妙に触れるのを避け続けた、バツ2の離婚体験記か、

「シングルマザーで3人の子持ちでもお金持ちになれますよ」的な本になるだろうか。

それなりに執筆に時間をかけて、違った切り口の本で出さないと、

「かわいさ余って憎さ百倍」で、

ブームが一気にバッシングに反転する可能性さえある。

失敗談をドンドン書いて共感を得るなどの工夫をして、

「非の打ち所のないスーパーウーマン」だというパブリックイメージを

徐々に払拭していくことも大事だろう。

今回は辛辣な書評になったが、

注目されている人だけにあえて厳しく書いてみました。



【マストポイント】

@「ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズをはじめ、

成功している経営者の多くは、「わがまま」だと周りから思われているケースが多いでしょう。

しかし、大事なのは、

「わがままである」ことはあくまでも物事を前に動かすときに発揮されるのであり、

「気配りが足りない」ということとは根本的に違うということです。

彼らは単なる傍若無人なわがままな人ではなく、

自分の意志をもってやりたいことに集中するためのわがままを貫いています。

私たちも、人間関係を長期的に築いたり、自分の目標を貫くためにも、

必ずこういった「わがままさ」と上手につき合うことが大切になってくるのです」

A「小さい頃から人に嫌われてはいけないと、繰り返し教育されてきたために、

人に嫌われてはいけないという呪縛が、私たちを「捨てる技術」から遠ざけてきたのです。

しかし、人に嫌われないようにすることで、自分の優先順位がおろそかになり、

結果として、誰にも価値を与えられないような人になってしまうことは、

私たちを育ててくれた親にも、いろいろサポートしてくれた社会にも、

かえって申し訳ないことです。

私たちは1人で生きているのではないからこそ、自分の得意なことを見極め、

自分が得意でないことについてはなるべく時間を使わないようにすることが、

自分に対しても相手に対しても誠実な生き方となります」

B「「起きていることはすべて正しい」の本意は、

「起きていることはすべて、自分に対するメッセージ、

あるいは何らかのチャンスとして受け止めよう。

そして、そのメッセージを分析し、そこに対して自分の持っている

パーソナル資産を正しく割り当て、使いきり、

最大の成果になるように行動を続けよう」という意味です」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

勝間 和代
東京都生まれ。経済評論家(兼公認会計士)。慶應義塾大学商学部卒。早稲田大学ファイナンスMBA。現在、早稲田大学商学研究科博士後期課程在学中。19歳で公認会計士2次試験を突破(当時史上最年少)。21歳で長女を出産。在学中から監査法人に勤務するが、ワーキングマザーとしての働きにくさから外資系企業に転職。以後、アーサー・アンダーセン(公認会計士)、マッキンゼー(戦略コンサルタント)、チェース銀行およびJPモルガン証券(ディーラー・証券アナリスト)を経て、経済評論家として独立。2005年、ウォール・ストリート・ジャーナルから、「世界で最も注目すべき女性50人」に選ばれる。2006年、エイボン女性大賞を史上最年少で受賞。2008年、ベストマザー賞(経済部門)を受賞。3児の母。



ラベル:勝間和代

2009年02月21日

必読本 第861冊目 いまをどう生きるか 現代に生かすブッダの知恵

必読本 第861冊目

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いまをどう生きるか 現代に生かすブッダの知恵

松原 泰道 ・五木 寛之(著)

¥1,500(税込み)

致知出版社

ハードカバー:257ページ

2008年12月25日 初版



●松原泰道氏101歳、五木寛之氏76歳、ともに語った「完熟の人生」論。

よりよく生きよりよく死ぬために。

●最近、書店、図書館の新刊コーナーをよく観察していると、

社会不安的な空気が世の中に蔓延していることもあり、

生きるためのヒントを探すことを目的にしたような、

ブッダ、孔子、老子などの古典系の本を数多く目にするような気がします。

本書は、仏教に関する書物も多い小説家の五木寛之さんと、

御年101歳になられる名僧松原泰道さんの対談本です。

ブッダの生涯を紹介しながら、

迷い多き現代人が、いかにして生きるべきかを解説してくれるというテーマの本です。

ちなみに、25歳という親子ほどの年齢差もあるお二人ですが、

早稲田大学文学部出身という共通点があります。

●この本は、以前NHKのテレビ放送とコラボして出版された

五木さんの「仏教伝来の旅」シリーズと併読すると、

極めて頭に入りやすいでしょう。

ブッダの足跡を辿った時の旅の模様が、本書でも具体的に記されているし、

そのシリーズと本書では、同じ写真が使われているからです。

●宗旨宗派を超えて、一人の思想家、人間の生き方を探求した一人の賢人としての

ブッダを学びたいという方には、極めて得るところの多い本です。

仏教の創始者ブッダは、色々な伝説や迷信など、とても謎に満ちた存在ですが、

何不自由のない王子だった時から、奥さんも息子も捨てて修行の旅に出たこと、

様々な艱難辛苦の末、悟りを開いてブッダになり、80歳で死ぬまで

諸国を漫遊し、教えを伝道していったことなど、

偉人の伝記を読んでいるかのような趣で、その一生を知ることができます。

本書を読み終わると、何か雲の上の存在だったブッダという偉人に対して、

実に親近感を持つことができるはずです。

●寺の僧侶というものは、何かといえば、

すぐに自分の宗派の優秀性ばかり誇示し、

他の宗派や異教などを手ひどく罵倒したりする人がいたり、

生臭いことしか頭になくて、「人の生き方」の何たるかも語ることができないような

俗物丸出しな人がいたりして、閉口させられることが少なくないのですが、

五木さんも松原さんも、仏教というものに対して、

そんな度量の狭い捉え方をしていないことが非常に印象的です。

実に包括的かつ大局的な視点で、仏教を考察されているのが素晴らしい。

●また、驚かされるのは、

一人で寝起きできないぐらいにお体が不自由ながらも、

西洋の文学書も哲学書も読み、他の宗派の教本も毛嫌いすることなく

勉強されるという松原さんの向学心である。

年をとればとるほど、人間というものは頑固でわがままになるものであるが、

意見を異にする他宗派の僧侶とも気軽に付き合い、

謙虚で柔軟な態度を維持し、記憶もしっかりしているというのは、

本当に奇跡的な姿だと思う。

「生涯修行 臨終定年」という自筆の色紙も胸に迫ります。

是非、日野原重明さんとの「100歳対談」を、色々な意味で早めに実現していただきたい。

●カール・マルクスに、「宗教は民衆のアヘンである」という言葉が

あったかと思いますが、

宗教というものは、救いになることもあれば、

毒薬のように身を滅ぼしてしまうような諸刃の剣的要素があるものですので、

充分気をつけたいものです。

宗教、信仰というものに対する、自分なりのスタンスを固めたいという方、

仏教に対する、様々な迷妄を払いたい方などにお薦めの本です。


【マストポイント】

@松原「私は現代人に釈尊の教えをわかり易く解説すると、

「厳粛」「敬虔」「邂逅」の三項目に帰着すると思うのです。

厳粛というのは、いわゆる無常観で、いまはいましかない。

いまは帰ってこない。いまを大切に生きるということです。

第二の敬虔は、「おかげさま」なんですね。自分一人の力で生きているんじゃない。ということ。

第三の邂逅とは、出会い、めぐりあわせ、めぐりあわせによって人生は変わっていくということです。

この3つは、現代語で表すと、

「ありがとう」、「すみません」、「はい」の挨拶語に置き換えられると思います。

厳粛というのは、ここに在るということが容易な事実ではない稀有だということ。

だから、「有り難し」、から「ありがとう」。

「すみません」は、過ちをしたから謝るのではなく、済んでいない、未済ということ、

何が未済かというと、「おかげ」に対するご恩返しが済んでいない、

そういう意味での「す(済)みません」。

そして、天地が与えてくれためぐりあいは肯定するしかないので、「はい」です。

私は、釈尊の教えを現代人が日常生活で体得するには、

この「ありがとう」、「すみません」、「はい」という

挨拶言葉どおりに実行することだと思うんです。

そうすることで、人生はよい方向に回転していくことを、

釈尊は教えているんだと思います」

A「人を帰依させていく宗教家の大きな質とは、

正しい論理や巧妙な話術だけではありません。

やはり、その人の人間味というものが人を動かしていくんです。

(ブッダが死ぬ原因になった料理を提供した)チュンダに対するブッダの気遣いというのは、

彼の人間味、大きさ、やさしさ、

「この人に生涯ついて行きたい」と思わせるような魅力を感じさせます」

松原「本当にそう思いますね。

釈尊は、いいことをしたからいい死に方をするとか

悪いことをしたから悪い死に方をするとか、そういうものじゃない、と教えているんですね。

この世は不条理なものだ、と。でも、不条理でいいんですね。

どんな死に方をしたって、それはたたりとかバチじゃない。

縁によってそうなるんだ、ということです。

私ね、この縁によって死ぬというところはやはり、肝要だと思います」

B五木「仏教は、闇を照らしてくれる光の役目があるのかもしれません。

世の中の闇や心の闇を、淡い光でもいいから、

ほんの一瞬でもいいから、照らしてくれる。

その光が射してくれば安心できる。

仏教というものはそういう光なのだと思います。

日本人は宗教に御利益を求めがちですね。

もちろん、病気平癒、商売繁盛はそれでもかまわない。

そういうことから入って、どこかでまた心の平安につながってくれればいいのですが、

でも宗教の本来の役割はそういうことじゃないでしょう。

いまは将来の不安どころか、明日生きていくことすら難しいと感じる人がたくさんいます。

そういう闇に閉ざされているような時代に我々は生きている。

みんな、この闇の中で道を照らしてくれる光が欲しいはずですから。

その道が照らしてくれる光がブッダの話し伝えたことの中にあるように

僕は思うんです。

そこに光が感じられる気がするんですね」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】


五木 寛之
昭和7年福岡県生まれ。生後間もなく朝鮮に渡り、22年に引き揚げ。早稲田大学文学部ロシア文学科中退。PR誌編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、41年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、『蒼ざめた馬を見よ』で第56回直木賞、『青春の門』で吉川英治文学賞を受賞。56年より休筆、京都の龍谷大学にて仏教史を学ぶ。平成16年仏教伝道文化賞受賞。第50回菊池寛賞受賞。

松原 泰道
明治40年東京生まれ。昭和6年早稲田大学文学部卒。岐阜・瑞龍寺専門道場で修行。26年臨済宗妙心寺派教学部長。52年まで龍源寺住職。全国青少年教化協議会理事、「南無の会」会長等を歴任し、各種文化センター講師を務めるなど、講演、著作に幅広く活躍。平成元年仏教伝道文化賞受賞。





2009年02月16日

必読本 第856冊目 神さまが教えてくれた幸福論

必読本 第856冊目

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神さまが教えてくれた幸福論

神渡 良平・小林 正観(著)

¥1,500(税込み)

致知出版社

ソフトカバー:279ページ

2008年12月25日 初版



●「ナガタ」「ナガサキ」に込められた日本人の正しい生き方が、

私たちを幸福へと導いてくれる。

「「ありがとう」に宿る言葉の力」「仏教が描いた理想国・日本」など、

著者2人の対談を収録。

●小林正観さんの本は、やはり大変な人気で、昨年から今年にかけても

大手出版社から続々と新刊が発売され続けているのですが、

正直な話、一度どこかで読んだことのあるような内容が続いていることもあり、

最近は(他にも読みたい本がたくさんあることもあり)あまり重視してこなかった。

しかし、今回は、正観さんとしては初の対談本ということもあり、

非常に興味をそそられ、購入して読んでみることにしました。

対談相手は、成功哲学、自己啓発の研究家、作家として有名な神渡良平さんです。

雑誌「致知」2008年8月号に掲載された内容を元に、書籍化されたもののようです。

●冒頭、講演会がキャンセルとなり、

たまたま一日だけ空いてしまった休みの日に、

対談のオファーを入れられてしまった話から始まり、

四文字熟語、三文字熟語だけを読んでいくという、珍奇な正観式速読術(おまけ的な話だが)、

「ありがとう」という言葉の話、伊勢神宮の話、トイレ掃除の話、

日本創生の話、釈迦の話など、普段、正観さんが好んで語られるテーマを中心に、

神渡さんと忌憚なく語り合うという感じで進行していく。

文中には、船井幸雄、鍵山秀三郎、乙武洋匡、斎藤一人、朝青龍(明記はされていない)、

江本勝、中村天風、安岡正篤という著名人の名前も出てくる

(正観さんは、船井さんとは会ったことがあるが、

一人さんとは一度も会ったことがないというのは、実に意外であった。

お2人の著書では、相手のことを引き合いに出すなど、深い共通性が見られるが、

頻繁に交流して変に馴れ合いになったりすることを嫌うのか、

絶妙に距離を保ち、相互に影響しあうような関係性を持つのが

ベストだと考えているのだろう。

ちなみに、正観、神渡、一人、すべて昭和23年生まれで、3人が3人とも、

神さまのメッセンジャーのような仕事を近年している偶然に関しても、

本文にコメントがある。

同じ年に生まれた有名人に、似たような使命が与えられるという話は、大変興味深い)。

●致知出版社の本ではお馴染みのように、

字体が大変大きく、ページ数も少なく、極めて読みやすい仕上がりになっている。

口語調であることもあり、一気に読破できます。

正観さんの語り口は、ご自身の著書の内容を補足的に解説しているような感じがあり、

正観本でやや言葉足らずな部分、抽象的な部分を

スッキリさせてくれるような作用があります。

●私的な話ですが、最近、あるお寺の僧侶と、

ちょっとした意見の相違で一悶着あったこともあり、

神仏には、祈願に行くのではなく、

ただ感謝を伝えるだけなのだという話が、特に心に響きました。

世の中の「祈願」系の宗教の類に迷われている方には、大いなるヒントとなるでしょう。

神渡さんに関しては、脳梗塞で生死の境をさまよってから復活したエピソードと、

最近出版された「日本武尊」に関する著書完成にまつわる不思議なエピソードに、

参考になるものが多かったです。


【マストポイント】

@正観「私はこれまでいろんな人を見てきましたけれども、

何らかの事を成した人の足跡をたどっていくと、

みんなバネがあるんです。逆境というバネが。

神さまは見込んだ人に必ずバネになるものを与えているんだと思うんです。

だから、バネのない人のほうが実は恵まれていないのかもしれないのです。

(病気、ハンディなど、世間一般でいわれる苦難というものは)天罰ではないと思います。

やっぱりバネを与えてくださっているんです。バネがあって初めて大きく飛躍できるのです」

A正観「神のメッセージを伝える人々が、

最近、「神さまが怒っている」、「神さまが人類を叱っている」、

「神さまが人類に絶望している」とか、そういう言い方を平気でするようになりました。

またそういう人たちが、次から次へと現れてきています。

スピリチュアルな世界の勉強をしている人に、そういう言葉を信じてほしくないなという思いがあって、

ブレーキをかけるためにちょっと言っておかなくちゃならないと思います。

基本的に「神さまが怒ることは絶対にない」と私は思います」

神渡「全く同感です。

神さまは天罰を与えるとか、恐怖心で人間を操ることは絶対なさらない。

この先に何があるんだろうと、ワクワクドキドキして進ませて、大きな喜びを与えられる。

そうして人間を導いてこられたと私も確信しています」

B神渡「「ナガタ」とは、「あなたが楽しいと思ってくださることが私の幸せです」と、

他の人の楽しみを先にする生き方をすれば、こちらも不思議に栄えていくという生き方のことです。

「ナガサキ」とは、「あなたの幸せが先で、何か私がお役にたてることがあればうれしい」と思って

行動することを意味します。

どちらも「お先にどうぞ」と譲る精神で、

この「ナガタ」、「ナガサキ」という生き方こそ、

天地を貫く幸せの原理であり、古代日本人が大切にした生き方です」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

神渡 良平
昭和23年鹿児島県生まれ。九州大学医学部中退後、様々な職業を経て、38歳の時、脳梗塞で倒れ右半身不随に陥り、闘病生活の中で「人生は一度しかない」ことを骨の髄まで知らされる。懸命なリハビリで社会復帰するが、その時の問題意識が、作家となった現在、重低音のように全作品に流れている。

小林 正観
昭和23年東京都生まれ。中央大学法学部卒業。心学研究家。心理学博士。社会学博士。教育学博士。コンセプター。作詞家&歌手。デザイナー(SKPブランドオーナー)。学生時代より人間の潜在能力やESP現象、超常現象に興味を持ち、旅行作家のかたわら研究を続け、今日に至る。コンセプター(基本概念提案者)としても、「ものづくり」「人づくり」「宿づくり」「町づくり」などにかかわっている。

2009年02月13日

必読本 第854冊目 見た目でわかる外見心理学 図解雑学

必読本 第854冊目

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見た目でわかる外見心理学 図解雑学

齊藤 勇(著)

¥1,449(税込み)

ナツメ社

ソフトカバー:207ページ

2008年11月10日 初版



●人間は私たちが考えている以上に“見た目=外見”からの影響を受けています。

それは服装だったり、表情、しぐさ、ジェスチャーから、メイクに至るまで、本当に様々。

本書では、人間の心理と外見の関係を、実験やエピソードを交えながら、わかりやすく解説します。

●様々なテーマを、見開き2ページに図と文章で

わかりやすく説明してくれるナツメ社の図解雑学シリーズの1冊。

「人は外見より中身が大事だ」とは昔からよく言われる言葉ですが、

実際のところ、このような未曾有の不景気の中、

激戦の就職の面接で勝ち残ろうとしたら、内面性以上に、

髪型、歯並び、肌の調子、表情、リクルートスーツには人一倍気を使うでしょうし、

採用する側も、(同じぐらいの能力だったら)見てくれが悪い人よりも、

好ましい外見の人をより優先的に採用しようというのは、

人情として当然のことでしょう。

結婚相手を探す時だって、家柄、学歴、職業以上に、

やはり、容貌、体型、服装や化粧のセンスが第一義的に重視されます。

本書は、表情、しぐさ、服装、態度など、

人間の外面性から、その人の深層心理、本音を探り出そうという

意図の雑学速習本です。

●いわゆる、社会心理学を学べば一度は耳にするような

有名な実験、法則の類がゴマンと収録されている。

専門書をじっくりと読む時間がない素人には非常に便利な本。

本書を一通り読めば、美人美男が、なぜこの世の中では何かと得をするのかがわかるし、

何気ない仕草ひとつで、相手がどのようなことを考えているのか推理できるし、

外見を意図的に変えることで、

自分自身や周囲が受ける印象、感情を操作できるということが理解できる。

我々が自覚している以上に、人は外見から大いなる影響を受けている

ということがわかる、目からウロコの内容。

●最近、マルチ商法、違法投資、結婚詐欺など、

詐欺師にまつわる事件が急増しております。

第3者から見れば、その首謀者たちの言動は、

どう考えても胡散臭いものであることは明々白々なのですが、

(金銭欲が絡むと、正常な思考力がどうしても麻痺するのか)

この手の人物にまんまと騙されるという被害者たちに共通する点として、

人間観察力が著しく欠落していた(あるいは初めから放棄していた)

としか言い様がないような面があります。

誇大妄想的、拝金至上主義、ふてぶてしい態度、

悪びれた様子もなく、薄気味悪い笑顔を見せる、

唯我独尊的で、己の意見を否定されると時に激高する、

華美過ぎる外見、俳優顔負けの冗舌ぶり、自信過剰、

有無を言わせぬ断言口調

(「これが必ず日本を変えるんですよ!」「絶対にこの株は上がります」)

など、詐欺師に共通する特性をいち早く感知すれば、

初めから被害に遭うはずはないのです。

魑魅魍魎が跋扈する現代社会。

悪人に騙されたくない、人からつけ込まれたくないという方には、

一読の価値がある本です。



【マストポイント】

@人は、無意識のうちに、会った瞬間にその外見から得た印象に沿って、

相手との関係を展開させようとする。

これを「予測の自己実現」という。

容姿や服装から第一印象を形成すると、

その後の相互作用はその印象に沿って展開するのである。

人は自分の最初の予測が「正しい」ということになるように、

対人関係を展開させていく。

つまり、関係を予測した通りに「自分で」方向づけるのである。

初対面の相手が「気さくそうな人」(怖そうな人)だと見えたら、

その予測通りに「自分が」行動することで、

予測通りの、つまり、相手が気さくに話してくれる(恐怖感を与える)

という当然の結果を得られる。

第一印象での服装、表情、言動が大事なことは以上のことから明らかである。

Aうなずきの効果は侮れない。

自分を肯定されてうれしくない人はいない。

うなずきは、そんな自己是認欲求を高める効果があるのである。

うなずかれると、ついうなずき返してしまうという反射的な応報性がある。

これを応用すると、相手の承諾を得やすくなる。

何回もうなずきながら、相手に同意を求めると、

相手はそのうなずきを無視できなくなり、

最後にはうなずいてイエスと言ってしまう

(セールスマン、ナンパ師がよく使うテク)。

B白装束などを着て匿名性をもつ集団の一員になると、

人は素顔をさらしている時よりも攻撃性を増す。

ネットでの匿名での誹謗中傷が、時に過激さを増すのは、

そのような原理が働いている。


(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

齊藤 勇
1943年、山梨県に生まれる。1972年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。1978年、1986年、カリフォルニア大学留学。現在、立正大学心理学部教授(文学博士)。『人間関係の心理学』『恋愛心理学』(ナツメ社)、『対人社会心理学重要研究集全7巻』(編。誠信書房)、『イラストレート心理学入門』(誠信書房)など、多数の編著書、訳書がある。



ラベル:齊藤勇

2009年02月11日

必読本 第853冊目 知的生活の方法

必読本 第853冊目

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知的生活の方法

渡部 昇一(著)

講談社(著)

¥756(税込み)

講談社

新書:207ページ

1976年4月20日 初版



●知的生活とは、頭の回転を活発にし、オリジナルな発想を楽しむ生活である。

日常生活のさわがしさのなかで、自分の時間をつくり、データを整理し、

それをオリジナルな発想に結びつけてゆくには、どんな方法が可能か?

読書の技術、カードの使い方、書斎の整え方、散歩の効用、

通勤時間の利用法、ワインの飲み方、そして結婚生活……。

本書には、平均的日本人に実現可能な、さまざまなヒントとアイデアが、

著書自身の体験を通して、ふんだんに示されている。

知的生活とは、なによりも内面の充実を求める生活なのである。

●最近出たブックガイドの中で、神田昌典さんが若き日に大いに刺激を受けた書として

取り上げたこともあり、改めて注目を浴びている本。

大学教授にして、博覧強記の知識人としても名高い渡部昇一さんの不朽の名作である

(私は、旧カバー版で読んだことをあらかじめ申し上げておきます。

現行カバー版と若干の違いがあるかもしれません)。

●裕福な家の生まれではなかったが、

少年雑誌や講談本を暗記するほど読み込む本好き少年だった著者は、

後年、上智大学に進学するが、3度の飯を抜いてでも、

本収集にのめり込むほどの本の虫であった。

食費も衣料費も極限まで切り詰め、一切の贅沢、わがままを排除し

(当時の娯楽の王者だった映画さえ全く観なかったという)、

ひたすら本だけを買い集める姿は、ある種の知への渇望者、

狂気の収集者を思わせる。

何かのグッズの熱烈なコレクターの方は、大いなる共感を覚えるはず。

●知ったかぶりをして、虚勢を張らない、

自分の実感を何よりも重視し、まわりに流されない、

内容がわかっていても、名著は繰り返し読む、

「読書百遍意をおのずから通ず」、断固継続していれば、ある日突然、

霧が晴れたように洋書がスラスラ読めるようになる、

外国語は掛け持ちでやらず、ひとつを完成してから次の外国語を習う、

必要な本は、図書館から借りてくるのではなく、身銭を切って買わなくてはいけないなど、

「そもそも本を読む、勉強するということはどういう意味を持つのか」、

「書物というものと、どのように付き合っていけばいけばよいのか」、

「何を読み、何を読まないか」、

「本は、読んだら手放すべきか、捨てずに収集すべきか」を

解説した部分は、いわゆる読書論、学習術としては最高の示唆を与えてくれる。

●後半も、この当時としては非常に画期的だったであろう、

知的生活のための生活術を解説したくだりとなっている。

低血圧者は夜型生活向き(電話も来訪者もない深夜は、

知的生活のために最高の時間帯である)、

結婚すると色々な「妨害」があり、頭のキレが失われるので、独身を通しなさい、

ワインは精神を活発にし、ビールは精神を穏やかにする、などという

部分は、ちょっとどうかと思ったが、

お金で時間を買う方法、新築する時には、

窓なし(外から入るチリ埃のせいで書籍が痛むのを防ぐため)、

完全防音、完全遮熱の書斎を作る、

完璧主義を廃し、見切りをつけて先に進む読書法、

細切れ時間とざっくりした時間の使い方など、

随所に参考になるアイディアが示されている。

書物を所蔵し、平穏な読書と執筆を得るために理想的な建築間取り図まで

(敷地面積ごとに数種類も)紹介されているのには、正直驚かされた。

●カント、ゲーテ、漱石などの偉人の知的生活にまつわるエピソード、

著者が薫陶を受けたり、影響を受けたりした恩師、同僚、友人などの

書籍や勉強にまつわるエピソード(ある種の大作家、一流学者の、

図書館を凌駕するという所蔵書物の多さ、書物執筆に際し、

膨大な資料、書物を集めるという話には大いに刺激を受ける)にも興味深いものが少なくない。

●今から33年前に発売された、ある種の「古典」だが、

全く古さを感じさせない。

読書すること、勉強すること、インテリであることの快楽を教えてくれる名著。

この手の、学生時分に教師から盛んに薦められるような定番の新書というものは、

実際読んでみると、あまりにも古臭く、抽象的で、

使い物にならない代物が多くて幻滅させられるが、

本書は、流麗な文章もあり、現代の若者が読んでも全く退屈しない。

知的な香りのする生活(特に大学教員)を将来希望されている若者は、

目を通してなければ、モグリだとさえ言われかねない本。

本書の続編も出ている(私は未読だが、本書で言い足りなかった部分が補足された内容だろう)。

写真などが現行版では改変されている可能性があるし、

若き日々の渡部さんの顔写真が拝めることもあり、

旧カバー版で読まれることをオススメします

(余談だが、ある種の本の中には、

改訂版よりもオリジナル版を買った方がよいケースがあります)。


【マストポイント】

@「おとぎばなしだろうが、冒険物だろうが、「ほんとうにおもしろい」と思ったその感じを忘れてはいけない。

自分にはおもしろくないということを公言する必要はないが、

ほんとうにはおもしろいと思わないものを、おもしろいなどというふりをしてはいけないのだ。

他人に対しても自分に対しても。

特に自己をいつわってはならない。

自己の実感をいつわることは、向上の放棄にほかならないのだから」

A「映画には繰り返して見られる「名画」が生じたように、

キイポイントになるのは、「繰り返して見るに耐えるか」ということにつきるのだ。

あなたは繰り返して読む本を何冊ぐらい持っているだろうか。

それはどんな本だろうか。

それがわかれば、あなたがどんな人かよくわかる。

しかし、あなたの古典がないならば、あなたはいくら本を広く、

多く読んでも私は読書家とは考えたくない。

まず、2,3年前に読んでおもしろかったと思うものを片っぱしから読みなおしてみられるとよい。

そしてなん冊か読みなおして、おもしろかったらそれだけをとっておき、

また来年か再来年に読みかえしてみるのである。

そうしつづければあなたの古典ができ、いつの間にか読書趣味が鋭敏になっており、

本物の読書家の仲間に入っていることになるであろう」

B「徹夜で仕事をすると気分が爽快になる、というのはどうしたことであろうか。

これは結局は、外界からの余計な雑音がなく、イライラすることがないためらしい。

中断されるおそれがなく、時間はほとんど無限に自分の目の前に広がっていると感ずるとき、

知はまことにのびのびと動く。

いつ電話がくるかも知れない、

訪問客があるかもしれないなどという気持ちが意識下にあるときは、

知はその自由な動きをすでに失っているのだ。

精神の集中を要する仕事を、

特に論文でも書くという経験を持った人ならばよくわかってくれると思う」


(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

渡部昇一

1930年、山形県鶴岡市に生まれる。1955年、上智大学修士課程修了。英語学専攻。ドイツ、イギリスに留学。現在、上智大学教授。Dr.Phil.著書は、『英語学史』――大修館、『日本語のこころ』『英語の語源』『発想法』――講談社現代新書――など多数。


ラベル:渡部昇一

2009年02月10日

必読本 第852冊目 マーフィー 値千金の1分間―J.マーフィー名言集489 (知的生きかた文庫)

必読本 第852冊目

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マーフィー 値千金の1分間―J.マーフィー名言集489 (知的生きかた文庫)

しまず こういち (著)

三笠書房(著)

¥560(税込み)

講談社

文庫本:207ページ

1995年10月10日 初版

 

●最近出版されたブックガイドの中で、

神田昌典さん、和田裕美さん、勝間和代さんなどという高名な著者が

推薦していることもあって、改めて注目されているジョセフ・マーフィー博士。

本書は、数多くあるマーフィー博士の本の中から、心に響く名言を500近く抜き出して、

一冊にまとめたもの。

ブックオフの文庫コーナーに行けば、掃いて捨てるほどマーフィー博士の本は

置かれているはずだが、本書もそこで見つけて購入したもの。

●各名言が非常に短文であることもあり、初めから最後まで順番に読んでいくもよし、

その日の気分でめくったページにある名言をヒシヒシと噛み締めてもよし、

非常に多様な使い方ができる本。

勉強、仕事、健康、お金、人間関係などというテーマごとに章分けされているのも

とても使いやすく、便利ですね。

●私自身、マーフィー博士の本はそれほど読んでいるわけではないが、

自分の感性、好みに合った本マーフィー本1冊に絞り、他の本には浮気しないで、

ひたすらそれを使い倒すようなやり方で読み込むという方法が、

マーフィー理論との正しい付き合い方なのではないでしょうか。

マーフィーさんは宗教家としての側面もお持ちのようですが、

キリスト教というものに全く関係なく、心の仕組み、言葉の使い方、潜在意識のコントロール法、運命好転の仕組みを

わかりやすく解き明かしたという意味で、やはり、この方の右に出る方はおられないでしょう。

「一旦信じたら、後はひたすら実践あるのみ」ということです。

 

【マストポイント】

@【他人への責任】「あなたは他人への責任をとる必要はありません。

あなたが他人に対して負っていることといえば、それは愛と善意です。

(あまりに他人のことばかり考えていると、精神的に追い詰められます。

他人の問題は距離の測定を誤らないように)。」

A【よい言葉は誰のためか】「あなたの思想と感情をあらわすあなたの言葉は、

あなた自身ばかりでなく他人をも癒す力を持っています。

あなたは自分のためばかりではなく他人のためにもよい言葉を使う習慣を

身につける必要があります

(言葉は魔力を持っています。人生の成功者やハツラツと生きている人の

発する言葉に耳を傾けてごらんなさい)。」

B【恐怖心が病気を招く】「恐怖は肉体的なさまざまな病気の原因になります。

恐怖心から解放されたかったら、心を愛と善意で満たしなさい。

そうすれば恐怖から解き放たれ病気も治ります

(ノイローゼの人はガンになる確率が高いといわれています。

不安・心配がしばしば現実化するのと同じで、

病気に対する恐怖心は皮肉なことに病気を望んでいるのと同様の結果を招くのです)。」

(以上本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

ジョセフ・マーフィー
精神法則に関する世界最高の講演者の一人。神学、法学、哲学、薬理学、化学の博士号をもっている。テレビやラジオを通じて、またヨーロッパ、オーストラリア、日本など各国において精力的に潜在意識の活用について講演活動を行うかたわら、多数の著書を執筆し世界的にその名を知られている。1981年没。



2009年02月07日

必読本 第850冊目 大金星

必読本 第850冊目

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大金星

水野 敬也(著)

¥1,575(税込み)

小学館

ソフトカバー:365ページ

2008年12月13日 初版



●「お金も才能も肩書も容姿も関係なく

僕たちでも手に入れられるものが一つだけある。それは―」

170万部突破の大ベストセラー「夢をかなえるゾウ」著者

水野敬也が贈る、新感覚エンターテインメント。

●スーパーヒットとなった「夢をかなえるゾウ」に続く水野敬也さんの最新刊。

期待感は高く、発売前には、異例とも言える

大々的なプロモーションがかけられたが・・・、

初めにお断りしておくが、今回はちょっと厳しい書評になります。

常々、他人の悪口をひとつ言い始めると、際限なく悪意のこもった悪口を

言い続ける羽目になるので、極力、他人の欠点や短所には触れまいと自戒しているのですが、

ちょっと今回は歯に衣着せぬ論調になりますので、あらかじめご了承下さい。

●一言でいえば、

「夢をかなえるゾウ+電車男+著者の恋愛マニュアル本(私は未読)+スーパーフリー÷4」

とでも表現できる本。

女にモテずに悶々としているゲーマーの大学生「御手洗」が、

犬を連れた西郷隆盛(山下清)風の謎の男「春男」を

師匠として、イケメン金持ち一流大学のライバルたちと戦い、

かわいい女の子をゲットしようという新感覚恋愛マニュアル小説である。

●一読すれば明らかだが、「夢をかなえるゾウ」で味をしめたのか、

最初から「テレビドラマ化」を前提にした小説でしょう

(確証的な言い方はできないが、おそらく、テレビ局からは、

「次回作も、将来ドラマ化できるような小説をひとつお願いします」的な

オファーがあったはずである)。

ドラマの脚本を読んでいるのか思われるほどに、セリフ、場面、人物設定が

異様なぐらいに微細に描かれているのである。

主人公役はあの男優だな、女子大生役はあの女優だな、

春男役はあの男優だななどと、

想像しながら読むと意外に楽しめる

(しかし、最後の方に出てくる、慶大生で、親が広告代理店のお偉いさん、

人気絶頂のアイドルって、まるっきり、ジャニーズのあの人がモデルじゃん!!

って突っ込み、クレームが来ると思うのだが、もうちょっとひねりはきかせられなかったのか?

また、著者がいかな慶大出身者とはいえ、慶大本体も眉をひそめる内容の本。

架空の大学名の方が好ましかった)

●物語の後半は、世間を騒がせたSEX犯罪サークル「スーパーフリー」と何ら変わらない、

イベント系サークルのコンパに御手洗と春男が潜入し、

美容整形した昔のブサイクゲーマー友達との再会、

そのサークルを仕切る「勝ち組」イケメン大学生たちとの

かわいい女の子ゲットを巡る攻防戦が描かれている。

単刀直入に言うと、下品なホストクラブか、

オバカな若者の夜の飲み会での乱痴気騒ぎが物語の大半で、

ただバカ騒ぎが繰り返されているだけ、

感動とか、斬新なアイディアとか、

何か実になるようなものはほとんど全くと言ってよいほど見出せない。

読めば読むほど、頭痛がしてくる。

●主人公を犬畜生のように罵倒するサークルメンバーたちの話し言葉や態度は、

いかな現代の若者のリアルな感じを表現しようと目論んだにせよ、

吐き気を催すような超低レベルなもので、

良識派の大人はとても読み続けることはできないだろう。

美輪明宏さんなどが読んだら、烈火のごとく怒りそうな本。

しかし、このご時世、東京の大学生は、女とHすることだけが目的の、

こんなバカみたいなコンパをいまだにしているのか?

ちょっと現実離れしている感じがある。

昨今問題になっている薬物、トイレでのレイプ、イッキ飲み、暴力を

想起させるような表現も多々描かれていて、

「夢をかなえるゾウ」を書いた同じ作者かというぐらいの失望感を味わう。

学生を持つ親は、とても我が子に読ませられるような代物ではない。

●発売からたった2ヶ月で、アマゾンでは、ありえない古本価格が現在ついているが、

それがすべてを物語っているといってよいでしょう。

大ヒット作の後にありがちな、オオコケ作品。

そもそも、こんな内容の本に小学館はなぜGOサインを出したのか?

なぜ、「夢をかなえるゾウ」の続編的内容で押さなかったのか?

本来、この人の実力はこんなもので、「夢をかなえるゾウ」は

まぐれホームランだったのか?

本書は「つづく」で終わっていて、「上巻」という位置付けらしいが、

おそらく、次に出る「下巻」は、目も当てられない売上結果になる可能性が高い。

なぜなら、ライバルとの試練に次々と遭いつつも、

最後には、電車男的ハッピーエンドで終わるだろうということが、

読者の方で容易に予想できるからである。

よくありがちな結末になるのがミエミエ。

●本書は大きく期待を裏切る形になった。

「夢をかなえるゾウ」でたんまりと収入を得たせいで、

頭のキレがなくなったとでもいうのか

(しかし、ちょっと前に、著者が「笑っていいとも!」にゲスト出演されていた時は、

嫌らしい所のない好人物だったとお見受けしたが)。

著者は、この苦境をどうやって盛り返すのか。

ブレーンが何人もいるようだが、

もうちょっと、まともな大人がきちんと読めるような代物に

作り込んでほしい。


【マストポイント】


@御手洗「福沢諭吉ィ!てめぇ、『天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず』って

ふざけたこと言ってんじゃねえよ!

天はよぉ、天は明らかに人を上と下に分けてるじゃねえかよお!

『イケメン』と『ブサイク』に分けてるじゃねえかよ!

『二重まぶた』と『一重まぶた』に分けてるじゃねえかよ!」

A御手洗「全然わかってないみたいだから言わせてもらうけどさ、

『笑われる』っていうのと、『笑わせる』というのは全然違うんだよ。

さっきから春男は使い走りみたいなことをやってるけど、

それって結局『笑われ』てるだけじゃないか。

バカにされてるだけだろ?」

春男「『笑われる』ことの何がいかんのでごわすか?

おいどんには分かりもはん。笑わせるか、笑われるかが、それほど

大事なことでごわすか?本当に大事なのは、相手が喜ぶか、

喜ばないかではごわはんか?

そして、相手が喜ぶんじゃったら、この春男、使い走りもやりもすぞ。

地面に額もこすりつけもすぞ」

B春男「空気は読むものではなく、作るものでごわす」


(以上本文より。一部改変。

本文にある印象的な言葉を、あえて抽出してみました)



【著者略歴】

水野 敬也
1976年生まれ。処女作「ウケる技術」(共著)がベストセラーに。






2009年02月06日

必読本 第849冊目 路傍の石

必読本 第849冊目

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路傍の石

山本 有三(著)

¥940(税込み)

新潮社

文庫:601ページ

1980年5月1日 初版



●極貧の家に生れた愛川吾一は、貧しさゆえに幼くして奉公に出される。

やがて母親の死を期に、ただ一人上京した彼は、

苦労の末、見習いを経て文選工となってゆく。

厳しい境遇におかれながらも純真さを失わず、

経済的にも精神的にも自立した人間になろうと努力する吾一少年のひたむきな姿。

本書には、主人公吾一の青年期を躍動的に描いた六章を“路傍の石・付録”として併せ収める。

●昨年末だったか、NHKで、栄華を極めた建設会社社長が、

ちょっとした世間の風評が元で会社が倒産、すべてを失い、

一転して、泥水を飲むようなタクシー運転手暮らしを

強いられるのだが、本書を読んだことを境に一念発起、

勤務する会社でも1位2位を争う売れっ子ドライバーになったという

ドキュメント番組が放映されていた。

その時に非常に興味を覚えて、図書館から借りてきて読んだ本。

読書好きならば小中学校時代にでも既に読破されている方も多いはずの名作、

山本有三さんの『路傍の石』である。

●あらすじは上記に記したので、重複を避けて簡単に心に残ったことを記すと、

本書は、父親が悪知恵だけは働く道楽者で、母親がその夫に散々泣かされつつ急死。

母の葬式にさえ現れない父に愛想を尽かし

(行方不明になり、縁を切ったはずの父親が後年吾一の元に現れ、

ずうずうしくも居候をし、なおかつ吾一の虎の子の貯金を勝手に使い込んでしまうという

シーンなどは、あの市川善彦さんの自伝とウリ二つであり、驚かされる)、

天涯孤独になった主人公吾一が、

上京した先でも、次々にいじめ、試練、悲劇、事件に見舞われるが、

正直、勤勉、独立心を忘れずに、少しずつ少しずつ

世間に認められて出世していくという内容の成長物語である。

●主人公の青年期を描いた付録も併せて、相当の分量があるが、

読み始めたら止まらないおもしろさがある。

昔の小説にありがちな古臭い漢字や語句もほとんどなく、

文体的にも淀みなく読み進むことができる。

戦前戦後の検閲問題や著者の健康問題などのゴタゴタがあり、

小説として未完で終わったことも、豆知識として知っておいて損はないでしょう。

●頼るところのない天涯孤独の身から、苦難に屈せず、

成功への道を歩んでいくという意味で、

どん底から這い上がったビジネスマンの復活物語として読めば得るところが多い本です。

そういう路線で推薦されることが少ないかと思いますが、

ライバル、敵からの手ひどい攻撃、いじめ、噂話をされた時の対処法、

家族、上司、部下、同僚、師などの人間の付き合い方、見極め方、

全くの徒手空拳の状況から、世で認められて名をなす方法、

人を責めない、不遇を恨まない、運命を受け入れ、独立自尊の心で生きるなど、

私のようにほとんど日本文学などを最近読まないという社会人の方でも、

数多くのヒントに満ちた本です。

有名な著者が推薦するなど、こんな過酷な時代だからこそ、

もっと注目されてもよい本。

「蟹工船」よりももっとブームになってもいい。

●読後は、主人公吾一が味わった辛酸、屈辱、悲劇を思えば、

今自分が味わっている苦労など、大したことがないと思えるはずです。

派遣切りぐらいでギャアギャア騒いでいるのが滑稽にさえ思える。

親と生き別れたという方、

成績優良だが、経済的な理由で進学を断念せざるをえなかった方にもオススメ。

斎藤一人さんが自著で語った言葉の原初ともいえる文句がそこここに発見され、

一人さんも若い時分に愛読して、辛い時に自分を励ましたのだろうなぁと

ニヤリとさせられたことも最後に付記しておきます。


【マストポイント】

@「“吾一”というのはね、「われはひとりなり、われはこの世にひとりしかいない」という意味だ。

世界に、何億の人間がいるかもしれないが、おまえというのものは、いいかい、愛川。

愛川吾一というものは、世界中に、たったひとりしかいないんだ。

そのたったひとりしかいないものが、汽車のやってくる鉄橋にぶらさがるなんて、

そんなむりゃなことをするってないじゃないか。

お前、死んじまって中学校に行けるかい。

死んじまって中学校に行けるかい。おまえは中学へ行って、立派な人になりたいと思っているだろう。

それだのに、あんなバカなまねをやってどうするんだ。

よく世間では、このつぎ生まれ変わってきた時には、なんて言うけれども、

人間は一度死んでしまったら、それっきりだ。

愛川吾一ってものがひとりしかないように、一生ってものも、一度しかないのだぜ。

死ぬことはなぁ、愛川。おじいさんか、おばあさんにまかせておけばいいのだ。

人生は死ぬことじゃない。生きることだ。これからのものは、何よりも生きなくてはいけない。

自分自身を生かさなくってはいけない。

たったひとりしかない自分を、たった一度しかない一生を、ほんとうに生かさなかったら、

人間、生まれきたかいがないじゃないか」(吾一をたしなめる次野先生の言葉)

A「お前にも勉強させてやりたいと思ったのだけれど、うまくいかなくって、残念だった。

しかしな、愛川、学問をやることだけが大事なことじゃない。

人間、何をやってもいいんだ。一番大事なことは、まっすぐに生きることだ。

いいか、よく働くんだぞ。それから、からだを大切にしてな」

(文学修行で上京するため、吾一と駅で別れる次野先生の言葉。

だが、実は、次野は吾一のための進学の費用を私的に流用していた。

後年、それを聞かされても、吾一は怒ることなく、次野を快く許す)

B「いいかい、辛抱するんだよ。つらくっても、我慢をしなくっちゃいけないよ。

働くってのは、「はた」を「らく」にしてやることさ。

そうなんだよ、働くと、はたの人をらくにしてやると、

自分もきっと、らくになるんだよ。

ひとりでに、金がたまってくるからね。おまえさんも、早くから心がけて、

金をためるようにしなくっちゃいけないよ。

今の世の中じゃ、金がなくっちゃ、どうすることもできないからね。

おまえさんは若いんだから、うんと働かなくっちゃいけないよ。

働いてお金をどっさり、ためるんだよ。

若い時、骨惜しみをしちゃだめだ。

そうだね、おまえさんが、出世をしたいと思ったら、

みんなが仕事をはじめる前に、仕事をはじめるんだよ。

そうして、おしまいの時は、

みんながすっかり手を洗っちまうまで、仕事をやっているんだよ。

これが出世の秘法だよ。金持ちになる奥の手だよ。

どうだい、わかるかい。

こいつがわからない人には、どの道、出世する見込みはないのさ」

(印刷所で、みんなからこっぴどくいじめられている吾一を

陰で慰めていたじいさんの言葉。

腰が曲がった老人だが、万事にマメで、いつも手を休めていることがなく、

たいそうな財産家だったという)

(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

山本 有三
1887‐1974。栃木県生れ。東京帝大独文科卒。1920(大正9)年、戯曲「生命の冠」でデビュー。『嬰児殺し』で注目を集め、日本の新劇の基礎を固めた。大正末期から小説にも手を染め、『波』などの新聞小説で成功を収める。その後、ひたむきな女医を描いた『女の一生』、勤め人一家の愛と犠牲の日々を書いた『真実一路』、逆境をたくましく生きる少年を書いた『路傍の石』で国民的作家となった。子供達に向けて書かれた『心に太陽を持て』は、今も小・中学生に読まれている名作。



2009年01月27日

必読本 第847冊目 斎藤一人 成功する人くさる人

必読本 第847冊目

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斎藤一人 成功する人くさる人

寺田 啓佐(著)

KKロングセラーズ

¥1,470(税込み)

ハードカバー:163ページ

2008年11月1日 初版



●それは、あたかも蔵つきの微生物が独りでにはたらいて酒を醸すがごとく、

目に見えない不思議な力、他力でもって自分の実力以上の成功が醸し出されていく。

一人さんが教えてくれた“人生の成功法則”。

●斎藤一人さんが近刊でその処女作(必読本第711冊目参照)を推薦したことで

一躍話題になった、千葉県の老舗造り酒屋の当主寺田啓佐さんの著作2作目。

まるかんのお弟子さん以外の本で、

「斎藤一人」名を冠につけることを認めるのは、

極めて異例である(有名な清水克衛さんなどごく一部)。

一人さんには数え切れないぐらいの、帯への推薦文や、

対談などのオファーがあるはずだが、いかな万人に優しい一人さんであっても、

それらすべてに対応していたら、いくら時間があっても足りない。

ご自分のお眼鏡に叶い、私利私欲を超越した仕事振りを実践されていると

認めた人のことだけしか、名前を出したり、手助けしたりはしないようである。

●最近の一人さんの本と全く同じく、字体は非常に大きめで、行間も広く、

文章量も少なく、難解な言葉も一切なし。

これ以上どこを削ればいいのだ、どうやってわかりやすく書けばいいのだ、

というぐらいの、「シンプルイズベスト」の極みともいう作りとなっている。

新奇なところは、酒造りの実際の風景が、写真で何点か掲載されていること。

もちろん、一人さんの写真はないが、著者の顔写真は何枚か出ている。

●あまり種明かししてしまうと、本書の売上に悪影響を及ぼすだろうから

詳述はしないが、冒頭から、天に浮かぶ巨岩と、頭に降って湧いた神のお告げという

神社にまつわる極めてスピリチュアルな話から始まり(龍神、水にまつわる話もあり)、

処女作でも触れられていた、粗悪な酒で儲けを出すことばかり考えていたらジリ貧の赤字になってしまい、

後に大病して大手術を経験、それを機会に、健康によい発芽玄米酒造りに方針転換。

まさに、神の計らいという形で、斎藤一人さんに直接会うことができ、

色々と指導され、一人さんが勧めたような「日本一の酒造り」を

達成したというハッピーエンドのストーリーが綴られている

(処女作で話題になった、酒屋なのに酒が飲めないということは今回は記されていない)。

●直接の連絡先を教えず、まさに天の恩寵というような絶妙なタイミングで

著者の元を訪れ、教えを授けるという一人さんの姿は、オグ・マンディーノの本や、

「あしながおじさん」など、ある種の見返りを求めず、

困った人を助けようとする不思議な賢人を思わせる。

一人さんは顔写真を出版物に掲載せず、生年生地は公表しているが、

結婚歴はあるのか、兄弟はいるのか、父親はどういう人だったのかなど、

細かいプロフィールがさっぱり不明である。

会う人は会うことができるが、会えない人はどんなに八方手を尽くしても会えないという、

本当に雲をつかむようなお方なのである。

人間の姿をした聖霊なのか、はたまた、まるかんが意図的に作った、実在しない大金持ちなのか、

そんなうがった見方までしてしまいたくなる。

本書にもあるが、一人さんは、霊的能力、ご利益が強い神社仏閣を参拝することを

日常の楽しみ(仕事)の一つとしているらしく、その場所を参拝した証として、「斎藤一人」のお札シールを

貼られている(私も山形県内の神社で何回も見たことがある)。

もしそれを目にし、なおかつ普段の行いが非常に良かったら、神の僥倖的に

会える日が来るかもしれない。

●まあそれはさておき、本書は、斎藤一人さんが最近強調されている

幸せに生きるための3大法則が極めてわかりやすく解説されていて、

非常にためになります。

巻末には、その内の一つである「美化」の方法の実践例が紹介されておりますので

是非参考になさってみて下さい。

寺田さんのHPにも解説があるそうなので、興味ある方は覗いてみたらいいでしょう。

●最後に書きそびれるところでしたが、

歌を歌いながら酒造りをしたら、酒の味に格段の差が生じたという記述が本書にありましたが、

要するに、鼻歌交じりで散歩したり、、病気のリハビリでカラオケを歌ったり、

職場やお店などに心地よい音楽を流したり、歌ったりすることが

その場の環境、人間、製品を良化するということでしょう。

自宅や職場や車内で、最近音楽を聴いたり、流したりする機会が少ないと

思っている私には、極めて示唆的なことでした。


【マストポイント】

@「親切の行」とは、「今日一日、人に親切にしよう」と心の中で唱えることです。

「思い」には「行動」が伴うから、ただ、「親切にしよう」というつもりで生きていれば、それでいい。

「お年寄りが重い荷物をもってたらもってあげよう、道で転んだ人がいたら助けてあげようと、

といっても、私はここ10年ほどの間、転んでいる人を見たことがないんだよ。

でも、だからといって『なにもできなかった。残念だ』じゃないんだよ。

周りの人が心楽しく、すがすがしい気分で過ごせるようにと、天国言葉や笑顔を心がけたり、

きれいな身なり、おしゃれをするのだって、親切だよね。

なにより、困っている人がいない、助けてあげる必要がなかったのだから、『よかったね』なの。

もちろん、転んでいる人がいたら助けるんだよ。困っている人がいたら、

自分ができる範囲の親切はするんだよ。

だけど、ふだんから、『人に親切にしよう』と思う。

そうやって愛の波動を出して生きることが大事なことなんだ」

A「キリストやお釈迦様は、大欲をもっていた。人類を救う、という大欲をね。

要するに、欲はそんな悪いものじゃない、と私はいいたいんです。

神さまは、人間に不必要なものはつけていないんです。欲だって、必要だからつけてくれたの。

欲が悪いのではなくて、『なにを行うか』なんだよ。

それともう一個、大欲とは善につながる。

ヘンなたとえだけど、不動産サギをはたらく人間がいるけれど、

日本一の不動産屋になろうと思ったら、サギはできないんです。その前に逮捕されるから。

だから、大きい欲っていうのは、悪ができない。善しかできない

(注・不動産屋をたとえに使っているが、おそらく一人さんは、ご自分のことを指している)。

まぁ、この話は、どうでもいいんだけどさ……。

だけど、『千葉の酒は(日本一の米所である)新潟の酒を越えられない』っていうのは、ちょっと違うんじゃないかな。

どこで造っていても、“いいもの”はいいよ」

B「一人さんのいう「美化」とはなにか。

それは自分の目の前にあるものを「美しく見る」ということです。

自分が見ているものを頭のなかで“美しいもの”に置き換えることが美化です。

「この美化を周りにいる人たちに対しても行うんです。そして、

『あなたは、こういう“いいところ”があるね』と、いうといい」

つまり、簡単にいうと、美化とは見返りを求めないで、相手を無償の愛でほめるということです。

そうしていると、不思議なことに、相手を美化していると、本当に、その人はその通りになるのです。

一人さん曰く「確かに、自分が見たものを見たまんま、

『あなたはこういうとこがよくて、ここがよくない』というのは正しいことなのかもしれない。

だけど、そうやって、いつも正しいことをいってる人間は、なぜか、成功しないの。

周りから嫌われるし、愛されていないんです。

『自分は間違ってないのに、なぜ?』というけれど、“正しさ”で人の心を傷つけたり、

暗い気分にさせているから愛されないんだよ。

だけど、周りにいる人たちを美化してみる。誰に対しても美化して、それを言葉に出していう。

そうすると、美化できる人間は、自分がいる場所を美しく照らせるようになってくるんです。

それで、美化された人も、美化している本人もしあわせになるんです」」


(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

寺田啓佐(けいすけ)

1948年千葉県神埼町生まれ。創業1673年の老舗蔵元自然酒蔵元「寺田本家」へ25歳の時、婿入り。現在23代目当主。20年ほど前に病気体験により、反自然物、不調和の積み重ねが心身のバランスを崩し、病気にもなっていることに気づく。以降、従来の添加物いっぱいの殺菌、抗菌の酒造りをやめ、自然の摂理に学び、生命力にあふれる命の宿った酒造りを目指す。自然酒「五人娘」、発芽玄米酒「むすひ」など健康に配慮したユニークな酒を次々と商品化し全国的に話題を呼ぶ。

寺田本家 公式ホームページ http://www.teradahonke.co.jp/


2009年01月26日

必読本 第846冊目 決断力。 人間「東国原英夫」から何を学ぶか

必読本 第846冊目

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決断力。 人間「東国原英夫」から何を学ぶか

東国原 英夫(著)

創英社

¥1,575(税込み)

ソフトカバー:247ページ

2008年11月25日 初版



●人間・教育・成長とは何か?

宮崎県知事、東国原英夫が赤裸々に明かすその人生のメッセージとは。

●行動派の知事として、地元宮崎県のみならず、

全国的な人気を誇る東国原英夫知事の自伝。

実父は、合法、非合法何でも手広く行う、昔よくいたタイプの豪腕経営者で、

新奇なものにも詳しく、仕事は抜群にできるのだが、

妾を何人も囲い、酒を飲めばすぐに暴れていたという。

東知事は、その実父西村英治の妾さんの子供で(上に姉がいて、2人兄弟)、

学童期は、普通の家庭ではとても想像できないような、特異な家庭環境であった。

あまりの酒乱と自宅を放火されるなどの事件で、その関係に疲れ切ってしまい、

結局母子3人は父と離縁、与えられた豪邸を出て、ボロボロの長屋暮らしを強いられる

(ネットで調べると、実父は仕事上で非常に敵が多く、揉め事は日常茶飯事、

本書では触れられていないが、悲惨な最期であったようである)。

その後、母は現姓の東国原利夫さんと正式結婚するのだが、

この方は、実父と180度違うという朴訥、無感情の地味な男性であった。

事業家だが問題人物だった実父と無口で目立つことを嫌った養父という

対照的な2人の父親、

言うに言われぬ苦労を散々舐めてきたが、働き者で教育家で人格者だった母親、

ここらあたりの家庭環境は、後に師匠となるたけしさんとの

共通点が見え隠れし、非常に興味深い。

●妾の子供だといじめられるので、勉強もスポーツも人並み以上にがんばり、

文武両道の優等生だった。

サーカスで、小人というハンディを背負いながら、

人を笑わすことに命をかけていた「オサムさん」との

出会いなどに感動し、お笑い芸人になることを決意し上京

(大学受験料、入学金、授業料などとして、

養父から渡された100万円を東京で豪遊して半分ほど浪費してしまい、

先に合格発表のあった専修大学分のお金しか残っておらず、

やむなく入学手続きを完了。実は合格していた早稲田大学を蹴ってしまい、

友人から後でその事実を知らされるという珍事も犯す。

後年、早稲田大学に入り直したのは、そういう縁もあるらしい)。

●たけしさんに弟子入りしてからの(出身地を宮崎県だと告げたのに、

宮城県と間違われてしまい、東北弁の練習をひそかに行った)、

芸能活動に関する記述には、ほぼ初めてというぐらいの秘話が次々に語られている。

最近のたけしさんの本と読み比べてみると、

東さんが所属事務所を辞めて政界入りを決意したくだりには明らかに相違点がある。

つまり、たけしさんは自著で、自分は東には一切ノータッチの姿勢だったと書いているが、

真相はそうではなく、選挙に応援に行かなくてもいいのか、もし県知事選挙で落選しても、

芸人として戻る場所は用意しておいてやるからな、という実に親身な態度で

送り出していたのである。

この事実は間違いなくホロッと来る。弟子と師匠とはかくあるべきだと思わされる。

度重なる謹慎中に和田アキ子、上岡龍太郎、島田紳助などに助けてもらったこと、

成功するお笑い芸人と消えていくお笑い芸人の分析など、

芸能界を語った部分には、実に鋭い着眼点が示されております。

●たけしさんのお笑い芸人としての才能の秘密、フライデー事件、淫行事件でマスコミ不信になったこと、

マラソンを始めた経緯、かとうかずこさんとの離婚の内幕、

「日本一飛行機に乗る男」なのにマイレージは貯めない、などに関しては

非常に細かい部分まで語られているが、

元軍団だった現在の秘書、相方だった大森うたえもんとの出会い、

一度目の結婚や、手切れ金を渡したという最近まで交際していた

女性とのことなど、師匠直伝とも言える女好きの性格などには全く触れられていない。

写真や本文を見ると、ある程度の期間を取って、

ホテルかどこかで、ロングインタビューを行ったものを

筆記して一冊にまとめたものようだが、

現役知事だという事情もあるのか、問題ある部分は絶妙にカットされている。

●総合的に言って、相当の分量がありますが、読み始めたら止まらない面白さがあります。

一政治家として、私心をなくし、人々のために身を捧げるということは

どういうことなのか、

地獄の底から這い上がってくる男の生き様とはどのようなことなのか、

読後には、熱い炎がメラメラと湧いてきます。

この本を読了したら、たけしさんがテレビで語っていた、

「東がもしかしたら総理大臣になるかもしれないよ」という冗談半分の発言も、

あながちウソじゃないな、本当に日本を変革するのはこの男しかいないな、

と思わされてしまうものがあります

(オバマ大統領も東さんも、短髪でスリム、何となく雰囲気が似ている)。

地方の県知事レベルで終わる人じゃない。

知事任期終了後に、中央に打って出るのはほぼ間違いないでしょう

(昨年末、麻生首相とたけしさんが都内の料亭で秘密会談をしたことが

大きく報道されたが、まさか、首相がたけしさんに、

師匠だから、東さんを自民党から総選挙で出馬してくれるように頼んでくれと

お願いしたのか、という見方までしてしまう)。

●現役知事で、ちょっとしたスキャンダルが政治生命に関わるのが

明白なのにもかかわらず、

これほどまでに、己の「すねの傷」を赤裸々に晒しまくるというのは、

ある種の命がけの精神、本気さ、真剣さがなければできないこと。

過去の恥ずかしい職業、出自、病歴などというものは、誰でも

隠蔽したくなるものだが、包み隠さず開陳した方が、

逆に、世の人々の共感、感動を得られるという好例。

年齢サバ読みや愛人の存在など、スキャンダル隠しに腐心している芸能人、政治家、経営者や、

言うに言われぬ過去のトラウマに一人悩まれている方、

人生のどん底状態で苦しんでいる方、

本気で、自分の人生を、日本を変えたいという気概に燃えている方などは必読です。

最近読んだ自伝モノとしては文句なくオススメですよ。



【マストポイント】

@「人間、いつどん底におちてしまうかも分からん。

じゃけん、いっつも辛抱する稽古をしちょっとよ」

「恥ずかしがってちゃ、生きていけない」

(東国原知事の母の言葉。

本妻ではない、金持ちの愛人という特殊な立場であった東知事の母は、

世間からの厳しく冷たい視線の中で、いつ男から捨てられるかわからない、

よって、どんなものにも屈しない、不動の精神で生きていかざるをえなかった。

東知事の芸能界の親友、とんねるず石橋貴明さんも、たしか、

父親の会社が倒産、妾の子供であったはずである)

A「自分がやらなきゃ、何も始まらない。

私は徹底した現場主義者を自負している。自分が進んで行動するということを、

生きる際の理念、哲学として持っているつもりだ。

口でいうだけ、というのはあまり好きではない。

理論武装をして、ロジカルな部分だけを突き詰めていくという作業は

自分のスタイルではない。まずは行動が伴わないと、と思っている。

知事室のデスクの前で思案しているだけでは、実感出来ないことがたくさんある。

地域地域に住む住民の方々の声を聞かずに、物事を判断することは出来ないと考えている。

生活観や本音というものは、自分自身で感じて、自分自身で聞く。

そもそも、自分の眼で見たこと以外は自信を持って話すことが出来ない。

知事自ら動けば、当然職員の方々も動かざるを得ない。

とにかく、自ら率先して動き、自ら実践する、動くことが当たり前となっている」

B「時代が変わるように、システムも構造も変化していく。

変化というのは、ついて行くものではなく、自分自身で作り上げるものだ。

変化に追随していると、必然的に後手後手に回ることになる。

変化というものは、それほど急激なのである。

変わるには、あるいは変えていくには、大きな勇気が必要なのだ。

古い自分を捨てて、新しい自分に生まれ変わるのである。

変わることに対して勇気も迷いも怖がることもない。

時代を変えた人達は、みんな一般法則が通用しないような人だったのではないだろうか。

常識を変えた人達が、世界の頂点に立っているのではないかと思う」

(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

東国原 英夫
1957年9月16日、宮崎県生まれ。専修大卒業後、ビートたけしの一番弟子として芸能界で活躍。2004年、早稲田大学第二文学部卒業。その後、再び同大政治経済学部入学。06年3月、同大退学。宮崎県知事選立候補を表明し、07年1月に当選。“宮崎のセールスマン”として奮闘中。








2009年01月24日

必読本 第845冊目 人生生涯 小僧のこころ

必読本 第845冊目

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人生生涯 小僧のこころ

塩沼 亮潤(著)

致知出版社

¥1,680(税込み)

ハードカバー:260ページ

2008年3月10日 初版




●苦行を経験したから、悟れるのではない。

大事なのは、行から得たものを生活の中でよく実践することである。

逆に言えば、それぞれに与えられた場でそれぞれに与えられた役目を

果たしていく中でも、多くのことを感じ、

悟ることができる。だから、私たちの人生はすべて修行なのである。

●先日ご紹介したブックガイド(必読本 第842冊目参照)の中で、

あの和田裕美さんが推薦していた本。

仏教修行の中でも荒行中の荒行として知られる、

千日回峰業達成者、塩沼亮潤さんの自伝である。

●酒井雄哉さんなど、千日回峰業達成の記録は、

数多く書籍化されているから、興味ある方は多いかと思う

(ちなみに著者は、テレビで酒井さんの千日回峰業の姿を見たのが、

自分も挑戦したいと思ったきっかけだという)。

本書においては、平成4年5月3日スタートし、

平成11年9月2日に千日回峰業満了した日までの詳細な記録

(千日といえば、約2.7年間だが、千日間連続して回峰業するのではなく、

山を歩く期間は5月3日から9月22日まで、

毎年4ヶ月間、約120日を歩くと決められている。

よって、3年以内で終わらず、それ以上の期間を要する)、

そして更に過酷だとされる、9日間の四無行(断食、断水、不眠、不臥)を

行った平成12年9月28日から10月6日までの記録が詳細に記されている。

●父親がろくに家庭に給料も入れないようなグウタラな人で、

結局離婚、母と祖母との3人での極貧暮らしを強いられるが、

この母と祖母が大変できた人で、幼少期の塩沼さんに多大な影響を与える

(僧侶として旅立つ日に、精魂込めて作った味噌汁を

塩沼さんが食べ終わるやいなや、すぐに味噌汁の御椀をゴミ箱に捨ててしまい、

「もう、お前の帰ってくる家はないのだ。それぐらいの覚悟で僧侶の道で

生きていきなさい」と送り出した場面は、非常に心を打つ)。

著者は、私より3歳だけ年上の、比較的若年の方(本年41歳)だが、

ちょっと最近では見ないというぐらいの、子供に暖かくも大変厳しく

教育された母親をお持ちであったようだ。

過保護の両親の方は非常に教訓となるでしょう。

●見習い修行僧として出家後は、

人間関係の苦労など、俗世間と同じような苦しみを味わうが、

ほどなくして、まず百日回峰業にチャレンジし、無事達成、

その後、ついに念願だった千日回峰業に出発。

真夜中12時ごろに出発し、往復48kmの過酷な獣道を16時間かけて往復。

9年間で48,000kmの距離をひたすら歩き続ける。

真夜中の真っ暗闇の山道を提灯、懐中電灯などを片手に

一人歩き続けるだけでも我々一般人にとっては恐怖感いっぱいだが、

立っていられないほどの台風、落雷、崖崩れ、

リタイア寸前まで追い込まれる極度の腹痛、足の怪我、

歯痛(歯の激痛に見舞われるが、当然歯医者には通えず、

極限の痛みに耐えたが、最後には、歯全体がくり抜かれるように、

スッポリと無くなってしまったという)、

ある種の臨死体験を思わせる幻覚症状(天国、神様、守護霊、精霊などの

遭遇体験を数多く経験されている)、

熊、マムシ、猪などの野生動物との遭遇と格闘

(熊除けの鈴は持参しているが、他には自害用の短刀だけの全くの丸腰。

背後から熊に襲われ、素手で撃退した場面の記述には息を呑む。

ちなみに、千日回峰業は途中リタイアが許されず、

出立した時に持参した短刀かロープで自害するという

非常に過酷なルールがある)、

ちょっと信じがたいほどの苦闘の記録が淡々と記録されている。

●それに輪をかけて衝撃を受けるのは、四無行の記録である。

時には、死を招くという非常に危険な難行だが、

4つのうちで何が一番過酷だったかという質問に、

水を飲むことが出来なかったことであったと答えられていたのは

非常に意味深長だった。

人間は、食わなくても、寝なくても、横にならなくても死なないが、

やはり水を断たれると生きてはいけない。

生存に関わるのは脱水症状である、ということを思い知らされる。

5日目に許されているという「うがいの儀式」

(ただ、うがいだけを許され、絶対に水を飲んではいけない。

口に含んだ水をそのまま吐き出し、もし、

水の量が減っていたと認められたら、その時点でリタイア)を

4日目ではないかと、周囲のおつきの者のせいで間違えられてしまい、

危うくリタイア寸前という事件がおきても、特段取り乱さなかったこと、

最終日、死人同然の姿で修行場から出てくる行者が多い中、

余力を残して出てきたという生命力の凄さ、

師匠のでしゃばらないが、距離をとって弟子を暖かく見つめている姿など、

体が硬直するぐらいの感動的なエピソードが綴られている。

●致知出版社の最近の本の中では、筆頭の大傑作。

あのアウシュビッツ強制収容所の体験記『夜と霧』に比肩するほどの

衝撃があります。

人間の生命力の強さ、極限状況下での人間の姿というものを

知りたい方は、他のすべての書籍を脇にどけても読むべき本。

普段、自分がどれほど恵まれているか、どれほど甘えた気持ちで

生きているかを身にしみて痛感させられます。

写真や図解類、自筆の書などの資料類も豊富に記載されており、

大変読みやすい仕上がりになっている。

●最終で、仙台市秋保に建立された、自寺の慈眼寺で微笑されている

塩沼さんの近況の写真が掲載されているのだが、

まさに、すべての苦しみを解脱したような透明感のある顔立ちで、

20歳そこそこで出家した時の幼げな顔立ちと比較すると、

容貌が一変している。

悟りを開いた、修行を完成した人とはこんな清々しい顔になるのかと

まざまざと思い知らされる。

秋保といえば、有名温泉地秋保温泉で有名、私の在住する山形県酒田市からは

比較的近いので、是非一度お会いしたいと思わずにはいられなかった。



【マストポイント】

@「自分を大切にするのと同じように人を大切にする。

どんな人をも受け入れる心があってはじめて皆さんから受け入れてもらえます。

神さま、仏さまは天からすべて見ています。

いくら神仏に手を合わせていても、自分にとって都合のいい人には笑顔、

気に入らない人にはそうでないのは、正しい行いではありません。

人を批判せず、自らを悔い、

「心から受け入れなくてごめんね。いつかきっと受け入れられるよう努力するからね」と

祈る心を持つこと、これが私の行でした」

A「「自分はなんて幸せなんだろう。今、自分にはこのようにおにぎりが用意されている。

しかし、この飯粒ひとつ口にすることができずにいる人たちがどれほどいるだろうか。

今日も同じ空気を吸っているこの地球上に亡くなっている人がいるというのに、

なんて自分は幸せなんだろう。

お山から帰ればお風呂もあるし、布団の中で寝ることもできる。

雨風をしのげる家もある。それがなくて自分の命の危険に曝されながら

生活している人たちが、世界にはどれぐらいいるだろう」

そう考えると、とめどなく涙があふれてきました。

どんな厳しい行でも自分がお願いしてはじめさせていただいたこと。

自分の心で心を磨くという尊い行を行じさせていただき、

なお仏さまはご飯も用意してくださっている。

そう思うと感謝の涙が止まりませんでした」

B「何かに追い込まれれば追い込まれるほど苦しくなって逃げてしまいますが、

逆に自分からその苦しみの胸元に飛び込んで、素直に正直に謙虚に生きてみるのもいいと思います。

あえて苦しみの中に身を投じてみるというのは、

言い換えますと環境をそのまま受け入れるということです。

現実は自分の一存で変えることはできませんが、

現実を受け入れ愚痴らず精いっぱい生きると、そこに道が開けてくるものだと思います。

修行をする人もそうです。

苦しみに飛び込んでいけばいいと思います。

行の中でそういう経験を何度もさせていただき、

本当に考え方ひとつで状況は180度変わってしまうものだといつも不思議に思います。

そして、最も重要なポイントは、人を恨まない、人を憎まない、人のせいにしない

覚悟を持つことです。

もし行の最中、うがいの日を4日目と言った人を少しでも恨んだり、人のせいにしたならば、

おそらく今の私はいないでしょう。

神さま仏さまはいついかなるときでも、人の心を見ておられます」

(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

塩沼 亮潤
昭和43年仙台市生まれ。62年東北高校卒業。63年吉野山金峯山寺で出家得度。平成3年大峯百日回峰行満行。11年吉野・金峰山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行満行を果たす。12年四無行満行。18年八千枚大護摩供満行。現在、仙台市秋保・慈眼寺住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。




2009年01月22日

必読本 第844冊目 斎藤一人 幸せの名言集

必読本 第844冊目

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斎藤一人 幸せの名言集

斎藤一人(著)

三笠書房

¥1,365(税込み)

ハードカバー:189ページ

2008年12月30日 初版




●「今日一日だけ一生けん命生きよう」「人生にはいろいろな宝物がある」

「ありがとうを言うから人間」など、ツイてる言葉がびっくりするほどギッシリ!

1日1ページで奇跡が起きる、斎藤一人の名言集。

●昨年2008年12月30日という、言わば我々愛読者への

お年玉的な形で発売された、一人さんの名言集。

一瞥してみればわかるように、

一人さんの公式ホームページそのままの本である。

私自身詳細は知らないのだが、昔、まるかんなどでは、

「ツイてるカード」といって、88枚入りのトランプかタロットカードのような

一人さんの名言集をまとめたものが作成されたことがあるらしく、

それが惜しまれつつもなくなった後に、HP上で日々掲載され、

今回最終的に、一冊の本として書籍化されたようだ。

●構成的には、見開き2ページで、

右ページに一人さんの自筆の名言が色紙風に掲載され、

左ページにはその解説文が簡潔に記されている。

HPを毎日見られている方ならばおわかりかと思うが、

一人さん自筆の筆文字は暖かくも大変力強く、ある種の迫力を感じさせます。

解説コメントも子供でもわかるような平易な言葉にもかかわらず、

本質を突くような鋭いことが述べられていて、

あらためて、感心させられますよ。

おまけ講演CDはついているかなぁと内心期待したが、

残念ながら今回の本には添付されておりません。

●一人さんの成功法則を、私なりにまとめれば、以下のようになる。

人間はそもそも魂的な存在で、頭上には、神様や守護霊がいて、

どんな時でも守られているという絶対の安心感がある。

そして、「愛情を与える」ことを人生の使命だと考え、

それを行っていれば、お金も成功も健康も自然に手に入ると唱える。

出会う人や遭遇する現象は、それが生起する意味が必ずあり、

それらをある種の必要不可欠な「修行」だと捉え、

いついかなる時でも、その修行を、超プラス思考で一つ一つ

クリアし続けていくことが

必ず約束されているという成功、繁栄、健康へと繋がる道なのだと説く。

誰でも手軽にできる日常の習慣として、

笑う、感謝する、いい言葉を口ぐせにする、などを推奨している、という

ことになるかと思う。

●巻末には、お弟子さんたちを中心にしたまるかんの新規な勉強会が

スタートしたということと、医療関係の本の推薦書が2冊挙げられている。

興味ある方はご自分でお確かめ下さい。

本書は、一人さんファンならばもちろん、

読書は苦手だけど、手頃に読めるパワフルな名言集がほしい、

常に携帯して、テンションを上げたいという方にピッタリの本です。

持っているだけで、お守り代わりになるような本ですよ。



【マストポイント】

@「天に豊作を祈り 手は田を耕す

ありがとうを言おう 冒険しよう わくわく」

(お百姓さんは、天に豊作を祈りながら、畑や田んぼを耕します。

自分でできる努力をせいいっぱいにして、そのうえで、

神様に豊作を祈っているのです。

努力もしないで、「ただいいことだけを願う」のはなまけ者ですね。

※「「行動しないで考える」ことをしていると、ノイローゼになる恐れがある。

「行動しながら考えている」と、大成功者になれる」とも)

A「困ったことがおきたら 「面白いことがおきた」と言ってみな

奇跡がおきるから」

(人生を「成功に導く階段」があります。それは「困ったこと」です。

困ったことが起きたとき、「困った」と言うと、階段を一歩降りてしまうことに

なるんです。

ただ、そんなとき、「おもしろいことが起きた!」と言うと、

階段をひょいと飛びあがるんです。

「おもしろい!」と言った時点で、世間にも神様にも

「こんなことで困ってないよ!」という勝利宣言になるわけ。

このひと言で「あなたの勝ち」が決定するんですよ!)

B「なんにもないときついている こまったときはありがとう

いいことあったらかんしゃします これでしあわせ」

(成功する人は「感謝の多い人」です。

良いことがあったときはもちろん感謝するし、

何もないときは「何もなくて良かった」と感謝する。

さらには、悪いことや人にだまされるようなことがあっても、

「あの人のおかげで勉強になった」と、感謝するものです。

そういう人は100%成功します。失敗することは不可能です)


(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

斎藤 一人
1948年東京都生まれ。ダイエット食品「スリムドカン」などのヒット商品で知られる「銀座まるかん」の創業者。自然化粧品を独自に開発、「金は出さずにアイデアを出す」など独自のノウハウで事業を拡大、大成功を収める。全国高額納税者番付(総合)の10位以内にただ一人、11年連続で入る。「日本一の大金持ち」とも呼ばれる。



2009年01月20日

必読本 第843冊目 「考え方」の考え方 すぐれた企画は30秒で伝わる

必読本 第843冊目

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「考え方」の考え方 すぐれた企画は30秒で伝わる

指南役 (著)

¥ 1,470

大和書房

ソフトカバー: 205ページ

2008年11月1日 初版




●この世にアイデアマンはいない。

いるのは、アイデアの考え方を知っている人、だけ。

企画に、才能はいらない。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンが明かす、禁断の企画術。

●いわゆる、斬新なアイディア、人をひきつける企画をどのように出せばよいのかを

指南してくれる本です。

私も初めて知ったのだが、著者(計3人が所属する集団)は、あのホイチョイ・プロダクションをはじめ、

テレビ、雑誌、CMなど、メディア横断的に企画作成などを業とする、

ギョーカイ系の方々のようです。

どの書店でも平積みされ、順調な売れ行きを示しているようです。

大和書房さんは、売れ線の書籍の企画において、

抜群の嗅覚を持っている出版社の中のひとつですよね。

●本文の構成は、「始動」「環境」「技術」「品質」の4章に大きく分かれ、

企画出しをするためのヒントが全18個にわたって提示されている。

文章はくだけた口語調で非常に読みやすく、

内容的にも平易なので、速い人ならば1時間も要せず一気に読めます。

各章末尾にはその部分のポイントが箇条書きでまとめられているし、

本文で紹介されている商品の写真がきちんと掲載されているのも

親切でうれしいです。

普段、ビジネス読書習慣がない人にも、

抵抗なく読める配慮が随所になされております。

●テレビ、映画、CM、商品開発など、

各分野における画期的なアイディアが生まれた経緯が

実に数多く紹介されております。

三谷幸喜、佐藤雅彦、としまえんなどの事例が非常に多く

扱われているのも特徴です。

日テレでとんねるずの憲武さんが司会をやられている商品開発の舞台裏に

迫った番組がありますが、あの感じに似てますよ。

●この本を読破して改めて痛感させられたのは、

「シンプルイズベスト」の重要性、つまりゴチャゴチャと長文で

商品説明しても、お客さんを嫌悪、混乱させるだけだ、

伝いたいことはたった一言のフレーズでズバリと伝わるのだ、ということと、

一笑に付されるような突飛なアイディアでも、

出してみなければ結果はわからない、ダメで元々でトライしてみることが大事だ、

ということです。

●全体的には、(マスコミ関係者がよく作るタイプの)

良くも悪くも軽いテイストで作られた本で、

普段なかなかいいアイディアが浮かばない、

売れる商品の企画がどうも浮かばないということで悩まれている

若手ビジネスマンなどにはとても重宝する本です。

ただ、それなりに本を読みなれているビジネス本愛読者にとっては、

それほど読み応えはなく、一読すればもういいかな、

ピンと来たアイディアだけ頂いて後は読む必要性はないな、

という感じの本です

(ちょっと批判めいたことも書いてしまいましたが、

役に立たない駄本だという意味ではありません。念のため)。


【マストポイント】

@アイディアはある日突然降臨する。

世の中の成功者は、ある日突然ひらめいたアイディアをやり過ごさず、

すぐにメモして後で実行に移し、人より先んじたという共通点がある。

そのために、ひらめいたアイディアを失わないように、

24時間メモをすることができる態勢を整えよう。

A制約はチャンスである。

何時間かけてもよい、何億円かけてもいいと言われると、

人はギリギリの真剣さ、本気度が出てこない。

締め切りの時間を守らないと、次に出る連載漫画が休載になってしまう。

明日の昼12時までに新曲を作らないと、莫大な損失が出てしまう。

大会社のように何億円も宣伝費にかけられない、たった50万円で

起死回生の広告を作らないと、お店が倒産してしまう。

人は、そういう制約の下でこそ、知性という翼を自由に羽ばたかせる。

制約を乗り越えることで、素晴らしいアイディアが降臨する

(余談めくが、昨日山形県鶴岡市の湯野浜温泉「龍の湯」の日帰り温泉に

家族と行って来たのだが、この温泉は、ハッキリ言って、非常に狭い敷地面積に

建てられた、立地条件のよくない、いわゆる隠れ家的な場所にある温泉

(海に面していることが売りの温泉地にもかかわらず、海がほとんど見えず、

山肌に建てられている)なのだが、

よくぞまあ、土地条件の悪い場所でこれほどまでの造形美、空間活用できたものだと

感服せざるを得ないほどの見事な温泉宿である。

近場に行かれる方は、ご自分で調べて是非一度行かれてみてほしい。

安藤忠雄さんの本で、極めて狭い場所で、なおかつ建築費も貧弱な中で、

驚くような画期的な建築物を完成したエピソードがあるが、

それを思い出してしまった)

B最後に勝つのはオリジナルである。

宮崎アニメもビートルズもハリー・ポッターも、

何かに影響を受けたものでも、

莫大な数のマーケットリサーチの末に完成された商品でもない。

とことん、己の作りたいことを極めた末にあの形になったのである。

好きなこと、夢中になれるものは、とことん極めてみる。

人真似ではない、唯一無二のオリジナル作品は、

世界を変えるぐらいのビッグヒットになりうる。

(以上本文より。一部改変)








ラベル:指南役

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