2009年01月18日

必読本 第842冊目 私をつくった名著 人生を変えた1冊 黄金のブックガイド

必読本 第842冊目

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私をつくった名著 人生を変えた1冊 黄金のブックガイド

Chabo!を応援する著者の会 (著)

¥ 1,260

東洋経済新報社

ムック: 119ページ

2008年12月11日 初版




●最近の読書ブームを牽引する、ビジネス書のカリスマ・ベストセラー著者11人によるブックガイド。

古今東西のおすすめ必読書を紹介するとともに、独自の読書術、本にまつわる思考術、本選びのコツなども披露する。

読書の初級者から上級者まで、誰もが参考になり、賢くなれる黄金の1冊。

●先日ご紹介した本(必読本 第839冊目参照)と似たようなタイプのブックガイド。

いわゆる「勝間ブーム」もあり、どの書店でもうず高く平積みされ、

順調な売れ行きを示しているようである。

果たして、同時期に類書を2冊発売する意味はあるのかという

批判、疑問は当然出てくるが、

出せば必ず当たる、打ち出の小槌のような勝間本で、

なおかつビジネス本名著の紹介という手堅い企画、

なおかつ、ダイヤモンド社と東洋経済新報社という

ライバル社同士で、勝間さん的にはどちらにも恩があるとなれば、

両者の顔をつぶさないように2冊同時発売するしかあるまい

(もちろん、これには確証はなく、憶測に過ぎないが)。

●それはさておき、

本書は、勝間さんと縁が深いビジネスマン、大学教授、経営者など

全11人の読書の達人の名著紹介&読書術を紹介したものである。

全ページカラーで、各人の思い入れの強い書物の紹介と、

読書にまつわる思い出話などを気軽な口調で語ったものとなっている。

●しかし、改めて痛感させられるのが、

11人それぞれビジネス界の第一線で活躍するカリスマばかりで、

超多忙を極めているにもかかわらず、

実に広い分野の、なおかつ、膨大な数の書物を読破していることである。

これは素直に驚かざるを得ない。

逆にいえば、テキトーに仕事をして、退勤後は自宅で酒を飲んだり、

テレビを見たりすることしか考えず、本の一つでも読んで向上しようという

気がないビジネスマンは、土台、人よりも抜きん出ることは

諦めた方がよいということを意味するわけだが・・・。

●神田さんの話は、前回紹介した本と重複する部分が多く、

目新しさは特にないが、

他9人の名士の方々の読書術には、彼ら2人と一風変わったものがあり、

非常に参考になる(冒頭の勝間さんの話も、やはり鋭いことが語られている)。

フォトリーディング&マインドマップ推奨派であるお2人が

抜群の人気を誇ることもあり、

その2つを実践せずば、時代遅れだという空気もないこともないが、

他の9人の人たちは別にその2つのメソッドに縛られた読書をしているわけではなく、

本の読み方は自由でいいのだ、自分なりにアレンジしていいのだという

安心感を得られる。

個人的には、和田裕美さん、高野登さん、小飼弾さんの読書術に

ヒントになるものが多かった。

●巻末には、勝間さんが応援する貧困国への印税募金プロジェクトと、

六本木ヒルズ森タワー内の、ビジネスマン向けプライベート図書館

(入会金と1年分年会費合計で12万円)の紹介ページがある。

地方の片田舎に住む私としては、何とも言い様がないが、

勝間さんは色々と活動を広げているようである。

ただ、あえて言わせていただくと、ちょっと多産気味かな、

あまりにも過剰に本を出しすぎると、飽きられるのも早いかな、

ネタ切れしないのかな…という心配がないわけでもないですね。


【マストポイント】

@「勝間和代流“いい本”に出合うための本選び基本6か条」

1、ランキングを参考にする。

2、著者との相性で選ぶ(たとえ高名でも、感性が合わない著者の本は

読むのがつらい。無理して読まないこと)。

3、文体、構成で見極める。

4、プロモーションの質と量で見極める(大がかりに宣伝された本は、

前評判が高い証拠)。

5、インターネット書評を参考にする(大手の新聞社や雑誌などの

書評と違い、しがらみのないネット書評家の書評には良質なものが少なくない)。

6、目利き力を上げる(書店に数多く足を運び、良書を見極めるトレーニングを重ねる。

平積みにされている本で、数が減っているものは売れている証拠。

レジ前に置かれている、出版社が作ったPOPがあるなどは売れ線であるなど)

A「組織をつくり、たくさんの人と関わりながら生きていく中で

どんどん自分への負荷が上がっていきました。

組織をつくれば人に裏切られたり、一生懸命にやっても評価されない現実が

たくさんやってきました。つらくてもそれを受け止めて感謝して、

何回も何回も自分と自分の未来を信じていきたいと強く思うようになった矢先に、

母を医療ミスで亡くすという事故もありました。

心が折れそうでしたが、そこでわたしを支えたのは、見えない未来に

手を合わせて感謝するということでした。

見えない未来に不安になるのではなく、見えない未来にも

今まであった出来事にも「ありがとう」と感謝できるようにならなくてはいけない。

困ったときの神頼みをしない人生を生きていこうと決心したんです。

だから根拠なく自分の未来を信じることができるように、

それの助けになるような心を元気にしてくれる本を

読んだ方がいいと思います」(和田裕美)

B「私は大学教授になってからこの10年ほど、

大メーカー、パチンコ業界、企業、役所、病院、審議会など、

各種のアドバイザーをすべて受けてきました。

その結果、日本全国どこの組織でも同じ問題を抱えていることに

気づきました。

どこに行っても「うちには考える人間がいない」と嘆いているのです。

指示されたことができる人はいるし、モノマネをする人もたくさんいるけれど、

自分で組織の問題を見つけ出したり問題を掘り下げたりして

解決できる社員がいないというのです。

今、どの業界を見てもアメリカから持ってきたビジネスモデルの

モノマネをしています。

その結果、考える力が欠如してしまいました。

考える人間を育てること―これが日本の共通する課題だと思います」

(多摩大学教授 久恒啓一)

(以上本文より。一部改変)


【著者一覧】

〈Chabo!を応援する著者の会〉
勝間和代(経済評論家、公認会計士)
神田昌典(作家、経営コンサルタント)
小宮一慶(株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役)
酒井穣(J3 Trust B.V. CFO)
高野登(ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー日本支社長)
竹川美奈子(ファイナンシャル・ジャーナリスト)
久恒啓一(多摩大学経営情報学部教授)
山口一男(シカゴ大学教授、社会学科長)
山田昌弘(中央大学文学部教授)
和田裕美(株式会社ペリエ代表)
小飼弾(プログラマ、投資家、ブロガー)



ラベル:勝間和代

2009年01月17日

必読本 第841冊目 眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用

必読本 第841冊目

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眠りながら成功する―自己暗示と潜在意識の活用

ジョセフ・マーフィー (著), 大島 淳一(訳)

¥ 1,575

産業能率大学出版部

単行本: 314ページ

1968年6月22日 初版




●昨年、勝間和代さん、神田昌典さんが中心になって

編纂されたブックガイドの本2冊で盛んに推薦されていて、

改めて注目を浴びている本。

言わずと知れた、成功哲学の始祖と言ってもよい

ジョセフ・マーフィーさんの古典的傑作。

訳者の大島淳一とは、今をときめく評論家の渡部昇一さんの

若き頃のペンネームである。

●なんと初版が出たのが41年前の、昭和43年。

65刷した後、第2版が平成元年に出されるという極めて息が長い名著。

上下に分かれ、文庫化もされている。

ミリオンセラーを記録しただけあり、

ブックオフの105円コーナーでも頻繁に見かける。

あまりにも有名すぎることがアダになり、

私自身、購入後重視せず、本棚に置きっぱなしで未読だった。

神田さんが盛んに推奨していることに何か感じるものがあり、

ヒマだったこともあって、2日かけて丁寧に読んでみました。

●まず、散々批判の的になっている、その胡散臭いタイトルが良くない。

内容的には極めて良質なことが述べられているにもかかわらず、

看板であるタイトルがすべてを台無しにしている。

あえてこんな耳目を引くようなタイトルをつけたのだろうが、

一頃話題をさらった睡眠学習法か、催眠術の本かと、

ずっと相手にしてこなかった良識人は極めて多いはず。

ここは、現在改めて再注目されているという機運もあり、

渡部昇一さん本人に、新タイトルでの決定版をお願いするのが好ましい

(場合によっては、勝間さんのように、

この本に思い入れの強い神田さん自らが企画し、

翻訳を買って出てもいいだろう)。

●また、これも批判の的、本文の翻訳文が稚拙で非常に読みづらい。

無名だった頃の渡部さんが、いくら英語圏に留学していたとはいえ、

これはないだろうというぐらいの悪文。

専門の翻訳技能を学んでいない人が、

辞書を引き引き逐語的に訳したのが見え見えで、

日常的に読書習慣がない人は読みこなすのが相当しんどいだろう。

序盤で早々と挫折してしまいそうになるが、

最後尾になるほど秀逸なことが書かれているので、

我慢しながら読んでいくしかない。

●はじめに悪口ばかりを書いてしまったが、

内容的にはやはり恐るべきものがある。

神田さん、勝間さんが絶賛するのは前掲の本で記されているから

特に驚くほどではないとして、

何が驚いたかと言って、斎藤一人さん、小林正観さんをはじめとする、

スピリチュアル系人気作家の理論の原初とも言えるものが

随所に垣間見れるのである。

まるかんの社員さんの教本に、マーフィーの本が使われていたことは

今や有名な話だが、

一人さんの成功理論の中枢を占める法則が本書であることはほぼ間違いない

(たとえば、有名な「あなたになだれのごとく幸せなことが起きます」と

祈るというのは、本書にズバリそのままのフレーズの文章がある)。

●本書を読破してシミジミ思うのは、斎藤一人さんの大成功ぶりというのは、

本書の理論を徹頭徹尾信じ抜き、それをいついかなる時も、例外を作らず

実践実行し続けた末に獲得した所産なのではないかと思われるほどである。

潜在意識なるものはそもそも存在するのかどうかという根源的な疑問を

お持ちの方はいまだ多いだろうが、

その存在を素直に認め、これでもかというぐらいに徹底活用して

大成功を収めた一人さん、神田さんなどという先達が現実にいる以上、

我々一般人も認めざるをえなくなる。

●感謝することの大切さ、祈りの効果的なやり方、人を許すこと、

言葉や思いを積極的なもの、プラスのものに変えることの重要性、

つまり、自分の顕在意識上で変えられるものをすべてプラス向きのものに

することが、(すべてをコントロールするパワーを持つという)

潜在意識に影響を与えることになるということが

全篇にわたって詳細に解説されております

(特に、第16章「潜在意識と調和的人間関係」は涙ものの傑作。

この章だけでも一冊の本が書ける。

人間関係に悩んでいる人は、胸のつかえが取れるはず。

どんなに時間がなくてもこの章だけは必読)。

全20章あるのですが、各章末尾には、その章のポイントが

箇条書きでまとめられているのもうれしい。

このポイント部分だけは短文なので、読みやすく、記憶に残りやすいです。

●なぜ、天国言葉だけを使い、地獄言葉を使ってはいけないのか。

なぜ、人を恨んだり呪ったりせず、ひたすら感謝の行で生きなくてはならないのか、

心配、不安でも、夢、願望でも、

なぜ、頭の中でイメージしたこと、思い続けたことは、

どっちみち現実化、物体化してしまうのか。

後世、それらのテーマを、手を変え品を変え、

膨大な数の書物が出版されております。

結局その秘密は本書にすべて収められております。

「潜在意識」で悩んだら、やはりこの本です。

「7つの習慣」「道は開ける」「原因と結果の法則」などとともに、

「色々あたったけど、最後には結局ここに戻ってくる」というタイプの

定番書と言ってもよいでしょう。


【マストポイント】

@どんな考えもそれは一つの原因になります。

そしてどんな状況でもそれは一つの結果です。

あなたの考えを変えなさい。

そうすればあなたの運命を変えることになります。

Aよいことを思えばよいことが起こる。

悪いことを考えれば悪いことが起こる。

あなたはあなたが一日中考えていることそのものです。

あなたの意識する心がほんとうだと思い、ほんとうだと信ずることは

何であれ、潜在意識はそれを受け入れ、実現させます。

幸運、健康、神の導き、親切、

正しい行動、愛情、人生のあらゆる恵みを信じなさい。

Bあなたはまさか身体障害者を憎まないでしょう。

末期ガンで苦しんでいる人を憎まないでしょう。

同情を持たれることでしょう。

同じように、否定的な条件づけを受けている

(例・ひねくれている、ひがんでいる、怒りっぽい、

文句臭い、意地悪、非協力的、利己的、絡みにくい)

精神的な弱者、心理的な病人に対しても同情と理解を持ちましょう。

すべてを理解してあげることは、すべてを許すことです。

あなたのやる善行、あなたの提供する親切、あなたの送り出す愛と善意は、

いろんな面で何倍にもなって、あなたの元に返ってきます。

(以上本文より。一部改変)






2009年01月09日

必読本 第839冊目 10年後あなたの本棚に残るビジネス書100

必読本 第839冊目

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10年後あなたの本棚に残るビジネス書100

神田 昌典 (著), 勝間 和代 (著)

¥ 1,260

ダイヤモンド社

ムック: 123ページ

2008年10月30日 初版

 

●日本一のマーケッター・神田昌典と経済評論家・勝間和代が

これだけは読んでおきたいビジネス書を100冊選び、

エピソードを交えながら読みどころを解説。

両著者の「年齢別」読書年表、カリスマ書店員のお薦め本リスト付き。 

●昨年2008年10月末発売、少々古い本で、

私のように常日頃からビジネス本に目を光らせている方ならば、

既にご存知かと思います。

アマゾンなどでも順調に売れているようです。

今更という感もないわけではないのですが、恥ずかしながら

日ごろの不摂生が祟ったのか、正月早々体調不良でダウンしてしまったこともあり、

寝床でウンウン唸りながら一通り読んでみました。

●書物を徹底的に活用し、人生を切り開いてきたカリスママーケッター神田昌典さんと、

その影響を多大に受けてきた経済評論家勝間和代さんのブックガイドの共作。

一般書籍ではなく、使い勝手のよいというムックという形で出してきた。

●しかし、本書を通読しますと、あらためて、お二人の本好き、勉学好き、

知的好奇心の強さに驚嘆させられます。

人並以上に多忙で、ゆっくり本など読んでいる暇など

ほとんどないと推察されるお二人にもかかわらず、

よくもまあ、これほどまでの書物を読破してきたものだと感心させられる。

それぞれの本に対する寸評には、本をどのようにして仕事や人生に

活用してきたのかが手にとるようにわかり、大変勉強になります。

神田さんの、本から入り、その後実際に著者に会うことが叶った

という渡部昇一さんとの出会いのエピソードには、大変感動させられますよ。

●めったに自著で顔写真を載せることがない神田さんが写真で登場していること、

プラモデル好き、料理好きの幼少時の思い出、

年間3億円の収入を生み出していたダントツ繁盛会を休会する決定打となった「免停」事件、

自著で生年を大っぴらに公表していない勝間さんの実年齢が判明することなど、

両著者の「信者」的なファンの方ならば、

プライベートな部分が数多く披露されている意味でも一読に値するでしょう。

●経済不安、格差社会、実力主義が叫ばれている昨今、

改めて、個人での勉強、読書の大切さが見直されております。

息をつく暇もなく多忙で、著者二人のようにフォトリーディングのような

速読法もマスターしていない一般の人々は、

小難しいビジネス書などをじっくりと読む時間など、

なかなか普段の生活の中で捻出することが難しいでしょう。

であるからこそ、貴重な時間の中で、大切なお金を投下する本選びという行為で

誰もが失敗などしたくない。

あまたあるビジネス書の中から、何を優先的に読めばよいのか、

どのような心構えで本と向き合えばよいのか、

その方向性を示してくれる極めて実践的な読書ガイドです

(個人的には、この分野の権威でもある、

斎藤一人、清水克衛、土井英司、本田直之さんの同種の本も

読んでみたいという気がしないでもない)。

●現在、いかな「勝間ブーム」とはいえ、

書籍の帯に「勝間和代推薦」と、イヤミと言うぐらいに

載せられている書籍写真が多すぎること、

神田さんの息がかかった著者の本紹介が多すぎることなど、

鼻につく部分が正直ないわけではない本だが

(そのあたりの事情が、アマゾンレビューでの低評価、

バッシングに繋がっていると思われる)、

そういうところを除いても、ブックガイドとしては白眉の一冊です。

その後、似たような本が続けざまに出されていて、

「小銭稼ぎ」かと連続バッシングされそうな勝間さんですが、

志は高邁な方なので、それほど悪意ある捉え方はしない方がよいでしょう。


【マストポイント】

@「あなたが衝動を感じる本を買ってください。

頭ではなく、身体で感じること。それが良書を選ぶためのコツ。

自然に身体感覚を信じられるようになると、

ビビビビと必要な本がわかるようになります。

本屋さんに行くと、あなたが必要とする本から、

あなたを呼び止めてくれるようになります」

(神田昌典。現実にこの手の本との出合いというものは

間違いなくある。私の場合は、ブライアン・トレーシーさんの『自己を築く』)

A「僕は、現代がいかに「虚と実」を見分けることを必要としている時代か、

を言いたいのだ。ネット上では検証されない情報が垂れ流しで、

根も葉もないことが真実のように伝えられることがよくある。

マスコミで報道されていることも鵜呑みにするのはとても危険だ。

特に、現在20〜30代の人は素直で、言われたことを

そのまま受け取ってしまう傾向がある。

だけど、それが真実かどうかを疑うことも大事で、

そのメンタリティや思考を学ぶために、読書は大事である」(神田)

B「たとえば私はよく

「インターネットのマーケティングがどうしてできるんですか?」と

聞かれますが、「ディープスマート(本文参照のこと)があるから」としか言いようがありません。

19歳の頃から延々とネットをやって、短い日で3時間、

長い日で丸1日、それを20年間繰り返していると、

ネットで何をすべきかが皮膚感覚でわかります。

それはどんなにネットマーケティングの本を読んでも、

できない人はできません。

逆に私は、ネットマーケティングの本などほとんど読んだこともないけれど、

直感でわかるのです」(勝間)

(以上本文より。一部、主旨を変えない限りで改変)

【著者略歴】

神田 昌典
上智大学外国語学部卒。外務省経済局に勤務後、ニューヨーク大学経済学修士(MA)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士(MBA)取得。その後、米国家電メーカー日本代表を経て、経営コンサルタントに。多数の成功企業やベストセラー作家を育成し、総合ビジネス誌では「日本一のマーケッター」に選出されている。ビジネス書、小説、翻訳書の執筆に加え、ミュージカル、テレビ番組企画など、多岐にわたる創作活動を行うほか、複数企業の社主を務める。

勝間 和代
東京都生まれ。経済評論家(兼公認会計士)。慶應義塾大学商学部卒。早稲田大学ファイナンスMBA。現在、早稲田大学商学研究科博士後期課程在学中。19歳で公認会計士2次試験を突破(当時史上最年少)。21歳で長女を出産。在学中から監査法人に勤務するが、ワーキングマザーとしての働きにくさから外資系企業に転職。以後、アーサー・アンダーセン(公認会計士)、マッキンゼー(戦略コンサルタント)、チェース銀行およびJPモルガン証券(ディーラー・証券アナリスト)を経て、経済評論家として独立。2005年、ウォール・ストリート・ジャーナルから、「世界で最も注目すべき女性50人」に選ばれる。2006年、エイボン女性大賞を史上最年少で受賞。2008年、ベストマザー賞(経済部門)を受賞。3児の母。

2008年12月31日

必読本 第837冊目 運命は変えられる―納税日本一億万長者が語る

必読本 第837冊目

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運命は変えられる―納税日本一億万長者が語る

斎藤 一人 (著)

¥ 1,575 (税込)

ロングセラーズ

単行本: 133ページ

2008年10月10日 初版

 

●こんな簡単なことで幸せになっていいのか。

はじめたその場から“運命幸転”!何というすがすがしい気分だ!

斎藤一人プレミアムCD付。

●別に計ったわけではないのに、

一年最後の大晦日に紹介する本が、

私が敬愛する斎藤一人さんの本になるのは、

何かの因縁なのでしょうか。

今年10月に発売されたばかりの書き下ろし最新刊です

(正確に言うと、12月には斎藤一人さんの名言集も発売されたので、

最新刊というわけではないのだが)。

●いい加減、言いたいことは言い尽くしたのではないかと

思われるぐらい、あらゆることを語ってきた一人さんだが、

今回の本では「感謝する」ことの重要性一点に絞って、

大変タメになる話を語られている。

メインとなる前半部分は全78ページ、

字体は大変大きく、行間も広く取られ、小冊子のような作りとなっている。

文章量は非常に少ないので、30分も要せず一気に読破できます。

●後半部分の、特別付録「健康を呼び込む奇跡の言葉」は、

以前発売された新書(必読本第699冊目参照)に

おまけとして掲載されていたものと内容は全く同じ。

まるかんの小冊子として一般に配布されているものかと思うが、

最近一人さんが力を入れている「宇宙エネルギー療法」について

紹介されている

(誰もが気になるその「宇宙エネルギー療法」の詳細についてまでは

説明されておらず、まるかんに直接聴きに行くしかないようだが、

その療法によって健康回復、念願成就された一般人の体験談が

豊富に記載されている)。

●書籍本体自体は大変あっさりとしたもので、

これだけを読んだ読者は、定価1,575円(税込み)ということもあり、

何か物足りなさを感じるはずだが、

おまけでついている講演CDは、久しぶりに出来のよいものに仕上がっている。

種明かしをしてしまうと聞く楽しみがなくなるので

詳細までは明かさないが、例によって一人流幸せに生きるための

実にシンプルな法則が、ジョークを交えつつ、

優しい語り口で解説されております。

容量約55分間のCDですが、車の中やi-Podなどに入れて、

繰り返し聴きたい内容です

(よく、一人さんは、「自分のCDを100回は聴いて下さい」と口ぐせのように

言われるが、なぜ100回なのかの理由もCD内で説明されている)。

●親や兄弟、親戚や、恋人や配偶者、会社の上司や同僚、隣近所などと、

些細なことでトラブルになっている方々、

ちょっとしたボタンの掛け違いで、

人間関係に支障を来たしている方々に非常におススメの本です。

中学生でも読めるような、非常に平易な内容ですが、

そこに込められている意味は実に深いものがあり、

「目からウロコ」とはこのことかと思わずにはいられません。

一読してそれっきりにするには、非常にもったいないような本です。

 

【マストポイント】

@「私は、「運命は変えられる」と思っているし、変えてきたんですね。

ただ、私は誰かとそのことでいい争うつもりはありません。

人って、誰かと争うために生まれてきたわけじゃないからね」

A「この世で人生の成功者になるには、ただ一点、感謝です。

逆をいうと、「当たり前」といった瞬間から、不幸が始まる。

夫婦間でも、「お互いわかっていることだから、

今更「ありがとう」、「感謝してます」っていわなくてもいいんだ」では

ないんです。

お互いわかっているのに、いいあわないから、血みどろの戦いになるのです。

もっと、しあわせになりたかったら、お互い感謝してください。

会社へ行っても、そうですよ。

給料日に、当然という顔をして給料をもらっている人もいるけれど、

社長さんに、「ありがとうございます」、「感謝してます」って、いってごらん。

この一言をいえるか否かで、人生、えらく違ってきますよ」

(ちなみに、「感謝」の反対語は「当たり前」であるという話は、

中村文昭さんの近刊(必読本804冊目参照)にも出てくる)

B「『今日一日、人に親切にしよう』。

これは修行だと思って下さい。

滝に打たれるのも修行なんです。寒いお寺で座禅を組んでるのも修行なんです。

だけど、本当の修行というのは、社会に出て、日常行うことなの。

日常行う修行が出来なくちゃダメなんだよ。

いくら滝に打たれても、「ありがとう」も言えないようじゃ、

「感謝してます」も言えないようじゃ、どうしようもないの。

「私、悟ったんです」って言っても、

人に親切にできないような悟りなんて最低だよ」

(以上本文とCDより。一部改変) 

【著者略歴】

斎藤 一人
『銀座まるかん』創設者。1993年以来、毎年、全国高額納税者番付(総合)10位以内にただひとり連続ランクインし、2003年には累計納税額で日本一になる。土地売却や株式公開などによる高額納税者が多いなか、納税額はすべて事業所得によるものという異色の存在として注目される。

2008年12月25日

必読本 第833冊目 成功する人はここが違う

必読本 第833冊目

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成功する人はここが違う

井原 隆一(著)

¥1,680(税込み)

致知出版社

単行本:277ページ

1999年4月5日 初版


●なぜ成功する人と失敗する人がいるのか。

20歳で父親の莫大な借金を背負いながらも独力で返済し、

数多くの企業の再建にも尽力した著者が、90年の体験から得た鉄則。

●先日ご紹介したブックガイドの本(必読本第787冊目参照)の中で、

推薦されている経営者の方がいて、

ずっと頭の隅で気になっていた本。

残念ながら既に絶版になっていて、こまめにブックオフでも探していたのだが、

出版部数が少なかったのか、どこに行っても見つからず困っていた。

年内に心残りを作りたくなかったので、

アマゾン古本で買い求めて本日午後一気に読んでみました。

●本書が私の心を引いたのは、

既に著者の井原隆一さんの書物を2冊ほど読んでいて(必読本第790冊目第817冊目参照)、

私の肌に合う、つまり、学歴もなく、資産もなく、

全くの徒手空拳の状態から、

大借金を完済した有言実行型の人である、

そして、実績に裏打ちされた、ちょっと人から煙たがられるような毒舌タイプである、

なおかつ、中国古典を愛読していたという点があったからである。

●序章部分で、著者は、

成功者の共通点は、ズバリ「感謝することができること」であると言い切る。

その後に続く、全7章にわたって、

「天地」、「人」、「書物」、「時」、「倹約」、「健康」などのテーマに分けて、

どのような点に注意して生きていけば成功者になれるのか、

わかりやすく解説するという構成となっている。

それほどページ数はないが、後述するように内容的には

非常に充実しているので、それなりに読破までは時間を要するはずです。

●浅学非才と自称しているだけに、

寸暇を惜しんで中国古典を読み尽くし、

己を鍛えてきただけのことはあり、

いたるところに中国古典の名言、金言が引用されている。

それに輪をかけて面白いのは、

著者が退勤後に独自に聞いて回ったホームレス、ゴミ拾い、

焼芋屋、ホステス、露店商などの人々の「商売の秘訣」の

くだりと、テレビ、雑誌の特集で対談した

あまたの著名人、経営者たちから聞いた「成功の秘訣」や苦労話の類である。

本書の最もキモとなるところで、

最近、「派遣切り」など、地べたを這いつくばるような生活を強いられている人々が

クローズアップされていることを考えると、非常に興味深く読めるかと思います。

●先日国民栄誉賞受賞が決まった遠藤実さん、古賀政男さん、

オムロン社長立石一眞さん、西濃運輸創業者田口利八さんなど、

親子の感動話、犬畜生のような扱いを受けた下積み時代の苦労話など、

涙を禁じえないエピソードも目白押しで出てきます。

言うに言われぬ逆境から成功を目指したいという方々には、

非常に勇気を与えてくれる本です

(併せて、低学歴から大財産家になったという意味で、

松下幸之助、斎藤一人ファンにもおススメです)。

●致知出版社の本の中には、

内容的には傑作なのに、諸事情から絶版になってしまって

入手困難な本が何冊かある

(個人的には、船井幸雄さんが絶賛していた、

一倉定さんの食養生の本を次に狙っている)。

本を愛する私としては、是非とも復刊してほしいところだが、

同時に、心ある人だけが、プレミアがついていることをものともせず、

あえて買い求め、誰にも渡さないで一人熟読してほしい、という

複雑な気持ちも抱いております。

本書は、上述したように、めったなことでは見つからない

希少本なので、古本屋さんで見つけたら即買いしてほしいですね。


【マストポイント】

@「聖人はたとえ相手を責める有利な立場にあったとしても、

人を責めようとはしないものである。

徳のある人は、たとえ人を責める権利を持っている場合でも、

その権利を行使することはない。なぜか。

それは人を責めるのは徳のない人たちだけがすることだからである。

天道はえこひいきがない。常に徳ある者に幸いするのである。

したがって天に仕えて幸を得るには、徳がなければならないことになる。

天は徳のある者と与しようとしているから、

徳がなければ見離されることになる。

あくまでも天に仕え、天の恵みを得ようとするなら、

善人を通さなければならない。

企業マンとしても、信、義に厚いような善人であれば、

周囲に認められ、立身出世もすれば、

興した企業も繁栄が期待されることになるのである。

神や仏に奉仕する人たちが、常に己を慎み、周囲の批判を避けようと

努めるのは、天に仕える心があるからである。

したがって、私たちはそれぞれ違った仕事をしているが、

天に仕えているという心でいれば、天は必ず恩恵を与えてくれることになる」

A「私は銀行の課長になった時が、念願であった大学卒業の先輩に

追いついた時で、夜間中学卒業の課長は創業以来初めてだ、

などといわれると、自分がいかにも偉くなったような気がしてならなかった。

何とかこのエリート意識を取り去らなければならない、ということで、

街で働く人たちとの交際を始めた。

最初は、上野公園に住みついていたホームレスのモク(吸殻)拾いの人、

他はバタ屋さん(紙屑、鉄屑拾い)、流しの音楽弾き、

石焼き芋屋、競馬の予想屋から乞食まで、40人近い人たちと親しく話をしてきた。

話す時間は1時間くらいであったが、私は特に商売の秘訣について

聞いてみたところ、一人の乞食以外はたったの一言で答えてくれた。

よく「その道によって賢し」といわれるが、

その人たちが商売のコツを一言で答えていたのには驚かされたものである。

今、大きな会社の社長に、会社経営の極意はと質問しても、

一言でいい切れる人は少なかろうと思う」

(ちなみに、一部の金持ち、企業相手の商売だった銀行業務を、

広く大衆相手に転換しなくてはならないと訴えたのは、

この時の経験が大きかったという)

B「銀行員時代の思い出として、強く印象に残っているのは、

『銀行は信用が売り物である。

信用を多く売り込むためには自分の信用を高めよ』

という上司の訓示だった。

つまり、人格を高めよ、徳を磨けということである。

ある上司は人格こそ上になることのできる唯一の条件であるともいっていた。

私の30歳代の勉学目標を、哲学、宗教、歴史に置いたのも、

こうした上司の一言があったからと考えている」

(以上本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

 井原 隆一
1910年生まれ。14歳で埼玉銀行入行。20歳にして父親の莫大な借金を背負い、勤めながら家業をこなし、寸暇を惜しんで借金を完済。また、独学で法律、経営、経済、宗教、歴史を修め、銀行でも最年少で課長に抜擢。証券課長時代にはスターリン暴落を予測、経理部長時代には、日本で初めてコンピュータによるオンラインを導入するなど、その先見性は広く注目される。その後、銀行では常務、専務取締役を歴任。一方、数々の企業再建にも尽力。名経営者として高い評価を得、日本光電工業副社長を経て現在、著述・講演や農業に励む。

ラベル:井原隆一

2008年12月23日

必読本 第832冊目 投資効率を100倍高める ビジネス選書&読書術

必読本 第832冊目

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投資効率を100倍高める ビジネス選書&読書術

藤井 孝一 (著)

¥ 1,575 (税込)

単行本(ソフトカバー): 208ページ

日本実業出版社

2008年11月1日 初版

 

●読書がビジネスの成果を上げる。

人気書評メルマガ『ビジネス選書&サマリー』の著者が明かす

1冊の本を使い倒すテクニック。 

●本をどのように読みこなし、自分の血肉にしていけばよいかを

わかりやすく指南してくれるビジネスマン向けの読書術の本。

『週末起業』などの本でお馴染みの著者だが、

その言葉や概念自体、安直な感じがして、何かとけ込めず、

今までその著書を一冊も読んだことがなかった。

私自身、こういう書評系のブログを書いていることもあり、

参考になる部分があるかもしれないと思い、手にした本です。

●全200ページで、章立ては全6章。

文体は、特に奇をてらったところもないオーソドックスなもので、

非常に読みやすく、1時間ほどで一気に読める内容です。

ビジネス本読書の効用、読むべき本の選び方、

実際の読書の方法、読書後の要約の仕方、

読書を通した人脈構築の仕方まで、

一通りのことは手際よくまとめられている。

普段、ビジネス書を読まなくては、読もうと、

気ばかり焦ってはいるが、なかなか読みこなせない、

買っても本棚やバッグの中で眠りっぱなしになっているような

若手サラリーマンの、読書術の入門書としてはお薦めできる本です。

●ビジネス本好きならば共鳴できる部分が多いのだが、

個人的に特に参考になったのは、

第5章の中の「必ず著者に会えるテクニック」の箇所です。

いわゆる「有名人」大好き人間の方には、

警鐘を鳴らす意味で、是非ご一読をお薦めします

(世の中には、勝手に強烈な思い入れを持ってしまい、

相手の迷惑も顧みず、ストーカーか写真誌カメラマンのような無礼さで、

有名な著者をアポなし訪問する一般の読者が

非常に多いことが記されている)。

●巻末におまけとして、ビジネス系の推薦書が30冊ほど紹介されているが、

勝間和代さん、本田直之さん、神田昌典さんなどの

ブックガイドを読み慣れた方には、

既に知れ渡っている超有名書ばかりで、少々ガッカリ。

この分野の「権威」たちの本と比べれば、ちょっと見劣りがしたので、

あえてつけなくもよかったのかな、とも思いました。

【マストポイント】

@図書館は、本を借りることができるだけではなく、

他人や騒音に悩まされず、静かに読書できる空間だという意味で、

積極的に利用したい施設である(無料であることも見逃せない利点)。

都市部では、一歩外に出ると、とにかく、

落ち着いて読書することができる場所を確保することに苦労する

(本を1、2時間ほどゆっくり読もうかと思っても、

ファーストフード、ネットカフェ、喫茶店、レストラン、電車、バス内、どこに行っても

集中できないことが多い。また、揃いも揃って、上記の施設は有料である。

また、自宅に帰宅してまで小難しいビジネス本など読んでいられない、

自宅ぐらいはテレビを見たり、ゆっくりしたいという人も多いはず)。

そういう意味で、出先に、着席できて、一人の時間を持つことができる

静かな空間、特に何軒か図書館を確保しておくことは、

一流の読書家にとっては必要不可欠なことである

(あわせて、耳栓も用意しておくことを強くお薦めする。

100均でも売っているが、良質のものをドラッグストアで買った方がよい。

これぐらいにウルさい現代社会では、

自分側で音を遮断する工夫をしないとダメ)。

私見だが、本を読む時間がない、場所がないのは、言い訳にならない。

本人の努力が足らないだけである。心がけ次第で何とでもなる。

Aビジネス本読書のポイント2点。

1、常に、「目的」を意識して、ビジネス本を読む。

目的がないならば、漫然と読んでも時間とお金のムダである。

2、たとえ数百ページにわたる分厚い本であっても、

書き手が伝えたい結論、要点は、たった一言に集約することができる。

そして、それはたいてい冒頭に記されていることが多い。

つまり、最初の部分を読んでも面白くない本は読む価値がないので、

さっさと他の本に当たること。

日本では一年間に8万冊の本が出版され、人生は100年も生きられない。

駄本に付き合っているヒマなどない。

B読書後のポイント3点。

1、読んだ本の中で感動したことは、

何かひとつでもいいので、実行してみる。

2、読んだ時間の3倍は思考の時間にあてる。

3、本、読書は「たたき台」である。

「本を読んでそれっきり」になることほど、もったいないことはない。

投資した時間、お金の元を取るぐらいの覚悟で、

何か応用できることはないか、利用できるアイディアはないか、と、

本そのものを徹底的に使い倒すように意識すること。 

【著者略歴】

 藤井 孝一
1966年千葉県生まれ。株式会社アンテレクト代表取締役。慶應義塾大学文学部を卒業後、大手金融会社でマーケティングを担当。米国駐在を経て、中小企業と起業家の経営コンサルタントとして独立。戦略策定などトップマネジメントへの参画、第二創業、ベンチャーの成長をサポートしている。なかでも、企業・創業の指導に定評がある。また、公的機関、民間団体を問わず、創業塾や講演会・セミナーなどに関し、企画立案の段階から参画し、企画や助言、講師などを行なう。経営者や起業家という枠にとどまらず、ビジネスマン全般の知識武装のサポートを行なうべく、著作やメールマガジン、CDなどの媒体を活用した情報発信を続けている。

ラベル:藤井孝一

2008年12月21日

必読本 第830冊目 女たち

必読本 第830冊目

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女たち

北野 武(著)

¥ 1,680 (税込)

ロッキンオン

単行本: 229ページ

2008年9月20日 初版

 

●『女優を語る』『映画の女を語る』『“アキレスと亀”を語る』

―たけしが語りつくした、自分と映画と女たち。

●ロッキング・オンから好評発売中の、北野武自叙伝シリーズ第7弾。

今年の9月中旬に発売された。

タイトルに単刀直入に示されている通り、

たけしさんが映画で起用した女優、

プライベートで交際してきた「おネエちゃん」たちを通してみた、

己の独特の女性観を語るというテーマの本である。

●全220ページで9章に分かれるが、

インタビュー本なので、1時間ぐらいで読破できるかなと

軽く考えていたが、たっぷり2時間は要した。

「ビートたけし」名で出されている本(必読本第819冊目参照)と比べ、

「笑い」の要素はほとんどない。

真剣に己の考えを語るというのが基本スタンスのシリーズである

(ただ、桃井かおりさんとヤれると思って、

タクシー内でお尻を触って、ビンタをされたという

有名な話はこの本でも何度も笑いの種にされている)。

●本書を読んで非常に印象的だったのは、

女好きで有名なたけしさんの、妙に冷めたというか、

女に流されない、非常に独特な男女交際のルールを

持っているということである。

「好みの女はいっぱいいるけど、やる女とは違うんだよ。

やる関係でいいのは、うるさくない奴、金を要求しない奴」

「映画で起用した女優と、恋愛関係になることなんて絶対にない」

「一人だと怖くて寝られない、誰かそばに人がいないと不安で寝られない」、

「自分で「やった!」と思うより、母親に「よくやったね!」と褒められたい」、

「テレビは金になるから仕事だが、映画は完全に趣味でやっている」、

などという言葉は、めったなことではテレビで語られるようなものではないので、

たけしさんの本当の姿を垣間見られるものではないでしょうか。

●北野映画の内幕話が豊富に掲載されているという意味で、

映画好きの方

(作為的なものなどほとんど感じられない北野映画の裏に、

実に細やかな計算、巧みな意図が込められていることが、

嫌というぐらいに語られている)や、

奥さん、恋人、愛人、女性の同僚との交際の仕方に

悩んでいる方などには非常にお薦めの本です。

●個人的に、TBSの番組は、見たいものがあまりないので、ほとんど見ないのだが、

土曜日夜10時に安住アナとコンビで司会をやっているニュース情報番組は、

生放送でたけしさんのアドリブ芸が見られるということもあり、毎週のように見ている

(日曜10時フジの同種の番組で、例の事件を起こして降板した山本モナを、

来年早々、サプライズゲストでこの番組ゲストで出したら相当面白いでしょう。

たけしさんのことだから、やりかねない。

また、昨晩の放送では、先日、たけしさんが麻生総理と料亭で密会をした話が、

あえて触れられていなかった。

当然、総理側からきつい口止めがあったのだろうが、

文部科学大臣クラスでの入閣か、来年衆議院選挙での出馬、

あるいは、自民党、内閣を救うためだからという三顧の礼で、

何か政治アドバイザー的なポジションで、自分の後ろ盾をしてほしいという

依頼でもあったのか。

おそらく正月番組の撮影か、新聞や雑誌でのビッグ対談というのが

妥当な見方だろうが)。

たけしさんの、何をやっても「許される」という唯一無二のポジションって

やはり、いいですよね。

 

【マストポイント】

@「風俗で「やった〜」って満足している奴いるわけじゃない?

俺、あの気持ちが全然わかんないんだよね。

やりたいとは思うけど、お金出してやって満足感なんか全然ない。

それだったら、オナニーしたほうがいいよ。同じ排泄行為だもん。

愛がないセックスがいやなんだよね。

愛のないっていうかねえ、ソープランドにいる女にしても、

俺なんか絶対外でデートして、ホテル行きたいと思うもん。

クラブのおネエちゃんとかは、一応愛がありそうじゃない。

向こうは断る権利があるわけだからさ。

でもソープランドは断る権利ないじゃない。

やらしてくれるのとさ、やらせるのが商売なのとのは違うだろうと思うわけ。

だってお金払ってやらしてくれっていうのは、

お金払って女を買うことであって、女は商品になっちゃうわけでしょ。

それはやらせてくれたことにはなんない。

お金払った以上は、やらせてくれるっていう言葉はいらないわけだよ。

やらしてくれっていうのは、タダじゃなきゃダメなんだよ。

そのあとにお金を払うのは、女を買った金じゃなくてタクシー代じゃなきゃダメなの。

だから俺、「食い放題の店」って書かれると行きたくないっていうのと同じかもね。

何でも安い、持ってけドロボーみたいに書いてあるとことか、

そこで買い物するの嫌いだし。バーゲンだから先を争って、っていうのもヤだし。

その辺が親の教育なんだか。

性的なこともそうだし、あらゆるものでそうだなあ。服でも何でも。

今安いから買いに行こうなんて絶対に思わないし。

昔は金ないからハナから買う気はないんだけど、

ある程度お金持って服ぐらい買えるときも、

安いからって行くっていうのはなかった。

こんなこと言ってて、意外にファッションヘルスで捕まったりして(笑)」

A「今のフリーターってねえ、ネットカフェ難民とかいうけど、

あいつら仕事が甘いんだよ。楽な仕事やってっからあんなことになるんだ。

羽田空港の荷役ってのは、寝るとこも食うとこもいっぱいあるもん。

なぜなら仕事がきつくて食べて寝ないと、ぶっ倒れちゃうんだから。

ベッドがあって、そこで寝て、ぱっと下りていくと食堂があって、

そこで飯が食えるんだよ。だからずーっとそこで暮らしている奴がいるの。

5年ぐらい暮らして、何百万も貯めて出ていった奴もいる。

中上健次とか、みんないたんだから。

当時、新宿の喫茶店のバイトが、一日600円〜700円だもん。

羽田はそんとき8,000円だから。もう桁が違うの」

「荷役はヤな仕事だけど、金と比較するじゃない。今のフリーターがやってる

仕事は、ヤな仕事なんだけど、金もよくないじゃない。

だからつまんないんだと思うよ。

肉体労働は、人間関係が楽でいいの。

他にもデパートやガソリンスタンドでも働いたけど、

そこは(中卒、高卒正社員が大学生アルバイトに対して)

いびりや、ひがみが多くて精神的にヤんなってきてね。

肉体労働はそういうのがないんで。やらなきゃ怒られるし。

理屈がいらないんだよ」

B「やっぱり、どう考えたって、ライオンが芸しないほうがいいもん。

イヌがいくら芸したってイヌだもん。

ライオンはタマキン出して座ってたってライオンなんだけど、

ライオンがたまに笑ったらすごいなあと思う(笑)。

黒豹とかさ。演技するはずがない奴がするってのが、一番面白いじゃない?

で、ほんとはパンダを目指してんだ俺。寝てようが何しようが

パンダって言われるのが一番いいんだけど。

パンダが演技上手かったらね、人気ないと思うんだ。

サトウキビ食って、ひっくり返ってりゃあ、みんな、「パンダだ!」って喜ぶけど。

パンダが愛想つかって火の輪くぐったりなんかやったらね、

絶対人気なくなると思うんだよな。それがちょっと怖いんだ。

演技するライオンって怖いなあと思う。

いつか飽きられちゃうなと思うし。

ただ、何もしないイヌってのも情けないけどな(笑)。

どうにもなんないからなあ、何もしないイヌは」

(高倉健、石原裕次郎、笠智衆、すべて大根役者だったが、

彼らの味は他の役者には絶対に出せない、演技らしい演技をしないから逆に良いのだという)

(以上本文より。一部改変) 

【著者略歴】

北野武

1947年東京都足立区生まれの団塊世代。明治大学中退後(2004年に特別認定を受け卒業)、浅草のストリップ劇場で修行を積み、1973年に漫才コンビ「ツービート」結成。1980年からの漫才ブームで国民的な人気芸人となる。俳優としても独特の才能を発揮し、『その男、凶暴につき』では主演と監督を務める。その後映画制作を開始し、『HANA―BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞、『座頭市』で同映画祭監督賞を受賞。長きにわたり人気を誇るお笑い芸人、タレント、そして世界的な映画監督として、他の追随を許さない存在を保ち続けている。

2008年12月14日

必読本 第829冊目 「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力

必読本 第829冊目

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「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力

キャロル S.ドゥエック(著), 今西 康子(翻訳)

¥ 1,890 (税込)

草思社

単行本: 270ページ

2008年11月1日 初版

 

●問題が難しいとやりたがらない子、難しい問題ほど目を輝かせる子。

一度の失敗で、もうダメだと落ちこむ人、

失敗すると、何がいけなかったのか考える人。

この違いはどこから来るのか?

能力や才能は生まれつきではないことを20年間の調査で実証した貴重な研究。

●いわゆる能力開発系の本です。

副題にある「マインドセット」という言葉は、

本田直之さんが近刊にて関係された本のタイトルになったものだが、

一般にはあまり知られていない言葉だろう。

まあ簡単に言ってしまえば、「ものの考え方」というぐらいの意味だが、

本書では、世の中で能力や才能を開花させ、成功している人々は

「しなやかな(柔軟性のある)マインドセット」を持っていて、

そうでない人々は、「こちこちの(硬直した)マインドセット」を

持っているそうである。

それら2種類の人々の考え方、行動傾向を対比させながら、

才能開発の方法を平易な言葉で解説していくという本である。

●構成は「個人の才能開発」「人間関係」「親・教師の教育法」など、

全6章に分かれているが、

本書の中核となる第2章〜第4章は、読みどころ満載の内容である。

スラム街にあるような、地域最低レベルの小学校の子供たちが、

シェイクスピアなどの古典文学も次々と読破し、

成績超優良校に一変した話、

ハーバード大学に合格せねば人にあるまじとばかりに、

両親からスパルタ教育を施され、そのプレッシャーに負けて、

つぶれてしまった子供の話など、

非常に興味深い事例が盛り沢山で紹介されております。

●その中でも、特に第4章は素晴らしい。

「いじめは、いじめられている側の自分への評価と受けとめるよりもむしろ、

加害者側の心の問題として捉える」という見方、

「失敗した人には建設的批判を与える」などという言葉は

目からウロコが落ちるアドバイスであった。

対人関係、夫婦問題、子供の非行、いじめ問題などに苦慮されている方には

身につまされるような話が次から次へと出てきます。

●270ページで、字体も比較的に大きめ、それほど難解そうな内容でも

なかったので、一気に読めるかと思ったが、

なるほどなぁと膝を打ちたくなるような秀逸な内容に満ちていて、

ビッチリ3時間も要してしまった。

付箋や赤ペン片手に読まれた方ならば、

そこら中に重要ポイントを見出すことができるはずである

(重要文が太字になっているのも良い)。

一読しただけではすべて頭に入らないだろうから、

繰り返し読み返したい本である。

●最近読んだ本の中では、特に感銘を受けた一冊。

人の成功、幸せなどというものが、天与の物ではなく、

ものの見方、視点を変えるだけで、最底辺の場所からでも、

自助努力でいくらでも向上させることができるということを

証明した画期的な書物です。

子育て、教育、潜在能力開花、性格改善という分野に興味をお持ちの方には、

非常にヒントに満ちております

アマゾンなどでは現在レビューもなく、注目度は低い本ですが、

必読の傑作です。

 

【マストポイント】

@「人はほめて伸ばせ」とはよく言われることだが、

注意すべきは「能力をほめるとほめられた人々の知能が下がり、

その努力をほめると知能が上がった」という実験データである。

「頭のよさをほめると、学習意欲が損なわれ、ひいては成績も低下する」。

「ほめるときには、子供自身の特性をではなく、

努力して成しとげたことをほめるべきである」。

子供に「あなたは頭が良い」「あなたは才能があるのよ」と励ましても、

その子は自分を賢く見せようとして、愚かなふるまいに出るだけで、

逆効果となる。

また、ネガティブなレッテル貼りも一切やめる。

レッテルを貼られただけで、伸びる能力も伸びなくなるという結果が出ている

(例・女性だから、黒人だから、高卒だから、もう年だから…)。

Aこちこちのマインドセットの持ち主は、

失敗は、単なるひとつの出来事に過ぎないのに、

私は失敗者だというアイデンティティにまで高めてしまう。

また、失敗の原因を、自分以外のものに責任転嫁する、他人に押し付けてしまう、

人のあらさがしばかりする、という傾向が非常に強い。

ゆるやかなマインドセットの持ち主は、

失敗を単なる出来事のひとつと捉え、

この体験から何を学び取るべきか、どうすれば自分をより向上させていく

ことができるかと考える。

また、失敗の原因を他に求めず、

自分の責任だと素直に認めることができる。

そして、失敗からどのようにしたら回復できるかに意識を集中する。

「こちこちのマインドセットの人は、自分が他人からどう評価されるかばかりを気にするのに対し、

ゆるやかなマインドセットの人は、自分を向上させることに関心を向ける」。

B「学習できる環境がある限り、

世界中のほとんど誰でも、また、どんなに絶望的な状況下でも、

能力を伸ばすことが可能である」。

その際、どんな偉人でも、天賦の才能が優れていたから成功したのではなく、

やり方が優れていたから、研究熱心だったから、懸命に練習したから、

つまずいてもくじけなかったから成功したのでであることと、

「人は変われる」ということが絶対的真理であることを忘れないようにしよう。

 


【著者略歴】

キャロル・S・ドゥエック
スタンフォード大学心理学教授。パーソナリティ、社会心理学、発達心理学における世界的な研究者。人間の思考様式への関心は30年来で、達成動機、人間関係、精神保健にかんする研究で大きな業績をあげている。

今西 康子
1958年、神奈川県生まれ。NTTの健康管理所に勤務ののち、現在は翻訳業。

2008年12月07日

必読本 第825冊目 無の道を生きる-禅の辻説法

必読本 第825冊目

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無の道を生きる-禅の辻説法

有馬 頼底 (著)

¥ 735 (税込)

集英社

新書: 219ページ

2008年9月22日 初版

 

●人間本来無一物。

一度死に切って楽になれ。

正真正銘の「正味」の生き方の真髄を異色の名僧が語る。

京都仏教会を束ね、物言う禅僧として世界レベルで行動し、

伊藤若冲の「動植綵絵」展などを催した承天閣美術館の館長としても名高い著者が、

その数奇な人生の中で禅の心と共に培ってきた正味の生き方。

そこには、現代の迷う心を解き放つ知恵が満ちている。

覚えておきたい禅語・仏教用語解説つき。

●私自身、特定の宗教を信じているわけではない、

いわゆる無宗教の人間だが、自己修養的な観点から見て、

一般の人々にも役立つ、是非とも学んでおいたほうがよいな、

と思われる宗教関係の本は、仏教、キリスト教など宗派を問わず読むようにしている。

本書も、地元の図書館で見つけて、興味をそそられて読んだ本。

●私自身全く初めて読む方だが、

著者は、臨済宗、いわゆる禅宗の高僧で、

京都仏教会を代表する長老である。

のみならず、茶道や絵画などの芸術方面にも詳しく、

自分の寺で所蔵されていた膨大な数の仏教芸術品を展覧する

美術館館長まで務められているという(著作物も多い)。

本書は、己の数奇な人生を振り返りながら、

迷い多き現代人がたくましく生き抜いていくために役立つ、

禅の知恵、仏教の教えを解説してくれるという内容の本です。

●著者は、現天皇陛下の学童時の遊び相手に任命されるほど、

そもそもの血筋は良かったのだが、

両親の離婚などのゴタゴタがあって、8歳という幼さで仏門に預けられる。

その時から、学校内での同級生のいじめや

身寄りがないという孤独感、寺の修行の過酷さなど、

相当の苦労を経験されたようである。

本書を読むと、若き日の悲しくも心温まる師匠との思い出話、

修行上のちょっと想像しがたいような過酷なエピソード、

因縁をつけてくるヤクザや右翼を軽く蹴散らしてしまった話など、

ともかく紹介されている実話が圧倒的に面白い。

行政が導入しようとした「仏教税」反対のために、

観光客の寺院参拝をボイコットしたという話、

京都の景観、日本の美術品保護のため、文化庁を文化省に格上げせよなど

と訴える話などは、とくに痛快です。

相当の重鎮なので、著名人との交遊も多いらしく、

長嶋茂雄さん、梨田昌孝さん、広中平祐さんなどとのお話もある。

●全5章分あるのだが、口述筆記したものを文章にしてあるので、

講演会を聞いているかのような読みやすさがあります。

各章末には、本文に出てくる仏教用語解説がついているのも

素人には非常に親切。

安価な新書であるのも魅力です。

さほど時間を要せず読み切れるかと思います。

宗教家が書いた本ですが、

子供、学生を立派に育てるという教育論、

集団、組織を統率していくというリーダー論、

強く生きていくための人生論など、非常に多彩な読み方ができる本です。

人生の方向性が定まらなくなった時、

生活、仕事に疲れてしまった時などに読むのに最適だと言えるでしょう。

 

【マストポイント】

@「自分にかかわることは、ちゃんと勉強して分かっておく必要がある、

ということです。

どんな相手とでも渡り合い戦うためには、

相手につけこまれる隙を作らないよう勉強して武装しなくてはだめなんです。

それを全部、私は勉強しました。必要とあれば、六法全書だって読んだし、

かかわりのある法律は全部頭に入っています。

こういうことは学校では教えてくれるものではない。

やはり自分自身で勉強しないことにははじまりません。

現場での戦いには、現場での戦法、戦略を身につける必要があるし、

また、それがもっとも効率のいい方法でもあるわけです。

僧侶というのは、浮世離れしていることがいいみたいに思われがちですが、

世間のことを実はよく知っておかなくてはいけない。

私は変り種とよく言われるがそうじゃない。

私が当たり前なんです。世間と渡り合っていくのはトップの義務であって、

その義務を怠っていちゃだめなんです。

義務を私は遂行しているだけです」

A「相手がどんなに偉かろうと、間違っているものは、間違っている。

それを『はい、そうですか』と受け入れてしまったら、

本当に大切なもの、価値あるもの、文化などというものは、

やがてなくなってしまうでしょう。

ですから私は、どんな相手であっても、

敢然と違うものには違うと言ってきました。

言いたいことを何でも言えるという覚悟はどこから来るのか。

それは、私には怖いものがないからです。

怖いものがないのは、なぜか。失うものがないからです。

これほど強いものはありません。

管長という立場さえ、いつ失ってもいいと思っています。

もともと、行き場を持たずに生きてきた人間です。

そして私には、托鉢という生き方がある。全国を行脚して、暮らしていけばいい。

元に戻るだけなのです。何もない。

それは逆に考えれば、世界中の銭は全部、私の銭ということ。

どうとでも生きていけるのです。何も怖いことはない。

地位?なんやねん、そんなもの。地位なんて食えへん。

銭?銭はそこらに転がっている。やくざが来る、右翼が来る、

何が来ても怖くありません」(ちなみに著者は妻帯もしていない)

B「ときには黙っていることは人を動かす大きな力になる。

自分の意見を押しつけることは、けっしてしちゃいけない。

敵対関係を持たないこと。みんなと融和しながらやっていく。

お前の意見はだめだとか、否定する言葉は絶対に言っちゃいけない。

これはリーダーの基本ですね。

みんなの意見をまとめることが自分の役どころと心得ることです。

もうひとつ大事なのが、どんなことがあろうとけっして動揺しないこと。

トップの人間が動揺したら、みんな動揺するんです。

たとえ内心ではひやひやしながらでも、それは表情に出さない。

あくまでも悠然と構えている。

それぐらいできなくて、なにがトップですか」

(以上本文より。一部改変) 

 【著者略歴】

有馬 頼底(ありま らいてい)
1933年東京生まれ。臨済宗相国寺派七代管長。大本山相国寺・鹿苑寺金閣・慈照寺銀閣住職。京都仏教会理事長。八歳で大分県岳林寺に入門、五五年京都臨済宗相国寺僧堂入門。久留米藩主有馬家の子孫。著書『禅僧が往く』(日本経済新聞社)『茶席の禅語大辞典』(監修、淡交社)『禅の心 茶の心』(共著、朝日新聞社)『禅と茶の湯』(春秋社)ほか多数。
 

ラベル:有馬頼底

2008年11月30日

必読本 第821冊目 伝説のプロ野球選手に会いに行く

必読本 第821冊目

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伝説のプロ野球選手に会いに行く

高橋 安幸(著)

¥ 1,600 (税込)

白夜書房

単行本: 287ページ

2008年10月1日 初版


●現役時代を知らないライターが、「伝説」に会いに行く。

苅田久徳、千葉茂、小鶴誠など、10人の伝説の野球人の生に触れ、

口調もそのままに、リアリティを全面に出してまとめた、

かつてない臨場感で迫る超インタビュー。

●プロ野球史に名前を刻む伝説のプレーヤー10人に、

現役当時の姿を知らない若手ライターがインタビューを訊きに行く。

私は一度も読んだことがないのだが、

雑誌「野球小僧」に連載していたものを一冊に書籍化したものだそうである。

●プロ野球を愛する人ならば、

川上哲治さんはピッチャーの投げた球が止まって見えたとか、

藤村富美男さんのバットは、

今では規格外の物干し竿のような長大なものだったとか、

村山実さんはフォークボールを握るために、

人差し指と中指の間をナイフで切って広げたとか、

様々な伝説を耳にしたことがあるかと思う。

それらの逸話、伝説を中心に、

ファン心理的な観点で、フリーライターの著者が

往年のプロ野球選手に現役時代の体験談や成功の秘訣を

聞きに行くというコンセプトの本です。

●ともかく、又聞き、噂話ではなく、

名選手本人に当時の話を生で聞いているというのが

プロ野球ファンにはたまらないだろう。

杉下茂さんは、伝家の宝刀フォークボールを

めったなことでは投げず、ここぞという勝負所、

一試合4〜5球しか投げなかった

(ピッチャーはストレートが正道、フォークは所詮、邪道の球という意識だった)、

シーズン42勝という不滅の記録を上げた年、稲尾和久さんは、

目の中に3つの升目が浮かんでくるという不思議な体験をした

中西太さんの、バッティングは「股間」

(正確に言うと、太もも内側の内転筋の力)で打つという理論など、

非常に面白いエピソードが次から次へと出てくる。

プロ野球観戦ができないヒマなオフシーズンに読むにはピッタリの本です

(残念ながら、千葉茂、小鶴誠、稲尾和久、苅田久徳(カバー写真の人)は、

本書発刊前に亡くなられた)。

●この本で扱われている選手たちは、引退後、

指導者としても名をあげた人が少なくないのですが、

若者から慕われ、その長所を引き出していくコーチングの方法、

組織を束ね、全体としての成績、結果を上げて行くという経営者的な思考法を

学ぶという意味で、ビジネスマンにも非常に参考になる本です。

選手としてよりも監督としての名声が高かった

西本幸雄、関根潤三さんのお話には、特にヒントになるものが多いでしょう。

●この本の巻末には、プロ野球に造詣が深いミュージシャン大瀧詠一さんと

著者の対談風の解説がおまけとしてついているのですが、

これは、プロ野球ファンであるなしに関係なく、

非常に面白い話が述べられております。

何でもその場その場で一回勝負でケリをつけず、

後で確認すればいいや、先に延ばしておけばいいやという

「録画世代」が時代をダメにした、

昔は、(審判やキャッチャーではなく)打席という「場」に

向かって一礼してから打席に入った、

そして、一旦打席に入ったらめったなことでは打席を外さず、

構えの姿勢に入ってからは微動だにしなかった、

内角球も避けなかった(川上哲治、榎本喜八)

それがピッチャーに非常に威圧感を与えた、などという

なかなか鋭いことが語られております。

本文以上にタメになる部分です。


【マストポイント】

@著者「体づくりについてうかがいたいのですが、金田さんはかなり、

食べることを体づくりの原点になさって、一生懸命だったそうですね?」

金田正一「アンタたち一般人だって、食べることを一生懸命にしているつもりだと

言うかもしれないが、適当に食べて飲んで、リラックスしているかもしれん。

だが、野球選手ちゅうのは、常に緊張感を伴って、

ときには勝負にこだわって、一日中食べられないこともある。

それを克服しようと、食べる工夫をしたということや。

今の人たちはその工夫ができない。

今の人は味に鈍感だと思うな、むしろ。

鈍感じゃあ、試合に勝てないよ。

まずは食べることを原点に取りかかってやらないと」

A杉下茂「今の若い人に言いたいのは、

常にほかの人のいいところを盗む、という気持ちを持って、

自分なりに考えてほしいわけ。

昔はコーチもいねぇんだよ、フォークボールのお手本もいなかった。

誰かコーチがいると、選手は作ってもらえるという感覚になりやすいが、

あくまでも、コーチは教える人ではなくて相談相手。

作るのは自分だ、という気持ちで接してほしいね。

そしたら個性のあるさ、いいピッチャーになれる。

お互いの話がぶつかって初めて、いい関係になれると思うね。

俺はコーチをやってて、いつも、そういう気分だったよ」

B中西太「師匠である三原脩さんの野球ちゅうのは

(ちなみに、中西さんの奥様は三原さんの長女で、三原さんは義理の父にもあたる)、

簡単に言やあ、人の長所を見て、合ったところで使うちゅう野球ね。

それで自信を持たしてあげて、そのなかで短所を見つけてやれば、

短所もスムーズに消えていく。

長所を伸ばせば短所が消えやすい。

長所を見抜くちゅうのは簡単には行かんよ。本当に愛情を持って見てやらんとね、

見落とすわな。実際はこれがいちばん難しいんだけどね」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

高橋 安幸
1965年生まれ、新潟県出身。日本大学藝術学部卒業。出版社勤務を経てフリーライターとなり、『野球小僧』には創刊時から関わった。現在は、「野球」をメインに週刊誌、月刊誌などで執筆中。

ラベル:高橋安幸

2008年11月28日

必読本 第820冊目 天津 木村のエロ詩吟、吟じます。

必読本 第820冊目

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天津 木村のエロ詩吟、吟じます。

天津 木村 (著)

¥ 1,200 (税込)

河出書房新社

単行本(ソフトカバー): 192ページ

2008年9月30日 初版

 

●『爆笑レッドカーペット』『やりすぎコージー』などで話題沸騰中の芸人、

天津木村による初著書。

テレビでは決して放送できないネタの数々を「吟じます」「あると思います!」。

ケンドー・コバヤシとの特別猥談も収録。

●私のブログの主旨には本来そぐわない本ですが、

私自身、最近何か生活に笑いが少ないな、ちょっとカリカリすることが多いな

という気がしてましたので、気分を落ち着ける意味も込めまして、

お笑い芸人さんの本を読んでみました。

●著者の天津木村さんは、フジテレビ系『爆笑レッドカーペット』出演などで

おなじみの芸人さんです。

改めて説明不要でしょうが、日本伝統の詩吟のリズムに乗せて、

(モテない)男性のエロ行動を唄うというあの芸風で人気ですね。

本書は、その木村さんのネタを1ページにひとつの割合で、

全150個ほど掲載するという内容となっております。

●テーマごとに全5章に分かれ、テレビで既出のネタも散見されますが、

ともかく笑える下ネタ満載です。

最終章「放送禁止になった男の悲哀」は、

文字通りテレビのオンエアではじかれたNGネタばかりが集められ、

エロ度も高く、非常に強烈で、男心に響きます。

ネタの後に付載された一言解説と、木村さんのフザケた顔写真も、

イイ味を出してますよ。

●下にも何個か紹介しましたが、

とにかくくだらないエロネタが満載で、

爆笑必至、人前では読まない方がよいでしょう。

自分の彼女が良識派の女性ならば、読ませない方が賢明です。

あまりにも内容が変態的というか、

こんな本を読んでいると、人格を疑われ、フラれる可能性があります(笑)。

自宅で一人こっそり読んだ方がいい本です。

●巻末には、木村さんが敬愛するという先輩ケンドー・コバヤシさんとの

爆笑エロ頂上対談も載せられております。

こんなしょうもない本を買うな、こんな対談本来受けたくなかった、

お前のことは後輩として全く目をかけていなかった、などという

破天荒なコバヤシさんの発言が笑えます。

章の合間には、詩吟の師匠である父親、漫才の相方、

それと奥様(木村さんは既婚者だったんですね。意外です)

のインタビューも掲載されております。

ともかく、文句なしに笑いたい男性必読の本です。

 

【マストポイント】

@「早く一人になって一人エッチがしたいから

出掛ける前にモタモタしているオカンに

だいぶキレる」

A「使いもしないのに

コンドームを

とりあえず財布にしのばせる」

B「歯医者で治療をしてもらってて

自分のベロが歯科助手の人の手に触れたら

全神経をそこに集める」

C「お風呂上りに一人でする時

汚したくないから

なんとなくキレイにイク」

D「どや顔で腰ふり続けているけど

実は

ちょっと前にもうイッてる」

(以上、本文エロ詩吟より傑作を抜粋。特別に5個掲載。

他にも秀逸なもの多し。興味ある方は是非ご購入を) 

【著者略歴】

1976年兵庫県生まれ。大阪NSC21期生。吉本興業所属。9歳より父から詩吟を教わり始め、30歳で詩吟師範代の資格を取得。1999年、NSCで知り合った向清太朗と漫才コンビ「天津」を結成。今最も注目を集めている芸人の1人。 

2008年11月27日

必読本 第819冊目 貧格ニッポン新記録

必読本 第819冊目

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貧格ニッポン新記録

ビートたけし (著)

¥ 756 (税込)

小学館

新書: 224ページ

2008年10月6日 初版

 

●食品偽装事件、朝青龍騒動、ねじれ国会、納豆ダイエット、裁判員制度…。

破天荒で超脱したデタラメの中に見え隠れする

世間への鋭い皮肉・風刺が日本人の心に突き刺さる。

『週刊ポスト』連載から秀逸コラムを厳選した傑作選。

●1983年より週刊ポスト誌上で好評連載中の

『21世紀世紀末毒談』の中から、傑作話を

選り抜いて一冊にまとめたもの

(しかし、四半世紀も連載し続けているというのも驚異的である)。

2007年から2008年までに話題になった人物、事件、商品などを、

たけしさんが、例によって、歯に衣着せぬ毒舌ぶりでバッタバッタと斬りまくってくれます。

●もう腹の皮がよじれて切れるかというぐらいに、

爆笑話が次々から次へと続きます。

笑いをこらえるのが不可能ですので、

電車、図書館など公共の場では絶対に読まない方がいいでしょう。

イライラする時や、ストレスがたまっている時に読むのには最高の本です。

●巻末には、おまけとして、愛弟子でもある宮崎県東国原知事との

対談もついているのですが、

とにかく東知事の過去のスキャンダル話がこれでもかというぐらいに

暴露されております(離婚2回、警察沙汰3回とか)。

たけしさんぐらいの大物でなければ、裁判沙汰になってもおかしくないぐらいに、

あらゆる下ネタエピソード(東知事以外でも、軍団やさんまさんや巨人軍選手など)

が紹介されておるのです。

●所属事務所の山本モナの例の事件のことも当然触れられておりますし、

安倍首相や福田首相の辞任騒動、連続殺傷事件や、

船場吉兆、大相撲騒動、ジェロ、ミシュラン、ダイエットブームなど、

ここ1、2年の間、世間を騒がせたニュースは、ほぼ取り上げられております。

ギャグと毒舌と巧みな比喩を基本にして話は進みますが、

よくもこんな見方ができるものだな、こういう考え方もあるよな、

というたけし流観察眼の鋭さにも毎度のことながら驚かされます

(特に、秋葉原無差別殺人事件を批評した

「こうなりゃ次は『潜望鏡タクシー』だ」は、大学入試の小論文の問題に

採用されてもいいのではないかと思うほど秀逸。

昨今の無差別殺人事件を考える上で必読です)。

●詳しいことはわからないが、

海外でも絶大な人気を誇るたけしさんですが、

関連の著書は海外でも翻訳出版されているのでしょうか?

下手な評論家や大学教授が書いた本よりも、

よっぽど日本の問題点や現状分析が鋭く行われていて、

風刺が利いていることもあり、

外国人にもとてもウケるのではないかという気がします

(この点、同じ路線の爆笑問題太田さんは、

たけしさんの後釜はまだまだだなと思わせる)。

●余談ですが、先週の土曜日に、

その爆笑問題とともに司会をされたフジ系の教育関係の特別番組で、

たけしさんは、i-Podなどで聴く音楽には何か非常に違和感を感じる。

それよりはCDの方がまだまし、更にいいのはレコードで、

最もいいのはライブでミュージシャンの演奏を聴くことである、

それと同じで、ネット上の言説には、非人間的な違和感を覚える、

直に会って他人と話す、つきあうのとは、違った関係性が

ネット上では生じやすい、それが2ちゃんねるなどでの脅迫や

学校裏サイトなどでのいじめに繋がっている、という

意味合いのことを語られていた。

卓見だと思いました。

 

【マストポイント】

@「東には、選挙に立つと決めた時に、

「オフィス北野」をやめてもらっている。

その後は、それっきりで、選挙期間中もオイラは何もしてない。

それは、オイラなりの考えがあって、

「芸の世界」と「政治の世界」は相反するものだと思っているから。

芸人が政治や政治家に文句をいったり悪態をつくのはいいけど、

芸人が自ら政治家をやってはいけないというね。

オイラは政治がいくら変わろうとも、どんな世界でも芸人としてやっていく

覚悟があるんだよ。共産党政権になれば誰よりも早く赤旗を振るし、

北朝鮮みたいな独裁政権になれば「マンセー」って叫びながら

喜び組のおネエちゃんと一緒に将軍様の前でパンツ一丁で踊りまくる。

長いものに喜んで巻かれるというのが芸人根性だからね。

だから政治は芸人なんかを取り込んだらいけないし、

ホントは国民も芸人を政治家に選んじゃいけないんだよ。

信念を曲げない、公約を守る、信義を守らない。

政治家に大切な資質はみんな、芸人に欠けてるものばかりで、

だからこそ芸人をやっているんだから」

A「いい加減、ニッポン人は、楽して痩せて健康になるのは無理だって

気づかなきゃいけないよ。

そもそも、みんな、なんでそんなに長生きしたいのかさ。

もし仮に「絶対に100歳まで生きる」っていわれたら、

何していいか困っちゃう人が多いんじゃねぇかな。

ましてや、「昔は良かった」「生き甲斐がない」なんていってる人間が

ただ長生きしたところで何もいいことなんてないだろってね。

それに、ニッポンは長寿大国なんていわれてるけど、長生きしたオイラたちより

上の世代は、健康になんて何も気を遣っちゃいないんでさ

(ちなみにたけしさんは1947年生まれで、今年61歳)。

果たしてオイラたち団塊の世代は70、80まで生きられるのか疑問なんで、

今が平均寿命のピークだって気もするよ。

だから、いくら健康に気を遣ってたって死ぬ時は死ぬし、

楽して痩せたいなら、病気になるのが一番だしね。

惜しまれるうちにポックリ逝くのが一番なんで、

健康になることを考えるより、

いかに死ぬかを考えた方が前向きに生きられるぜっての」

B「今の子供たちには強迫観念があってさ。

一生懸命やって、偉くならなきゃいけないとか、

人に誇れる仕事をしなきゃいけないとか、誰かの役に立たなきゃダメだって

思ってるんだよ。それで、偉くもないし、人に誇れるどころか、

ちゃんと定職にも就けないって勝手に悩んでるんだけどさ。

でもそんなのウソなんでね。

ほとんどのヤツは人生がうまく行かないし、挫折がない人生なんてないんだからさ。

夢を持つことも大事だけど、夢を実現できなかった時にどうするかっていうことを

教えるのも大切なんでね。

友達や恋人はいないのが当たり前であって、挫折することを前提と

した教育を小さい頃からしないといけないんだよ」

「(秋葉原事件の)加藤容疑者ってヤツは、職場での処遇に不満があったとか、

親とうまく行ってなかったとかっていってるみたいだけど、

オイラにいわせりゃ、だからどうしたって話でね。

そんなの特別でも何でもないし、悩みのないヤツなんていないだろってね。

でもそれが何の関係もない人を殺すという凶悪犯罪に繋がるとなると

話は別でさ。そんなことするぐらいなら、せめて大人しく死んでくれってさ」

(以上本文より。一部改変)

【著者略歴】

ビートたけし

 1947年東京都足立区生まれの団塊世代。明治大学中退後(2004年に特別認定を受け卒業)、浅草のストリップ劇場で修行を積み、1973年に漫才コンビ「ツービート」結成。1980年からの漫才ブームで国民的な人気芸人となる。俳優としても独特の才能を発揮し、『その男、凶暴につき』では主演と監督を務める。その後映画制作を開始し、『HANA―BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞、『座頭市』で同映画祭監督賞を受賞。長きにわたり人気を誇るお笑い芸人、タレント、そして世界的な映画監督として、他の追随を許さない存在を保ち続けている。

2008年11月19日

必読本 第814冊目 論語を楽しんで生かす本―生き方、仕事、家庭、人付き合い…忘れてはいけない心の在り様と進むべき道が見えてくる

必読本 第814冊目

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論語を楽しんで生かす本

―生き方、仕事、家庭、人付き合い…

忘れてはいけない心の在り様と進むべき道が見えてくる

 (カルチャー図解-人生を10倍楽しむ!)

主婦と生活社

佐久 協, 主婦と生活社

¥ 1,260 (税込)

単行本: 143ページ

2008年4月28日 初版


●生き方、仕事、家庭、人付き合い…。

忘れてはいけない心の在り様と、進むべき道が見えてくる。

『論語』を読む前に知っておきたい基礎知識や孔子の生涯、

ビジネスマンに役立つ『論語』の章句などを紹介する。

●毎日忙しい日々を送り、色んなことに迷い、戸惑っていると、

やはり、時として、人間学の原理原則、大基本とも言うべき書に

戻りたくなることがある。

私の場合、そんな時には、文句なく、中国古典の最高峰

『論語』ということになる。

●本書は、孔子の人間像と『論語』の成立過程を、

親しみやすいイラスト、図表、写真などを豊富に掲載しながら、

初心者にもわかりやすく解説した本である。

巻頭には、『論語』を座右の書とされ、

その解説本(必読本 第385冊目参照)も執筆されている

ワタミ社長渡邉美樹さんのインタビューが掲載されている

(孔子を祀る湯島聖堂で行われた)。

●よくあるタイプの図解速習本だが、

『論語』の基礎知識、孔子の生い立ちやプロフィール、弟子たちの関係図、

古代中国の歴史年表、『論語』の有名な言葉の紹介とその解説、

四書五経の故事成語、『論語』が日本へ与えた影響など、

重要ポイントがコンパクトに一冊にまとめられた良書である。

『論語』を日頃愛読していても、いまいち腑に落ちない部分、

いかようにも読める曖昧な言葉というものが結構あるかと思う。

そのような難解な表現や抽象的な言葉に対する解説などが

実にわかりやすく書かれている

(監修者は、『論語』関連の名著もある、元慶応高校教諭の佐久協さん)。

『論語』の全訳本とともに、注釈本として、是非とも

脇に置いておきたい本だ。

●孔子家は、現在83代目を数えるという、

ギネスブックにも認定された世界最長家系であること、

孔子は、NBAのバスケットボール選手も驚く

身長2メートル20センチの超大男だったのではないか

(あのアンソニー・ロビンズも2メートルの大男で有名ですが、

それを想起させる)など、ウンチク的なコラムも豊富に掲載されております。

 

【マストポイント】

@子曰く、学んで思わざれば則(すなわ)ちくらし。

思うて学ばざれば則ちあやうし。

(「知識を学んだだけで自分の頭で考えようとしなければ真の理解につながらない。

かといって自分の頭だけで考えて他から学ぼうとしないと、独断に陥る危険がある」

昔の中国でも日本でも、栄えた国の君主は、

「社稷(しゃしょく)の臣(しん)」といって、自分に苦言を呈することのできる

家臣をわざと身近に置いて、自らを律した。

最近の日本は少子化で、中国も一人っ子政策によって、

唯我独尊、自信過剰のベンチャー企業社長のワンマン経営が目に付くようになった。

独断専行に陥らないよう、特に銘記したい言葉)

A子曰く、君子は言に訥(とつ)にして、行に敏ならんと欲す。

(「人の上に立つ者は、言葉は巧みでなくてもよいから、

行動は敏速であってもらいたいものだ」)

君、命じて召せば、駕(が)を俟(ま)たずして行く。

(「先生は、主君からお呼び出しがあると、

馬車の用意が整わないうちに出発された」。

孔子が重んじたのは、表面的なスキルよりも、気配りや気構えだった。

普通に考えれば、多少準備を待っても馬車に乗っていった方が、

早く到着するし疲れもない。

しかし、結果的にはムダな行為に見えようとも、一刻も早く主君の元に

馳せ参じたい、だから走ってでも出発したという思いは、

必ず主君に伝わるのだという。

孔子は、客を送り出した後には、客が振り返るか否かを問わず、

もう一度客の背中に頭を下げるのが礼儀だとも述べている)

B子曰く、人能く道を弘(ひろ)む。

道、人を弘むるに非(あら)ず。

(「人が道徳や社会規範を広めていくのであって、

道徳や規則が人を改善していくのではない」。

世の悪事を、評論家、傍観者的態度で批判していては、

いつになっても世の中は良くならない。

個々人が、たった一人でも正道を歩もうとする自覚と実践が大事だということ)

(以上本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

佐久 協
1944年、東京都生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、同大学院で中国文学・国文学を専攻。大学院修了後、慶応義塾高校で教職に就き、国語・漢文・中国語などを教える。同校生徒のアンケートで最も人気のある授業をする先生として親しまれてきた。2004年に退職。

2008年11月17日

必読本 第812冊目 映画論講義

必読本 第812冊目

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映画論講義

蓮實 重彦 (著)

¥ 2,730 (税込)

東京大学出版会

単行本: 516ページ

2008年9月27日 初版

 

●無数の細部からなる映画の魅力。

豊かな映画史の中から言葉を紡いだ心躍らせる講義。

●世界の映画評論ネットワークの中心にいると言ってよい、

蓮實重彦さんの最新映画講演録集。

1996年から2007年までに、各地の映画祭、シンポジウム、

対談、映画誌などで放った言葉の数々を一冊にまとめたものである。

●蓮實先生といえば、私が大学生(1990年前後)の頃、

ニューアカデミズム、ポストモダン全盛だったこともあり、

柄谷行人、浅田彰、山口昌男、中沢新一などとともに、

よく理解もできないのに書籍を多数買い求め、

本棚の肥やしになってしまったという苦い記憶があります。

難解極まりないことで有名だった蓮實先生の本ですが、

『反=日本語論』(筑摩書房)だけは妙に感動し、

色々な人に推薦するほど愛読したものです。

●一時、体調不良で大学を休んでいた頃には、

WOWOWの放送が開始したこともあり、

蓮實先生の映画論の本で推薦されていた映画作家の作品を中心に、

映画三昧の日々を過ごしていたという思い出もあります

(いわゆる「不朽の名作」、「映画ベスト100」といわれる映画の大半は、

ヒマだったこの時期に観たと思います)。

最近は、インターネットばかりの生活で、ほとんど

映画を見るという習慣から離れてしまったということもあり、

多少の反省も込めて、本書を読んでみることにしました。

●大勢の一般大衆に向けて語られた講演録ということもあり、

氏の本の中では、比較的に読みやすい口語体の文章である。

しかし、異常なぐらいに長大な文章、

一読しただけでは全く意味不明の難解な表現など、

独特な蓮實節を期待した熱心なファンには、

ちょっと物足らない部分があるかもしれません。

ただ、500ページを超える大作ゆえ、読み応えはあります。

●ハワード・ホークス、ジョン・フォード、小津安二郎などに対する偏愛ぶり、

ゴダールに対する複雑な感情、

ウォシャウスキー兄弟、スコセッシはダメ、

タランティーノ、ティム・バートン、トム・クルーズ、

浅野忠信に対する評価は高い、

黒沢清、青山真治、周防正行など、教え子の作品にはあえて触れないなど、

蓮實先生独特の映画鑑賞の視点、思想が垣間見れるので、

映画マニアには非常に楽しく読める本かと思います。

淀川長治亡き後、随一の映画知識を持つ批評家だけに、

その観察眼の鋭さ、歯に衣着せぬその舌鋒の鋭さは、

他の追随を許さぬものがあります。

●映画ファンであるなしに全く関係なく、

一流知識人の、語彙豊富な、独特の文章表現を学びたい方、

自分が愛するものに対する熱狂ぶり、偏愛ぶりというものは

いかなるものなのかということを知りたいという方にもお薦めの本です。

本書を読後、私もまた映画を観たい!という感じが無性にしてきましたので、

手頃なハリウッド映画などから、映画鑑賞する習慣を復活させたいと思います。

 

【マストポイント】

@「書いたり、教えたりする人間が、

みずからも無知を抱える人間であるということはごく当然です。

ところが、教える人間はあらゆる知識を持っているものだと、

教わる方も勘違いし、教えている人まで、

時にはそのように思い込んでしまうという困った現象も起こるのです。

しかし、最低限の知識を心得ておくべきであることはいうまでもありません」

A「批評を書く側も、批評を受け取る側も、

たった一人の言葉を信用してはなりません。

何かを納得するには、複数の視点に触れねばなりません。

何ごとにしろ、複数の情報源に当たるという過程が重要なのであり、

それにはどうしても生活のゆとりが必要となります。

複数の視点を欠いた理解は、ゆとりがなく、必ず単調化して息苦しくなります」

B「ジョン・フォードだって、ハワード・ホークスだって、ヒッチコックだって

頭は良かったわけですよね。

ところが一方で、頭の良さだけではなくて、

がむしゃらな努力が勝つという現実が出てくるんじゃないか、

とずっと思っているんです。

ずっと思っているということは、そう願っているということではなくて、

世の中ってそういうものじゃないかと思っているのです。

どこまでも頭のいい人だけが勝ってたら救いがないわけですよね」

(以上、本文より抜粋。一部改変あり) 

【著者略歴】

蓮實 重彦(はすみ・しげひこ):1936年生まれ。フランス文学者、文芸評論家、映画評論家。元東京大学総長。主な著書に、『監督 小津安二郎[増補決定版]』(筑摩書房 03)、『映画狂人』シリーズ(河出書房新社 00-04)、『「赤」の誘惑』(新潮社 07)、『映画崩壊前夜』(青土社 08)、ほか多数。

ラベル:蓮實重彦

2008年11月14日

必読本 第810冊目 中国で、呑んだ!喰った!キゼツした!

必読本 810冊目

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中国で、呑んだ!喰った!キゼツした!

江口 まゆみ (著)

¥ 1,680 (税込)

日経BP社

単行本(ソフトカバー): 232ページ

2008年9月22日 初版

 

●「酔っぱライター」の異名を持つ著者が、命がけで中国全土を回り、

日本でまったく紹介されたことのない

「本当の中国料理と中国のお酒」を「身をもって」紹介する本。

●中国大陸の珍しい地酒を探し求める女性ライターの旅行記。

私自身、ここ数年間、中国に行く機会がないため、

図書館でこの手の本を見つけると、できるだけ読むようにしている。

●元々は、2007年10月から2008年8月まで、

日経系のホームページに連載されていたものらしい。

著者は、別名「酔っぱライター」として、

世界の珍しい地酒を飲み歩くことをライフワークにしている

という。

一泊100元(現在の詳しいレートがわからないのだが、日本円にして大体1,400円ぐらいか)

ほどの安宿を泊まり歩きながら、地元の造り酒屋や、

食堂、ホテルなどで出会った中国人やお酒との面白話を綴った内容となっている。

訪れた場所は、上海、広州、重慶、成都、桂林、昆明など、内陸部が多い。

●焼酎、日本酒など、濃厚なお酒が好きな人にはたまらない本でしょう。

中国人の酒の付き合い方(普段は全く飲まないが、飲む時は底なし沼で

飲む人がいるかと思えば、「酒も仕事の一部」とばかりに、

昼も夜も接待と称して、飲んでばかりの社用族の人など)や、

バックパッカー的な中国貧乏旅行マニュアルとして読んでも

有用な本でしょう。

銘酒には必ずニセモノが出回り、その真贋をめぐるエピソードや、

タクシー、ホテル、列車での、悲喜こもごもの値段交渉エピソード、

アサヒスーパードライが日本と中国のものでは味が微妙に違う

(中国では、ギンギンに冷えてないビールを出す店も多い)などという

お話も面白かったです。

●冒頭に、訪れた場所のスナップがカラーで一気に掲載されているのだが、

やはり、本文を読みつつ、その写真を確認するという作業をするということを

考えると、本文中に挿し込んだ方が良かった

(文章がメインの本だとはいえ、やはり、

関口知宏さんの中国大紀行の本(必読本第625冊目参照)のように、

写真メインの作りにする方が読者には読みやすかったでしょう)。

また、「酒紀行」と謳ったわりには、酒自体の写真が少なすぎる。

カメラマンとの二人旅だったのだから、

本文で紹介した酒はすべて掲載するぐらいのことはすべきだった。

登場人物の写真が少ないなど、写真数をケチったのはマイナスポイントです。

●大したトラブルもなく、中国大陸女二人旅を無事成功させたようですが、

あえて中国経験者として一言書いておくと、

本書にもあるように、一般の市場、屋台では、

儲かれば多少のことは気にしないとばかりに、

ニセモノの酒を平気で売っていたり(戦後、闇市で買った粗悪な

酒を飲んで目がつぶれたという人が日本ではたくさんいたらしいが、

同様な事件が最近の中国でも発生したと本書で記されている)、

食モラルに鈍感で、禁止されている野生動物を提供したり、

あまり火を通さないで料理を提供したり、

ミネラルウォーターと称して、水道水を入れて売っている店はいまだに

たくさんあるようです。

汚濁極まる公衆トイレや、開発ラッシュで大気が公害のように汚れている

都市部の道路事情を考えますと、

マスク、濡れティッシュ、手袋、マイ箸、マグカップ、正露丸、強力わかもと

などの整腸薬、帽子、ノド飴(空気が乾燥していてノドをやられる)などは

旅の必携品と言ってよいでしょうね。

●併せて、本書の旅も、関口さんの旅も、

日本のマスコミがバックについているということがしっかりと現地人に

伝わっていたであろうから、おそらく、過剰なぐらいにフレンドリーだったわけで、

若い女性の中国貧乏一人旅は、やはり、レイプ、誘拐、強盗などの

危険性が高いことを考えると、あまり賛同はできません。

日本でも無計画な一人旅が円満に成功することがないことが多いことを

考えればわかるように、安易な海外放浪旅行などというものを、

テレビや本の影響を受けて軽はずみに実行すべきではないでしょう。

変なトラブルで後悔したくなかったら、

海外旅行傷害保険には必ず加入して、

ホテルはそれなりに定評のある所に泊まり、

列車、飛行機のチケットは手数料を払ってでも、旅行社で手配し、

おみやげはしっかりとしたデパート、免税店などで

買うということがやはり基本でしょうね

(本の企画として、このような「飲兵衛貧乏旅行」を実行したわけであって、

昼間から高アルコールの酒を平気で飲んだり、

大して知り合いでもない現地人とその場のノリで酩酊するまで飲んだり

(睡眠薬を入れられたら、ひとたまりもない)、

値段が安いという理由だけで、防犯上、不安が高い安宿に泊まるということは、

常識で考えれば、全く無防備であると言わざるをえない。

大酒を喰らって醜態を晒すということが恥だとされる国が多いのも、

ひとつの常識として知っておきたい)。


※今回は旅行記ものなので、マストポイントはお休みいたします。

 

【著者略歴】

江口まゆみ
神奈川県鎌倉生まれ。早稲田大学卒業。酒紀行家。「酔っぱライター」として世界の地酒を飲み歩く旅をライフワークとし、酒飲みの視点から、酒、食、旅に関するルポやエッセイを手がける。これまでに旅をした国は20カ国以上、訪ねた日本酒・焼酎・地ビール・地ワインの蔵は100カ所以上にのぼる。SSI認定利き酒師、JCBA認定ビアテイスター。



ラベル:江口まゆみ

2008年11月13日

必読本 第809冊目 逆境力―どん底の日々がボクに力をくれた

必読本 第809冊目

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逆境力―どん底の日々がボクに力をくれた

宮本 延春 (著)

¥ 1,260 (税込)

主婦と生活社

単行本: 215ページ

2008年10月6日 初版

 

●通信簿はオール1、いじめを苦に自殺未遂、天涯孤独の中卒フリーター…。

そんなどん底の生活を抜け出し、23歳で夜間高校入学、そして名古屋大学へ。

教師として活躍する著者の、「人生は変えられる」というメッセージ。

●極貧、成績不振、暴走族など、悲惨な境遇から

名物教師になったという、よくありがちな路線の本です。

本書の著者は、すでに何冊か本を執筆出版されているようだが、

私自身、教育者を目指しているわけでもないので、

あまり今まで興味を持てなかった。

本書は、教育分野にとどまらず、一般の人にも元気を与えてくれそうな

内容だったので、図書館から借りて読んでみました。

●カバー写真の、爽やかな風貌に似合わず、

小学生時代に同級生からひどいいじめを受け、

自殺未遂まで起こすほどに思い詰める。

のみならず、生まれが養子で、

育ての父が酒乱、日常的に虐待を受ける。

そして、10代の内に育ての父母が相次いで死んでしまい、

親戚との付き合いも全くなかったため、文字通り

天涯孤独の身になってしまう。

中学卒業後、名古屋大学の大学院まで卒業し、

高校の物理教師になるまでの顛末は、

本書を読んでいただくとして、ちょっとそうそう世の中では

見かけないだろうというような悲惨な子供時代を過ごされて来たようである。

兄弟も親友もいない、文字通り一人ぼっちで人生を生きてきたという意味では、

あの『ホームレス中学生』が色褪せるぐらいに、本書の方が壮絶度は高い。

●本文には、今つらい状況下を生き抜いている若者が

勇気付けられるメッセージを数多く見出せるが、

とりわけ第4章「なにもかも投げ出したくなった時はどうすればよいか」は必読。

心にズシンと響く言葉が次から次へと出てくる。

下にも何点か書きましたが、

他にもメモしておきたいような、感動的な言葉を数多く見つけることができます。

最終章には、教育者として名高い陰山英男さんとの対談がおまけ的についているが、

独学で成績を上げる方法、夢を達成するためのモチベーションアップの方法が

紹介されているという意味で、社会人の方にも得るところの多い本です。

●人に言うにいわれぬ悩みを抱えて孤独に苦しんでいる人

(著者の子供が2人とも、先天性の深刻な病を抱えているという話も出てくる)、

効果的な勉強法がわからず、なかなか成績が上がらない人、

自分の夢のための第一歩がなかなか踏み出せずに悶々としている人には、

非常に勇気と感動を与えてくれる本です。

内容の素晴らしさのわりに、注目度が低いような感じがありますが、

教育関係者、親御さんにも是非ともご一読をお薦めしたい名著です。

 


【マストポイント】

@「やった人間はできるようになるが、やらない人間ができるようにはならない」

「うまいと思う音楽プレーヤーがいたら、その人は天才ではなくて努力家だと

思ってください。そんなフレーズが簡単に弾けるようになるほど、

あんな難しいテクニックが使いこなせるほど、その人は練習したのです。

もしその人にベースをどれぐらい練習したのか、その練習量を聞けば、

《そこまで練習したならできてあたりまえ》と思えるほど練習しているはずです。

自分も《できてあたりまえ》と思えるくらい練習して、

努力を惜しまないでください」

(私事で恐縮だが、子供の頃入っていた

バスケットボールチームは県を代表する強豪チームで、

365日一日も休まないほど練習が厳しかった。

毎日、何時間も色々な場所からシュート練習をしていると、

余計なことを一切意識せずとも、シュートが魔法のように

ゴールにスポスポと連続的に入るようになる。

あたかもボールにヒモがついていて、ゴールまで自然と吸い込まれるかのように。

スポーツでも勉強でも仕事でも、毎日長時間やっていると、

「無意識でできてしまう」という超人的なことが可能となるようだ)

A「苦労話は山ほどありますが、これらの経験を通して思うことは、

「なぜ自分だけが」という気持ちにとらわれていては、

絶対に次のステップへは踏み出せない、ということです。

もともと世の中は厳しいもので、甘やかしてくれるのは

親か学校の先生くらいなものです。

そのぬるま湯にどっぷりと浸かっていると、

「どうして自分が」という気持ちに押し流されてしまいます。

これを防ぐには、

「私が過酷な環境に置かれていたのは、私だけの責任ではありません。

しかし、その状況から抜け出せないでいるのは私の責任です」と思うことです。

いろいろ考えていましたが、私は苦しみも悲しみも受け入れようと

無意識のうちに決意しました。

人生を投げ出してもなんの解決にもならないからです」

B「大切なのは《自分が選択する》ということであり、

その選択の《責任を全部引き受ける》覚悟を持つことです。

それがもっとも大事なことなのです。

自分で納得し、責任がもてるのであれば、

他人の目や人の意見はそれほど気にすることはないのです。

もちろん、新しい考えかたやいろいろな意見を聞くことは大切ですが、

それに振り回されてはいけません。

他人に意見を無視するのではなく、いちばん大切にするのは、

自分の気持ちだということです。

他人の意見に振り回されていては、裸の王様のように人の価値観にとらわれて、

自分が丸裸であることにすら気がつかなくなってしまいます」

(著者が見習い大工の仕事をしている頃、

ミュージシャンを目指す、高校、大学に進学して勉強すると宣言しても、

まわりはこぞって反対したが、

「これをやらないで終わったら一生後悔する」と思い、

自分のやりたいことに賭けた。すると道が開けた)


(以上本文より。一部改変。

断腸の思いで上記のものだけに絞りましたが、他にも名言が非常に多いです)

【著者略歴】

〈宮本延春〉1969年愛知県生まれ。見習い大工、フリーター、定時制高校、名古屋大学を経て、豊川高校教師。著書に「オール1の落ちこぼれ、教師になる」「キミのためにできること」など。

2008年11月09日

必読本 第806冊目 メシが食いたければ好きなことをやれ!―世界一の職人が教える「自分ブランド」「人づきあい」「心丈夫」の方法

必読本 第806冊目

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メシが食いたければ好きなことをやれ!

―世界一の職人が教える「自分ブランド」「人づきあい」「心丈夫」の方法

岡野 雅行 (著)

¥ 1,470 (税込)

こう書房

単行本: 214ページ

2008年9月10日 初版

 

●「痛くない注射針」をはじめノーベル賞ものの製品を

発明・開発しつづける“世界一の職人”岡野雅行の、

若い人たちの悩み・疑問に答える構成の最新刊が満を持して登場!

人間関係のキモ、働くことの意味、常識の外に見えるもの、知恵とお金儲け、

世渡り力、社会人になる前の経験…などについて、

縦横無尽・融通無碍、愉快痛快の「岡野節」が冴える。

●以前ご紹介した本(必読本第591冊目参照)の続編とも言える本。

今や説明不要の下町の名物職人、

岡野雅行さんの人生相談本である。

マスコミに数多く登場していることもあり、

前回はビートたけしさんが帯の推薦文を書かれたが、

今回は、テレ東系『カンブリア宮殿』での縁があり、

小池栄子さんが登場されている。

●以前の本と同じく、全40個の若者の質問に関して、

Q&A方式で岡野さんが語るという構成をとる。

例によって、口述筆記したものを文字にしたものゆえ、

実に読みやすい文章で、1時間弱で読破できる。

世渡り力、知恵、労働、人間関係、学校など、

今までの本でも散々語られた岡野流処世術が、

江戸っ子独特の流れるような口調で、一気に語られていく。

読後の爽快感は相当なものがある。

●質問者が、将来の方向性が定まっていない学生さんや、

就職直後で色々と心を悩ますことの多い新入社員さんが

大半だという意味で、極めて若者向きの本です。

身近に親身になって悩みを聞いてくれる大人がいないという方や、

ともかく学校嫌い、勉強嫌いだが、手に職を付けて、

将来身を立てたいという若者が読めば、

何かキラリとしたヒントを見つけることができる本でしょう。

●世間知らずの若者以外の方でも、

「(平均寿命が圧倒的に延びて、あまりにも若い時分に結婚すると、

連れ合いに飽きてしまうから)結婚は30歳を過ぎてからにしろ」、

「これから伸びるのは間違いなく農業だ」、

「ブランド品は身銭を切って自分で買い、本物を見極めろ」、

「いざという時に命を救うために、何から何まで熟知している

ホームドクターに担ぎこんでもらうように救急車に頼め」、

「今頃、エコロジーだと言っているようじゃ遅い」、

「話術を鍛えるため、他人を見極めるために落語を聴け」など、

なかなか鋭いアドバイス、エピソードが随所に見出せるという意味で、

一般の方々が読んでも得るところの多い本です。

●しかし、御年75歳になられるというのに、

酒もタバコもギャンブルもやらないせいもあるだろう、

60歳ぐらいにしか見えないこの外見の若々しさというのは驚きである。

やはり、仕事が面白くてしょうがない、

24時間ああでもないこうでもないと、常に頭をフル回転させ、

生涯現役、万年青年で日々生きている方というものは、

衰え、ボケというものと無縁な状態で過ごせるのだろう。

自営業者の鏡であるとともに、

一人の男としても見本にしたい方である

(ただ、昔の著書でも語られているように、マッサージ、

酵素風呂、スイミング、栄養価の高いものを食べるなど、

健康には人一倍気をつけられている。

昔気質の破滅的な快楽(酒、麻薬、ギャンブル、別荘、愛人etc)など、

益にならないことから意識して離れる姿勢は、

大いに見習いたいことである)。

 

【マストポイント】

@「これからは、安定か不安定かで仕事を選ぶより、

まずは自分が本当にやりたことを早く見つけるんだ。

親からは「勉強しろ。安定した仕事に就け」と言われるかもしれないけれど、

俺から言わせたら、いい学校にはいっていい会社に行くことにどれほどの

意味があるんだろう?

そんな気持ちばかりで生きたら、人間小さくなってしまう。

食いっぱぐれたくなかったら、好きなこと、人がやらないことをするのが

一番だ。どのみち、仕事はどれも大変さ。だったら、好きなことを仕事にした

ほうがいいんだ。好きこそものの上手なれって、言葉もあるからな」

A(海外旅行や神社のお布施でも、先に、多少多めの金額を相手に払ってしまうと、

自分が得られるサービスに格段の違いが生じるという話に続けて)

「与えないと入ってこないように世の中はできてるんだと思う。

よく家の玄関とかを「入口」「出口」っていうだろ?

あれは正しくは「出入口」なんだよ。

自分ちの玄関を見てみろ。それと同じだ。

出たり入ったりを同じところでしてるだろ?

縁も、恩も、出さないと入ってこれないんだよ。

出る場所は入ってくる場所でもある。それは金だって例外ではない。

基本的なことを忘れちゃってるやつが多いんだよ」

B「よく振り込め詐欺とか、ネット詐欺の話を耳にするけれど、

俺にしてみれば、なんで引っかかちゃうんだろうなあと、思うわけ。

世の中には、本当にいろいろなやつがいる。

いいやつも悪いやつも数え切れないほどいる。

俺は75年生きてきたけれど、常にあらゆる可能性を想定している。

今の日本、人と接することがほとんどなく大人になったような若いやつが、

おかしな事件を起こすような物騒な世の中になってんだから、

用心するに越したことはない。

俺はよく人間観察するために電車に乗るんだが、

ホームで電車を待っているときも、一番前には立たないってくらい、

用心深い。自分の身に危険が降りかかる可能性を最小限にすることも

必要なんだよ、だって、いつどんなことがあるかわからないからね。

できるだけ多くの人と接して、多くの経験をして、あらゆる可能性を考える、

いい人間を見極めて、その人と信頼関係を築けばいい。

ただし、いろいろな可能性は考えておいた方がよい。

何かもしもあったときに、それを未然に防いだり、

修正がきくようにしとけば、いくらでも取り返しがつくからな。

用心深さも、世渡りには必要なのさ」

(以上、本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

岡野 雅行(オカノ マサユキ)
1933年(昭和8年)、東京・墨田区に生まれる。1945年(昭和20年)、向島更正国民学校を卒業後、家業の金型向上を手伝う。20歳ころから本格的に金型の技術を父親に教わり、30代になると量産のためのプラントを開発して売るようになる。1972年(昭和47年)に父親から家業を引き継ぎ、岡野工業株式会社を設立。従業員6人の東京都墨田区の町工場の代表社員を名乗る。以後、リチウムイオン電池のケースなど、従来の深絞りなどのプレスプレス技術では不可能とされてきた金属加工を次々と実現させ、「世界的職人」「金型の魔術師」として、国内外を問わず大きな注目を集めている。

ラベル:岡野雅行

2008年11月07日

必読本 第805冊目 寅さんに学ぶ日本人の「生き方」

必読本 第805冊目

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寅さんに学ぶ日本人の「生き方」

志村 史夫 (著)

¥ 1,470 (税込)

扶桑社

単行本: 262ページ

2008年8月30日 初版



●本来“衣食足りた”日本人は“礼節を知る”はずだった。

現代の日本人は礼節を失ったばかりでなく、

「恥を恥とも思わない」輩がいたるところに闊歩している。

いまこそ「寅さん」で日本人の忘れものを取り戻そう。

●本年2008年は、映画「男はつらいよ」が上映されてから40周年、

そして、主演された渥美清さんの生誕80周年(13回忌)であることもあり、

リバイバル上映や、記念ボックスDVDの発売など、

寅さんファンにはうれしいイベントが続いている

(10月29日に発売された後者のDVDボックスは、

20万円と高額にもかかわらず、売れ行き好調だという)。

私自身も、全48作品をすべて観たぐらい、

寅さんには強い影響を受けてきました。

今回は今年の8月末の発売された、

寅さんと日本人の生き方を考察した本をご紹介したいと思います。

●著者は、理系の大学教授で、

アメリカで留学勤務していた当時、

知人から「男はつらいよ」のビデオを送ってもらって以来の

寅さんファンで、アインシュタイン、夏目漱石、車寅次郎を

終生尊敬する三大師匠として生きるためのお手本にされてきたのだという。

●寅さんを基本にしつつも、

「日本人の理想的生き方」を中心テーマに論じた本なので、

致し方ない面もあるのかもしれないが、

とにもかくにも、寅さん以外のムダな「脱線」が多い本。

夏目漱石をはじめ、内外の偉人たちの言葉からの引用、抜粋、

そして、著者の個人的な体験談の類に

極めて多く紙面が割かれていて、

純粋に寅さん関係の本だと思って読んだ人は非常にじれったさを感じる。

もうちょっと、寅さん一本に話を集中し、

余計な部分を削ぎ落とし、スッキリした内容にすべきだった

(また、各映画の役柄を、どの俳優が演じたのかの明記が

全くないのも、非常に不親切)。

●ただ、いわゆる寅さんの名言、金言や、

映画の舞台裏、ウンチクの類は、

豊富に掲載されているので、ファンはそれなりに楽しめる。

また、巻末には、「男はつらいよ」を企画演出された

プロデューサー小林俊一さんと著者との対談も収録されていて、

スタッフだけしか知らないエピソードが紹介されているのも

うれしい限りである

(山田洋次監督自身酒を飲まないので、山田組は、

企画会議が朝までになっても、酒なしで話し合った。

意外にも、渥美清さんはかなりの読書家だった、

「フーテン」の意味に変化を起こすなど、

あの広辞苑にも影響を与えた、など)

●最後に余談だが、テレビ版の最終回で、

奄美大島でハブを取って一儲けを企んだ寅さんが、

逆にそのハブに噛まれてあえなく死んでしまう、

それを見た視聴者からのクレーム電話が殺到したことが

映画化のきっかけであることは、あまりにも有名な話だと思う。

最近、そのテレビ版第1回と最終回を収めたビデオを

TSUTAYAから借りて見る機会があったのだが、

ハブから噛まれて死んだシーンの後、

妹のさくらが寅さんが死んだことが信じられず、夢枕まで

笑顔の寅さんが現れて、それを実在する寅さんだと勘違いして、

真夜中に自宅を抜け出して公園まで追いかけて行き、

夫の博に止められるというラストシーンがあるのだが、

あまりにも不憫な描き方をされていて、

モノクロの映像だったこともあり、正視できないぐらいの衝撃を受けた。

これならば、当時、苦情が殺到したのは当然だなと納得した次第で、

もし、これから見る機会がある方は、

夜間だと非常に暗澹たる気分になること確実ですので、

できれば日の明るい内に鑑賞されることを、

老婆心ながらご忠告しておきます。

 

【マストポイント】

@「貧しいねえ、お前たちは。

どうしてすぐ金のことばかりいうんだ。金なんてなくたっていいじゃねえか。

愛さえあれば、腹なんかすかない。

愛があればひと月ぐらい食わなくたって平気よ」

「いいかい、ああ、いい女だなあ、と思う。

その次には話がしたいなあ、と思う。

ねっ、その次にはもうちょっと長くそばにいたいなあ、と思う。

そのうち、こう、何か、気分がやわらか〜くなってさあ、

ああ、この人を幸せにしてあげたいなあ、と思う。

もう、この人のためなら命なんかいらない、死んじゃったっていい、とそう思う。

それが愛っていうもんじゃないのかい」

(金銭感覚はゼロだが、寅さんは、

義理人情、愛、思いやりの心は誰よりも持っていた)

A「俺みてえなバカでもよ、潮時ぐれえは考えているさ」

「人間には潮時ってものがあるからな」

「男は引き際が肝心だってことよ」

(失恋した時に、未練がましさを残さず、

潔く女性の元を去る寅さんの言葉)

B「人間、長い間生きていればいろいろなことにぶつかる。

その時、自分みたいに勉強していない奴は、

振ったサイコロの目で決めるとか、その時の気分で決めるより仕方がないけれど、

勉強した人間は、自分の頭できちんと筋道立てて、

はて、こういう時はどうしたらいいかなと、考えることができるんだ」

「学ぶことは己を知るためよ」

(満男などから、「何のために学ぶのか?」と問われて)

(以上、「男はつらい」の寅さんのセリフ。一部、台本通りではないセリフの可能性あり)

 

【著者略歴】

志村史夫

昭和23(1948)年、東京・駒込生まれ。名古屋工業大学大学院修士課程修了(無機材料工学)、名古屋大学工学博士(応用物理)。日本電気中央研究所、モンサント・セントルイス研究所、ノースカロライナ州立大学を経て、平成5(1993)年より静岡理工科大学教授、ノースカロライナ州立大学併任教授。長らく半導体結晶の研究に従事したが、現在は古代文明、自然哲学、基礎物理学、生物機能などに興味を拡げている。半導体、物理学関係の専門書のほかに『古代日本の超技術』『生物の超技術』『文科系のための科学・技術入門』『こわくない物理学』『アインシュタイン丸かじり』『漱石と寅彦』『いま「武士道」を読む』など一般向け著書多数。

男はつらいよ 40周年 松竹公式サイト  http://www.tora-san.jp/

2008年11月06日

必読本 第804冊目 僕たちの“夢のつかみ方”をすべて語ろう! (Dream skill club)

必読本 第804冊目

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僕たちの“夢のつかみ方”をすべて語ろう! (Dream skill club)

中村 文昭 (著), 大嶋 啓介 (著)

¥ 1,470 (税込)

学習研究社

単行本: 221ページ

2008年8月8日 初版

 

●飲食店業界の「カリスマ経営者」と

若い人を中心に慕われ、憧れられる二人。

さまざまな挫折や失敗を繰り返し、たどり着いた生き方の極意。

「夢を広めたい」「みんなで幸せになろう」と語りかける。

生きること、夢を叶えることについて熱く語る初対論集。

●私自身、特に好きな経営者の一人、

中村文昭さんの8月に発売された最新刊。

氏の著書は、アマゾンでこまめにチェックしているはずなのだが、

うかつにも、先月まで本書の存在に全く気づかなかった。

中村さんの本や講演に感動し、

今や個人的にも深い交流を持つという盟友、

居酒屋「てっぺん」経営者大嶋啓介さんとの共著である。

●大嶋さんといえば、

全国から大勢の見学者が集まるという

大人気の居酒屋の社長である、

のみならず、あの居酒屋甲子園主催者であるということで

当然名前は知っていたのだが、

今までその著書など、詳しい人となりを知らなかった。

よって、かなりの期待感を持って読ませていただきました。

●本の構成は、「夢」「失敗」「悩む」「勉強」「幸せ」など、

若者ならば誰もが興味あるテーマごとに、

中村さんと大嶋さんが交互に語り合うという形式で進行していく

(最終章だけは、お2人の対談になっている)。

中村さんの本でおなじみのように、

口語体でともかく読みやすい文章。

西田文郎、福島正伸、田端俊久、てんつくマンなど、

著者たちが影響を受けた師匠、同志などの

エピソードも豊富に掲載されていて、非常に楽しく読める。

無精ヒゲに作務衣姿の中村さん、

髪を短く刈り込み、センスの良い革のジャケットを着こなす大嶋さんなど、

写真が多いのも、お2人の普段の人柄が感じられて、ファンにはうれしい。

●この本を読了して、改めて痛感したのは、

お2人は、元々、我々と全く変わらない

「普通の人」、「平凡な若者」だったという事実です。

ベストセラーを何冊も執筆し、講演までこなすほどの人物は、

初めから、誰の指導も受けずに、独力で今の地位を築いた、

何の苦労も知らずにスイスイスイスイと順風満帆の人生を送ってきたと

我々一般人は思いがちですが、とんでもない誤解であることが判明します。

サラ金、街金の取立てで地獄の苦しみを送った中村さん、

お客さんから店長失格の烙印を押され、

従業員からもドンドン見限られるという不遇の時期を送っていた大嶋さん。

20代の修行時代には、本当に失敗続き、悩みまくりの人生だったのですが、

人との出会いと、間髪入れない迅速な行動力の2点を武器に、

人生を切り拓いて来たお2人の姿には、

やはり強い説得力が感じられます。

●将来の方向性がなかなか定まらない学生さん、

毎日なぜかやる気が起きない、ダラダラと自堕落な日々を送っている

若者の方には、非常にヒントになることが多く書かれております。

「笛吹けど踊らず」と言いますか、

なかなか自分の熱い考えが社員やお客さんに伝わらず、

歯がゆい思いをされている経営者の方(特に、飲食業、サービス業)、

お2人とも、ゆっくり自宅に戻れないほど超多忙にもかかわらず、

3人のお子さんをお持ちで、奥様とも円満だという意味で、

夫婦問題にお悩みの方にもお薦めします。

心が暖かくなるという感動的な面と、

すぐに行動を開始したくなるという熱くなれる面の、

両面を兼ね備えた傑作です。


【マストポイント】

@中村「カッコいい大人、カッコいい人間になるには、自分の役割を果たすこと、

今、自分に何らかの役割が与えられているとしたら、

迷わずそれを精一杯果たせばいいのです。

『他の誰かじゃなく、お前じゃないといかんのや』と、当てにされる人間になれ」

(そのために誰もができる習慣として、

1、返事は0.2秒で言う。2、「頼まれごとは試されごと」

(他人から何か依頼を受けたら、嫌がらず、相手の期待を上回る結果を出す)。

3、できない理由、ネガティブな言葉を一切言わない。

4、今できることを、探してでもやる)

A中村「『ありがとう』の対極語は『当たり前』である。

当たり前のことが当たり前ではなかったということに気づけた瞬間に、

本当に感謝することができ、それを幸せだと思うことができる」

(中村さんの師匠である中山靖雄さんの言葉)

B大嶋「居酒屋で大繁盛しているお店とそうでないお店の違いは、

ズバリ、僕の主観ですが、「何のために」の志が違うのです」

(著者の三重県桑名市3号店は、

自分のお店が繁盛することではなく、

「桑名の町を元気にしたい!」という目標を第一に掲げて

成功しているという。

熱い志がお店にあれば、人もお金も自然に集まる)

C大嶋「成功者といわれる人たちは、

ピンチをチャンスに変えて成功した人がほとんどです。

『世の中にはチャンスしかない』と肯定的錯覚をしている人が

肯定的な結果を作り、成功しているのです」

(失敗談は、成功した時に語るネタにする、

おみくじで凶を引いたら、めったにないことだと、逆にアホみたいに喜ぶなど、

なにが起きても、チャンスだと勝手に思ってしまう。

また、普段しゃべっている言葉を「先に」ポジティブなものだけで満たしてしまえば、

実際の現象もそれに釣られて良いことばかり起こるという

西田文郎さんの理論も紹介されている)

D中村「アメリカ人のカッコイイは、『正義が勝つ』ですが、

日本人のカッコイイは『和睦』です。

これを失わない限り日本人は、

武術の達人であった坂本竜馬のように、腕はあっても人を斬ることなく、

「戦わずして勝つ」という最上級のやり方で活路を開いていくことが

できるのです」

(西洋的な「勝ち負け」「比較」主義には終わりがなく、

いつになっても心の安寧が得られない

(例・ハリウッドバイオレンス映画、格差社会)。

「大和の国」日本は、平和、和解を尊ぶ。

優劣を競わず、自分の特色を伸ばすことだけに励んで、

みんなで仲良くすることを第一に考えれば、未来永劫安心して暮らすことができる)

(以上本文より。

パワフルな言葉が多かったので、特別に5個掲載します) 

【著者略歴】

中村 文昭
三重県の山奥で林業家の息子に生まれ、高校卒業後、単身上京。一人の事業家と出会い、果物と野菜の行商をスタート。やがて六本木に飲食店をかまえるようになり、商売の面白さを知る。その後、故郷に錦を飾るべく、伊勢で、自分の力でお客様に喜んでもらえるサービスを提供する手づくりのレストラン・ウエディング事業を展開。多くの若者の支持を得て、派手な広告もせずに大繁盛となる。「商売のすべては出会いから広がっていく」という独特のコミュニケーション、サービスはアイデア満載。講演をはじめたのは2000年。初年度十か所、二年目三十か所、三年目八十か所!すべて口コミで広がっている。

大嶋啓介(おおしま けいすけ)
1973年三重県生まれ。今、日本の飲食業界でもっとも注目を集めている居酒屋『てっぺん』の創業者。『てっぺん』独自の「公開朝礼」が日本中で話題となり、テレビや雑誌等で数多く取り上げられるなど、大きな注目を集める。年間の朝礼参加者は1万人。その勢いは日本国内だけにとどまらず、韓国や台湾など海外からも多くの人が「本気の朝礼」を見学に訪れている。2006年には居酒屋業界全体の活性化を目的にNPO法人「居酒屋甲子園」を立ち上げ、初代理事長としても活動。同年、「外食産業界で活躍した人物・話題になった人物」に贈られる「外食アワード2006」を受賞。また、2007年には「35歳以下の日本の次世代を創る若手ベンチャー起業家」を表彰する、「ドリームゲートアワード2007」にも輝いた。現在は、「日本中に夢を広めたい」という熱い想いで全国での講演活動にも励み、活躍の場を大きく広げている。著書に、『夢が叶う日めくり』(現代書林)がある。  

てっぺん公式ホームページ http://teppen.info/

2008年11月03日

必読本 第802冊目 乙女の教室

必読本 第802冊目

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乙女の教室

美輪 明宏(著)

¥ 1,470 (税込)

集英社

単行本: 296ページ

2008年8月30日 初版

 

●みっともないことは、しない。言わない。聞かない。それが乙女です。

奥ゆかしさ、思いやり、品、感謝、優しさ…。

日本女性が失った「美しい心のあり方」を説く。

「美輪語辞典」付き。『MORE』の人気連載を単行本化。

●大人気である美輪明宏さんの8月末日に発売された最新刊。

女性誌『MORE』に2006年1月から2008年5月分まで

連載していたものを一冊にまとめたものである。

●私自身、美輪さんの著書はほとんどすべて読んでいるかと思うが、

今までになかったような珍奇な外装で発売された。

実際に書店で確認していただければ一目瞭然だが、

ちょっとした色カルタか手帳かというような、

こじんまりとした正方形に近いサイズの本なのである。

主だった読者層が若き女性であり、

日頃持ち歩いているバックにでも入れて、

常に目を通してほしいという願望が込められているのだろう。

●全体は3部構成。

第1部は、「あなたの品格を上げる 乙女の課題」と題して、

日本女性ならば是非ともわきまえておいてほしいと美輪さんが考える

美徳(思いやり、愛、微笑み、言葉、姿勢、挨拶など)が

全24章分、軽いタッチの文章でまとまられている。

全290ページ中の210ページを占める、本書のメインとなる部分。

その次の章は、美輪さんファンならば誰もが聞いてみたいと思う

疑問の数々を、Q&A方式で美輪さんが答えるコーナー。

好きな俳優、小説、都市、色、食べ物など、ごくごく個人的なことを

冗談交じりに語ってくれる、おまけ的な内容。

最終部分は、「読むだけで美しくなれる!美輪語辞典」と題して、

本文にもたくさん出てくる、美輪さんが重要だと思う50個の事物に対する

美輪さんなりの言葉の定義が1ページに一語の割合でまとめられている。

文字通り辞書的に使える部分である。

●一頃流行語になった「女性の品格」を身につけたい、

外見のみならず、

内面的にも一味も二味も違った女性になりたいとお考えの独身女性ならば、

やはり、是非とも目を通しておきたい本です。

いくらお金を持っていても、家柄、学歴、勤務先が立派でも、

マナーをわきまえていない、場の空気が読めない、

人の気持ちも読めないようでは、

外見だけは取り繕っていても、いつか馬脚を現すものです。

どのような女性をゲットすればいいのかを知る上で、

独身男性にもおススメです。

【マストポイント】

@「『笑う門には福来る』ということわざをご存知ね?

『地獄極楽も胸三寸にあり』という言葉と一緒に、

しっかりと胸に刻みこんでください。

笑顔は人の心をゆるませます。いつも微笑んでいる人を、

嫌いな人はいません。誰も傷つけようとはしません。

仕事場でも家庭でも友だちにも、「おはよう!」「元気?」と笑顔で接すると、

みんながほっとします。その場がぱーっと明るくなります。

笑顔を運んでくれる人として、あなたはみんなに“待たれる人”になります。

行く先々が極楽状態になるのです。

その反対に、いつもブスッとしている人は、どこでも歓迎されません。

「何怒っているの?また愚痴?こっちまで不愉快になるわ」と、

敬遠され、孤立してしまいます。そうなると、どこに行っても地獄です。

微笑むか、微笑まないか。

自分の気持ち次第で、あなたの世界は極楽にも地獄にもなります。

あなたが笑顔でいれば、周りの人たちもあなた自身も、幸せになるのです」

A「『ありがとう』という呪文の、ひとつの魔力を教えてあげましょう。

けんか相手やライバルに、機会あるごとに『ありがとう』と言ってにっこり

微笑んでごらんなさい。

敵の戦意は喪失し、あなたの株が上がり、すぐに勝負がつくはずです。

『ありがとう』という言葉は美しくて優しくて、

すべてのものを軟化させてしまうのです。

同時に、どんな邪悪なものもひれ伏せさせてしまう、すごい魔力があります。

みなさまがこの世の中を生きていくための、最高の武器になるのです。

簡単なことです、身につけなくては、損ですよ」

BQ,人生のモットーは何ですか?

A,常に感情を理性でコントロールできる状態にしておくこと

(「人生の岐路に立たされた時に、一番必要なのは、冷静さと知性と理性です」

「何かが起こると、感情に押し流されるまま、怒ったり悲しんだり、

ヒステリーを起こすのは、ケダモノと同じ」

「感情よりも理性を重んじるのが最もクール(かっこいい)な女性です」)

(以上、本文より。一部改変)

【著者略歴】

美輪明宏

1935年長崎市生まれ。17歳でプロ歌手としてデビュー。演劇・リサイタル・テレビ・講演活動などで幅広く活躍。著書に「強く生きるために」「地獄を極楽にする方法」など。

美輪明宏さん 公式ホームページ http://www.o-miwa.co.jp/

ラベル:MORE 美輪明宏

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