2013年03月14日

必読本 第1024冊目 物語

必読本 第1024冊目

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物語

北野 武(著)

ロッキング・オン

¥1,680

単行本:298ページ

2012年10月15日 初版



●北野武監督にとって「物語」とは何か?

『その男、凶暴につき』から『アウトレイジビヨンド』に至るまでの軌跡。

すべての映画の脚本を語った画期的インタヴュー集。

ベストセラー自叙伝、第10弾。

●本書は、ロッキング・オンの、たけしさんの自叙伝シリーズの最新刊です。

内容の大半は、自身が書いた映画脚本の制作過程裏側を

語るというものになっており、今までの自叙伝シリーズの中では、

「映画」に重きを置いた異色の本と言ってよいかと思います。

北野映画ファンの方には、撮影秘話が数多く語られているという意味で

非常に楽しく読めるはずですが、

特に北野映画に興味がなく、たけしさんの例の軽妙なエッセイを期待した向きには、

少々期待はずれとなるかもしれません。

個人的には、一般にはあまり知られていないハリウッドの裏側情報を

数多く提供してくれた「BROTHER」の話がとても面白かったので、

一読の価値はあるかと思いますが・・・。

若い頃と現在のたけしさんの写真を見比べてみるのも一興です。

●最後の方には、

日本の政治家のリーダー像やTBS系の「ニュースキャスター」のことを

おまけ的に語ってくれております。

最近の総理大臣がダメな理由を語ったり、

楽天やソフトバンクなどのインターネット企業を鋭く批判したりなど、

たけし節が本領発揮された内容で、ファンの方は大いに満足できるはずです。

前回、相方のきよしさんの本を紹介しましたが、

その本と並行して読むと、色々と新発見があり、

ツービートファン、たけしマニアにはたまらないはずです。

ベストセラーの「間抜けの構造」(新潮社)はまだ未読なので、

入手次第、書評を書きますので、今しばらくお待ち下さいませ。


【マストポイント】

@「漫才でもコントでも、一般の社会のレベルがあって、

そのちょっと先の、水先案内人のような位置で、ギャグを言うと笑うんだよね。

あまり先の方はまずいんだよ。頭がおかしい人になるから。

ちょっと先に光を当てたギャグはウケるけど。

いちばん最悪なのは遅れてる人(笑)。

お客よりも遅れたセンスでギャグを言う奴がいるじゃない。

浅草は、その典型で、「もうやめたほうがいい、こいつら」と

思う奴がいっぱいいたの。だから、「俺のは、これよりはいいよ」というのがあったから。

で、ウケだしてくると、客が自分を追い越しそうになるんだよ。

だから徹底的に逃げ回らなきゃいけねえっていうか、リードしなきゃいけないんで」

A「独裁者であるべきなんだよ、リーダーってのは。

民主主義のいちばんよくないのは、理想として、「本当の民主主義を実現しよう」って

言う奴がいるけど、そりゃ間違いなんだ。

建前上は民主主義なんだけど、実際は独裁者じゃなきゃダメだよ。

いいか悪いかを常に多数決で決めてたら、ロクなことないんだから。

国会議員は、そりゃ多数決で選ばれたんだから、それの作った内閣だから民主主義だって言うけど、

そんなバカな話はなくて。

衆愚政治になる可能性もあるわけだから。

圧倒的な独裁者じゃねえといけないんだよね」

B「今みんなこぞって、ツイッターだなんだって、いろんな情報集めんじゃない。

情報集める方は集める方でいいけど、オイラは情報にされるほうなんで。

自分でわざわざ人の情報なんか集める必要ねえし。

何にもしなくても入ってくる情報が、正しい情報だと思うから。

新聞も何も見なくて、何気なく入ってきた情報ってのがあるじゃない。

それがいちばん正しい情報なのかなって。

だから、無理に探しに行くことぁねえかなという」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

北野 武
1947年東京都生まれ。お笑いタレント。映画監督、俳優、東京芸術大学大学院映像研究科教授。テレビ番組、CMなどに数多く出演する一方、89年「その男、凶暴につき」を初監督し、好評を博す。7本目の監督作品「HANA‐BI」(98年公開)でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞したほか、国内外の映画賞を数多く受賞している。また、2010年にはフランスの芸術文化勲章の最高章コマンドゥールを授与された。




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2013年02月24日

必読本 第1023冊目 相方 ビートたけしとの幸福

必読本 第1023冊目

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相方 ビートたけしとの幸福

ビートきよし (著)

東邦出版

¥1,500

単行本:192ページ

2012年10月12日 初版



●浅草での修行時代をともに過ごし、漫才ブームの時代に頂点を極めたツービート。

唯一の「相方」ビートきよしから見た、ビートたけしのすごさとは―。

●ケーシー高峰、ウド鈴木を含め、山形を代表する3大お笑い芸人である、

ビートきよし師匠の昨年上梓された近刊です。

たけしさん関連の番組に最近ちょくちょく顔を出し、

この本の宣伝もさりげなく行っていたので、

御存知の方も多いのではないでしょうか。

●本書は、芸能人本によくありがちな、

売れっ子の相方を、今や落ち目になった元相方が

あることないこと散々暴露して、

小銭稼ぎするという類の本とは対極に位置する本である

(ただ、たけしさんは帯や序章推薦文において、

どうせその類の本だろうと、毒舌交じりの例の口調でこき下ろしている)。

いまだ解散もせず、絶妙な距離感で良好な関係を維持する

きよしさんが、相方ビートたけしの表と裏を

思う存分書きまくり、その真の姿に迫るという、

たけし絶賛&ツービート回顧録的な内容の本です。

●まず何といっても、浅草時代から、漫才ブームに乗って

天下を取るまでのエピソード、秘話が具体的に描かれていて、

ファンにはたまらないはずである。

たけしさんは漫才には当初全く乗り気でなく、きよしさんに懇願されて

やっとコンビを組むのを承諾したという話や、

好きで始めた仕事じゃないだけに、

泥酔して舞台に上がったり、仕事をドタキャンしたりするという

自堕落な生活を送っていたという若手時代のエピソードなどが

豊富に紹介されている。

是が非でもテレビに出て芸能人として成功したかったきよしさんと、

何となく漫才をやり始めて、

今や日本随一のトップスターにまで成り上がってしまったたけしさんとの対比、

ツービートの芸風は過激だったと批判されたが、根底には愛があった、

という言葉などが特に心に残る。

●本書は、回顧録、太鼓持ち的な話に終始するのではなく、

お笑い芸人論や、人生成功術的な話が

随所に挟み込まれているのも特徴。

相方をただやみくもに絶賛するだけではなく、

クールな目線でたけしさんや他の登場人物を分析してみせる、

きよしさんの観察眼の鋭さにも驚かされます。

たけしと島田洋七、著者と洋八とのコンビが

なぜうまくいかなかったのかを解説したくだりは、特に鋭いと思いました。

妙になれ合ったりせず、自分とたけしさんの立ち位置の違いを

きちんとわきまえるきよしさんの礼節ぶりにも好感が持てます。

●田舎出身で、朴訥な性格のきよしさんの文章は、

とにかく平明で読みやすく、講演会を聞いているかのようなスムーズさで

スイスイと読み進むことができます。

テレビ番組ではあまり拝見できませんが、

地道に活動されているきよし師匠は、

これからも健康に気をつけて頑張っていただきたいと

同県人としても切に願うばかりです。

たけしファン、お笑い芸人志望の若者のみならず、

人生の方向性を失っている方々などに特におススメの本です。


【マストポイント】

@「僕が、いまの若者に対して思うこと。

それは、まず、

すぐに自分の得になるようなことをやろうとしてはいけないということだ。

若い人はなんでも先に報酬ありきで考えがちだ。

どんな業界であっても、経験のない未熟な者に対して、

いきなり大きな報酬は与えないよね。

そういうものはしっかりと成果を出して初めて得られるものだし、

頑張って結果を見せてこそ、

上の人は下の者を引っ張り上げようとしてくれるものだ」

A「(女が勝手に借りていた1億円もの借金を返すための交渉に、

7か所のヤクザの組事務所をたった一人で乗り込んでいったきよしさん)

向こうは僕が弁護士なんかへ頼まずにひとりで訪れたことに驚いていたけれど、

そういう姿勢を見せたことで大ごとにならずにすんだみたいだ。

人間、どんなときでも逃げたらダメなんだと思ったね。

逃げずに体当たりでいけば、命なんて取りやしないから、だれも」

B「僕も微力ながら、世の中のためになることをやろうと思っている。

なぜ、チャリティーゴルフコンペの活動を始めたかというと、

25年ほど前に1億円の借金を背負ったことがきっかけだった。

もう自分はダメだな、人生終わりだなって

絶望に打ちひしがれていたとき、ある人が、僕にこう言ったんだよね。

『きよしさんはさ、神様が生かしているんだ。

なぜかというと、世の中にためになることを、

なにひとつやってねえんだよ。だから神様が生かして、

なにか世の中のためになることをやれって言ってんだよ』

僕は『借金なんてある身で、世の中のためになんて、

なにができるんだよ』って言い返した。

でもふっと自分はゴルフができるし、人を集めてチャリティーをやったら

いいんじゃないかって思いいたったんだ」

(以上本文より。一部改変)

【著者略歴】

ビートきよし
昭和24年(1949年)12月31日生まれ。山形県出身。1980年代、相方のビートたけしとともに、漫才コンビ「ツービート」で一世を風靡する。その後、『オレたちひょうきん族』『スーパーJOCKEY』など数々のテレビ番組をはじめ、ドラマやラジオ番組、映画、舞台、CMなど、多方面で活躍。ショーや講演も行っている。




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2012年01月13日

必読本 第1015冊目 ビッグツリー 私は仕事も家族も決してあきらめない

必読本 第1015冊目

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ビッグツリー 私は仕事も家族も決してあきらめない

佐々木常夫(著)

WAVE出版

¥1,575

単行本: 205ページ

2006年6月20日 新版



●入院43回、繰り返す自殺未遂、6度の転勤、

単身赴任、激務、そして…。

自閉症の子、うつ病の妻の心と命を守り抜き、

東レ同期トップで取締役、家族を再生した感動の手記。

●最近、よく各メディアで見かける著者だが、

私自身不勉強で一度もその著書を読んだことがなかった。

昨年出された著書(『働く君に贈る25の言葉』WAVE出版)の方が

現在高い人気を誇っているようだが、

あいにく図書館のリクエストに膨大な人数が待機していることもあり、

すぐに借りることができたこちらから読んでみました。

●著者は、一流企業に勤め、同期トップで取締役になるほどの出世頭だったが、

奥さんが重度のうつ病を患い、長男が生まれついての自閉症と、

家庭的に大変なハンディキャップを背負っていた。

本書は、その辺りの家庭内事情を包み隠さず述べながら、

企業での激務と家庭生活をどのようにバランスよく保って行くべきか、

また、いまだ偏見や誤解も多いうつ病や自閉症を患っている家族と、

いかにして付き合っていけばよいのかを考察する本。

●まず、何と言っても驚嘆すべきなのは、

家庭内に、治癒困難な精神的疾患を発症し、

日々深刻なトラブルを起こす人間を2人も抱えながら、

一方で、サラリーマンとして目覚ましい成果を上げて、

出世街道を突き進むことができたという事実である。

著者が、多くの場合称賛されるのは、

この一点に尽きると言っても過言ではない。

普通の人だったら、とてもじゃないが耐えることはできない、

というような過酷な人生を、挫折することなく歩んでこられた。

それは、素直に感動もするし、驚嘆させられる。

●アマゾンの書評を読むと、

度重なる転勤、単身赴任、残業などが、

家族の病気に悪影響を与えたのではないか、

よって、単純に著者を評価することはできないとの批判も目立つが、

その点はあまり突っ込む必要はないのではないかと私は考える。

著者だって、己のわがまま、願望など一切通らない、単なる一サラリーマン。

自分の意に沿わない苦境を背負いつつも、

それに屈せず、一家の大黒柱として、家庭を守り抜いてきた男の手記として

普通に読めば、大いに勇気づけられるし、感動もする。

うがった見方で捉えない方がよいでしょう。

非効率的な残業を嫌悪し、定時で上がれるような仕事を追求するなど、

仕事の効率性、生産性を考える上で、参考になる点が非常に数多く、

単純な家族感動モノ以上の価値がある本です。

●本書は、何か苦しい状態にある男性、

特に、一家を支える父親の立場にある方が読むには最適な書だと思います。

障害、難病を抱える家族がいても、それに屈せず、

ポジティブな精神状態を保つ著者に、大きく勇気づけられます。

己の甘さを痛感させられるはずですよ。



【マストポイント】

@「私は、『仕事の進め方三カ条』を徹底させた。

1、仕事は計画的に重点的に

2、仕事は最短コースで効率的に

3、仕事は結果がすべて

少し傲慢な言い方であるが、一般の民間の会社でやる仕事など

大して難しいことはない。

ちょっと頭を使えば、一日8時間前後の労働で

十分責務を果たせることが多い。

私はただやみくもに長時間労働している人や組織を見ると、

生理的嫌悪感さえ感じる」

A「色んな事件が起こっても、朝は訪れ、夜は来る。

会社の多忙な仕事は毎日続く。

『何のために結婚したのか』『何のためにこんな苦労をしているのか』

といった『何のため』という問題ではないのだ。

要は、自分が出会った人生であり、自分が選んだ人生なのだ。

それなのにこんなに惨めになるなんて、それは私の生き方ではない。

私はいつも、『必ず良い日が来る』という前向きな姿勢を持っていたはずだ。

いや、絶対良い日は、笑い合える日は必ず来る。

心細い心境になりながら、私はそう信じていたかった」

B「私を支えてきたのは、家族、友人、同僚など私の周りにいる人たちとの連帯感、

お互いに発する愛情である。

私には他人であっても家族と同じくらいの愛情を感じるところがある。

私の周囲の人たちは深い愛情で私を支えてきてくれた。

私は決して不幸なだけでなく、幸福でもあるのだ」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

佐々木 常夫
1944年秋田市生まれ。6歳で父を亡くし、4人兄弟の次男として母の手ひとつで育つ。1969年東大経済学部卒業、同年東レ入社。自閉症の長男に続き、年子の次男、年子の長女が誕生。妻は肝臓病が元で入退院を繰り返す中、うつ病も併発し、何度か自殺未遂をする。43回もの入院をした妻も最近は少し回復。すべての育児・家事・看病をこなさなくてはならない過酷な日々の中でも、仕事への情熱を捨てず、大阪・東京と6度の転勤、破綻会社の再建やさまざまな事業改革に全力で取り組み、2001年、東レ同期トップで取締役となり、2003年より東レ経営研究所社長。経団連理事、内閣府や総務省の審議会委員、神戸大学経営学部講師などの公職も歴任する.





ラベル:佐々木常夫
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2011年12月19日

必読本 第1011冊目 毎日が自分との戦い―私の実践経営論

必読本 第1011冊目

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毎日が自分との戦い―私の実践経営論

金川千尋(著)

日本経済新聞社

¥1,680

単行本(ソフトカバー): 203ページ

2007年7月11日 新版

 

●「人ができないことをやらなければ、私が社長である必要はない」 。

12年連続最高益更新、3年連続2桁成長達成。

高成長を続ける信越化学工業・金川流経営の原点。

●この前、ほぼ毎週チェックするぐらいの愛読誌である『週刊文春』を

読んでいると、正式名は失念したが、

「今年役立ったビジネス書、ダメだったビジネス書」というタイトルの記事があり、

こういうブログを執筆している関係上、どんなものかと興味深く内容に目を通した。

その中に、今年を代表する優良ビジネス書として、

金川千尋氏の『危機にこそ、経営者は戦わなければならない!

(東洋経済新報社。いずれご紹介する機会があるかと思う) が

第一に挙げられており、そういえば、よく聞く会社の社長だが、

一度もその著書を読んだことがないなぁということで、

図書館で借りてきたのが本書。

2006年5月に、日経「私の履歴書」に

まるまる1か月連載されたものを一冊にまとめたもの。

●「私の履歴書」自体が、朝日の「天声人語」と同様、

無駄を極限まで排しつつも、重要なポイントを小気味よく凝縮した

名文で、読みやすさには定評があるところですが、

本書も、いちいちのエピソードが面白いことも相まって、

非常に軽快感をもって読み進んでいくことができる。

私は半日かからず読破してしまった。

●日本統治下の朝鮮で出生し、

名士である父を早くに亡くすも、愛情あふれる母親に

大切に育てられ、文武両道の学生時代を過ごす。

現在、受験シーズンであることの関係でいえば、

猛勉強するも、あと一歩のところで旧制高校合格を果たせず、

精根尽きる果てるほど意気消沈しつつも、母の献身的なサポートもあり、

見事合格を果たすという話や、

才能あふれる学友や教師に恵まれ、

後年その友人たちが各界のトップとして名前を連ね、

色々と著者をサポートし、交流深めるというエピソードを読んでいますと、 

やはり、有力校に入ることは、人脈などの観点から重要だ、

万難を排してでも子息を有名校に入らせたいと願う教育ママさんの気持ちも

わからないではないな、という気にさせられました。

●最新映画が上映される関連でいえば、

著者が敬愛するという山本五十六に関する思いが、

非常に多く綴られているのも、見逃せないところです。

幸いにも、軍人に取られることまでは免れた著者ですが、

日朝ふたつの国を行き来し、

死を覚悟するような極限状態を何度も経験されたという戦争体験のお話も、

相当の迫力をもって読む者の心を大きく揺さぶります。

死病と恐れられた肺結核から奇跡的に回復した経験と併せ、

著者の人格形成において、多大な影響を与えた出来事だったようです。

●初めに入社した商社では、先輩にも恵まれ、

出だしは快調だったのですが、

企業合併のゴタゴタに嫌気がさし、遂には製造業に転職を決意する。

ここで著者の才能が一気に開花。

英語が堪能だったこともあり、海外の営業において、八面六臂の活躍を見せる。

●本書を一通り通読すると痛感するのが、

著者には、危難の時に、事あるごとに援助者が現れるということである。

海外進出先の合弁相手とソリが合わず、

嫌な思いをされたことのある企業関係者は世の中に五万といるはずだが、

著者には、一生の付き合いとも言えるようなビジネスパートナーが幾度となく現れ、

不思議と苦難を解決していくのである。

その温厚そうな人相と実直な性格が、

何か人を引きつけるような魅力を醸し出しているのだろうか。

●それと、特筆すべきは、

そもそもの当初から、無駄なことを一切嫌うという姿勢である。

人員スタッフにしても、つぎ込む資金にしても、

見栄を張ったり、ブームに踊らされることを断固として嫌う

(アメリカのビジネスパートナーが大リーグオーナーになるのだが、

放漫経営がたたり、のちに破滅する例などは、

昨今の横浜ベイの問題を考えるなどする上で、非常に興味深い)。

著者の会社は、無借金経営で毎年増収増益の超優良企業として、

企業関係者ならば知らない者がいないぐらいの評判高き経営者だが、

やはり、固守すべき大原則を守り抜いているからこそ、

こういう業績を達成できるのだと、納得させられる

(しかし、それとは矛盾するかのように、

若き日々にギャンブル狂い、個人投資で大損失という、

意外な過去を持っていたことも隠すことなく披露されている)。

ライブドアも悪かったが、自らの守りを固めていなかったニッポン放送側の

経営者の姿勢にも大いに疑問を抱くなど、

企業合併、企業防衛に関するコメントが非常に多いのも参考になるところです。

●本書は、ビジネス本として読んでも非常に有益な本ですが、

単なる自伝として読んでも、

大いに得るところが大きな本です。

読後は、非常に晴れやかな気分になりつつも、

何か大きな勇気と希望が湧いてくるような効果があります。

他の著書も近日中にご紹介する予定ですので、

御期待下さいませ。

 

 【マストポイント】

@「企業イメージの向上は必要だが、

製造業としてもっと有効に資金や時間を使うべきだった

(バブル期にCMをバンバン流し、

モータースポーツのスポンサーなどに巨額の資金を投資したが、

振るわなかった)。

40数億円もあれば、建物だけなら立派な研究所が2つできる。

ブームにあおられるとろくなことはない。

経営には経営の本道がある」

A「最初に大きく変えたのは新卒採用だ。

昔から、仕事がないのにどうやって定年まで雇用するつもりなのか、

不思議でならなかった。

私は今でも『人を増やすのはいいが、最初に新規の事業を立ち上げなさい』と話す。

すると大抵できない。

仕事のない社員を採用したら、結局は整理せざるを得ず、

会社も社員も不幸になる。

必要な人間以外は初めから採らない。

いったん採ったら大事に処遇する。

これが基本だと思う」

B「信越化学ではどうやって人材を育てているのか。

特別な社員教育法があるのではないか。

そんなふうに尋ねられることが多い。

だが、道はそれぞれの人が自分で切り開くものだ。

私は、実務の面ではいろいろな問題がぶつかるたびに、

すべて自分の力で解決してきた。

もちろん、専門的な知識が必要なときには弁護士や会計士などに話を聞く。

技術なら専門のエンジニアに教えてもらう。

だが、仕事をどうやってなし遂げるかとういことになれば、

やはり自ら切り開くしかない。

誰かに育ててもらうようなひ弱いことでは、

社長など務まらない」

(以上本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

金川 千尋
信越化学工業株式会社・代表取締役社長。1926年当時日本統治下の朝鮮・大邱生まれ。50年東京大学法学部卒業、極東物産(現三井物産)入社。62年信越化学工業に入社し、70年に海外事業本部長となる。78年塩化ビニール事業の海外子会社、米国シンテック社長に就任、塩ビ事業を世界最大規模に成長させた。90年シンテック社長と兼務で、信越化学工業の代表取締役社長に就任。2007年3月期決算では12期連続で最高益を更新。

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2011年03月19日

必読本 第967冊目 東池袋・大勝軒のオヤジさんが書いたこれが俺の味

必読本 第967冊目

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東池袋・大勝軒のオヤジさんが書いたこれが俺の味

山岸一雄(著)

あさ出版

単行本:191ページ

2003年8月2日 初版  

 

●東池袋の大勝軒といえば、ラーメンファンでなくても一度は聞いたことがある超有名店。

人間にとって仕事とは何なのか、どうすればお客に支持されるのか…。

創業以来40年間行列が途絶えたことがないラーメン屋の店主が語る。

●「つけめん」の考案者としても、ラーメン業界の重鎮としても、

多くのラーメンファンや同業者から尊敬の念を集め続けている

大勝軒オーナー山岸一雄さんの自伝的著書。

今現在、アマゾンで調べてみると、初めてにして唯一の著書である。

後述するが、素晴らしい内容にも関わらず、

惜しくも既に絶版となってしまっている。

私自身、当然、氏の名前は承知していたが、

どのような人生を歩まれてきたのか全く知識がなかったので、

図書館から借りて読んでみました。

●幼くして戦争で父を亡くし、

学生時分から、自分が家族全員の面倒を見なくてはならないという、

強い責任感をもって人生を生きる。

17歳の時に、昔から親しくしていた兄貴の誘いでラーメン業界入り。

生来の真面目な性格と研究熱心さ、運も味方し、

開業したラーメン屋は大繁盛となるが、

好事魔多しというか、

歩行もままならないような静脈瘤が足に出来るという大病をし、

追い打ちをかけるように、

二人三脚で店を切り盛りしてきた愛する妻をガンで失うという悲劇が襲い、

大勝軒閉店という瀬戸際まで追いつめられる。

●しかし、店をやめないでほしい、

大勝軒の味を消してほしくない、という周辺住民の強い要望に

後押しされ、障害のある体に鞭打って、大勝軒を復活させる。

数々の苦難にも関わらず、伝説的なラーメン店を成功させ、

多くの弟子を世に送り届けてきたことを記したその半生は、

迫力に満ち、文句なく感動させられる

(最後の方、大学生時代に常連で、友だち同然の付き合いをしていたが、

就職後に交流が途絶え、後年、マスコミに登場する山岸氏の姿を偶然見て、

秘書に電話をさせ、わざわざ懐かしの味を求めに訪ねてくるというキャノンの御手洗富士夫社長の

エピソードにも心が熱くなる)。

●本書を読んで最も感銘を受けたのが、

奇をてらうことなく、当たり前のことを当たり前にやり続ける山岸氏の一貫した姿勢と、他人に対する優しさ、思いやりの深さである。

人気のラーメン屋というと、美味しいラーメンさえ出していれば、

人懐こいあいさつや温かな接客など必要ない、黙っていても客は来る、

などという思い上がりをもっているオーナーも少なくないはずだが、

山岸氏は、そういう傲慢な人間とは対極に位置する人間である。

●ラーメンを極めるためには、あらゆる努力や研究を惜しまない、

その一方、己が築き上げてきたラーメンのノウハウ、レシピなどを

惜しげもなく弟子やマスコミなどに発表するという度量の広さも持ち合わせる。

ちょっとしたことで音を上げ、落伍して行く弟子も見殺しにすることなく、

何度でも手をさしのべる。

来てくれるお客さんに常に感謝の気持ちを忘れず、

笑顔、温かいあいさつでねぎらう。

深夜にさえかかってくるお客さんからの問い合わせの電話、

経営難の同業者からの度重なる質問の電話にも自ら真摯に対応、

損得抜きに丁寧に接する。

やはり、ラーメン業界を代表する伝説的な人物だけのことはあるなと思わせる。

●ラーメン作りの奥義を語ったところにも注目すべき点が数多くある。

ラーメンは非常にデリケートな食べ物。

感情の変化、体調、その日の気候、食材に対する感謝などが、

作ったラーメンに必ず出てくる。

100回自家製の麺を打って、同じレシピでラーメンをこしらえても、

味が必ず微妙に違う。

心のこもっていないものは何でもダメ…etc。

ラーメン業界に限らず、料理人、飲食業界の方々は、

耳が痛くなるような話、目からうろこが落ちるような話が非常に多い。

●冒頭で記したように、小出版社の本だったせいか、

既に絶版となってしまっている。

熱心に探したらブックオフではまれに出てくるかもしれないが、

入手困難なはずである。

どこかの心ある出版社から、文庫版でもいいいので、

是非復活していただきたい。

読めば必ず元気が出てくる本。

池袋はラーメン激戦地として有名だが、

本書を一読すれば、やはり、なんだかんだ言っても、

最後には大勝軒のラーメンに行き着く、

味が美味い不味いなどというレベルを超越して、

オヤジさんに会いに行きたいと必ず思わされるはずである。

 

 【マストポイント】

@「延べ約52年間、一貫していたことは、

常に、『美味しいものをつくって、お客さんに満足してもらおう』、

『どんな仕事であろうとも、全力をかけてやり遂げなければならない』 

という気持ちをもってつくり続けてきたことだ。

52年間と聞くと、人間の一生の半分以上である。

気の遠くなるような話だが、一日一日を一生懸命生きてきたら、

そうなっていたというのが私の実感だ。

この間、病気などでお店を休んだりしてお客さんにたくさん迷惑をかけたが、

私は一度として手を抜いたことはない。

これだけは自信をもって言える。

だから、これだけ長い間ラーメン屋をやってこられたのだと思っている」

A「私はどんなことでも真面目にやってしまう人間だった。

といってその後、不真面目な人間から文句を言われることもなかった。

それは、私が一生懸命生きていることが伝わるから、

それが出来なかったのだと思う。

大人になっても同じようなことがある。

お客さんの中には、派手な背広を着て、いかにもその筋の人間だという人もいる。

店内でいざこざが起きることもある。

そんなとき、『他のお客さんに迷惑がかかる出て行ってくれ』と言えば、

ほとんどの人は黙って出ていってくれる。

それは、『自分の店とお客さんを守らなければならない』という決心が

ただならぬ殺気となってあらわれ、相手もそれを察知するからだと思う。

そして、それが出せるのは常に一生懸命に真面目に生きているからではないだろうか。

少なくとも、私はそう思っている。

ふざけて生きている人間は、どんなときにでもそれが出てしまい、

そこに相手はつけこんでくる」

B「私は常々弟子たちにこう言い聞かせている。

『美味しいものをつくろうと努力しているかどうかは、必ず味に出る。

人より早く起きて、夜遅く寝るのは当たり前。

努力を惜しまない者だけが、生き残ることができる』

私自身もそうしてきたつもりだ。

私が(ラーメン業界に導いてくれた)兄貴の背中を見てそれを学んだように、

弟子たちにも私から学んでほしいと思っている」

C「ここまでやってこられたのは、

何よりもお客さんに恵まれたことがいちばんの理由だと思う。

うちに来るお客さんからこんな話を聞くことがある。

「『いらっしゃいませ』もなければ、黙ってつくって出して、

帰るときも『ありがとうございます』もない店がある。

それと比べるとお宅はエライね。いつも笑顔で声をかけてくれて」

当たり前のことをしているだけなのだが、

こんなお褒めの言葉をいただく。

ぜひ、心当たりのある店は、今すぐ実行していただきたい。

何度も言っているように、ラーメン屋はお客さまがあって初めて成り立つ商売である。

それを忘れてはいけない」

(以上本文より。一部改変。今回は特別に4個)


【著者紹介】

 山岸 一雄
1934年、長野県生まれ。17歳でラーメンの世界に身を投じる。1955年に「特製もりそば」を考案し、大ヒットを飛ばした。「特製もりそば」は、つけ麺のルーツといわれている。その後、1961年に東池袋「大勝軒」をオープンし、それ以来行列ができるラーメン屋として有名になり、現在も連日たくさんのお客さんが押し寄せ、行列ができない日はない。

ラベル:大勝軒 山岸一雄
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2011年03月05日

必読本 第962冊目  リーダーとして必要なことはすべて坂本龍馬から学んだ

必読本 第962冊目

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リーダーとして必要なことはすべて坂本龍馬から学んだ

市川 善彦(著)

¥ 1,470

アスカビジネスカレッジ

単行本: 166ページ

2010年6月9日 初版


●坂本龍馬の「時代の見方・読み方」は

これからの激動の時代を勝ち抜くリーダーにとって最高の教科書だ!

史実に基づいた坂本龍馬の生きた軌跡を読むだけで

リーダーとしての生き方・考え方が手に取るようにわかります。

●『我謳(ガオオーー)!!』(必読本 第298冊目参照)で有名な

市川善彦さんの最新作。

一頃は、市川さんに大変に影響を受け、ブックオフで熱心に

古本を買い集めたものだが、本当に久しぶりにその著書に触れる。

●本書は、昨年、福山雅治主演のNHK大河ドラマ『龍馬伝』が放映されたこともあり、

時ならぬ龍馬ブームが起こりましたが、その最中に発売された本。

市川さんには、イソップ物語を例にあげながら、リーダー論を語った、

同種の本が既に発売されておりますが(私自身未読ですが、

図書館で予約を入れておりますので、近日中に書評致します)、

おそらくその路線でしばらくは本を執筆されるのかもしれません。

次は中国古典を引き合いに出した本でしょうか。

●ソフトバンク孫正義さんを始め、

企業経営者の中に坂本龍馬を崇拝している方は少なくないのですが、

市川さんも、本書を読むと、非常に龍馬を尊敬し、

その関連本を熱心に読書、研究し、己のビジネスに活用されてきたことがわかる。

本書では、龍馬が、あの激動の時代に、いかにして、情報収集、対外交渉、

友人、師匠との付き合い、女との交際、組織を統率していったのかが、

現代のビジネスマンに役立つように非常に手際よくまとめられている。

●私自身は、西郷隆盛など、幕末の志士に対してそれほどシンパシーを感じたことがなくて

(というか、情けないことに、日本の歴史自体にあまり詳しくないので・・)、

今まで龍馬の関連本というものはほとんど読んだことがなかったのですが、

昨年、福山さんの大河ドラマをご覧になっていた方などは、

本書の内容はスムーズに頭に入ってくるはずである。

龍馬の短くも激動の人生や、幕末の志士たちの相関関係図、

龍馬を取り巻く女たちの知られざるエピソードなどなど、

龍馬関連の話題が非常に多岐にわたって解説されているのだ。

勝海舟の豪放磊落な性格、龍馬が美人好きだったなどの

豆情報も豊富に紹介されている

(ただ、惜しむらくは、市川さん自身の個人的エピソードが皆無だったこと)。

●文章は、しかつめらしい大学教授などが書いた本などと違って、

くだけた感じで非常に読みやすく、ページ数が薄いこともあって、

あっという間に読破できる。

市川さんの本の最大の長所。

 龍馬ファンなど歴史マニアの方のみならず、

ランチェスター経営を勉強されている方、

企業や組織の中でリーダーシップを発揮しなくてはならない方などに

特におススメの本である。

私心を持たず、祖国を良くするために身を捧げた龍馬の生き方には、

エゴに凝り固まってスランプ状態にある多くの現代人に

勇気とヒントを与えてくれるはずである。

 

 【マストポイント】

@「実力が対等なら、必ず声の大きい方が勝つ!

実力が相手が上であっても、気迫で圧倒する!

つまり、「迫力勝ちの法則」が役に立ったと言っています。

今日に生きる我々も、龍馬のように、迫力では絶対に人に負けない

精神力と専門知識を磨き、勉強を欠かさず、

有事やクレームに備えて、日ごろから、

頼りになる人脈を開拓しておくことは大切な心構えだと思います」

A「交渉事は、腹をくくって、

何度でも足を運び『誠意』を見せること。

相手の利害を考えて、どちらも納得できるような『交換条件』を提示すること。

交渉術に長けた龍馬に学ぶことは多いのです」

B「人は、他人のために自分を犠牲にする覚悟のある者に対して

尊敬と畏敬を覚えるのです。

苦難の時こそ、龍馬のような不退転の、愛と正義と勇気が必要です。

逃げの人生に栄光は無いのですから」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

市川 善彦
日本ガード・サービス株式会社代表取締役社長。福岡大学経済学部非常勤講師。中小企業大学校講師。タナベ経営講師。福岡信用金庫総代。1952年1月、長崎県佐世保市生まれ。1976年8月、24歳の時に起業、あっという間に自社ビル、社員寮、自宅を無借金で建て、その後30年以上も無借金の超優良企業のオーナー社長。

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2011年02月07日

必読本 第953冊目 今、63歳

必読本 第953冊目

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今、63歳

北野 武(著) 

¥ 1,680

ロッキングオン

単行本: 301ページ

2010年7月7日 初版


●「俺、やっとオヤジからジジイに脱皮したと思ってるわけ」

映画監督として、タレントとして、また黄金期を迎えた今だから語れること。

SIGHT大好評連載中の自叙伝インタヴュー・シリーズ、9刊目。

傑作『アウトレイジ』に到達するまで。2年間の軌跡を語りつくす。 

●ロッキング・オンから発売され続けている、

「北野武」自伝本シリーズの最新刊。

昨年6月中旬に出た第9巻目である。

●「漫才」、「雑誌」、「男の更年期」、「ファッション」、「スポーツ」など、

たけしさんの最近身のまわりで起こった出来事を中心に、

ツービートさながらの機関銃のようなしゃべり口で、

一気に思いの丈を述べて行きます。

例によって、全12話どれを読んでも痛快で、

一旦読み始めたら止まらない面白さですが、

特に興味深かったのは、現在担当しているすべてのレギュラー番組に対するスタンス、

番組の裏側を語った章。

くだらないトークや被りモノなど、アドリブでやっているだけなのでは、

と思ってしまうことが多い殿のパフォーマンスですが、

裏側では、意外に緻密な計算を働かせて行動していたり、

まわりとの距離を絶妙に測りながら己の立ち位置を定めていたりなど、

この道で何十年もトップを独走しているだけの才覚はあるな、と

改めて思い知らされます。

ただ惰性で毎日大量のタバコを吸っていたが、テレ朝の自ら出演する健康番組などで

確かな知識を得るなどして、すっぱりと禁煙してしまった話、

酒は別に好きではなく、味が美味しいと思ったことはほとんどない、

ただ酔っている自分が好きなだけだ、今は週2回しか飲まないと述べた嗜好品の話も興味深かったです。

●あらゆる意味での「賞」と名がつくものには、

ことごとくフラれてきたと嘆いた第1章は、

若手漫才師時代や海外映画祭での秘話が満載。

NHK漫才コンクールでの思い出話、

特に、超ベテラン漫才コンビを実名でケチョンケチョンにけなしたり、

全く獲れると思わなかったヴェネチアで映画賞を受賞した模様を

リアルに振り返ったりなど、抱腹絶倒です。

特に爆笑できる箇所です。

 【マストポイント】

@「俺は、とんねるずから何から、何十年後輩でも、若手のお笑いに対して、

悪口1回も言ったことないからね。

『新しい』とか『あいつはおもしろい』って、むしろほめるもん。

よくいるじゃない、『今の若手はつまんない』とか『お笑いはもうダメだ』とか言う人。

俺はそういうこと、1回も言ったことないね」

A「一時期、自分の感覚より『人がどう見るのか?』ってことを考えてたときもあるけど、

まあ、もうね、あれだね、これだけ映画撮ったから、もうその観点を気にしなくなってきてるかもね。

なんつうんだろ、テレビもみんなそうだけど、バーっとテレビに出だして、

最初は勝手に自分で番組作っていくんだけど、

ある時期からちょっと、お客のこととか視聴率とかを、考えて作るようになるじゃない。

でもあるとき、『もう、テレビやりたくねえ』と思った瞬間に、

客に媚を売るのはやめようと思うわけ。

そうすると逆に、また、俺の時代がきちゃったりなんかするわけ」

B「俺はね・・・・・ちょっと邪道なんだか、クセがあってね。

お客というものは、まあ認めるんだけども、

それ以前に、お客の評価がどうでもいいってところがあるのね。

意識するのは同業者なんだよね。

同業者に見せつけるとか、他の漫才師が嫉妬するようなことをやりたいっていうのが、

漫才の時代からずっとそうだね。

だから、演芸場で漫才やってて、客にウケるのはあたりまえだと思ってたし。

だから、その客もこっちが選ぶし、ジジイとかババアはどうでもいいし。

あの、かなり若い奴で、お笑いやなんかに敏感な奴、反応がいい奴、

マニアックな奴は、客として『こいつらは笑わせなきゃ』と思うよね。

そのクセは、いまだに続いている。

テレビを観てる客よりも、いかに他の芸人に影響を与えるか、っていうか」 

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

北野 武
1947年1月18日、東京生まれ。映画監督、俳優、コメディアン。浅草フランス座での修業時代を経て、漫才コンビ、ツービートを結成。漫才ブームを牽引し、テレビ界での地歩を確立した。1989年に映画界に進出、『その男、凶暴につき』で鮮烈な監督デビューを飾る。その後、次々と刺激的な作品を発表し、世界各国で高い評価を受ける。『ソナチネ』(1993)はイギリス国営放送BBCの「21世紀に残したい映画100本」に選出。『HANA‐BI』(1998)がベネチア国際映画祭金獅子賞、『座頭市』(2003)が同映画祭銀獅子賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝く。

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2011年01月20日

必読本 第948冊目 Kitano par Kitano 北野武による「たけし」

必読本 第948冊目

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Kitano par Kitano 北野武による「たけし」

北野武(著), ミシェル・テマン(著), 松本百合子(翻訳)

¥ 1,680

早川書房

単行本: 357ページ

2010年7月10日 初版


●栄光と挫折、家族、女、映画、メディア、政治、裏社会、そして日本の未来について。

フランスの敏腕ジャーナリストによる5年にわたる徹底取材に、北野武がすべてを「告白」した。

「世界のキタノ」の知られざる内面をえぐる迫真のドキュメント。

●サザンのアルバムタイトルでも有名な東京都港区キラー通りで、

たまたま近所に住んでいるという縁により、日本の大スター北野武と出会ったフランス人ジャーナリスト。

異国人のインタビューの申し出を、たけしさんは快諾する。

インタビューの実現には2年も待たされるが、一旦開始されてからは、

旧知の間柄のように、様々な話を遠慮なく披露してくれる。

 5年にも渡る交流の中で、たけしさんは、生い立ちから、

テレビ界、映画作品、絵画、女、カネ、日本の問題点などを赤裸々に語っていく。

我が国のマスコミでもなかなか語られない、

「北野武」「ビートたけし」の実像に迫った傑作翻訳本。

●たけしさんは、映画監督として海外の有名な映画賞を沢山受賞してから、

欧米、特にイタリア人、フランス人の知己が格段に増えたようですが、

この本のインタビューを行った著者にも、あたかも、小学校時代からの親友に対するかのように、

レストランで高級なワインを気前よく何本も振る舞ったり、

よっぽど気の置けない親友以外は招き入れないはずの自宅まで招待したりなど、

下にも置かない歓待ぶりでもてなす。

完全に相手のことを信用していなければできるものではない。

詳細は記されてないが、おそらく、レストランで行われたインタビューでの勘定も、

ほとんど、たけしさんが支払っていたはずだろう。

フランス人ジャーナリストの質問を逐一同時通訳していったのは、

たけしさんの弟子として、たびたびテレビにも登場する、あのゾマホンさんです。

●たけしさん関連の本は、このブログでもかなりの数を紹介してきましたが、

既刊本でもほとんど語られていない意外なエピソード、

あまり口外したくなかっただろう悲しき秘話がかなり出てくることにまず驚かされる。

個人的には、少し成功してから浅草の師匠深見千三郎の元に凱旋し、

御馳走を振る舞って小遣いまで渡したのだが、泥酔した師匠は、

その小遣い銭で買ったタバコの不始末が原因で火事を起こし、悲しくも焼死してしまう。

自分の好意がアダになり、師匠を失ってしまったという自責の念に

いまだに苦しんでいるということや、

世界の黒澤明に見初められ、色々と貴重な品を贈られたり、教えを授けられたりしたので、

いまだに感謝をしているという話や、

若い頃、相性ピッタリの運命の女性に出会うが、なぜか別れてしまったという話が特に印象に残った。

世間を驚かせた、例のフライデー事件、バイク事故の詳細にも突っ込んで語られております。

 政治、経済、マスコミなど、日本社会は、あらゆる部分で、闇勢力が糸を引いていて、

その影響力を無視することは絶対にできないということを語った部分にも

非常に興味を引かれました。

ワインのほろ酔い加減もあるのか、

たけしさんは、本当に細かいことまで、遠慮なく語り尽くしております。

●又、最新作の「アウトレイジ」以外の、

すべての監督作品や、出演作品の裏話、思いを大胆に語ったという意味では、

「キタノ映画」を知る上での、一級の資料ともなりえる本です。

特に紙数が多く割かれております。

ただ、本書の唯一と言っていい難点は、翻訳本ではよくありがちなことですが、

原書から一部割愛されている箇所があるらしいということです。

個人的には、同時代のお笑いのライバルである、

さんま、タモリ、ドリフ、萩本欽一などへのたけしさんなりの見方についても

聞いてみたかったという思いがあります。

先日逝去された、「ひょうきん族」のプロデューサー横澤彪さんや、

テリー伊藤、高田文夫、自分の2人の子供への言及がなかった(あるいは、少なかった)のも残念です。

●結論として言えば、

数奇な生い立ちに改めて感動するとともに、

相も変わらないたけしさんの勉強熱心さ、博覧強記ぶりに溜息が漏れるような本です。

たけしファンであるなしに関わらず、文句なく楽しめます。

テレビでは毎日のようにハチャメチャなことばかりして笑いをとっているたけしさんですが、

現代最高のインテリ、偉人の一人であることを、読後は痛切に思い知らされますね。

文化大臣としての国政参加を裏では引きも切らずに要請されているようですが、

晩年はどんな姿で世間に名を轟かすのでしょうか。

大いに期待が持たれます。

 

 【マストポイント】

@「ぱっと見でみんなが好きになるようなおネエちゃんているじゃない。

そういう子とつきあいたいと思ったことは一度もないね。

あと、家柄の良い子ともね。つきあったとしたら、めちゃくちゃ退屈だったろうね。

俺はいつも自分と同じような生まれの娘たちとつきあってた。

たぶん親から、『自分にふさわしくない欲望は持ったらいけない』って言われて育ったからだと思うよ」

A「たしかに、俺は金を稼いでいる、すっごいでかいカネを稼いでいるけど、

ほとんどがテレビから。画面にいっぱい登場することで、大金を得ているわけ。

なんたって民放のセットやスタジオに、一週間ほとんど出ずっぱりなんだから。

でも、まったく疲れないね。どの仕事も楽しんでやってる。

仕事中毒だね。でも、自分を止められない。

テレビは、不安から解放してくれるドラッグみたいなもんだから」

B「これは心から望んでることだけど、

日本人はもっと個人個人が自分で判断する感覚っていうのを磨いていかないと

だめだと思うんだ。もっと自分自身で考えなきゃ。

それができないで、いつまでも外国人の考えたり言ったりすることに頼り切っていると、

いつか植民地になっちゃうよ」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

北野 武
1947年1月18日、東京生まれ。映画監督、俳優、コメディアン。浅草フランス座での修業時代を経て、漫才コンビ、ツービートを結成。漫才ブームを牽引し、テレビ界での地歩を確立した。1989年に映画界に進出、『その男、凶暴につき』で鮮烈な監督デビューを飾る。その後、次々と刺激的な作品を発表し、世界各国で高い評価を受ける。『ソナチネ』(1993)はイギリス国営放送BBCの「21世紀に残したい映画100本」に選出。『HANA‐BI』(1998)がベネチア国際映画祭金獅子賞、『座頭市』(2003)が同映画祭銀獅子賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝く。

ミシェル・テマン
ジャーナリスト。フランスの日刊紙リベラシオンの日本特派員。 

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2010年12月13日

必読本 第942冊目 トイレの神様

必読本 第942冊目

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トイレの神様

植村 花菜(著)

¥ 1,000

宝島社

単行本: 206ページ

2010年7月9日 初版


●いっぱいつらい思いをして、心が折れそうになったときにも、

私は毎日、せっせとトイレを掃除していました…。

シンガーソングライター・植村花菜が最愛の家族への思いを綴った、

今いちばん泣ける歌「トイレの神様」の誕生秘話。

●今年一番と言ってもよい話題の曲「トイレの神様」を歌った植村花菜さんの生い立ち、

ならびにこの歌が完成した経緯を書き記した自伝的な本。

年末の紅白歌合戦に出場も決り、注目度も高いということもあって、

今回はこの本を取り上げます。

ちなみに、この歌は、今年の春頃、池袋ラーメン屋のバイトで深夜に働いていた時、

有線放送から頻繁に流れてきて、 初めて耳にした時から何か感じるものがあり、

店内のトイレ掃除を一人でしている時などに自然と口ずさんでいた、

というちょっと思い出に残っている歌でもあります。

●4人兄弟の末っ子として生まれ、両親は花菜さんがごく幼い時に離婚。

母は世間一般の常識からはちょっと離れた変人で、

子どもの頃から花菜さんを散々振り回し続ける。

隣に住む祖父(実は血がつながっていない特殊な間柄であることが後に判明する)が急死したことにより、

ひとりぼっちになった祖母がかわいそうだということで、花菜さん一人だけが一緒に住むことになる。

祖父が亡くなってからは、今までの裕福で幸せだった家庭環境が一変。

母と兄との確執など、心落ち着く時がなくなるほどに家族がバラバラになる。

客観的に自分の生い立ちを綴っているが、家庭環境的にかなり異質な部類に入り、

子どもの頃はかなりの苦労、孤独を感じて生きてきたらしい。

末っ子ながら、離散した家族の心を一つにまとめようとする花菜さんの姿が

けなげで微笑ましく、何枚も挿入されている子ども時代の写真や日記の文章と共に、ホロリとさせます。

●「トイレの神様」という曲が生まれた経緯ももちろん興味深いのですが、

それ以上に個人的に惹き付けられたのは、

デビュー初期にしてコンテストでグランプリを獲るという幸運を勝ち取るも、

ずっと泣かず飛ばずで、レコード会社からの契約打ち切りもやむを得ない、

それぐらいにアーティストとしてどん底状態にあっても、

売れなくても歌を歌い続けることはずっと可能だ、職業を飛び越えてでも歌うことは自分のアイデンティティそのものなのだ、

という風に気持ちをポジティブに切り替えているところである。

人生が思い通りにならないと、落ち込んでいる方ならば非常に勇気づけられるはずです。

書ける時は、それこそ神の恩寵というぐらいにメロディが一気に浮かんでくるのに、

煮詰まった時はそれこそ全く何も出てこない、というアーティストの創作上の苦労を述べた箇所も、

ファンには興味深いです。

悲喜こもごもの恋愛経験を忌憚なく記した箇所も、女性読者には非常に参考になるでしょう。

●おばあちゃん子として育てられてきた私は、

祖母が病院で危篤になり、その後葬式を上げて火葬場まで行く場面を記した下りを

読んだ時は、自分の過去と重ね合わせてしまい、思わず込み上げるものがありました。

家族の連帯感などを感じたい方には、非常におススメの本です。

挿入されているイラストもほのぼのとして、心温まります。

 

 【マストポイント】

@「子どものころは本当につらくて、なんでこんな家に生まれてきたんだろう、

もっと幸せな家がよかったといつも思っていた。

でも、人はやっぱり、傷ついたりつらかったりするところから学ぶのだ。

私がいま歌っているのは、家があんなふうだったからだ。

つらいのは確かだけど、でも、つらいなと思う反面、

本当に面白いとも思う。

こんないろんな経験をさせてもらえるのも、あの家だからだ。

私は思っている。人生、一個でも楽しいことが多いほうがいいと。

同じことが、こっち側から見たらつらくても、あっち側から見たら楽しく思えることもある。

だったらあっち側から見たほうが、人生、得だ。

そう考えていれば、何があっても生きていけると思っている」

A「私は、おばあちゃんや家族から、人生は考え方次第だということを学びました。

つらいことや悲しいこと、嫌なことに遭遇したとき、自分の置かれている環境をどう楽しめるか。

「つらい」「泣きたい」「苦しい」ばかり考えていると、自分が損してしまう。

物事は、自分の受け止め方次第でどうにでも変わる。

と、えらそうに言っても、やっぱりつらいこと、嫌なことはたくさん起こります。

どうしても腑に落ちないことは、相手に伝え、相談し、解決法を見つけるけれど、

それでもしようがないことは、忘れるのがいちばん!

そして、「これも自分の運命なんだ」と受け止める。

クヨクヨしている時間がもったいないといつも思う。

文句や不満を口にするのは簡単だけど、その不満をどうすれば解消できるか、

どう動けばいいか、百パーセント完璧なんていう答えはない。

百パーセント完璧がないならば、まだ自分にできることがどこかにあるはずなんだと思う。

いつも、まだ私にできること、しなくてはいけないことを探してがんばっている最中です」

(以上本文より。一部改変。今回は2個だけ)


【著者紹介】

植村 花菜
1983年1月4日、兵庫県川西市生まれ。19歳よりストリートで音楽活動を始め、2002年「ザ・ストリートミュージシャン・オーディション’02」グランプリに。2005年5月にシングル『大切な人』でキングレコードからメジャーデビュー。2010年3月に発表したアルバム『わたしのかけらたち』の収録曲「トイレの神様」が話題に。  

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2010年12月12日

必読本 第941冊目 フクシ伝説 うちのとーちゃんは三冠王だぞ!

必読本 第941冊目

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フクシ伝説 うちのとーちゃんは三冠王だぞ!

落合 福嗣(著)

¥ 1,000

集英社

単行本: 160ページ

2010年10月23日 初版


●中日ドラゴンズ監督・落合博満の息子で、幼少の頃から悪童伝説を残してきた落合福嗣。

その独創的で自由すぎる素顔に迫りつつ、落合ファミリーの真実を描く抱腹絶倒の一冊。

『週刊プレイボーイ』連載をもとに書籍化。

●アマゾンで、中日落合監督関連の本を探していた時に偶然巡り合った本。

監督の一粒種として、幼少期より度々マスコミに登場、

その自由奔放な振舞いと、誰かれ構わず浴びせるその暴言の数々で

悪名高かったフクシ氏が、潜伏期間を経て、突如表舞台に復活。

週刊誌で連載していたコラム(そのこと自体、今回の本で初めて知ったのだが)を元に単行本化された。

●内容的には、既述した週刊誌のコラムの傑作選、

フクシ氏の経歴紹介、氏の都市伝説の検証、父博満氏との親子対談、

写真でたどる思い出アルバム、落合記念館探訪、落合両親とフクシ氏3者による“トンデモ”人生相談、

落合家を知るための語彙解説という構成になっている。

特筆すべきは、目の付けどころが鋭く、歯に衣着せぬフクシ氏の軽妙な語り口と、

とにかく笑えるスナップ写真が満載なことである。

いわゆる「タレント本」に属するが、内容的には結構濃く、

野球に興味のない方も十分楽しめる。

●北朝鮮の金正男に似た風貌と、格闘家になってもおかしくない巨漢にも関わらず、

スポーツは全くといって苦手で、ことごとく長続きしない

(落合氏のDNAを引き継ぎ、恵まれた肉体もあって、

母の信子さんの期待も大いに高かったのだが、

偉大なる野球選手の息子だということだけで、野球部先輩などから深刻なイジメを受け、

野球嫌い、野球離れに拍車がかかった。

落合父が逆に、野球が上手すぎて理不尽なイジメを受け、7回(!!)も野球をやめて、

人生を漂流していたという高校時代〜東芝府中時代の話を述懐しているが、

一時ホームレス生活も経験したなど、初出の話が結構出てくる。

野球人落合を知る上で、興味が尽きない)。

 ●ネット、アニメ、プラモデル(父子ともに、ガンダムマニアであることは超有名。

頻繁にガンダム関連の話題が出てくる)などのオタク文化に非常に明るく、

どちらかと言えば文系タイプ。

ごく普通の大学生と同じく、女の子には興味津々。

出会った女性には積極的にアタックする。

このあたりは、幼少期からマスコミに度々登場し、女子アナ、タレントなどと

頻繁に接触したり、有名人の子息ということで、周りの女性から

いつもチヤホヤされていたという事情もあり、女性に対しては物怖じしない性格が形成されたのだろう。

しかし、Hできれば誰でもいいというわけではなく、

落合家の財産や氏の体(?)目当ての女性ではないか、慎重に吟味するあたりは、

意外と冷静なタイプである。

初オナニー、初Hなどの告白は、落合家独特の性教育の話とともに、爆笑必死。

笑いをこらえられないので、電車などでは読まない方が良い。

●今まで、ただの「著名人のバカ息子」というイメージばかりが先行していたフクシ氏であるが、

文筆能力は高いし、若者文化や世の中に対する見識も非常に高く、今までのイメージが一気に覆される。

オタク文化評論家か、はたまた、奇跡的に、プロ野球経験のない初のプロ野球解説者(それは無理か。。。)か、

(同じコラムニスト出身である)マツコ・デラックスを凌ぐブレイクを来年に果たすかもしれない。

野球ネタに異常に詳しいSMAPの中居正広や、かつて交流もあったとんねるずとの絡みで、

近々テレビでのレギュラー出演も必ずあるはずだ。

これからの活躍に目が離せない。
 

 【マストポイント】

@「会社に限らず、すべて縦社会というか、ピラミッド型で出来ている。

上司に手柄を横取りされる人もいるが、てっぺんにいるヤツが最後は責任を取るワケだ。

当然、下に行けば行くほど責任は軽くなる。

日本に限らず、外国でも同じだ。

そういう社会の仕組みを理解しないヤツはどこに行っても必要とされない。

結局、責任が取れるヤツほど給料は高いんだ」

A「人間、最終的に必要になるのはお金だよ。

年とって働けなくなったら誰も助けてくれないんだぞ。

今、働けるんだったら、使うことを考えるより、その時のために貯金しとけって。

そのうちイヤでも使わなきゃならない時がくるから。

その時に金がなけりゃ、何もできないんだ。

今、使い道がないなら黙って貯めとくんだな」

B「女の人は家のことはちゃんとやらなくちゃ。

「女」に「家」と書いて「嫁」だし、

「女」に「又」に「力」と書いて、「努」なんだよ。女は強いんだよ。」

(以上本文より。@とAは落合博満氏の言葉。Bは信子氏の言葉。一部改変)


【著者紹介】

 落合 福嗣
1987年8月20日、名古屋に生まれる。3歳時にはTV番組収録中、かの有名な「落合家チ○ポ丸出し放尿事件」を引き起こし、全国に悪名を轟かせる。父は「日本プロ野球史上最強の打者」の呼び声も高い落合博満氏だが、本人は歌、音楽、ゲーム、ネットなどわりかし文化的な方面で才能を発揮。現在、国士舘大学在学中。

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2009年03月26日

必読本 第878冊目 孔子の教え一日一言

必読本 第878冊目

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孔子の教え一日一言

孔 健(著)

¥1,260(税込み)

PHP研究所

ソフトカバー:222ページ

2009年1月9日 初版



●2500年にわたって受け継がれてきた孔子の教えの中から、

その直系子孫が孔子思想の真髄366を選び、わかりやすく解説。

「論語」の哲学をより深め、新たな発見を加えた本邦初「新思考の論語」。

●最近、時勢が乱れていることもあり、

いつの世も変わらぬ原理原則を短時間でマスターできる

一日一言本が数多く出版されている。

孔子の言行録として誰もが知っている「論語」の一日一話本は、

他の出版社から既に発売されている(必読本 第493冊目参照)が、

本書はちょっと毛色の変わった本。

「論語」以外の中国古典に記されている孔子の言葉の中から、

特に優れたものをピックアップして一日一話形式でまとめたもの。

「論語」以外の孔子の名言を読めるという意味では、

中国古典好きにはかなり興味が持てる本ではないだろうか。

●年度末ということもあり、

進学、転勤と色々と忙しい方も多いことでしょう。

ゆっくり読書などしていられないというところが実情でしょうが、

こういうバタバタしている時ほど、来年度の足固めをするという意味で、

この手の定評のある賢人の言葉をじっくりと噛み締めてみるということは

非常に有意義なことだと思います。

孔子の直系子孫である孔健さんの解説と翻訳も

無駄のない文章で非常に読みやすいです。


【マストポイント】

?「爾(なんじ)より出る者は爾に反(かえ)る」(孟子)

(自分が不義理をすれば、それは自分にはね返ってくるものだ)

?「財を生ずるに大道あり」(大学)

(財を成すのは(悪いことではないが)

それなりの正道を経た結果でなければならない)

?「君子の接は水の如く、小人の接は醴(れい)の如し。

君子は淡くして以って成り、小人は甘くして以って壊(こわ)る」(礼記)

(君子の交際は淡くして水のようであるが、

これに反して小人の交際は親しみ過ぎて醴(甘酒)のようになる。

君子は淡くして永続し、小人は親しみ過ぎて不和を招く)

?「君子は心を以って耳目を導き、小人は耳目を以って心を導く」(子思外篇)

(君子は心の命に従って世間を見渡すが、

小人は見たもの聞いたもので道徳のあり方を判断する)

?「天に二日なし。土に二王なし」(礼記)

(天に二つの太陽がないのと同じく、国に二人の王は必要としない)


(以上本文より。一部改変。

新年度が近いということもあり、特別に5個掲載)


【著者略歴】

孔 健
1958年、中国青島市生まれ。本名は孔祥林、孔子第75代子孫。チャイニーズドラゴン新聞社編集主幹、SBI大学院大学教授、孔子塾主宰。山東大学日本語科を卒業後、中国画報社に勤務。85年に来日、中国画報社駐日総代表として活躍するかたわら、上智大学大学院新聞学博士課程修了。現在、中国画報協会副会長・NPO法人日中経済貿易促進協会理事長・孔子文化大学副学長、北京科学職業大学中国国学院院長。日中問題のコメンテーターとして、テレビ、新聞、雑誌などでも活躍。


ラベル:孔子 孔健 論語
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2009年03月18日

必読本 第875冊目 奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録

必読本 第875冊目

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奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録

石川拓治(著)NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班(監修)

¥1,365(税込み)

幻冬舎

ハードカバー:207ページ

2008年7月25日 初版



●絶対に不可能といわれてきたリンゴの無農薬栽培を成し遂げ、

ニュートンよりライト兄弟より偉大な発見をした男の感動ノンフィクション。

長年の極貧生活と孤立を乗り越えて辿り着いた答えとは?

●2006年、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に登場し大きな話題になった

青森県の無農薬無肥料でのリンゴ栽培農家、

木村秋則さんの現在までの軌跡を辿った本。

発売から半年余りになるが、アマゾンでは大変な売れ行きを示している。

●木村さんは、元々、簿記一級を取得するほど数字に強く、

三度の飯より機械いじりが好きと、相当に頭は切れる人だったらしいのだが、

集団就職後、色々あって地元にUターンし、農業を始める。

外国の大型トラクターを独自に輸入し、大規模農業を開始するほどの

アイディアマンだったのが、

ひょんなことから、無農薬無肥料でリンゴを栽培できないものかという

誰も考え付かない壮大な実験を開始する。

●成功するかどうかもわからない無謀な試みを開始してからの

極貧、孤立無援の生活は、本当にここ最近の話なのか?

作り話ではないのか?と思うほどに悲惨さを極める。

隣近所からの村八分、家計の破綻、ホームレス同然の出稼ぎ生活、

農業終了後にバイトしていた水商売で、ヤクザに暴行を受けた話など、

絵に描いたようなどん底生活のオンパレード。

将来ドラマ化が必至の、激動の人生を送る

(見逃せないのは、こんな地獄の生活を挫折せずに送り続けられたのは、

温厚、冗談好き、社交的な性格があったからである。

隣近所などから、田舎生活特有の過酷なバッシングを受けつつも、

援助してくれた人も数多かった)。

●色々と試行錯誤するも八方ふさがりの状態で、

心身ともに疲弊し、遂に自殺を決意。

ロープを持参し、一人、闇夜の山の中に消えていくのだが、

そこで、まさに神の恩寵のように、

リンゴ栽培に役立つ奇跡のヒントに巡り合う。

そこで得た気づきを元に今までのやり方を改良し、

遂にリンゴの花を咲かせ、果実を実らせることを成功するまでの流れは、

映画を見ているかのような感動を持続しつつ、一気に進行する。

目に見える、葉に付着する害虫だけを追い払っていた時には

何も巧くいかず、目に見えない土の中の根の部分に目を向け始めた途端に

すべてが好転したという話は、我々にも非常にヒントになる話であろう。

●やはり、現在売れまくっているのが納得の傑作である。

「諦めなければ夢は叶う」、「常識、先入観に縛られず、柔軟に考える」など、

数多くの教訓に満ちた本です。

木村さんが経験された辛酸に比べれば、

自分の悩みや苦しみなど大したことがないと間違いなく思い知らされます

(しかし、カバー写真でもわかるとおり、歯が全くなくなって

入れ歯も入れていないのに、そんなことを一顧だにせず、

自分の夢実現だけのために全力集中することができるとは、

どういう精神構造なのだろうか)。

これほどまでに珍重されている商品にもかかわらず、

高値にせず、適正価格で販売しているというその心意気にも感銘を受ける。

宇宙人と出会い、UFOに連れ去られたという奇想天外な話も出てくるが、

木村さんのことだからおそらく実話なのだろう

(余談だが、何か使命的な仕事を与えられる人というものは、

UFOを見たり、宇宙人に連れ去られたり、神様などの声が

よく聞こえたりするようである)。

●あえて批判すれば、写真がたった一枚ということか。

くだんの番組を見てない人には、リンゴ畑の実際の姿や、

木村さんのご家族の写真、木村さんのリンゴを使って大人気となっている

レストランの写真なども是非見たかった。

文章も、印象的なエピソードをすべて収めようとした

ノンフィクションライターらしい生真面目さで、

やや長たらしい印象を受ける。

もうちょっとスッキリ書けたのではないかという感じもあるが、

まあ内容の凄さを考えれば、大して重要な問題ではない。

読後、近所のスーパーで購入したリンゴ(もちろん農薬が

たっぷりと使われているだろう)があったので、

皮をむいて食べたのだが、甘さも美味しさも全く感じなかった。

精魂込めて作った木村さんのリンゴはどんな味がするのだろうか。

近い将来食べてみたいものである。


【マストポイント】

@「(自殺を考えたという人に)とにかく思い直して良かったねえと言ったかな。

それから、バカになればいいんだよと言いました。

バカになるって、やってみればわかると思うけど、

そんなに簡単なことではないんだよ。

だけどさ、死ぬくらいなら、その前に一回はバカになってみたらいい。

同じことを考えた先輩として、ひとつだけわかったことがある。

ひとつのものに狂えば、いつか必ず答えに巡り合うことができるんだよ、とな」

A「コンピュータというのはさ、私に言わせればただの玩具なんだよ。

だけど、この機械によって、やがて人間が使われるようになるんだろうなと思った。

人が作った機械に人が使われるようになるんだとな。

今の世の中になれば、その通りになってるよ。

コンピュータと同じでさ、他から与えられたものしか利用出来ない人が

すごく増えてしまった。自分の頭で考えようとしないの。

インターネットだってそうだよ。

みんな答えはインターネットの中にあると思い込んでしまうのな」

B「百姓は百の仕事という意味なんだよ。

百の仕事に通じていなければ、百姓は務まらないのさ」

(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

石川 拓治
1961年茨城県水戸市生まれ。ノンフィクションライター。


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2009年03月10日

必読本 第871冊目 俺は、中小企業のおやじ

必読本 第871冊目

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俺は、中小企業のおやじ

鈴木 修(著)

¥1,785(税込み)

日本経済新聞社

ハードカバー:278ページ

2009年2月23日 初版

 

●かつてない危機をどう乗り越えるか。

創業期以来の数々の苦境を乗り越え、いままた世界自動車不況に敢然と立ち向かう!

スズキ会長兼社長が初めて語る。

●軽自動車業界を引っ張る小さな巨人「スズキ」の総帥、鈴木修さんの自伝。

初の著書ということで大変な話題になっており、好調な売れ行きを示しております。

日経新聞に連載していた「私の履歴書」を一冊にまとめたものなので、

先日ご紹介したばかりのセブンアンドアイホールディングス鈴木敏文さんの本と

必読本 第858冊目参照)全く同じ作りです。

本文でも記されているが、著者は、在職中に自分の過去を振り返ったような

自伝を書くということを潔しとせず、ずっと執筆依頼を断ってきたらしい。

本人曰く、「最初で最後の著書」とのこと。

●スズキを代表する名車アルト、ジムニー、スイフト、ワゴンRなどが

誕生された秘話が詳細に記されているという意味で、

クルマ好きにはたまらない本

(各車の車名を決めるまでのエピソードも面白い)。

未踏の地インド、ハンガリーなどに果敢に進出し、

無数の困難にも屈せずに企業を根付かせたという意味で、

発展途上国での起業、外資系企業での就職を目指す方々にもお薦めです。

自動車業界の来し方行く末を捉える上で、

いまや青息吐息のGMとの一連の業務提携を巡る話などは、

特に注目して読むべき箇所でしょう。

●本書を読んで非常に印象的だったのは、

歯に衣着せぬワンマン経営者として誰もが恐れる存在であったにもかかわらず、

その人相の良さや志の高さがあるのだろうか、

危機的な状況で、実にタイミングよく人に救われるのである。

外国企業との合弁事業においても、国内事業においても、

すんでのところで助け舟が現れる。

一般的に対立するはずの監督官庁からも支援を受けるし、

2代目社長の婿養子から社長という、周囲から妬まれる立場にもかかわらず、

実に部下や同僚に恵まれている。

●他にも、水一滴も漏らさないコスト意識の高さ、現場第一主義、

「鶏口牛後」主義など、

事業の規模を問わず、経営者にはヒントになるエピソードが満載である。

売れているのも納得の内容です。

●巻末には、本文にも出てくる言葉を含めた

鈴木さんの語録が一覧でまとめられている。

これは非常に利便性が高く、心に残ったものは是非手帳などに

メモしておきたい

(以前ご紹介したトヨタ生産方式の本(必読本 第759冊目参照)と読み比べてみるのも一興)。

スズキの歴史を示す略年表などのデータ類も併せて収録されておりますので、

ディーラー関係の方は、資料として一冊購入しておくと何かと便利でしょう。

●最後の方、自分の後継者として、官僚から自社に招いた自慢の娘婿が、

志半ばでガンで亡くなったことを記した箇所は、涙なくして読めない。

著者本人も、胸を震わせながら書いたであろうことがアリアリと伝わる。

カリスマ経営者ともてはやされつつも、人生は実に不条理なもので、

自分の努力では何ともならない不可抗力の悲劇に遭うというのも

非常に切ない気持ちにさせられます。

御年79歳にして、会長兼社長という超激務。

お眼鏡に適った後継者が早く現れることを祈るばかりである。


 
【マストポイント】

@「アルトが売れたとき、販売店もかなり景気がよくなりました。

「調子に乗りすぎると危ない」と感じることが多かったので、

「本当に儲かった分でいろいろ楽しむのは結構だが、

儲けがないなら水でも飲んでおけ」という話をよくしたものです。

当時は「キャッシュフロー経営」という言葉はありませんでしたが、

スズキの投資方針は、いまから思えばキャッシュフロー経営の典型でした。

自分で稼いだ金の範囲で投資し、その一線を踏み越えない。

これを肝に銘じていましたし、いまもそうです」

A「製造業は1円のコストダウンが生死を分ける。

その実践として、スズキでは、「小・少・軽・短・美」というスローガンを掲げる。

製品や部品はもちろん設備まですべてを含め、

いかに小さく、少なく、軽く、短く、美しくするかが、

コスト低減と、できあがったクルマの燃費向上となる」

B「できない理由を聞くヒマはない。

どうすればできるかを言ってくれ」

(部下から説明を聞くとき、できない理由を述べようとする部下に対していつも言う言葉。

まずは自分で、どうしたらいいのか、どうすればできるのかを考えてほしい。やる気が重要だという)

(以上本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

鈴木 修
スズキ株式会社代表取締役会長兼社長。1930年1月30日、岐阜県益田郡下呂町(現下呂市)生まれ。中央大学法学部卒業後、銀行勤務を経て、58年4月、鈴木自動車工業(現スズキ)に入社。2代目社長、鈴木俊三氏の娘婿となる。63年11月、取締役に就任。67年12月に常務、73年11月に専務、78年6月に社長就任を経て、2000年6月から会長、2008年12月には再び社長を兼務する。ハンガリー名誉総領事も務める。徹底して現場にこだわる強いリーダーシップで、社長就任時に売上高3,232億円だったスズキを、30年間で3兆円企業にまで育て上げた。この間、軽自動車トップの地位を固めるとともに、インドやハンガリーでの現地生産、米GMとの提携などを進める。



ラベル:鈴木修 スズキ
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2009年02月26日

必読本 第865冊目 アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝

必読本 第865冊目

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アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝

スティーブ・ウォズニアック (著), 井口 耕二 (翻訳)

¥2,100(税込み)

ダイヤモンド社

ソフトカバー:453ページ

2008年11月28日 初版



●スティーブ・ジョブズとともにアップルを創業した著者。

そのプログラマーとしての才能はジョブズも崇拝する一方、

経営者となることにまったく興味をしめさない生粋のエンジニア。

名誉も地位もお金も求めず、人を喜ばせることしか考えていない規格外の男が、

いまはじめて創業の秘話を語る。

●アップル・コンピュータといえば、

スティーブ・ジョブズばかりが有名だが、創業者の一人であり、

初期のマシンをほぼ独力で完成させたという伝説のプログラマー、

スティーブ・ウォズニアック抜きにして、今の隆盛はなかった。

本書は、機械オタクだった子供時代、電話の無料裏テク利用の世界にハマる学生時代、

一生骨を埋めるつもりだったヒューレット・パッカードでのエンジニア時代、

運命のパートナー、ジョブズと出会い、アップルを立ち上げて大成功するも、

後に会社を離れることになった経緯、そして私生活までを、

ざっくばらんな言葉で語った自叙伝。

●時間を忘れて一気に読んだという意味で、最近では特に興奮した本。

半日あまりで読破してしまった。

450ページ以上の大作だが、インタビュアーに向かって口述したものが

文章化されているため、海外著名人のインタビュー番組を見ているかのような

気楽さでスイスイスイスイ読み進んでいくことができる

(スラング連発であろう原著の雰囲気をうまく訳出した翻訳家井口氏の技量にも拍手)。

●著者は、IQが200もあるほどのいわゆる理工系天才少年で、

いたずら、ジョークと、機械いじりをこよなく愛する内向的な少年だった。

テレビ受信妨害器や電話を無料でかける機器を自作し一人悦に入る話、

ジョブズに依頼され、アーケード用のTVゲームテーブルテニス、ブロック崩しを製作した話、

金欠時代、パーツ探しに奔走し、数限りない失敗の果てに自作のPCを完成させる話など、

とにかく機械いじり、電気オタク的なマニアック話が目白押しで出てくる。

巻末には、PC関連用語集もついているので、初心者でも抵抗なく読めます。

●本書を読んでまさに痛感させられたのは、

大企業が誕生する時には、井深と盛田、本田と藤沢の例を出すまでもなく、

イケイケドンドンの猪突猛進タイプのトップと、

どちらかといえば目立つのを嫌う、縁の下の力持ちタイプの補佐役の

2頭体制でいくことが重要だということだ。

初期のアップルは、著者が技術製作的なことを一人で担い、

営業や資金調達や企画立案などはジョブズがすべて担当するという

役割分担がきっちりとなされていた。

それに関連して興味深かったのは、その性格の対照性である。

ジョブズが、人を人とも思わない激高型の経営者で、

気に入らない社員をすぐにクビにしてしまったりなどの逸話のある、

冷酷無比で神経質な性格であることはつとに有名だが、

技術畑の人間に似合わず、

著者は実に温厚、楽天的な性格で、金銭欲、上昇志向も全くなく、

大企業にありがちな権力闘争、社内政治的なこととは一切無縁の姿勢を

貫き、どこまでも一エンジニアたろうとしているのが非常に印象的であった。

●とにかく、著者は人から裏切られても、

自分が精魂込めて開発した製品を他社からパクられても、

極めて冷静、楽天的な態度を維持しているのである。

ジョブズが「鬼」なら、著者は「仏」といった感じか

(ブロック崩しゲームを完成させたギャラをジョブズが過少申告し、

著者に少なめに渡したという話が出てくるが、

ジョブズは滅法金に汚い人間らしい)。

自分の持ち株を、貢献のあった知り合いに安価で譲って

お金持ちにしてあげたというエピソード、

自分の信念に沿う慈善事業には気前よく寄付するなどの話に、

著者の人重視の姿勢、金銭欲のなさが滲み出ている

(しかし、改めて驚かされるのは、ジョブズも著者も創業者の一人で、

強大な発言権を持つはずのポジションであるにもかかわらず、

後発で入ってきた経営陣に会社を追放されたり、

その意向を却下されたりするという新興ベンチャー企業ならではの理不尽さである)。

●PC開発話以外で興味深かったのは、

私費で、有名アーティストが大挙して出演する

大規模なロックコンサートを2回も開催したという話

(30歳の時点で1億ドル(!!)もの個人資産を所有していたからこそ可能だった。

また、冷戦真っ只中、蛇蠍のように嫌悪されていた

ソ連の人々との衛星放送を、史上初めて実現させた話も面白い)、

自家用機を運転中墜落してしまい、一命は取り留めたが、

健忘症に陥ってしまい、事故当時の記憶が全くなかったという話、

結婚歴が3度もあるが、無類の子供好きで、

教育に対する並々ならぬ思いを持っていることなどであった。

●将来、IT関係を希望する理工系の高校生、大学生には

一度は読んでほしい本。

モノづくりに対する熱い情熱、夢を具現化するエピソードの数々を読めば、

私もひとつやってやろうか!、という気持ちがフツフツと湧いてくるはずです。

「自分の好きなことに全力集中すれば、お金は後からついて来る」ということを

実証したという意味で、起業家予備軍の若者にもお薦めです。


【マストポイント】

@「小さいころに、結果をあまり気にせず、今していることに集中し、

それをできるだけ完璧に仕上げることが大事だということを学んだんだ。

エンジニアの全員がこういう体験をするわけじゃない。

アップルをはじめ、いろいろなところでいろんな人と仕事をしたけど、

途中でやるべきことをすっとばして最終段階だけをなんとかしようとする人を

たくさん見た。そんなの、うまくいくはずがないんだ。絶対に無理なんだよ。

認知的発達っていうやつで、ただただそういうものなんだ。

今、理解できているレベルの二段階上なんて、誰にも教えられしない。

呪文のようにいつもくり返し言い聞かせているんだ。一歩ずつってね」

A「物事をコントロールする人より、笑って過ごす人のほうが幸せだって、僕は思う。

それが僕の考え方なんだ。

僕は、人生で一番大切なのは幸せであり、どれだけ笑って過ごせるかだと思うんだ。

頭がちょっといかれたようなヤツのほうが幸せなんだ。

僕はそういう人間だし、そうなりたいとずっと思ってきた。

だから、スティーブ・ジョブズと金の支払いでトラブルが起こっても、気にせずにきた。

もちろん、違う考え方もありうるし、あのとき、関係を絶ってしまうという考え方だってある。

でも、だからといって相手を非難しなくてもいいと思う。みんな違うんだ。

そう思って暮らすのが一番いいし、幸せになれる方法だと僕は思う」

「僕だって仕事はまじめにやるよ。エンジニアとしてすごい製品を作ったし、

それはみんなも知ってる。会社の立ち上げも製品の紹介も真剣にやってる。

でも、僕にとっては、そのことと楽しんだりジョークをかましたりするのはセットなんだ。

それが僕の人生だからね。

考えてもごらんよ。

アップル・コンピュータの特色とか個性って、要するに楽しさってことじゃん。

その大本は、人生、楽しまなきゃっていう僕のスタイルなんだ。

ジョークがあるから、いろいろなことをやる意義が生まれるんだよ」

B「僕はとてもラッキーだった。

大変革が起きようとしている時代に若者だったからね。

自動車産業が生まれようとしていたとき、ヘンリーフォードがいたように、

PCが生まれようとしていたとき、僕はそこにいて、その誕生を助けたんだ。

僕がこれほどのことをできたのは、お金がなかったからだ。

モノを作るのが上手で、ああいう製品を初めて作ったからだ。

みんなも、僕と同じぐらいラッキーであってほしいと思う。

世界は発明家を必要としている・・・・・・・すごい発明家を。

君だって、その一人になれるんだ。

自分のしていることが大好きで、

そのために必要なことならなんでもしようって気概があれば、君にもできる。

自分はどういうものを設計したいのか、作り上げたいのか、

夜、自分一人でじっと考え、考え、考え続ける。

それだけのことをする価値はある。絶対にある。本当だ」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

スティーブ・ウォズニアック
アップルを創設したもう一人のスティーブ。通称ウォズ。パソコンの世界では伝説的なエンジニアで、アップル1、アップル2をほぼ独力で開発した。発明家の殿堂、National Inventors Hall of Fame入りを果たしているほか、アメリカ国家技術賞をはじめとするさまざまな賞を授与されている。温厚な人柄で知られ、「ウォズの魔法使い」と慕う人も多い。1950年生まれ、米国カリフォルニア州在住。

井口 耕二
1959年生まれ、東京大学工学部卒、米国オハイオ州立大学大学院修士課程修了。大手石油会社でリサーチ・エンジニアなどを経験したのち、98年、技術・実務翻訳者として独立。



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2009年01月05日

必読本 第838冊目 建築家 安藤忠雄

必読本 第838冊目

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建築家 安藤忠雄

安藤 忠雄 (著)

¥ 1,995 (税込)

新潮社

単行本: 383ページ

2008年10月25日 初版

 

●プロボクサーの夢破れ、独学で建築の道を志した。

だが、思うようにいかないことばかり。

それでもわずかな可能性に賭けて、必死に生きてきた。

生涯ゲリラとして建築で社会と闘い続けてきた男が、自らの激動の人生を綴る。

●言わずと知れた、我が国建築学界の第一人者、

日本が世界に誇る天才、安藤忠雄さんの初の自伝である。

プロボクサーから建築家になった。工業高校出身で大学在学経験がなく、

全くの独学で建築の勉強をし、東京大学教授にまでなった。

賛否両論相半ばする、独特のコンクリート打ちっ放し建築などなど、

変り種の建築家として有名で、 私自身もその人となりを一度時間をとって

真剣に学ばなくてはならないなとずっと思いつつも、今までその著書を読む機会がなかった。

年末年始のお正月休み期間中に読む本として、 ずっと携行していた本。

●双子の兄として生まれて早々、長屋に住む祖母に預けられ、

その後、建築家の基礎となるような独特の家庭内教育を施される。

弟が先に始めたボクシングで短期間の内にプロライセンスを取得するも、

たまたま出会ったファイティング原田の凄さに圧倒され、

ボクサーとして生きていく道を断念する。

経済的な理由などで大学進学を断念し、アルバイトなどで貯めたお金を

元手に日本一周、世界一周旅行に出て、あらゆる建築物を見てまわる。

昔、安藤さんのインタビュー本で、大学4年分の建築の勉強を

1年でやり終えようと決意し、ほとんど外出せず、極限まで睡眠時間を削って、

自宅で猛勉強の日々を送ったということを語られていたことがあった

必読本第712冊目参照)が、 そのことに関してはあまり深くコメントされておらず、

勉強法を知りたかった読者としてはちょっとガッカリ。

●師匠を持たなかった孤高の天才が、

ひそかに尊崇の念を抱いたというル・コルビュジエ、ガウディ、丹下健三などの

大建築家への思い、なぜ、素材としてのコンクリートにこだわるのか、

高卒なのに最高学府東大教授を依頼された時の顛末、

阪神淡路大震災を境に変転した建築への思い、

サントリー佐治敬三、演劇家唐十郎などとの交遊録、

文字通り「命を懸けて」完成させた、光の協会、六甲の集合住宅の

完成までの感動的エピソードなど、

途中にストップするのが難しいほどに、ドラマティックなエピソードが

次から次へと紹介されている。

●出版社も気合いが入っていて、紙質が非常に丈夫なものが使われているし、

写真はあの荒木経惟さんが担当されている。

380ページの分厚さに、堅牢なハードカバー。

ちょっとした辞書はあろうかという威容に、

一瞬気おされてしまうが、意外にも読破には時間がかからない。

なぜなら、軽妙洒脱な文章でスイスイ読んで行くことができるということと、

著者が関わった建築物などの写真 (国立国会図書館かというほどに、

膨大な書物を収めた書庫の写真は特に圧巻)が数多く掲載され、

その分でページ数が消費されているからである。

序章と終章併せて全14章。

内容の面白さもあり、軽快感を持って読み進むことができる。

半日ぐらい時間を確保しておき、覚悟を決めて読み始めれば、

一気に読めます。

●今年2009年一発目に紹介する本が、

ハンパな本では嫌だなぁと心配していたが、 紛う方なき大傑作。

映画、絵画、演劇、テレビドラマ、コンサートなど、

世の中に感動を与えてくれるものはゴマンとあれど、

まさに読書の醍醐味を感じさせてくれる書物です。

●建築などモノづくりを生業とされている方、

新築一戸建てをお考えの方(「住居」とは何ぞや、「住む」とは何ぞやという

根源的な問いに対する安藤さんらしい答えが記されている) 、

企画立案、交渉事を担当されている方

(法規制を理由に、理不尽な圧力を行政からされるにもかかわらず、

粘り強く己の正当性を主張し続け、最後には認可を得る話や、

骨の折れる海外でのプロジェクトでのエピソードなどが紹介されている)ならば、

必読の本です。

●全くの徒手空拳の状態から、世界に名だたる大建築家になった

安藤さんの姿には、無限の勇気と感動を得られるはずです。

この内容で、定価2,000円を切るというのも驚き。

赤字覚悟の大バーゲン価格。

個人的には、3,450円ぐらいにしてもいいぐらい。

10,000円ぐらいの内容を誇る、福袋のようなお得感を感じさせる本です。

 

【マストポイント】

@「事務所を開設して数年間は、私とスタッフとの年齢差も10歳そこそこだったし、

血気盛んな若い時分で、すぐに手も足も出た。

ただ、デザインのセンスが悪いといって、責めたことはない。

大切なのは、「その建物を使う人間への、気遣いができているか、

定められた約束を守り遂行できているか」ということ。

問うのは、担当者一人ひとりの「自分がこの仕事をやり遂げるのだ」という自覚である。

勘が良い青年なら、2年も経てば、充分仕事を任せられるようになっていく。

そうして、経験が浅い若者に、次々と仕事の機会を与えていき、

失敗したら“俺が責任を取る”という覚悟でこちらが臨めば

若者はどんどん成長するのだ。

あたかも大企業の一員といった感覚、

「誰かがするだろう」「上司が責任をとるだろう」などと他人にもたれあったり、

責任の所在があいまいだったりすると、悪い意味でのサラリーマンには

なってほしくない。

自分で状況を判断し、道筋を定め、試行錯誤しながら前に進んでいく、

一人ひとりが責任を果たす覚悟をもてる、そんな力強い個の集まりでありたい。

他人の資金で、その人にとって一生に一回きりかもしれない建物を

つくるのだから、それなりの覚悟と責任が必要なのである」

(ちなみに、事務所にアルバイト、勉強にくる学生には、

必ず「さん」付けで呼ぶこと、目下の者だからという横柄な態度をとらないことを

徹底させているそうである)

A「バブルの時期、日本の都市空間は、 完全に狂った市場原理に支配されていたともいえる。

その余波は、大阪にいる私の所にも押し寄せてきて、

「好きに画を描いてください」などと、巨大なショッピングセンターや

郊外の大規模分譲マンションの計画、リゾート地の開発計画などの話を

持ちかけられたこともあった。

それらは“稼げる”仕事ではあったが、私は商業色の強過ぎる仕事や、

クライアントとの意識のズレが大きいと感じるときは、

あえて受けないようにした。

その分、いくつか始まった公共の仕事に、事務所の体制を切り替えていった。

東京青山に作ったコンプレックスあたりが、最後の商業建築施設だったように思う。

商業のための建築で、市場原理と格闘して自分の思う建築をつくることに

疲れたからというのではない。むしろ、土地と投機のゲームの駒でしかない建築に、

もはや“格闘”する手がかりが見出せなかったから、そのゲームに巻き込まれたら

自分を見失ってしまうと危険を感じたから、

私は商業的な仕事から距離を置くことに決めたのだった」

(ちなみに、本文で、安藤さんは、アラブドバイの、

自己満足的な高層ビルの高さ競争のようなものには、

全く興味がないとも言われている)

B「…現実の社会の中で、本気で理想を追い求めようとすれば、

必ず社会と衝突する。

大抵、自分の思うようにはいかず、連戦連敗の日々を送ることになるだろう。

それでも、挑戦し続けるのが、建築家という生き方だ。

あきらめずに、精一杯走り続けていけば、いつかきっと光が見えてくる。

その可能性を信じる心の強さ、忍耐力こそが、建築家に最も必要な資質だ…」

C「「1941年大阪生まれ。独学で建築を学び1966年、安藤忠雄建築研究所設立…」

私の経歴はこの一文で始まる。多くの人は、「独学で建築を学び」のくだりが

気になるらしく、雑誌のインタビューでも何度となくこの点を聞かれてきた。

「本当に独学なのか?」

「独学とは、一体何をどうして建築を学んだのか?」

その問いに対して、私はこう答える。

「大学へも行かず、直接、師と仰ぐ人もいなかったから独学と書いている」

「何をどのように学ぶべきか、今も学んでいる最中だ」

たいていの人がユーモアとして受け取れるようだが、

これが本当に、正直なところなのだ」

D「とにかく最初から思うようにいかないことばかり、

何かを仕掛けても、大抵は失敗に終わった。

それでも残りのわずかな可能性にかけて、ひたすら影の中を歩き、

一つつかまえたら、またその次を目指して歩き出し―

そうして、 小さな希望の光をつないで、必死に生きてきた人生だった。

いつも逆境にいて、それをいかに乗り越えていくか、というところに

活路を見出してきた。

だから、仮に私のキャリアの中に何かを見つけるとしても、

それはすぐれた芸術的資質といったものではない。

あるとすれば、それは、厳しい現実に直面しても、

決してあきらめずに、強かに生き抜こうとする、生来のしぶとさなのだと思う。

人生に光を求めるのなら、まず目の前の苦しい現実という影を

しっかり見据え、それを乗り越えるべく、勇気をもって進んでいくことだ。

何を人生の幸福と考えるか、考えは人それぞれでいいだろう。

私は、人間にとって本当の幸せは、光の下にいることではないと思う。

その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている、

無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う」

(以上、本文より。一部改変。

長文になりましたが、年頭なので特別に5つ掲載。

本文には、特に重要な発言が抜粋されて1ページを割り振られ、

名言集的に掲載されている。

絞りきれないぐらいにその手の名言が多いので、

興味ある方は是非本体に当たってほしい)

 

【著者略歴】

安藤 忠雄
1941年大阪生まれ。建築家。世界各国を旅した後、独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。イェール大、コロンビア大、ハーバード大の客員教授を務め、1997年東京大学教授、2003年から名誉教授に。1979年に「住吉の長屋」で日本建築学会賞、2002年に米国建築家協会(AIA)金メダルほか受賞歴多数。

 

ラベル:安藤忠雄
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2008年12月28日

必読本 第836冊目 伝説の経営者たち―情熱と才能と幸運のドラマ

必読本 第836冊目

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伝説の経営者たち―情熱と才能と幸運のドラマ

T.G. バックホルツ (著),  藤井 清美 (翻訳)

¥ 2,100 (税込)

日本経済新聞社

単行本: 332ページ

2008年10月14日 初版

 

●マクドナルド、ソニー、ディズニー、ウォルマート、

IBM、バンク・オブ・アメリカ…。

20世紀の偉大なCEOの足跡をたどりながら、

今日でもなお通用する経営の極意を導き出す。

●本日もちょっとバタバタしておりましたので、

ダッシュで書評を書かせていただきます。

あらかじめご了承下さい。

今回の本は、世界的企業を創始したカリスマ経営者の

物語全6人分を一冊にまとめた偉人伝です。

●扱われている経営者は、マクドナルドのレイ・クロック、

ディズニー社のウォルト・ディズニー、ウォルマートのサム・ウォルトンなど、

誰もが知っている定番の経営者ばかり。

昨今の凋落ぶりにも関わらず、ソニーの盛田昭夫さんが

日本の企業家として唯一選ばれていて、

我が国での尊敬度としては圧倒的に凌駕しているにもかかわらず、

松下電器(現パナソニック)の創業者、松下幸之助さんが

外されているのは、おそらく、ブランドとしてのソニーの知名度、人気度が

アメリカでは段違いに違うからであろう。

●原著タイトル「亡くなったCEOから得る新しいアイディア」という

言葉に端的に示されているように、

その企業を興した時から、その分野のリーディングカンパニーとして

確固たる地位を確立するまでに生じた様々なエピソードを詳述し、

その中から、現代の我々ビジネスマンにも役に立つ知識や知恵を

示そうというコンセプトの本である。

全320ページひたすら文章のみ、イラストも写真もない、非常に味気ない本で、

編集者の手抜き感をやや感じさせるが、

余計なものを求めず、ひたすら文章のみを味わいたいという

読者には逆にその凡庸さが良いかもしれない。

●また、各章間に関連性はなく、独立して読めるという利便性はあるが、

一冊の本としては、正直、ごった煮的な印象は否めない。

定価もやや高く、各経営者の偉人伝をそれなりに読んでいる人には、

既知の情報も多く、目新しさはあまりないビジネス偉人伝である。

ただ、選出された経営者は、間違いなくその分野の先駆者として

定評のある人物ばかりなので、一冊の中で、

歴史上の経営者の知恵、成功法則を効果的に吸収したいとお考えの方には、

それなりに便利な本ではあるでしょう。


【マストポイント】

@「われわれが女の子を追いかけ回していた間も、

(ウォルト・ディズニーは)いつも絵を描いていた。

……そこに学ぶべき何かかがある。

彼の絵はいつまでも色あせないが、

あの女の子たちは大多数がもう死んでいるからだ」

(第1時世界大戦当時、レイ・クロックとウォルト・ディズニーは

同じ軍隊にいたことは非常に有名な話である)

A「盛田昭夫と井深大は、恋人同士よりもっと親密な関係でした。

盛田夫人でさえそう感じておられたほどです。

友情というより愛情に近い、とても強い絆で結ばれていました。

本当に深いつながりだったので、二人が一緒にいるときは

奥さんたちでさえ割り込めませんでした」(井深大のご子息の話)

B「大学時代に、サム・ウォルトンは、後にウォルマートの

従業員に教えることになる行動規範を確立する。

キャンパスで人気者になるための驚くほど簡単な「秘訣」を発見した。

歩道をこちらに歩いてくる人に、相手より先に「ハロー」と言うのである。

彼はすぐにすべての寮の管理人の名前を覚え、すべての学生に

知られる人気者になった。

彼はウォルマートでこれを「10フィート(3メートル)・ルール」と名づけ、

顧客が半径10フィート以内に入ってきたら、必ずこちらから先に

声をかけるように従業員に教え込んだ」

(以上本文より。一部改変)

 

【著者略歴】

T.G.・バックホルツ
ケンブリッジ大学とハーバード・ロー・スクールに学ぶ。ハーバード大学で経済学を教え、その卓抜さでアリン・ヤング教育賞を受賞、ジョージ・H・W・ブッシュ政権下で経済政策委員などを歴任。現在、ABCニュース、投資ファンドなどのアドバイザリー・エコノミスト。

posted by miura at 18:43| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月26日

必読本 第834冊目 人生語録 長生き賢者100の訓え

必読本 第834冊目

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人生語録 長生き賢者100の訓え

牧野 拓司 (著)

¥ 1,470 (税込)

毎日新聞社

単行本: 240ページ

2008年10月10日 初版

 

●「この地上における我々は旅人のようなものだ」

(アルベルト・アインシュタイン)

あなたはどの言葉を人生の友としますか?

哲学者ルキウス・セネカ、ヘレン・ケラー、福沢諭吉から一休和尚まで。

傘寿の著者・牧野拓司氏が贈る、古今東西老賢者による百人百語の賢人語録。

●年末が押し迫ってきますと、

のんびりと読書する時間を確保するのがなかなか難しく、

書評もサラリとしたものになることをあらかじめご了承下さいませ。

今回は、 比較的長命を果たしつつも、

歴史的な業績を残した各界の著名人の金言、至言の数々を

一冊にまとめた名言集です。

●章は全10章に分かれ、計100人分の金言が収められております。

見開き2ページで、名言を巻頭に載せ、

その後に解説文をつけるというシンプルな構成になっている。

よって、非常に軽快感を持って読み進めていくことができます。

●世に名言集の類はゴマンとあるが、

各章タイトルが、

「1 長寿の悦びについて、2 心身の健康について、3 加齢と成熟について、

4 仕事と生きがいについて、5 余暇と趣味について、6 家庭の愛と絆について

7 友愛と奉仕について、8 孤独の現実について、9 死と安らぎについて、

10 永遠の光について」となっていることからわかるとおり、

ただ長生きしているだけではなく、

健康で自立していて、生きがいのある人生を送るためには、

どのような心構えで生きればよいかという観点で言葉が選ばれているというのが

本書の特色である。

どちらかといえば、若者よりも、中高年向きの本だと言える。

●最近、本来ならば、若者のお手本となるべき高齢者に、

犯罪やトラブルや交通事故が急増しているということが頻繁に報道されております。

常識や生きる知恵が欠落し、ちょっとしたことにも堪え性がなくなって、

世間で笑われてしまうような「暴走老人」とならないように、

是非とも目を通しておきたいような本です。

【マストポイント】

@「いつわりの絆を断ち切り、真実の自分であろうとする勇気をもち、

独立独歩の生活と他人との明るい関係をもって、他に奉仕し、

人間全体に何ものかを寄与しようという意志―それが人生の本質である」

(思想家 ラルフ・ウォルドー・エマソン 1803〜1882)

A「真・善・美、それが私の理想であって、

それは常に私の前途を照らし、生活の喜びで私を満たしてくれた。

安楽とか幸福とかを人生の目的にしようとは考えたこともない」

(物理学者 アルベルト・アインシュタイン 1879〜1955)

B「精神の健康を保つ一番いい方法は、働くことと愛することである」

(神経病理学者 ジークムント・フロイト 1856〜1939)

(以上本文より。一部改変) 

【著者略歴】

牧野 拓司
1928年、東京都生まれ。1951年、東京外国語大学フランス語科卒業後、米オレゴン大学新聞学部にフルブライト奨学生として留学。同年、読売新聞社に入社。ニューヨーク特派員、解説部長、社会部長、論説委員を経て、1977年、著作活動に入る。主なテーマを中高年、定年、老後問題とし、著書に『したたか夫婦学』(サンケイ出版)、『熟年語録』『これぞ50代からの生きがい』(共にマネジメント社)など、訳書に『退職の社会学』(ロバート・C・アチュリー著/東洋経済新報社)、『リタイアメント』(リーランド・P・ブラッドフォード、マーサ・I・ブラッドフォード著/碩文社)などがある。

ラベル:牧野拓司
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2008年12月22日

必読本 第831冊目 スティーブ・ジョブズの流儀

必読本 第831冊目

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スティーブ・ジョブズの流儀

リーアンダー ケイニー (著), 三木 俊哉 (翻訳)

¥ 1,890 (税込)

ランダムハウス講談社

ハードカバー: 336ページ

2008年10月22日 初版

 

●ビジネスとは、生きざまの証明。

世界を変えられると本気で信じる人間こそが本当に世界を変える。

愚直なまでにおのれの信念を貫く男の素顔を、

アップルコンピュータを12年以上にわたり追いつづけてきた著者が

圧倒的な取材力で描き出す。

●いわずと知れたアップルコンピュータ創始者にして、

現CEOである、スティーブ・ジョブズの人となりと、

アップルの成長を克明に記録した傑作ノンフィクション。

スティーブ・ジョブズ関連の本はそれなりに発刊されているようだが、

今まで全く手にしたことがなく、私自身初めて読むことになる。

●まず、この手のビジネス界の偉人を追った翻訳本というものは、

原文が難解なのか、翻訳者の技量が劣るのか定かではないが、

文章が非常に読みづらい代物が多く、

本の分厚さを見ただけで読む気が失せてしまうものだが、

本書は極めて読みやすい翻訳になっている。

これはきちんと評価しておきたい。

全320ページあるのだが、何ら痛痒を感じることなく、

スイスイ読み進めていくことができる。

写真や図解が全くないので、退屈しないだろうかと

心配したが、杞憂であった。

ほとんど専門用語など出てこず、

PC関連に疎い人にも極めて平易な内容となっている。

●この手の自伝ものには珍しく、

全8章ある各章末尾に、その部分のポイントをまとめた名言、教訓集が

ついているのだが、読者の利便性を考えてあえてつけてくれたのだと

思うが、何かまとめ方が雑で、不要な感じがした。

それよりは、本書で出てくる重要文、ジョブズの発言などを

自分なりにアンダーラインを引いたほうがいいでしょう。

親切さがアダになった稀なケース。

●しかし、存命のビジネス界の巨人の中で、

ジョブズほど、各種の伝説、エピソードが多く、

人間的に興味の尽きない経営者はいないだろう。

自分が創設した会社にもかかわらず、一時追い出されてしまい、

その後復帰し、瀕死の状態からアップルを大復活させる。

超変人で、大学中退して一時インドヨガなどスピリチュアルなものに

傾倒し、膵臓がんになったが奇跡的に生還する、

ペスクタリアン(魚だけは食べるベジタリアン)である、

超癇癪持ちで、エレベーターでたまたま一緒になった部下の仕事振りが気に入らず、

その場でクビにしてしまった(隠語で「スティーブする」という)、

病的なほどのディテールへのこだわり、

有能な人材の流出を食い止めるためにストップオプションの仕組みを確立する、

最高の頭脳集団ばかりを少数精鋭で集め、使えない凡才は大量に切り捨てる、などなど。

●ペプシコ社長ジョン・スカリーを

「残る一生をずっと砂糖水を売っていたいですか、

それとも世界を変えたいですか?」と言って口説き落とし、

アップル社に迎え入れた有名なエピソード、

ソニーのウォークマンを蹴散らし、21世紀最高の製品という呼び声も高い

i-Pod開発の舞台裏(市場調査、ユーザーアンケートを徹底的に無視する。

お客は自分がほしい商品を知らない。こちらが教えてあげる)など、

非常に濃密な内容に満ちた本です。

ビジネス界のカリスマの人間像を堪能できるのみならず、

「世界を変えるために働いているのだ」という

アップル社員の使命感の高さ、社内の緊張感の高さにも

とても感銘を受けるかと思います。

●i-Pod、i-Phone、Mac愛用者ならば、読んでいないとモグリでしょう。

自分が所持しているアップル製品に対する愛着が一層湧いてくるはずです

(知り合いに教えてあげれば喜ばれるウンチク話も多い)。

普段多忙で、なかなか読書する時間がないビジネスマンが、

年末年始のヒマな時間に「これ一冊」として読むのにも最適な本。

年明けに「俺も今年は仕事で一花咲かせてやるぜ!」と

やる気を鼓舞されること間違いありません。

【マストポイント】

@「彼(=スティーブ・ジョブズ)は

たいていの人間は無能だと考えるエリート主義者である。

だが、彼は、無能な者でも使いこなせるほど使いやすい製品をつくる」

A「スティーブは、早くからi-Podについて、

とことんフォーカスすること、欲張りすぎないことが重要だと考えていた。

欲張っていたら製品が複雑化して、いずれだめになっていたでしょう。

大事なのは余分なものを取り除くことだったからです」

「スティーブのやり方がほかのみんなとちがうのは、

最も重要な決定は何をするかではなく何をしないかを決めることだ、

と信じていた点だ」

(ジョブズの、完璧なデザイン、シンプルさの追求など、

製品のこだわりは偏執狂的ですらある。

ある時、スカリーが彼の自宅を訪問したら、好みの家具が見つからないという

理由で、ほとんど家具らしい家具が置かれていなかった。

買い物するときは信じらないぐらいに慎重で、

ひとつの商品を買うために何週間も時間をかけ、家族会議まで開く。

それでも自分の理想にあったものがなく、結局何も買わないで済ます。

ペンもパイロット社以外のものは使用しない)

B「いまのコンピュータは20年後には使いものにならないだろう。

でも『白雪姫』はこの世に出て60年の間に2800万部も売れた。

子どもにヘロドトスやホメロスを読んでやる親はもういないが、

映画は誰でも観る。映画は現代の神話だ。

ディズニーはその神話をわれわれの文化にしている。

願わくはピクサーもそうでありたい」

(2006年にディズニーに巨額買収されたピクサー社は、

元々ジョブズが作ったプライベートアニメーションスタジオだった。

ここから『トイ・ストーリー』などの傑作が生まれた)

【著者略歴】

リーアンダー・ケイニー Leander Kahney
Wired.comのニュースエディター、ブログ「Cult of Mac」のメイン執筆者。著書にThe Cult of Mac(邦訳『The Cult of Mac』エスアイビー・アクセス)、The Cult of iPodがある。記者兼編集者として12年以上にわたってアップルを取材している。サンフランシスコ在住。

訳者紹介
三木俊哉 みき・としや
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。会社勤務を経て、主に産業翻訳に従事。訳書に『強い会社は「周辺視野」が広い』(ランダムハウス講談社)、翻訳協力書に『ゲリラ・アドバタイジング』(東急エージェンシー)、『10倍売る人の文章術』(PHP研究所)がある。


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2008年11月02日

必読本 第801冊目 ローマの名言一日一言―古の英知に心を磨く (致知一日一言シリーズ 12)

必読本 第801冊目

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ローマの名言一日一言

―古の英知に心を磨く (致知一日一言シリーズ 12)

渡部 昇一(編さん)

¥ 1,200 (税込)

致知出版社

単行本: 235ページ

2008年9月29日 初版

 

●古代シナと古代ローマぐらい、名文句を多く残した文明はない。

本書では、諺、格言、金言となるようなローマの名文句の中から、

366の文句を厳選し、解説。

古代ローマ人の豊かな知恵が詰まった1冊。

●過去の偉人の金言名言を短時間で吸収できるという利便性、

手頃な価格、カバンに入れておいても簡単には古びない堅牢な装丁などで

好評な致知出版社の一日一言シリーズ最新刊。

万巻の書に通じている評論家の渡部昇一さんが

編纂を担当された、古代ローマの賢人たちの名言を

366日一日一話形式でまとめた本である

(一部、ギリシャの言葉や、中世以降の言葉もあり)。

●日本や中国の偉人の言葉は、

同じ漢字圏であることもあり、頻繁に目にする機会があるだろうが、

古代ローマ人の名言やユダヤ人の名言などを

一冊の本の中で効率的に学ぶ機会というものは

なかなかあるものではない。

たとえあったとしても、本自体が高額だったり、大部過ぎる本であることも少なくない。

そういう意味では非常におすすめの本。

●各日の名言の後に記された渡部さんの解説文の中に、

あまりにも戦争関連のエピソードが多く、

もうちょっと当り障りのないテーマで書けたのではないかという

疑問がなくはないが、

まあ不要な感じがあれば、読み飛ばせばよいだろう。

●このシリーズでは初めてといってもよい

西洋の知見を元にして完成した本。

ということは、次は、「聖書の名言 一日一言」あたりで

出してくる可能性もありますね。

【マストポイント】

@死に関する名言3つ

「汝は死するということを記憶せよ」

「何ものも死より確かなものはなく、死より不確かなものもなし」

「死を求める人は哀れである、しかし死を恐れる人はもっと哀れである」

A沈黙と発言に関する名言2つ

「自分の利益について論ぜられるとき、沈黙する人は同意するものと考えられる」

「居ない人が相続人になることはない」

(我が国では、「沈黙は金、雄弁は銀」、「口は災いの元」、「以心伝心」などと

言って、むやみに多弁を弄することを戒める傾向があるが、

肝心要の時には、NOならばNOと毅然として発言し、

自分の権利や意見をその場で自らハッキリと主張することが大事である。

腹に一物あっても、発言しない限り、「沈黙は同意のしるしである」とみなされる。

外国では特にその傾向が強い)

B「間違うは人の常、許すは神の常」

(この世に、完璧な人間はいない。

人間は必ず失敗、間違いを犯すもの。

そう思って何事にもぬかりなく対応せよ。

そして、人が何か失敗をしてしまっても、神様のように許してやることが

大事だというたとえ) 

 

【著者略歴】

渡部 昇一(ワタナベ ショウイチ)
昭和5年山形県生まれ。30年上智大学文学部大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学留学。Dr.phil.,Dr.phil.h.c.平成13年から上智大学名誉教授。幅広い評論活動を展開する。



ラベル:渡部昇一
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2008年10月19日

必読本 第793冊目 日本経済新聞「私の履歴書」名語録

必読本 第793冊目

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日本経済新聞「私の履歴書」名語録

石田 修大(著)

¥ 1,575 (税込)

三笠書房

単行本: 278ページ

2008年7月20日 初版


●仕事の極意、プロフェッショナル論、そして人生の流儀。

松下幸之助、本田宗一郎など経営者を中心に、

彼らの人生を方向付けた言葉を抜き出し、解説を加える。

●日本経済新聞の名物コラムである『私の履歴書』から、

特に著名な経営者・スポーツ選手・芸術家などを

33人集め、心に残る名言・金言の類を紹介する本。

私自身、熱心な日経の読者ではないことと、

数多くの経営者のありがたいお言葉を一冊の中で

学ぶことができるという便利さもあり、

図書館から借りて早速読んでみることにしました。

●自著の執筆に熱心だった松下幸之助、本田宗一郎、

安藤百福、野村克也、瀬戸内寂聴などの一部の著名人以外、

なかなかその苦労話や秘話を知る機会が多くない

経営者の話が読めるという意味で、やはり一読の価値のある本です。

こういう歴史に名を残した偉大な経営者というものは、

えてして、華やかな部分だけしか紹介されないことが多いものですが、

社内で陰湿ないじめに遭ったこと(リコー市村清)、

監督官庁との攻防に苦しんだこと(ヤマト運輸小倉昌男)、

目の前が真っ暗になるほどの大借金に悩まされたこと(作家佐藤愛子)、

人間扱いされないような過酷な仕打ちを、実父である

先代の社長から受けたこと(ヤナセ梁瀬次郎)など、

人には言うにいわれぬ過酷な体験をしている例が非常に多く、

とても驚かされます。

世でもてはやされる成功者というものは、

何の苦労も知らずその地位までスイスイと行き着いのではないかと、

内情を知らない我々部外者は勝手に思いがちですが、

とんでもない間違いであることが判明いたします。

●この本を読んでつくづく痛感したことは、

困難多き人生においては、いつでも己を支えてくれる、

(自分なりにアレンジした)座右の銘を持っておかなくてはならないこと、

人から笑われようが、一見実現困難に思えようが、

絶対に将来こういう会社にしたいという、

高らかな企業理念の言葉が必要だということ、の2点です。

いついかなる時も、自分の志を一言で示すことができる

人間というものはやはり強い、ちょっとやそっとでは挫折しない

(換言すれば、そういう言葉を持たない人は逆境時に滅法弱い)、

ということを思い知らされます。

●名前は聞いたことがあるが、

お顔を一度も拝見したことがない方が数名おり、

そういう意味では写真が皆無だったのは非常に残念だった。

また、読みやすさを優先したため、

文章量が比較的に少なく、ややボリュームに欠ける面がある。

1,890円(税込み)ぐらいの価格にしてもよかったから、

もうちょっと内容を充実させてもよかったかと思う。

しかし、何か将来に大志を持ちつつも、

日々の些事に何かと一喜一憂しがちな若者の方が読めば、

勇気百倍になれる本です。


【マストポイント】

@「お客様は来て下さらないもの、

お取引先は売って下さらないもの、

銀行は貸して下さらないもの」

「『冥利』(神仏が知らず知らずのうちに与える利益)

という言葉が、私は好きだ。

利益は与えられるものであり、それが商人の道、人の道に通じる。

(人や物への感謝を知らない、己の力を過信する、

人間には寿命があるなどの)

恐れを知らぬ人は、本当に恐ろしい」(イトーヨーカ堂伊藤雅俊)

A「私の関係している会社はどこにも組合というものがない。

私が徹頭徹尾三愛主義(人を愛し、国を愛し、勤めを愛する)で

貫いているからで、それも口先だけではなくほんとうに

そう思っていることを社員たちが理解しているからであろう。

いつも彼らが勤めをたのしいおもしろいこととして愛するようにと

導いているつもりだ。

そして働くことになんの心配もつきまとわない、

世界のどこにも類例のない独特の『市村産業団』というものを

作り上げてゆきたいと念願しているのである」(リコー市村清)

B「人にほめられて有頂天になり、

人にくさされて憂うつになるなんておよそナンセンス。

なぜなら、そんなことぐらいで

自分自身の値打ちが急に変わるものではない」

(中学生時代、周囲の人たちに変な噂を流されて悩んだ時に、

一人翻然と悟った言葉。

ちょっと有名になれば、根も葉もない非難や中傷を流すのが

人の世の常。それをいちいち気にしていたら、大きな仕事はできない。

アメリカの大富豪であるロックフェラー家が何世代も順調に

続いてこれたのは、「代々の資質として、鈍感さを持っていたから」だともある。

「マスコミの盛んな非難に対する防御のために、自然と、鈍感にならざるをえなかった」)

「最もよく人を幸せにする人が最もよく幸せになれる」

―これが七十余年に及ぶ人生を振り返って得た結論であり、

同時に私の信条信念でもある」(オムロン立石一真)

 

【著者略歴】

石田 修大
1943年東京生まれ。67年早稲田大学新聞学科卒、日本経済新聞社入社。校閲部、社会部を経て、文化部。ウイークエンド日経編集長、文化部長のあと94年から論説委員。一面コラム「春秋」を5年間担当し、99年7月退社。日本ペンクラブ、放送批評懇談会会員。

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