2008年09月30日

必読本 第782冊目 あるヨギの自叙伝

必読本 第782冊目

yogi1.jpg

あるヨギの自叙伝

パラマハンサ・ヨガナンダ(著)

¥ 4,410 (税込)

森北出版

ハードカバー: 604ページ

1983年9月10日 初版

 

●ヨガを行ずる者をヨギという。

本書は,ヨガの聖者,パラマハンサ・ヨガナンダ師が,

波瀾に富んだ自己の生涯,インドの偉大なヨガの聖者たち,

ヨガの数々の奇跡を近代科学の言葉で記述した興味つきぬ自伝。

読者諸氏は,師の魅力的な人物,生涯,

そしてヨガが有する霊的世界に,必ずや引きこまれるであろう。

●先日ご紹介した船井幸雄先生の不思議な本(必読本第767冊目参照)の中で、

船井さんは、『ヒマラヤ聖者の生活探求』(霞ヶ関書房)という本を、

終生の愛読書というぐらいに繰り返し読み返し、

この本さえ読めば、他の本は不要だというぐらいに

重要な本だとまで断言されていた。

船井さんが言うぐらいだから、ただならぬ本だということは

間違いなさそうだが、全5冊シリーズの大作で、

地元の主だった書店には置かれておらず、私自身、どうしたらいいものかと困っていた。

そんな時、アマゾンで調べてみると、

その本と同じ路線の内容で大変評判が高かったのが、本書である。

●内容は、インドヨガの聖者の一人として名高い著者が

若き日々にどのようにして神を求める道に入っていったのか、

そして後述するユクテスワなどの偉大なる師たちの下でどのように修行し、

後年、母国インドを離れ、異国のアメリカでヨガ教義を広めていったのかを、

詳細に記した壮大な自叙伝である。

●全520ページ(現行版は604ページとなっている。

私が手に取った版は全524ページで、

加筆補正などが現行版ではあるかもしれない)で、

ちょっとした図鑑か辞書かというぐらいの重厚な外観。

のみならず、本文も、文庫本のような細かな文字の文章が

2段組みになってギッシリと収められている。

相当の心の準備と、時間的余裕がなければ、読破することは難しい。

私自身も、読み始めてから読了するまで、優に1週間は要しました。

●まず読了して驚かされるのが、

これほどまでに分厚い本にもかかわらず、

誤字脱字の類が全くと言ってよいほど見当たらないことである。

推敲に推敲を重ね、発刊までに何度もチェックしたのだろうか、

まさにヨガナンダの恩寵的な力が働いているのか、

そのことに非常に驚かされる。

翻訳は、「SRF日本会員」だとしか記されておらず、

誰が翻訳をしたのかが明記されていないが、

文章も実にこなれた名翻訳である。

●他の特徴としては、

何千年もヒマラヤ奥地で生き続けるという伝説の神人バジジ、

その直弟子ラヒリ・マハサヤ、ラヒリの直弟子で、

著者の終生の師匠となるスワミ・スリ・ユクテスワなどの

驚異的なエピソードに度肝を抜かされることである。

いわゆる、瞬間移動、不死現象、輪廻転生、奇跡的治癒、

空中浮遊、数十年にもわたる断食や不眠、予知夢、

虎などの猛獣との格闘、異星人、物質化現象など、

現代科学では説明不可能な不思議現象の類が

これでもかというぐらいに紹介されているのである。

この手の超常現象をいまだに疑っている、一切相手にしないという

現実主義的な人は、今までの固定観念、常識が覆されるほどの

衝撃を間違いなく受ける。

他にも、ガンジー、タゴール、ルーサー・バーバンクなど、

歴史に残る偉人との交遊録も詳細に記されていて実に興味深い。

●著者の生きた時代は、

1893年から1952年までと比較的古い時代だが、

登場人物などの写真が豊富に収録されているのも驚きの一つである。

本書の信憑性を高めることに貢献している。

巻末には、マハサマディ(ヨギの肉体離脱。一般に言うところの

「死」と同義だが、高度な境地に達したヨギは、自分から

このことを行うことができるという)直前の著者の微笑写真と、

死後その肉体が不朽現象を保った話が紹介されている。

また、書き損ねるところだったが、

著者は神の高みまで達した偉大なる聖者にもかかわらず、

我々俗人と同じように、悩み、不安感を持ち、

悲しい時には涙を流すという人間臭い面を頻繁に見せる。

このことは、多くの読者に、

「ヨガの大聖者」のイメージとはかけ離れた親近感を抱かせるはずである。

●毎日毎日、地道に読書生活を送っていると、

たまに、今回のような、まさに神の恩寵のごとき不可思議な本と出合う。

値段も少々張る。読み尽くすのも大変である。

しかし、表カバーのヨガナンダ氏の、

すべてお見通しだと言わんばかりの鋭く透明な目を見ていると、

やはり、一度は手にしなければならないなと思わせる本である。

●生きる意味を見失いかけそうになる時、信仰や宗教や精神世界の問題に迷った時、

多忙で、拝金主義的、唯物的な現世の生活に疲れ切った時、

ヨガを単なる健康法、美容法の一つぐらいの軽いレベルでしか

捉えていなかった方などにおススメです。

霧が晴れたように今までの迷妄状態から脱し、

何か体のど真ん中に強固な一本の芯が通るかのような

ある種の悟りの境地になれる本です。

ヒマラヤ奥地で2年半ヨガの聖者の下で修行し大悟した中村天風、

インドヨガに大きく影響を受けたというビートルズ、

サイババなどに興味ある方にも推薦できます。

【マストポイント】

@「水の中に居られるからといって蛙とどこが違うのか。

空を飛ぶことならカラスやハゲタカもやすやすとやっているではないか

(水中生活や空中浮遊を誇示するエセ超能力者を批判している)。

また、悪魔は東洋と西洋に同時に出没している。

まことの人間とは、人と交わって常に正しさを失わず、

日常の俗事を果たしながらたえず神を忘れない人をいうのである」

「自分の頭の中のもの(利己的欲望や野心)はわきへ捨て、

手の中のものは惜しみなく人に与え、

いかなる困難にも屈しない忍耐力だけを堅持しなければならない」

(本文より。ペルシャの神秘家の言葉)

A「わたしはいつもお前たちのクタスタ(霊的視野)の中に居るのに、

どうしてわたしの肉や骨を見に来たがるのだ」

(著者の師の師ラヒリ・マハサヤの言葉。

彼に直接会いたがる弟子や、死んでこの世に存在しなくなることを

嘆いた人々に残したメッセージ)

B「○各人が神を直接体験するための明確な科学的技法を、

世界じゅうの人々に広めること。

○人生の目的は自らの努力によって無常な人間的意識から

神の意識に進化することであることを教え、

これを普及するために、瞑想の聖所を、世界の各地に、

各家庭に、各人の心の中に打ち立てること。

○イエス・キリスト自身の教えと、

バガヴァン・クリシュナの教えたヨガとの根本的な一致を明らかにし、

かつ、その根本原理が、あらゆる真の宗教に共通した

科学的真理であることを示すこと。

○毎日科学的方法によって神を瞑想することこそ、

あらゆる真の信仰が最後にたどるべき神への本道であることを

教えること。

○人間を、肉体の病気と、心の不調和と、魂の無知の三重苦から

救い出して、自由の中に解放すること。

○簡素な生活と高邁な思想を奨励し、特に、万人がみな

神性を宿した兄弟であることを教えて、同胞愛の精神を広めること。

○心は肉体にまさり、魂は心にまさることを、人々に悟らせること。

○善を持って悪を、喜びをもって悲しみを、

親切をもって残酷を、英知をもって無知を、克服すること。

○科学も宗教も、同じ原理の上に立つ一つの体系に属することを

知らせること。

○東洋と西洋がそれぞれ育んできた文化的および霊的知識の

相互理解と交流をはかること。

○人類全体を大いなる自己と観て、それに奉仕すること。」

(著者が創始したSRF(セルフ・リアリゼーション・フェローシップ)

の目的と理想)

【著者略歴】

パラマハンサ・ヨガナンダ(1893-1952)

1893年1月5日インド生まれ。米国に渡り一生をヨガの伝導に賭けた。その著書『あるヨギの自叙伝』は、エルヴィス・プレスリー、ジョージ・ハリソン、アップルコンピュータ創業者ティーヴン・ジョブズたちの座右の書となり、世界中の霊性探求者たちに影響を与えた。1952年、マハサマディの瞑想に入り自ら命を絶ったが、その肉体は死の20日後も腐敗しなかったという証言がある。

posted by miura at 17:58| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月21日

必読本 第754冊目 最後の授業 ぼくの命があるうちに

必読本 第754冊目

6214d0920ea015480de4b110_L.jpg

最後の授業 ぼくの命があるうちに

ランディ パウシュ(著), ジェフリー ザスロー(著), 矢羽野 薫(翻訳)

¥ 1,575 (税込)

ランダムハウス講談社

ハードカバー: 256ページ

2008年6月18日 初版

 

●今日の次には明日が来て、その先にも新しい日が待っている。

そうやって、当たり前のように人生はつづいていく。

しかし、これから先もずっとつづくと思っていたその人生に

「終わりの時」があると知ったとき、あなたは何を考えるでしょうか?

ランディ・パウシュの最後の講義に耳を傾けながら、心の中で問いかけてください。

あなたにとって、大切な人はだれですか?

その人に今いちばん伝えたいのはどんなメッセージですか。

●現在、アマゾンその他でも大きな話題になっているベストセラー。

個人的には、『東京タワー』や『最後の花嫁』など、

ガン、交通事故などの不可抗力の悲劇の末に、

愛する人と涙涙の別れを遂げるという類の映画や小説は、

あまりにも不憫でしょうがなくて、最後まで見ていることができず、

できるだけ近寄らないようにしている

(本にしろ、映画にしろ、「感動」系のものは好きだが、

「死別」系のものは、あまりにも衝撃が強すぎて、

私の場合、プラス面よりマイナス面の方が多い)のだが、

運良く図書館で借りることができましたので、

本日一通り読んでみました。

●私が手にしたのは、書籍のみの通常版である。

実際に著者が講義した模様を収めたDVD付き版も同時発売され、

当然値段は高くなる(定価2,310円)が、そちらの方が評判が良いようなので、

懐に余裕のある方はDVD付きの方をお求めになられた方がいいでしょう。

●著者は、アメリカを代表する、コンピュータサイエンスの大学教授。

美しい妻と3人の幼子を持つ46歳という脂の乗り切っている時期に、

突如、膵臓ガンにかかり、一段落ついたと思ったら、

肝臓に転移していることが判明。

余命数ヶ月という過酷な診断が下る。

本書は、死がひたひたと差し迫る2007年9月18日に、

勤務する大学で行った「最後の講義」の模様を収録する。

●本文は全6章に分けられるのだが、

生まれてきてから今の地位を築くまでの半生、

著者に影響を与えてきた父母や兄弟、家族、恩師、同僚、友人、教え子

とのエピソード(両親や恩師など、著者は人の縁に非常に恵まれている)、

若い人々へのメッセージ

(特に、第4章と第5章は、リチャード・カールソンの、

『小さいことにくよくよするな!』をほうふつとさせる)と、

「最後の講義」という言葉に違わぬ、

過不足のない充実したメッセージが、ユーモラスかつ

忌憚のない口調で語られている。

家族への別れの言葉を述べた最終第6章は、

家族写真が数多く収められていることもあり、

涙なくして読めない。

●「余命何ヶ月の末期癌です」と宣告されれば、

誰だって、死刑判決を受けたかのような

絶望感、虚無感を感じるだろう。

ましてや、何百人もの目の前で講演会をやれと言われても、

できるはずがない。

しかし、著者の、こんなにも明るく、エネルギッシュな姿勢というのは

一体どこから出てくるのだろうか(講演序盤で腕立て伏せまでしている!)。

本文に収められている、著者のハンサムで、健康そうな笑顔を見ると、

本当にこの人は末期の癌患者なのか?、

実は誤診で、永遠に生き続けるのではないかというような

錯覚さえ覚えさせる。

●無重力体験をする、ディズニーで働く、『スター・トレック』のカーク船長になる、

百科事典を執筆するなど、

子供の頃に抱いた夢をことごとく達成した話や、

のみならず、自分の教え子が『スター・ウォーズ』のスタッフになるという

その当時無謀だった夢を達成した話、

本来不合格だったにもかかわらず、

手書きの丁寧な礼状をしたためたことによって、著者の目に留まり、

夢を達成した女子学生の話など、

いかにもアメリカらしい、ネバーギブアップ精神あふれる

ハッピーエンドな感動話が

数多く紹介されているのも見逃せない。

●ディズニーランドの話が出てくるという意味で、

ディズニーファンの方、

人に言うにいわれぬ闘病体験をされている方、

感動的なノンフィクションで、心を洗いたい方などに

お薦めの本です。

人生の有限性、家族との愛情、絆など、

非常に多くの示唆に富む、珠玉の名著です。

もしかしたら、ハリウッドで映画化もあるかもしれません。

【マストポイント】

@「夢をかなえる道のりに

障害が立ちはだかったとき、

僕はいつも自分にこう言い聞かせてきた。

レンガの壁がそこにあるのには、理由がある。

僕たちの行く手を阻むためにあるのではない。

その壁の向こうにある「何か」を

自分がどれほど真剣に望んでいるか、

証明するチャンスを与えているのだ」

「どうしてもほしいものがあるときは、

決してあきらめてはいけない。

助けてくれる人がいるなら、力を借りればいい。

壁がそこにあるのは、理由があるからだ。

そして、壁を乗り越えたあとは―

たとえだれかに投げ上げてもらったのだとしても―

自分の経験を話せば、きっとだれかの役に立つ」

A「「明日のスキャンの結果が悪かったとしても、

生きていることはすばらしくて、今日ここにきみと

一緒に生きていることはすばらしいという気持ちを、

きみにも知っていてもらいたい。

どんな結果を知らされても、その瞬間に僕が死ぬわけじゃない。

翌日も死なないし、その次の日も、その次の日も、

まだ死なないだろう。

だから今日は、いまこのときは、とてもすばらしいね。

僕がどんなに楽しんでいるか、わかってほしいんだ」

僕はあのときのジェイの笑顔を思いだした。

そして、わかったのだ。僕の残りの人生は、

そういうふうに生きていくべきだと」

B「多くの癌患者は、

病気のおかげで人生を新しく、より深く理解できるようになったと言う。

病気に感謝していると言う人さえいる。

僕は自分の癌にそこまで感謝していないが、

死ぬときをあらかじめ知ることができたことには

本当に感謝している。

家族の将来のために準備ができたし、

カーネギーメロン大学で最後の講義もできた。

ある意味で、癌になったから「自力でフィールドを去る」ことができる。

子供のころの夢のリストは、多くの役割を果たしつづけてきた。

リストがなければ、感謝を伝えるべきすべての人に

感謝することもできなかった。

あのささやかなリストのおかげで、

僕にとって本当に大切な人たちに別れを告げることができた。」

(以上本文より)

 

【著者略歴】

ランディ・パウシュ Randy Pausch
カーネギーメロン大学教授(コンピュータサイエンス、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション、デザイン)。1988~1997年はバージニア大学で教鞭をとる。教師としても研究者としても評価が高く、アドビ、グーグル、エレクトロニック・アーツ、ウォルト・ディズニー・イマジニアリングで働いた経験ももつ。ストーリーテリングやゲームを通じて初心者がプログラミングを簡単に学べる革新的な3Dグラフィクス作成環境「Alice(アリス)」の生みの親の1人。カーネギーメロン大学のドン・マリネリ教授とともにエンターテインメント・テクノロジー・センター(ETC)を設立。

ジェフリー・ザスロー Jeffrey Zaslow
ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニスト。パウシュの最後の授業を聴いて記事を書き、その感動を世界中に広める大きなきっかけをつくった。

矢羽野薫 Kaoru Yahano
千葉県生まれ。会社勤務を経て翻訳者に。訳書に『驚異の古代オリンピック』(河出書房新社)、『運のいい人、悪い人』(角川書店)、『マイクロソフトでは出会えなかった天職』(ランダムハウス講談社)など。

posted by miura at 16:55| 山形 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月15日

必読本 第751冊目 四書五経一日一言―志を高め運命を高める

必読本 第751冊目

sisyo1.jpg

四書五経一日一言―志を高め運命を高める

渡部 昇一(編さん)

¥ 1,200 (税込)

致知出版社

単行本: 234ページ

2008年3月17日 初版

 

●偉大なる思想にはその思想家を生んだ民族や

国境や時代を超えた普遍性がある。

孔子を中心として作られた古代の書物である

「四書五経」の中から366の名文句を紹介。

●致知出版社の著作物の中でも、

実用性の良さで、突出した人気を誇る『一日一言』シリーズ。

なかなかまとまった読書の時間を取れない

多忙なビジネスマンには、

膨大な著作の中から、特に有用な部分を

効率的に吸収できる利点があり、

非常に好評のようです。

森信三、坂村真民、佐藤一斎、安岡正篤など、

豪華なラインナップも人気の理由のひとつでしょう。

●本書は、孔子とその門弟たちが

実質的に編纂を担当したという、

中国古典の基本中の基本『四書五経』の中から、

とりわけ心に刻み付けておきたい名言金言を

一日一話形式で掲載していく内容。

先般の北京オリンピック開会式でも、

孔子の言葉が冒頭で紹介されたように、

現代中国においても、孔子の存在というものは、

中国人の精神的支柱として、いまだに圧倒的な影響力を与えているようである

(公共物を大事にしない、平気で道端でタンを吐く、

お釣りのお金を投げて寄越す、声がでかく、喧嘩っ早いなど、

儒教の発祥地とはとても言いがたいような無礼千万な中国人が

現実的に少なくないことが、何とも矛盾したことにも思えるのだが)。

●ちなみに、『四書五経』とは、儒教の経書の中で、

特に重要といわれている四書(論語、大学、中庸、孟子)と

五経(易経、書経、詩経、礼記、春秋)のことを言う。

このシリーズでは、

わざわざ『論語一日一言』が出されていることからもわかるように、

この膨大な書籍群の中から、

必ず掲載しておきたい名言を366個分だけ厳選するのは、

非常に困難を極める作業だったことに違いない。

冒頭解説でも、渡部氏が大ざっぱに選んだ1000個あまりの

名言を、致知出版社社長の藤尾氏他と協議の上、

更に削りに削って366個まで絞り込んだ秘話が

紹介されている(ちなみに、「致知」出版社の社名は、

1月18日分掲載の、

『大学』中の「格物致知」に由来しているのだろうか)。

●編著書は、

成功哲学の研究、翻訳などで名高い渡部昇一さん。

以前、このシリーズの中には、全く使い物にならない

作り込みで、失望感を味わった二宮尊徳の本(必読本第436冊目参照)が

ありましたが、その本などと比べ、

訳出もこなれているし、解説もコンパクトで理解しやすく、

とても使い勝手のよい本として仕上がった。

中国古典好きならば、必携の一冊と言えそうです。

【マストポイント】

@「一日之れを暴(あたた)め、

十日之れを寒(ひや)さば、未だ能く生ずる者あらず」(孟子)

(一日温めても、すぐに十日も冷やしてしまったら、

どんなものでも生長できない。

同様なことは勉強についても言えるだろう。

いくら一日猛勉強しても、そのあとで十日も休んでしまっては、

身につくものも身につかない。

あることをやって、すぐに反対のことをやっていたらなんにもならない

ということである)

A「子の燕居するや、申申如たり、夭夭如たり」(論語)

(「申申如たり」とは、伸び伸びして楽しげだということ。

「夭夭如たり」とは、

微笑みをたたえて美しい桃の花のようだという意味。

一人でいるときも、孔子はこのような姿であったという。

渡部さんが『論語』の中でも特に好きな言葉で、

一時期、この字句を壁にかけていたという)

B「愛して而(しか)も其の悪を知り、憎んで而も其の善を知る」(礼記)

(愛している人が悪いことをしているならば、それは

悪であると認めなければならない。

憎んでいる人が善いことをしているならば、それは善であると

認めなければならない。

好きと嫌いとかの自分の感情は感情としておさめて、

相手の善悪をしっかりと冷静に判断しなくてはいけないと

言っているわけである)

(以上本文より) 

 

【著者略歴】

渡部昇一

昭和5年山形県生まれ。上智大学文学部大学院修士課程修了。上智大学名誉教授。著書に「ヒルティに学ぶ心術」「時流を読む眼力」「修養こそ人生をひらく」など。



ラベル:四書五経 孔子
posted by miura at 17:09| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月18日

必読本 第701冊目 戦場の名言―指揮官たちの決断

必読本 第701冊目

51G70465FDL__SS500_.jpg

戦場の名言―指揮官たちの決断

田中 恒夫(著), 熊代 将起(著), 葛原 和三(著), 藤井 久(著)

¥ 1,470 (税込)

草思社

単行本: 254ページ

2006年6月27日 初版


●国家存亡の危機に直面し、最後の関頭に立ったとき、

指揮官たちはいかなる言葉を発して、

将兵の指揮を高め、任務達成に邁進させたのか。

ネルソン、東郷平八郎、ロンメルなど、

近代戦を指揮した軍人91人の言葉を収載。

●先日ご紹介したクラウゼヴィッツの『戦争論』(必読本第698冊目参照)と

同時に図書館から借りた本。

私自身、徹底した戦争嫌い、軍人嫌いゆえ、

本来ならば、この手の軍事研究モノの本は

当時の写真を見ただけで吐き気を催すほど

絶対に近寄らないのだが、

頼るべきものがない絶体絶命の状況下で、

リーダーはいかなる決断を下し、集団を率いてきたのか、

生きるか死ぬかの瀬戸際で、生身の人間はどのような言葉を

吐くものなのかを知りたいという希望がありましたので、

例外的に読んでみることにしました。

●掲載されている軍人の言葉は、合計で91人。

山本五十六、秋山真之、東郷平八郎、石原莞爾など

日本を代表する名軍人から、

シュワルツコフ、パットン、マッカーサー、ナポレオンなど

西洋の名将まで幅広く選ばれている。

●巻頭に名言を載せ、

そのあとに2〜3ページほどの解説文をつけるという

構成になっている。

よって、一般の名言集のように、スイスイ読み進んでいくことができる。

●日本人ならば、顔写真を見ただけで

本能的に嫌悪感を抱いてしまう

東条英機などのA級戦犯の言葉も数多く

採用されているし、

玉砕だ、切腹だ、処刑だと、

読んでいても気持ちが暗くなるような言葉やエピソードばかり

出てくる。

血生臭いことが嫌いな私のような平和主義者は、

パラパラめくって、心を打つ名言だけを

拾い読みするぐらいの関わり方でよいでしょう。


【マストポイント】

@やって見せ、言って聞かせて、させて見せ、

褒めてやらねば人は動かじ(山本五十六)

A断じて戦うところ死中おのずから活あると信ず(栗林忠道)

Bたとえ軍備に制限は加えられても、

訓練に制限はないのでしょ(東郷平八郎。

軍備で外国列強と差が生じ、劣勢に立たされた時、

一週間を、休みなしの「月月火水木金金」と、

徹底的な訓練主義を掲げ、帝国海軍を鍛え上げた)


【著者略歴】

田中 恒夫
1949年生まれ。防衛大学校卒業。元防衛大学校助教授。元2等陸佐。

葛原 和三
1950年生まれ。陸上自衛隊幹部学校指揮幕僚課程修了。陸上自衛隊幹部学校教官。1
等陸佐。

熊代 将起
1956年生まれ。防衛大学校卒業。陸上自衛隊幹部候補生学校教官。2等陸佐。

藤井 久
1950年生まれ。中央大学法学部卒業。FEP代表。戦史研究家。

posted by miura at 18:03| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月12日

必読本 第697冊目 3月30日

必読本 第697冊目

jyunia1.jpg

3月30日

千原 ジュニア(著)

¥ 1,470 (税込)

講談社

単行本: 176ページ

2008年3月30日 初版 

 

●もしも戻れるなら、もう一度あの世界に戻りたいと想った。

もしも戻れるなら、あの人たちと同じ世界に帰りたいと想った。

挫折、失恋、そして2度目の“死の危機”の先に見たものは?

千原ジュニアが描く、自伝的小説。

●大絶賛された自伝小説(必読本 第486冊目参照)に続く第2弾。

前作は、登校拒否し、自宅での引きこもり生活、

その後、兄に誘われて芸人の道へ進むまでを

鮮やかに描いた傑作青春小説だったが、

本作は、その後の15歳から26歳までの

芸人になってからの出来事を描く。

●内容的には、全く売れずに鬱屈としていたお笑い修行時代、

紆余曲折後、大阪で人気芸人となるも、東京進出には失敗、

2人の恋人との出会いと別れ、急性肝炎で死にかけたこと、

そして、バイク事故を起こし、漫才師として再起不能と言われた

顔面の大怪我から奇跡的に復帰するなどの出来事が

時系列的につづられている。

ちなみにタイトルは著者の誕生日で、

なおかつこの4日前の3月26日にバイク事故を起こす。

本書の出版もそれに合わせる形で、2008年3月30日初版となった。

●文章は、前作と同じく、

シャベリ口調丸出し、思いつくままに殴り書きしたような

荒削りの文体。

ほとんど編集者も手直しをしていないのだろう。

しかし、「こんな下手くそな文章でもいいならば書きますけど」的な、

ある種の開き直り感、ケレンミのなさが、とても好感を与えている。

読み始めたら疾走感を持って最後まで一気に読破できます。

『ホームレス中学生』(必読本 第563冊目参照)もそうだったが、

お笑い芸人の小説がヒットするには、

文章的な技巧は全く不要で、ストレートな心情の吐露の方が

何十倍も大切であるという好例である。

●登場人物がすべて匿名のため、

断定はできないが、

ダウンタウン松本、FUJIWARA原西、板尾創路、

今田耕司、山崎邦正、世界のナベアツと思しき芸人が数多く登場する。

「この人物はもしかしてあの芸人のことか?」と

探りながら読むのも、一つの楽しみとなる。

瀕死の重傷を負ってから、毎日のように多くの芸人仲間が

見舞いに訪れ、芸人らしい独特のスタイルで

著者を励まし続けたという友情話には特にホロリとさせられます。

●お笑い芸人の真実の姿、プライベートの苦労が

数多く紹介されているのも特筆すべき点だろう。

熱狂的なファンに自宅を特定され、

郵便物、ゴミ袋まで盗まれる、変な女に付きまとわれる、

繁華街を歩けば、酔っ払いに因縁をつけられる、

走行中、愛車にジュースをぶっ掛けられるなど、

トラブルは数知れず。

引きこもり中の著者だったら、文句なくキレて、

相手を追い掛け回し、ボコボコにしているところだが、

芸人になってからは、「キレたら負けや」という

先輩大物芸人の一言を境に、自制心を得て、

おとなしくなる。

●本書を読破後は、

現在テレビで人気者になっているお笑い芸人に対する見方が

確実に変わると思う。

一握りの売れっ子になるための裏側の努力と苦労は

並大抵のものではないことを知ることができるからです。

仕事のためなら好きな女とも縁を切り、

無数のライバルたちの実力、動向には常に目を光らせ、

劇場関係者、構成作家などに

ボロクソにけなされながらも身を削るようにネタ作りに励み、

先輩後輩の上下関係にも絶妙に気を配り、

低迷期には孤独と不安と貧困に耐え、

売れるようになってからも、

グルーピー、ヤクザなど、一般人とのトラブルにも注意を払い、

会社やテレビ局の方針に振り回されて、

意に添わない仕事もやらなくてはならない。

空前のお笑いブームもあり、芸人志望の若者は

引きもきらないようだが、本書を読めば、

著者のような並々ならぬ努力と腹のくくり方がなければ、

とても芸人として成功することなどできないことを

身に沁みて痛感するはずです。

●昨晩テレビを見ていたら、

日テレ系の『ザ・世界仰天ニュース』で、千原兄弟が偶然出演していた。

その日のテーマは形成外科手術で、

関連性が深いため、著者も出演していたようで、

本書でも描かれている事故直後の本人映像や

復帰後の姿が紹介されていた。

あのビートたけしさんの事故もそうだったが、

顔面の怪我の怖さを知るとともに、

日本の形成外科医のレベルのすごさも思い知らされた。

●私も道路左側に停車中の車の運転席ドアぎりぎりを

自転車で通行中、いきなりドアを開けられて

激しく吹っ飛ばされ、左腕に裂傷を負った経験があるので

よくわかるのだが、

バイクでも自転車でも、停車中の車の脇を通過する時には、

急発進するのか、ドアを開けるのか、

運転者がどのような動きをするか全く予知できないので、

徐行して通り抜けるなど、十分気をつけたいものである。

老婆心ながら注意を喚起しておきたいと思います。

※今回の【マストポイント】は小説なので割愛します。

 

【著者略歴】

千原ジュニア

1974年、京都府生まれ。本名・千原浩史。1989年、兄の靖史とお笑いコンビ“千原兄弟”を結成。千原兄弟の恒例ライブ「チハラトーク」は70回を超える。2003年には初の単独ライブ「囚(トラ)」を行い、好評を博す。役者としても才能を発揮し、主な出演映画として、「ポルノスター」「ナイン・ソウルズ」等多数。また千原浩史名義で、ネタ本『答え』や詩集『少年』などの著書もある。現在、「やりすぎコージー」などにレギュラー出演中。


posted by miura at 17:31| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月14日

必読本 第626冊目 アランの幸福論

必読本 第626冊目

alan1.jpg

アランの幸福論

アラン(著), 齋藤 慎子(翻訳)

¥ 1,785 (税込)

ディスカヴァー・トゥエンティワン

単行本: 232ページ

2007年12月15日 初版



●フランスの哲学者アランが

幸福について記した93編の論説をまとめた「幸福論」から、

心に響く200の名言を訳出し、

「不安と感情について」「自分自身について」

「人生について」など7章に分けて再構成したもの。

●以前ご紹介した『菜根譚』(
必読本第577冊目参照)と

同日に発売された、フランスの哲学者、著述家として名高い、

アランの名言集である。

内容的には、この出版社のドル箱である、

1ページに一つの言葉を載せるという、

万人向けのお手軽な名言集である。

●『アランの幸福論』の本体自体は、

岩波文庫など、白水社など、

色々な出版社から出ておりますが、

いかんせん相当古い時代の本なので、

エッセイと言いましても、ちょっと意味不明な

記述も多く、現代人には敷居が高いかと思う。

そういう意味においては、

本書のような名言集は、イイとこ取りというか、

重要ポイントだけをダイレクトに吸収できるという意味において、

使い勝手は非常にいいでしょう。

ただ、やはり、価格がやや高めだというそしりは免れない。

ソフトカバーでもいいから、

1,260円(税込み)ぐらいにしてほしかったところ。

●ただ、「世界3大幸福論」と言われるだけのことはあり、

終章の「幸せについて」の中には、

心にグサっと来るような名言ばかりが紹介されていて、

非常に感動させられます。

「悲しくなるような考えは、すべて間違った考えである」、

「幸せであることは、他人に対する義務でもある」、

「自分がそう望むなら、黒猫さえ良い前兆である」、

「悲観主義は感情からくるもの、楽観主義は意志からくるもの」など、

次から次へと珠玉の名言ばかりが連続して出てくる。

立ち読みでもいいから、この章だけでも

精読してほしい。


【マストポイント】

@人を害するのはいつも想像上のもの。

なぜなら、つかみどころがまったくないからである。

推測に対してなにができるだろうか。

思うに、不安とは無意味な動揺にほかならない。

それは、考えるほど必ず大きくなる。

人は死について考え出した途端に、死ぬのが怖くなるもの。

単なる可能性を考えているうちに訳がわからなくなり、

すべてが怖くなるのだ。

A喧嘩腰で、まるで戦いにでも行くようにして近づいてくる

気の小さい人も、こちらが親切な行為を示せば、

すぐに安心する。

つまり、雲のようにどちらからともなくお互いに近づく人間が

ふたりいれば、どちらか一方がまずほほえむ必要があるという

ことだ。

まず自分がほほえまなくて、だれがほほえむのか。

自分からほほえまないようなら、あなたはただの愚か者である。

B人と人とのかかわりにおいて、

お互いがお互いから期待できる、

ただひとつの手助け―それは、

相手の存在を認めて、その人が本当にその人自身である

ことだけを求めることである。

人をありのままに受け入れることはたいしたことではない。

結局、どうしてもそうしないわけにはいかなくなる。

むしろ、相手にありのままでいて欲しいと祈ること、

これこそ正真正銘の愛なのである。

(以上、本文より抜粋)


【著者略歴】

アラン Alain
フランスの哲学者。本名はエミール=オーギュスト・シャルティエ(Emile-AugusteChartier)。ノルマンディー地方のモルターニュ生まれ。高等師範学校卒業後、才気あふれる哲学教師としてアンドレ・モロワ、シモーヌ・ヴェイユらを輩出する一方で、アランのペンネームで数多くの本や記事を精力的に発表した。1906年より地元紙に「あるノルマンディー人のプロポ」というコラムの寄稿を開始、第一次大戦前後に約5000編を複数の新聞や雑誌に発表した。なかでも幸福について記した93編をまとめて出版したのが『幸福論』1928)である。これはヒルティ、ラッセルの『幸福論』とともに世界三大幸福論といわれ、世界中で翻訳され読み継がれている。日本でも昔からのファンが多い。第一次大戦の従軍経験などを経て、定年まで高校教師の職を続けた。その後83歳で亡くなるまで、多くの著書や論文を執筆した。


ラベル:幸福論 アラン
posted by miura at 18:42| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月16日

必読本 第607冊目 中国名言集―一日一言

必読本 第607冊目

tyuukoku1.jpg

中国名言集―一日一言

井波 律子(著)

¥ 2,835 (税込)

岩波書店

単行本: 426ページ

2008年1月8日 初版

 

長い歴史を持つ中国には、人の心を打つ名言が数多くある。

博学能文の中国文学者が、

史書、詩文、随筆、小説などより366の名言を精選し、

1年366日に配して解説。

日々の暮らしを彩る、教養と実用を兼ねた1冊。

●今年2008年1月初めに発売されたばかりの

中国名言一日一話集。

選ばれた言葉は、孔子、老子などの中国古典から

「建国の父」毛沢東の言葉、さらに詩歌、随筆、

小説、俗諺と実にバラエティ豊か。

もともと、2007年のまるまる1年間、

京都新聞に「井波律子の一日一言」として

毎日連載されていたものを加筆修正して1冊にまとめたもの。

私自身、著者の名前は初めて聞くが、

中国文学のエキスパートであるとのこと。

●岩波書店から出されている一日一話集は、

さすが岩波というか、図鑑のような丈夫な紙質、

重厚なハードカバーで作られ、

ちょっとやそっとでは型崩れしない頑丈な本に完成されている。

内容的にも、「シンプルイズベスト」の極みというか、

余計な部分を極力まで廃し、

イラストと名言、そして簡単な解説文という

非常にあっさりとしたレイアウトとなっている。

中国関係の本にありがちな、

原文、読み下し文さえ本書には記載されていない。

読みやすさは最高である。

●又、ありがたいのは、

アトランダムに1月1日から12月31日まで

名言を並べたのではなく、

その時節にピッタリ合った名言が配置されていることである。

正月にはこの名言、入学入社の4月にはこの名言、

夏の真っ盛りにはこの名言、慌しい年末にはこの名言と、

実に心憎い選別がされている。

気に入ったものは手帳などにメモして、

折を見て引用したいものだ。

●索引、年表も巻末にしっかりと記載されているし、

北尾吉孝さんなど、

相当の中国古典好きには実に購入意欲をそそる本である。

ただ、やはり少々値は張る。

何か大勢の人に向けて訓示などを述べる機会が多い、

経営者、指導者あたりが、本の定価など一顧だにせず

買いそうな本である

(古文の授業で誰もが習ったメジャーな故事成語

「乾坤一擲」「鶏口牛後」「温故知新」「杞憂」などが

たくさん紹介されているという意味で、学生さんにもおすすめです)


【マストポイント】

@悪小なる以って之を為すなかれ

善小なるを以って為さざるなかれ

(「悪事は小さくとも決してするな。

善事は小さくともせずにおいてはならぬ」の意。三国志)

A人を疑わば用うる莫(な)かれ

人を用うれば疑う莫かれ

(「人を疑うのなら使うな。使う以上は疑うな」の意。俗諺。)

B天の与うるに取ら弗(ざ)れば、

反って其の咎(とが)を受く

(「天の与えた機会を受け取らないと、

逆に天のとがめを受ける。」の意。

煮え切らない態度を取っている者を鼓舞するための言葉。史記)

 

【著者略歴】

井波 律子
1944年富山県生まれ。66年京都大学文学部卒業。72年同大学院博士課程修了。金沢大学教授をへて、国際日本文化研究センター教授。専門は中国文学。

ラベル:井波律子
posted by miura at 17:50| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月29日

必読本 第567冊目 やりたいことをやれ

必読本 第567冊目

yaritaikotowoyere1.jpg

やりたいことをやれ

本田 宗一郎(著)

¥ 1,050 (税込)

PHP研究所

単行本: 271ページ

2005年9月21日 初版

 

●「人間が進歩するためには、まず第一歩を踏み出すことである。

ちゅうちょして立ち止っていては駄目である」

 1ページ1話完結の本田宗一郎語録。

能ある鷹はツメを磨け、発明は恋愛と同じ、など200話以上を収載。

●昨日と同じく、PHPの名言集シリーズを

ご紹介します。

このシリーズでも屈指の人気を誇るのみならず、

本田宗一郎を代表する本でもあります。

●本田宗一郎は、何かケンカ早く、

すぐに部下に手を上げたりするなどの

激高型の人間のため、

どうも僕の好みとは違うのですが、

やはり世界に名だたるホンダを創業したということもあり、

著者の人柄を集大成した、

この名言集を読んでおくことも無駄ではないでしょう。

●シリーズの他の本と違い、

1ページでひとつの話を載せる。

その分、文章量が少ないが、

数多くのエピソードを堪能できる。

読書嫌いの人も、ちょっと時間が空いた時に、

かじり読みするのに最適です。

●販売数が多かったのか、

アマゾンではタダ同然の廉価で現在販売されております。

理工系の学校に行かれている学生さんなど、

技術開発に従事されている方々には、

発想のヒントに繋がるようなお話が多いので、

特におすすめしたい本です。

 

【マストポイント】

@得手に帆あげて。

人間、得意な分野を見出して、そこで働くのが最上の道である。

本田は技術開発に専心し、

苦手な営業、経理などは右腕の藤沢武夫にすべて任せた。

A時間はすべての生命である。

平等に与えられた時間をどのように

活用したかで、結局、人生の成功不成功を決めてしまう。

スピード重視で何事もやれるか。

Bイエスマンになるな。

会社としてのホンダでつとに有名なことは、

若手社員であっても、平気で社長に意見を言ってくること。

イエスマンばかりが回りに集まりだしたら、

会社の危機だということを本田は見抜いていた。

常に、どんな下っ端でも上層部に意見を言えるような

風通しの良い環境にしておくこと。



【著者略歴】

本田 宗一郎
1906年(明治39年)、静岡県に生まれる。小学校卒業後、アート商会(東京・自動車修理工場)に入社。1928年、のれん分けして浜松アート商会を設立。自動車修理工として成功するが飽きたらず、東海精機重工業(株)を設立しピストン・リングの製造を行う。1946年、本田技術研究所、1948年、本田技研工業(株)を設立。オートバイ「ドリーム」「スーパーカブ」などを次々に開発。1959年、英国マン島TTレースに初参加。1961年、マン島TTレースで1~5位を独占して完全優勝する。1962年、四輪車に進出。1964年、F1GPに挑戦。1965年、F1メキシコGPで初優勝。1972年、低公害のCVCCエンジン発表。アメリカの排ガス規制法であるマスキー法規制に世界ではじめて合格する。1973年、社長を退任、取締役最高顧問。1989年、日本人として初めてアメリカの自動車殿堂(AHF)入り。1991年、84歳で逝去。

posted by miura at 12:53| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月28日

必読本 第566冊目 心を高める、経営を伸ばす―素晴らしい人生をおくるために

必読本 第566冊目

inamori12.jpg

心を高める、経営を伸ばす

―素晴らしい人生をおくるために

稲盛 和夫(著)

¥1,050(税込み)

PHP研究所

文庫: 259ページ

2004年4月30日 初版



●従業員28人で発足して世界が注目する優良企業へ…。

目覚ましい成功を収めた京セラの経営の根底をなす、

単なる企業の経営理念を超えた、

私たちのあるべき生き様につながる「哲学」とは?

1989年刊の新装版。

●やはり、年末も押し迫ると、

新奇な本よりも、長年読み継がれてきた

定評ある名言集に立ち戻り、

新年に向けて心を新たにしたいという思いが強くなる。

本書は、PHPから好評発売中、

ビニールカバー入りの堅牢な作りが

人気の名言集シリーズの1冊である。

言わずと知れた京セラ、KDDIという

世界的2大企業を創業した稲盛和夫さんの本です。

●稲盛和夫さんは、悪く言えば面白みがない、

良く言えば極めてオーソドックス、正統派中の正統派という

印象を受ける経営者である。

取り立てて斬新な、向こう受けするような理論や法則は

ないが、何か手堅い感じ、連綿と受け継がれてきた

日本伝統の教えを重視する姿勢が強い方である。

20代〜30代の生意気盛りの若い人間には

あまり人気がないかもしれないが、

年取って社会や社内で責任ある立場になると、

初めてその教えが身にしみてくる方だとでも言ったらよいだろうか。

●稲盛さんは著作数が多いことでも知られるが、

ほぼすべての稲盛哲学が本書に凝縮されているので、

どれを読めばよいか迷ったら、本書1冊にするとよいでしょう。

●シリーズの他の本と同じく、

見開き2ページでひとつのお話を簡潔に語る

シンプルな作りの本。

文章量も少ないので、読書嫌いの方にも何ら困難なく読める。

前述の通り、堅牢なカバーなので、

カバンに入れっぱなしにして、

機会があるごとに読む名言集としては最適です。

私のように、鍵山さん、松下さんなど

お気に入りの名言集を1冊を常に携帯して、

暗記するほど読み込み、ほぼそらんじることが出来たら、

他の著者の本にあたるという読み方をするのもオススメですよ。



【マストポイント】

@【稲盛流人生成功のための不変の公式】


人生・仕事の結果=

考え方(−100〜+100)×熱意(0〜100)×能力(0〜100)



3つの要素がすべて三位一体でプラスにならないと、

良い結果が得られない。

熱意と能力が高くても、考え方がネガティブだったり、

ひねくれていたりしてマイナスになると、

合計としての結果はものすごく悪くなることがわかる。

A常に本質を見極めるよう心がける。

不動産投機ブーム、ゴルフ会員権ブーム、

最近ならばFX投資ブームなど、

表面的な現象、一過性の流行だけを追いかけ、

泣きを見た人間は世の中に数知れない。

本当に正しいのか、ずっと永続するのか、

自分に向いているのか、など、

物事の真贋を見る目を養わなくてはいけない。

B税金は経営者ならば誰でもつらいが、

はじめから「経費」だと考え、潔く諦める。

小手先の税金対策などせず、

しっかり儲けてしっかり税金を納め、

残りをしっかりと内部留保する。

これを毎年のように続けていれば、

ちょっとやそっとではびくともしない、

健全経営の会社となれる。

 

【著者紹介】

稲盛 和夫
1932年、鹿児島生まれ。鹿児島大学工学部
卒業。59年、京都セラミツク株式会社(現・京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。また、84年に第二電電(現・KDDI)を設立、会長に就任。2001年より最高顧問。84年には稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。他に、若手経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成にも心血を注ぐ。

ラベル:稲盛和夫
posted by miura at 18:57| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月24日

必読本 第563冊目 ホームレス中学生

必読本 第563冊目

ho-muresu1.jpg

ホームレス中学生

麒麟・田村裕(著)

¥ 1,365 (税込)

ワニブックス

単行本:191ページ

2007年9月20日 初版

 

●麒麟・田村のせつな面白い公園生活。

13歳のときに突然住む家を無くし、

近所の公園に一人住むようになった田村少年。

ダンボールで飢えをしのいだ日々や、

いつも見守ってくれた亡き母への想いが詰まった貧乏自叙伝。

●今年お笑い界の中で、

最高のお嫁さんをゲットするという、

「異性運」の最高峰をつかんだ男が

陣内智則さんだとしたら、

「仕事運」、「金運」の最高峰をつかんだ男は

文句なく、この男、麒麟の田村裕さんだろう。

現在155万部も突破するという、

2007年を代表するスーパーベストセラーである。

ブームが沈静化してから読もうかと思っていたが、

年内中に心残りがあるのも何か嫌だったので、

急いで購入し、一気に本日読んでみました。

●文体的には、やはり、

素人お笑い芸人が書いた拙劣な文章である。

しかし、そのてらいのない素朴な文章は、

逆に私たちに素直な好感と感動を与える。

変に技巧を凝らすよりも、

よっぽど人の心を打つという好例とも言える本である。

●「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、

この世界有数の金持ち国日本において、

ほんの数ヶ月間であっても、

公園で中学生がホームレス生活をしていたという体験記は

圧倒的な衝撃力を持つ。

本のネタとしては、希少性という意味において

最高の価値があるでしょうね。

●テイストが似ているという意味で、

リリー・フランキーさんの『東京タワー』、千原ジュニアの『14歳』と

是非とも併読したい本。

青春の孤独感、哀切さ、家族の絆、命の大切さなど、

多くの示唆を与える珠玉の感動作である。

近々、テレビや映画で映像化もされるようなので、

早めに読んでおくことに越したことはない。

どこの図書館でも数多くの人が待機中で、古本屋さんでも

置かれるそばからすぐに売れて行く人気本ですが、

定価は大した値段ではないので、

新品で早めに買って読んでおくことをオススメします。


【マストポイント】

@極貧になり、一家離散、雨露をしのぐ自宅をなくすほどの

ドン底状態になっても、

万引き、カツアゲ、返すつもりのない借金など、

自分を見失うような違法行為、反モラル的行為を一切しなかった。

だから、後年、運の好転に繋がった。

A里親に出されそうになった時に、

面接した里親候補の家で、何か不穏なもの、

如何ともし難い違和感を直感的に感じて、

養子になることを断固拒否した。

どんなに弱い立場になっても、自分の中で嫌な感じがするもの、

耐え難い感じがするものには、

断然拒否する姿勢がなくてはならない。

B最愛の母を亡くし、いつも金がなく、空腹に悩まされ、

誰にも言えない苦悩を抱えつつも、

常に笑い、明るさ、素直さがあったから、田村さんは

友達にも恩師にも恵まれ、ひどいいじめにも遭わず、

グレずに成長することが出来た。

どんな悲惨な状況であっても、

楽観主義を持っていれば、捲土重来を期することが可能である。

 

【著者略歴】

田村裕(たむらひろし)

1979年9月3日生まれ。大阪府吹田市出身。血液型O型。身長180cm。愛称:「タムちゃん」、「タムさん」吉本興業・麒麟のツッコミ担当、向かって左側。茶色い方。少年時代はかなりの貧乏で、中学二年のころに家が差し押さえに会い、家族が解散した。解散後は公園に住み草やダンボールを食べていた。また公園の貝殻の遊具に住み、近所の子供からはウ○コになんか住んでいると噂された。父親は蒸発する。

posted by miura at 07:31| 山形 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月23日

必読本 第536冊目 人間を磨く言葉

必読本 第536冊目

ninngenn1.jpg

人間を磨く言葉

鍵山 秀三郎(著), 亀井 民治(編集)

¥ 1,050 (税込)

PHP研究所

文庫: 235ページ

2007年11月9日 初版 

 

「十年偉大なり、二十年畏るべし、三十年にして歴史なる」。

この言葉を見事に実践した著者の、人生の血肉となった名言・格言を紹介。

選び出した言葉に、著者の体験を交えて編集。

●ハンディサイズのわりに堅牢なカバー、

それに1,000円(税別)1枚という安い価格で、

大好評のPHPの名言集シリーズだが、

そのシリーズの最新版。

あの誰もが知っている「掃除哲学」の

第一人者、鍵山秀三郎さんの本である。

●鍵山さんは、このシリーズでご自分の

名言を集めた本を既に出版されているが、

本書は一味趣が違う本。

鍵山さん自身が述べられた言葉を集めたものではなく、

鍵山さんの人生を支えてくれた世界の偉人や古典の

名言、至言をまとめた本なのである。

●鍵山さんが好きな言葉、

よく引用される言葉の中から、

特に素晴らしいものを92個精選し、

見開き2ページ1話の形で紹介していく。

中国古典、聖書、自己啓発家、小説家、詩人など、

紹介されている言葉は、実にバラエティ豊かである。

高卒で、専門的な知識、技能を持たず、

学がないことをとても気にされていたのか、

寸暇を惜しんで、万巻の書を読まれてきたことが

容易に推察される。

●又、出典不明の言葉や、

世間的には全く無名の一般人の言葉が多いのも、

いかにも鍵山さんらしいと言える。

人と会ったりしてふと心に残った言葉や、

何げなく目に止まった壁のポスターの言葉などを見逃さず、

地道に手帳などにしたためておいたのだろう。

「凡事徹底」をはじめ、

鍵山さんはとにかく言葉を大事される人である。

どんなに辛酸を舐めても、地獄の底に突き落とされるような

事態に陥っても、世の先人が残してくれた名言を

一人何度も噛み締め、己を奮い立たせてきたのではないかと

私などは想像する。

●更に、随所に挟み込まれている

鍵山さんの写真にも、何か心の琴線に触れるものを

感じるはずだ。

創業者であり、会長室のイスにでも、

日がな一日ドッシリと座っていてもおかしくない

悠悠自適の身分なのに、一従業員と同じ身なりで、

商品の仕分け、(老体にはしんどいはずの)タイヤ運搬作業などを

淡々とこなされる。

手が荒れがちなこの時期、

誰もが手を抜くはずの、冬の洗車や

トイレのタイル磨きをする姿、

低身長の障害者の方から感謝状をいただくために、

その同じ目線になるよう床にべったりと腰を下ろす

姿には、誰もが心を打たれる。

●私のような長年の鍵山ファンならば、

一も二もなく即買いすべき本でしょう。

世にあまたある名言集の中でも出色の出来栄えで、

言葉の力で勇気づけられたい、

絶望的な気分の時に、言葉にパワーをもらいたいと

お考えの方に、もろ手を挙げて推薦したい本である。

まとめ買いして社員全員に配るのもよし、

これからの時期、ちょっとしたことで一喜一憂しがちな、

神経をピリピリさせている受験生などに贈るのにも最適である。

読了後は、何かメラメラと熱いものが心の底から

湧き上がるのを実感できるはずです。


【マストポイント】

@「走姿顕心」

スポーツ選手は、その走っている姿に、自然とその心の有り様まで

現れてしまうものだ。

邪念、打算、不機嫌を持ちながらやっている行動には、

自然とボロが出る。

純粋な心で何ごとにも当たりたい。

A「鄙事多能(ひじたのう)」

子供の頃、親に先立たれ、困窮を極めた孔子や二宮尊徳は、

家事が嫌だ、農作業が嫌だなどと、

ワガママができるような恵まれた身分ではなかった。

下男のような細かい仕事を若い頃たくさんやったおかげで、

後年、どんなに身分が低い人の気持ちをも

理解できる度量の広い人間として、

指導的立場になることができた。

お茶汲みやトイレ掃除を「雑用」などと軽蔑し、

毛嫌いしているようでは、大人物にはなれない。

B「唱道の人多かれど、行道の人少なし」

いいことを口先だけで言う人は多いが、

実際に行動で示している人は少ない。

いいことは、すぐに、自分が、断固継続して行うこと。

いくら口だけで言っても、又は、頭の中で思っても、

行動でしっかりと示さなくては、ただの画に描いた餅である。

 

【著者略歴】

鍵山 秀三郎
昭和8年東京生まれ。27年疎開先の岐阜県立東濃高校卒業。28年デトロイト商会入社。36年ローヤルを創業し社長に就任。平成9年社名をイエローハットに変更。10年同社相談役となる。創業以来続けている掃除に多くの人が共鳴し、近年は掃除運動が内外に広がっている。「日本を美しくする会」相談役。

日本を美しくする会 掃除の会 ホームページ http://www.souji.jp/

亀井 民治
昭和21年、鹿児島県生まれ。昭和45年、東京電機大学(二部)機械工学科卒業。高周波熱錬を経て、昭和50年に環境整備機器の製造販売を行うエッチアンドケイを設立、社長に就任。平成14年、ローヤルを改組設立。平成15年、ローヤルをシステムジャパンに社名変更し、社長に就任。5Sをベースにした人材育成や経営コンサルティング、講演活動に忙しい日々を送っている。薩摩大使。

posted by miura at 17:05| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月28日

必読本 第514冊目 奇跡を呼ぶ男 落合博満物語

必読本 第514冊目

otiai1.jpg

奇跡を呼ぶ男 落合博満物語

綾野 まさる(著)

1,300円(税込み)

小学館

単行本: 194ページ

1999年4月1日 初版

 

●プロ野球の世界は、とてもきびしいところでした。

やめてしまいたいと何度もくじけそうになりした。

でも好きという気持ちがほかの人よりも強かったから…。

三冠王三度、奇跡の一打。

史上最強の四番打者が、熱く語る野球生命。

●プロ野球関係者の中では、

落合博満という人は、とりわけ

興味をそそる人物の中の一人である。

改めて言うまでもなく、唯一の3冠王3回達成者、

監督になってからも、コーチ経験が皆無なのにもかかわらず、

監督一年目からいきなりきちんとした結果を残し、

よく言われる「名選手必ずしも名監督にあらず」という

ジンクスを見事にはね返した。

●引退後の解説者時代も、

各方面に波風が立つことを恐れ、

あまり突っ込んだことをテレビでは言わないものだが、

落合さんはそんなことお構いなく

ズケズケと一刀両断の解説することが多く、

文句なく本質的なことを喋れる希有な野球人だと

思ったものだ。

●又、監督になってから実に素晴らしいと思ったのは、

試合中ベンチに座っていても、

ほとんど己の感情を露にしないことである。

選手がホームランを打ったら大喜びし、

凡プレーをしたりすると、ベンチを蹴飛ばしたり、

物を投げたりなど、激高したりする監督が昨今多いことを

考えると、この冷静沈着な態度は特筆に価する。

かねがね、指導者はかくあるべきだと思っていた。

●先般のクライマックスシリーズで、

巨人を3タテして更に名声を上げたこともあり、

あらためて落合博満という人物のことが知りたくなった。

ちょっと古く、子供向けの本だが、

今回はこの本をご紹介致します。

●しかし、落合さんは、自分のことだけを考える利己主義者かと

誤解されることもあるが、意気に感じるというか、

稲尾和久、長嶋茂雄など、心から尊敬している人のためならば、

命を賭けるほどの力を傾注し、師匠のために尽くすという

仁義の人なのである。

目上の人間に敬意を払わない人が多い昨今、

これは見習いたいところである。

●又、落合選手の徹底した、一匹狼のマイペース主義も

是非とも記しておかなければならないところである。

冷静沈着な自分の目で考えた練習法、生き様は

時に「オレ流」などと揶揄され、散々批判もされてきたが、

明日の生活も保証されておらず、

自分のバット1本で生活していかなくてはならない

プロならば、ある意味当然な姿勢なのである。

(しかし、一匹狼のわりに、落合さんは

威張り散らすようなことや暴力的なことは

後輩に行わず、意外に面倒見が良いのは素晴らしい長所だ)。

●徒党を組まず、まわりの雰囲気に流されず、

常に正しいもの、自分にとって大事なことに

固執し、己の信念を貫くという姿勢はやはり賞賛に値する。

名球会入り拒否など、己の信念に沿わないものには

妥協しないなど、プロの職業人としては見習いたい部分である

(ただ、この件は、新人の頃、前任の金田正一元ロッテ監督に、

打撃フォームをケチョンケチョンに酷評されたことを

根に持った落合さんが、名球会のドンである金田さんに対して

反旗を翻したという見方もできる)。

●又、落合選手の成功の陰には、

信子夫人の存在が大きいと言われるが、

全くその通りであると本書を読んで思った。

男の出世や成功の陰には

必ず良妻がいるものだという典型例であろう。

家庭内で、男を奮い立たせるトーク術、細かな心配りなど、

女性ならば見習うべきエピソードが多い。

「悪妻は百年の不作」ということわざと共に、

見てくれだけではない本物の女性を

女房にしなくてはならないという教訓を得られる。

●ヘンテコなユニフォームを着ているカバー写真や、

時勢に合わない記述が散見されるため、

既に絶版になり、古本価格は結構なプレミアがついている。

野球少年のみならず、大人が読んでも

面白い自伝なので、古本屋さんか図書館ででも

探してみて下さい。



【マストポイント】


@野球が大好きだったが、理不尽ないじめや暴力が

横行する高校野球時代や、実力がないくせに、

年長だというだけで威張っている先輩の多い大学野球時代には、

全くやる気が起きず、才能は開花しなかった。

やはり、環境が大事。

実力者でも、その場の環境が悪いと全く実力を発揮できない。

悪い環境を甘受せず、自分に合った環境を求めること。

A18歳から22歳ぐらいなどの年齢でプロ入りする人が

大勢を占める中、落合さんは25歳という遅咲きでプロ入りした。

タモリさんが芸能界入りしたのは30歳を過ぎてから。

遅く入ったことが、必ずしも不利になるわけではない。

Bスポーツでは、自分が見てホレボレするような

理想的なフォームの先輩を見つけ、ひたすら真似をすること。

野球や剣道やゴルフに代表されるように、

「型」、「構え」がキレイな人はまず間違いなく実力が伸びる。

落合選手の打席での構えの美しさや

はらうような独特の打ち方は、

先輩の捕手、土肥健二というモデルを真似し、

並々ならぬ練習と研究の末、完成されたものだった。

 

【著者略歴】

綾野 まさる
本名・綾野勝治。1944年、富山県生まれ。67年、日本コロムビア入社。5年間のサラリーマン生活後、フリーライターとして、特にいのちの尊厳に焦点をあてたノンフィクション分野で執筆。94年、第2回盲導犬サーブ記念文学賞受賞。

posted by miura at 12:38| 山形 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月18日

必読本 第505冊目 弱き者の生き方

必読本 第505冊目

弱きものの生き方1.jpg

弱き者の生き方

五木 寛之/大塚 初重(著)

¥ 1,470 (税込)

単行本: 264ページ

毎日新聞社

2007年6月25日 初版

 

ここまで語ることは許されるのか。

おのれの悪を凝視し、絶望的体験の地底から、

恐るべき記憶と無類のユーモアを武器に、日本人再生の希望を掘り起こす。

文学と考古学の重鎮が語る、迫真のライブ・トーク。

●日本考古学界の第一人者である

大塚さんと、言わずと知れた人気作家、五木さんの対談集。

偶然、大塚さんの戦争体験談を

NHKラジオで聞いて心打たれた五木さんのたっての希望で

実現した対談である。

恥ずかしながら、今の今まで、大塚さんの存在は

知らなかった。

名前から、てっきり女性かと思ったら、日本随一の

考古学者であるとのこと。

アマゾンで検索したら結構な数の著作を出されておられる。

●話は冒頭から、お互いの戦争体験談から始まる。

潜水艦からミサイルを打たれ、沈没しかかっている戦艦の中で、

足にしがみつく戦友を蹴飛ばして、命からがら海面まで

浮き上がってきたという大塚さんの衝撃的な話は、

誰もが息を飲む。

公には話してこなかった秘話だとのことだが、

世間の非難を十分予想しながら、思いきって告白した

その勇気にはやはり心が打たれる。

五木さんも、めったに自著で語らない、外国兵による

乱暴狼藉、特に日本女性へのレイプや無差別殺戮に関して、

具体的な告白をされている。

戦争体験を直に語ることができる著名人がドンドン少なくなっている

昨今、「戦争の真実」をリアルに知るうえで、

一級の資料になりうるでしょう。

●又、敗戦後、どのように大学に入学し、

今の境遇まで辿り付いたのかを、

お互いの恩師や先輩作家の名前を豊富に挙げながら、

語っていく。

大塚さんは、働き者でなおかつ

人の縁に恵まれたのか、とにかく上の者から

かわいがられる性分らしく、

指導教授との悲喜こもごもの交遊録は、

何かと人間関係を考える上で

参考になるエピソードが多かった。

五木さんの若かりし頃の思い出話、

特に、かけ出しの頃の有名先輩作家とのさまざまな思い出話も

面白く読めました。

●最後の章では、お互いの人生観や健康観に関して

語られている。

五木さんのことは今までここでも結構書いているので割愛するが、

大塚さんは心臓に大病を抱え、いつどうなるとも知れない

爆弾を抱えつつも、悲観的にならずに日々かくしゃくと

活躍されておられる。

言うに言われぬ暗い過去、本書で言うところの「弱き」部分を

抱えつつも、世間で名だたる地位を築いた

お二人の生き方には、大変ヒントになることが多い本です。

戦争を知らない若い方々、又、実際に戦争を経験された

ご年配の方々に特に推薦したい本です。

●帯には、女優の奈良岡朋子さんと、

リリー・フランキーさんの推薦の辞が掲げられていることも

併せて挙げておきます。

リリーさんに関して言えば、

五木さんも大塚さんも母上をなくされている悲痛な経験を

されていることもあり、快く帯の推薦文を引き受けたのでしょうね。

●最後に、瑣末なことだが、

五木さんは、相手がどんなに偉い先輩作家であっても、

「〜先生」とは呼ばず、「〜さん」と呼んだと述べられている。

奇遇だが、昨日の土井英司さんの本(必読本第504冊目参照)では、

後輩、年下だろうが、相手の名前は「〜君」ではなく、

「〜さん」で呼ぼうという話があった。

よって、仕事の上では、長幼の序に関係なく、「〜さん」づけで

呼べば、そんなに大きなトラブルにはならないことを示す

格好のエピソードとなるだろう。

参考までに記しておきます。



【マストポイント】

@ほんの60年、70年前には、地獄絵図とも言えるような

戦争体験をした日本人が内外に数限りなくいた。

我々若い人間は、その事実が確かにあったこと、そして、

その先人たちの経験の上に、今の日本の繁栄があることを

絶対に忘れてはならない。

A勉強そっちのけで水泳を練習していたため、

沈没しかけた艦船から海に投げ出されても助かった。

縁もゆかりもなかった漫才をやるという経験を持ったことが、

後年、わかりやすい講義する大学教授だという評判を得ることに

なった。

人生に無駄なことはひとつもない。

B誰もが「弱き」部分を抱えつつ生きている。

しかし、その「弱き」部分を抱えているからこそ、

逆に強くなれる、強い人生を生きることができる。

【著者略歴】

五木寛之(いつきひろゆき)
1932年(昭和7年)福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮にわたり戦後47年引揚げ。66年「さらば、モスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で直木賞、76年「青春の門」筑豊編ほかで吉川英治文学賞を受賞。
現在直木賞、泉鏡花文学賞など多くの選考委員をつとめる。最新作に「21世紀仏教への旅」シリーズ、「林住期」など。

大塚初重(おおつかはつしげ)
1926年(大正15年)東京都生まれ。45年輸送船が二度撃沈され漂流、九死に一生を得る。復員後は働きながら明治大学の夜間部に学び、同大学院文学研究科博士課程修了。日本考古学界の第一人者として、登呂遺跡や綿貫観音山古墳をはじめ、多くの発掘を手掛ける。現在、明治大学名誉教授、登呂遺跡再整備検討委員会委員長。05年瑞宝中綬章叙勲。著書に「考古学からみた日本人」など多数。

posted by miura at 18:31| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月05日

必読本 第495冊目 バルタザール・グラシアンの 賢人の知恵

必読本 第495冊目

賢人の知恵1.jpg

バルタザール・グラシアンの 賢人の知恵

バルタザール・グラシアン(著), 齋藤 慎子(翻訳)

¥ 1,785 (税込)

ディスカヴァー・トゥエンティワン

単行本:ページ記載なし

2006年12月20日 初版



●「正しく生きるな、賢く生きよ」

「善人が損をするのは善良だからではなく、

世間を見る目が甘いからだ」

ヨーロッパで400年語り継がれる最強の処世訓。

人生の視点が変わる240の金言を収録する。

●著者は、17世紀に活躍したスペインの聖職者にして著述家。

ニーチェ、ショーペンハウエル、森鴎外などが

絶賛し、先日なくなられたテノール歌手、

パパロッティも本書を愛読されていたとのこと。

周囲と摩擦を起こさず、

賢く生きるための名言至言箴言240個を

紹介する。

●1ページにひとつの名言を載せるシンプルな作り

(ちなみに、すべての章を紹介すると、

「1章人とのかかわりについて、

2章 駆け引きについて 3章 会話について 4章 知性について

5章 自分自身について 6章 才能について 7章 成功について

8章 人生について」)。

この出版社お得意の作りの本だが、

例によって、大して役に立たないような軽いノリの

本かと思って、出版社名を一瞥しただけでずっと素通りしてきたが、

中身を開くと、私の先入観が一気に吹き飛んだ。

ヨーロッパでは、マキヤベリの『君主論』と並び賞されるぐらいに

何百年も連綿と愛読されてきたのは伊達じゃない。

現実主義的な格言、警句の類が好きな方には

かなり使える本だ。

●前述したように、1ページにひとつの名言が

載せられているシンプルな作りの本なので、

あまり読書習慣がない方にも読むのに抵抗がないはず。

ちょっと分厚くて重いハードカバーなので、

常に持ち歩くのには適さないが、

ベッドサイドや会社の机の中などに常備して、

事あるごとに読む処世術本として使うには

ピッタリの本だろう。




【著者略歴】


バルタザール・グラシアン(1601~1658)
17世紀スペインの哲学者、イエズス会修道士、著述家。その著作は世界各国で翻訳され、F・ニーチェやA・ショーペンハウエル、ラ・ロシュフーコー、森鴎外といった古
今東西の文化人に多大な影響を与えた。雄弁な伝道師として圧倒的な名声を得るが、1657年、サラゴサでの聖書学の教授の地位を追われる。逮捕され、追放されたタラソナという村で一年後に没した。

齋藤慎子(さいとう のりこ)
同志社大学文学部英文学科卒業。広告業界で主に海外向けの企画制作と他国語編集に従事。その後、オーストラリア、スペインで企業内翻訳などを経て、現在フリーランスの英日・西日翻訳者。スペイン在住。

posted by miura at 12:14| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月03日

必読本 第493冊目 「論語」一日一言―己を修め、人を治める道

必読本 第493冊目

論語.jpg

「論語」一日一言―己を修め、人を治める道

¥ 1,200 (税込)

致知出版社

単行本: 219ページ

2007年10月4日 初版

 

●『論語』は孔子とその主だった弟子の言行や問答を集めた語録で、

二十篇、約五百章から成り立っています。

本書はその中から三六六の言葉を選び出した、

一日一言シリーズの七作目。 

●致知出版社は、売上げ好調なのか、

一日一言集に最近特に力を入れているようである。

そのシリーズの待望の新刊。

今更言うまでもないぐらいに誰もが知っている、

中国古典の最高峰『論語』の名言集である。

●内容的には、

『論語』の中から、特に重要ではない瑣末な部分を削ぎ落とし、

現代人にも役立つような名言部分だけを抽出し、

1月1日から12月31日まで、

一日一言ごと割り振られた構成となっている。

一つ一つの名言はごくごく短文となっているため、

非常に読みやすい作り。

●全ページをすべて読破したわけではないが、

パラパラとめくって見た限りでは、

『論語』を代表する名言至言はほぼ網羅されているようである。

私が繰り返し愛読している岩波文庫版『論語』(必読本第474冊目参照)は、

本文が400ページもあり、一息で読める分量ではない。

それに、現代人には抽象的でわかりづらい文言や、

さして重要ではない会話部分など、大局的な見方をすれば、

読まずに飛ばしてもよい箇所も非常に多い。

そういう意味から言っても、本書は、

『論語』の中の重要ポイントだけを一気におさえることができるので、

多忙な方向きの本であろう。

●又、その岩波版の『論語』と比べて、

翻訳もこなれた名訳で、岩波で舌足らずな部分を

補充的に理解することができるのも親切でよい。

若い方々も問題なく読める。

●関連してあえて言っておきたいことは、

本書でもチラリと触れられていることだが、

最近マナーを知らない大人や子供たちが問題視される

一方、心ある企業や学校では、

『論語』の素読が隠れたブームになっているようである。

マナーや道徳をわきまえない人間は勝手に落ちる一方だが、

その反面、内面強化に力を入れて、ダメな人々を

圧倒的に引き離し、自己成長するグループがいる。

つまり、精神教育、情操教育の二極化現象が起こっている。

自分が所属する団体で、この分野の教育に力を

入れているのか否かに関わらず、

やはりこの程度の最低レベルの「常識」、「知恵」は、

独学でもいいのでわきまえておきたいものである。

 

【著者略歴】

伊與田覺(イヨタサトル)
大正5年高知県に生まれる。学生時代から安岡正篤氏に師事。昭和15年青少年の学塾・有源舎発足。21年太平思想研究所を設立。28年大学生の精神道場有源学院を創立。32年関西師友協会設立に参与し理事・事務局長に就任。その教学道場として44年には成人教学研修所の設立に携わり、常務理事、所長に就任。62年論語普及会を設立し、学監として論語精神の昂揚に尽力する。

ラベル:孔子 論語
posted by miura at 18:18| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月26日

必読本 第486冊目 14歳

必読本 第486冊目

14sai.jpg

14歳

千原 ジュニア(著)

¥ 1,470 (税込)

講談社

単行本: 189ページ

2007年1月15日 初版

 

●もう二度とこの友だちとは遊ばない。遊べない。

だけどこのままじゃ僕はつぶされてしまう。僕は僕を守るんだ。

悲しい色に塗り替えられてしまう前に。僕の心は僕が色を塗るんだ…。

幻の自伝的小説。

●ほぼ毎日聴いているニッポン放送系『テレフォン人生相談』で、

回答者の教育評論家の女性

(名前失念。べらんめえ調喋りの女性)が、

育児、教育問題に悩む親御さんに対して、

ことあるごとに本書を推薦していたため、

ずっと興味をそそられていた本。

言わずと知れた千原兄弟の弟、

千原ジュニアの自叙伝的小説である。

●最近、ケータイメールやブログの影響もあって、

「ものを書く」ということに抵抗感が少なくなってきているのか、

若手お笑い芸人が本を出すのが一種のブームに

なっているようである。

しかし、個人的にほとんど小説を読まないせいもあるが

(それではダメだといつも反省しているのですけど)、

全くこの手の路線の本を手にする気にはなれなかった。

小説自体、リリー・フランキーさんの『東京タワー』(扶桑社)以降、

1冊も読んでいない情けなさである。

●主人公は著者自身がモデルとなっており、

いわゆる引きこもりの14歳の少年。

共同生活になじめず、せっかく合格した

中高一貫制の進学校を登校拒否し、

家でも外でも一日中パジャマで過ごし、タバコも愛好し、壁に

取りとめもない絵を描きながら悶々と日々過ごす。

当然、父母とはいさかいが絶えず、

やりきれない思いがたまった主人公は、

時に壁を殴り穴を開け、又、自室に引きこもって、

テレビの画像を眺めながら、妄想に耽溺していく。

●テレビの砂嵐画像を「虫」と表現したり、

登校拒否児と母親の葛藤をつぶさに描くなど、

小説家として随所に鋭い才能を見せる。

特に絶賛したいのは、

行き場のない怒り、孤独感、焦燥感を募らせる

主人公の内部感情の表現である。

思わず感情移入してしまうほどのリアルさで、

引きこもり少年の持つ哀切さ、その家庭が持つ暗い雰囲気などを

鮮やかに活写している。

細部には微細な修正はあるのだろうが、

ほぼ99%実話なのだろう。

青春小説としては文句ない傑作である。

●巷間、登校拒否、ニート、引きこもりなどの

問題が常に論じられている。

しかし、世の中には、共同生活には馴染めない、

盲目的に権威や常識や体制に縛られるのをよしとしない、

大人からはちょっと変わっていると見られがちな、

繊細な心を持つ子供たちはたくさんいるものである。

しかし、彼らは異常者だろうか、

(そんな言葉自体使いたくないが)「負け組」だろうか、

将来見込みがない子供だろうか。

●この本は、現在、学校問題、進路問題、就職問題

に悩まれている当事者の方々、

特に少年少女、その親御さんに是非読んで欲しい本である。

学校批判、大人批判、教師批判的な部分が

かなり多いため、いわゆる体制側からは快く思われない、

尾崎豊的路線の本だが、

しかし、未来に希望が見出せずに部屋の中で

一人孤独をかこつ人、そういう子を持つ親御さんには、

何か光明が開けるような本であるはずだ。

いまだに金科玉条のごとく、高学歴、有名大学を目指すことだけが

成功者の証しだと思って、人生で本当に大切なものを

見失っている、学歴信仰者の学生や親御さんには、

非常にヒントになる本である。

●最近、やたらにテレビでは売れっ子の

千原ジュニアであるが、

この本を読んでむべなるかなという気がしました。

吉本の養成所に入ってから芸人デビューするまでの顛末を書いた

続編、もしくは、バイク事故で生死の境を彷徨った

内容を振り返る本(たけしさんの『顔面麻痺』の本のような)を

是非とも上梓してほしいと思います。

情報がないのであれですが、

本書は早晩ドラマ化、映画化されるのかな?

そんな印象も強く受けました。
 

 

【著者略歴】

千原ジュニア

1974年、京都府生まれ。本名・千原浩史。1989年、兄の靖史とお笑いコンビ“千原兄弟”を結成。千原兄弟の恒例ライブ「チハラトーク」は70回を超える。2003年には初の単独ライブ「囚(トラ)」を行い、好評を博す。役者としても才能を発揮し、主な出演映画として、「ポルノスター」「ナイン・ソウルズ」等多数。また千原浩史名義で、ネタ本『答え』や詩集『少年』などの著書もある。現在、「やりすぎコージー」などにレギュラー出演中。

posted by miura at 18:33| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月24日

必読本 第484冊目 アインシュタイン 150の言葉

必読本 第484冊目

アインシュタイン.jpg

アインシュタイン 150の言葉

ジェリー メイヤー;ジョン・P. ホームズ(編集)

¥ 1,260 (税込)

ディスカヴァー・トゥエンティワン

単行本:118ページ

1997年4月25日 初版




●「人間性について絶望してはいけません。

なぜなら私たちは人間なのですから」―。

人生について、世界について、洞察力と機知、

知恵に満ちたアインシュタインの言葉を集めた本。

●ずっと読みたいと思いながら、

読む機会を失してしまう本がある。

本書もその種の本の中の1冊。

言わずと知れた「20世紀最高の天才」

アインシュタインが様々な場で

残した言葉150個をテーマごとにわけて

まとめた名言集である。

私が手に取った本は、なんと44刷。

出版社を相当潤わせたようである。

●「常識とは、18歳までに身につけた

偏見のコレクションのことをいう」など、

アインシュタインの言葉は、諧謔、逆説、皮肉に満ち、

実に味わい深いものがある。

物理、科学など専門分野に限らず、

恋愛、道徳、人生など、あらゆる方面に残した言葉には、

我々凡人がハッとさせられるような鋭い指摘、

真実を見通す目を感じさせます。

●ただし、ちょっとボリューム的に不足か。

数的には、倍の300個は欲しかったところ。

又、言葉だけを載せ、

イラストも何もなく、余白の広さが非常に目立つ。

作り手的には、手がかからず大儲けできたので、

こんな楽チンな商売はないが、

本格的な名言集を望んだ読者はかなりの物足りなさを味わうだろう。

●この出版社の本に親しまれている方ならば

当然ご存知のように、よく言えば万人向け、

悪く言えば、“女子供”が
喜びそうな実に軽いテイストの本。

世紀の大天才の知性に触れたいと思って

手に取っても、公の場で披露するために

何個か名言を手帳にメモするぐらいの用途しか見出せない。

古本ではかなり簡単に見つかりますので、

今更新品で買うまでもないかと思います。

posted by miura at 12:26| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月07日

必読本 第440冊目 「修身教授録」一日一言

必読本 第440冊目

修身教授録1.jpg

「修身教授録」一日一言

森 信三(著), 藤尾 秀昭(編さん)

¥ 1,200 (税込)

致知出版社

単行本:217ページ

2007年8月10日 初版

 

●『修身教授録』は、

戦前、天王寺師範学校で行われた森信三氏による「修身科」の講義録であり、

発売から約20年を経た現在も版を重ねるロングセラーである。

教育界のみならず、スポーツ界や経済界のリーダーにも愛読者は多い。

その最良のエッセンスだけを取り出し、366の言葉にまとめたのが本書である。

●出版社、書店などで大々的に宣伝せずとも、

長年売れ続ける自己啓発の名著がある。

西洋で言えば、デール・カーネギーの

『人を動かす』、『道は開ける』(創元社)、

そして東洋、ことに日本で言えば、

森信三氏の『修身教授録』(必読本第49冊目も参照)であろう。

●心ある読者家ならば、まず知らない人はいない本である。

戦前に師範学校(今の大学教育学部に相当)の生徒に

向かって、森氏が行った「修身」(同じく、今の「道徳」の

授業に相当)の授業を

臨場感あふれる内容で現代人向けに再現した本である。

2,400円で500ページのボリュームという、

圧倒的な威容を誇る本である。

冒頭に記したように、そもそも教育関係者を中心に愛された本だが、

ビジネス方面の方々にも人気が飛び火し、

座右の書として、繰り返し読まれている経営者の方々も少なくない。

●現行の本の初版は平成元年であることを

考えると、本年で出版されて20年近くになる。

数多くの人々の精神、内面を鍛えることに多大な貢献をしてきた

『修身教授録』の中から、特に心に残る名言至言を

抜粋し、一日一話形式でまとめられたのが本書である。

●本書は、名言集単独としてももちろん文句なく素晴らしい。

ただ、各日名言の末尾に【】書きで数字が付記されているのだが、

これは本体の『修身教授録』の掲載ページを示している。

よって、でき得るならば、2冊一緒に手元に

置いておくことが望ましいでしょう。

通常は本体の『修身教授録』を自宅で愛蔵しつつ熟読し、

ハンディな「一日一話」の方は常に携帯して、

ことあるごとに

ポイントを確認するような使い方が理想的かと思います。

●本書解説中にもあるように、

まず「日本の論語」たる資格がある名著中の名著と

申し上げて差し支えないです。

現代人にも読みやすい文章で、なおかつ

(難しい言葉でいえば)人格を陶冶するという意味において、

この本の右に出るものは、日本ではなかなかないですね。

●古本屋では目を皿のようにして本探しに没頭するほどの

希代の読書家だったこと、

後年、鍵山秀三郎さんなどに伝承されたかのような

「お掃除教」信者であったこと、

最愛のご子息を若くして亡くしたという悲劇の持ち主であったこと、

「人生二度なし」という大名言を残し、97歳まで存命した

(関連が深い坂村真民さんもそうだったが、

何の分野でも「悟った」人は長生きするようです)ことなど、

森氏は、興味深いエピソードにも事欠かない人物である。

氏の本を1冊も読んだことのない方ならば

最初の本としてもオススメです。

他にも森氏の一日一話本は何冊か発売されておりますので、

それらと読み比べてみるのも一興ですね

(併せて、本文でも寺田一清、致知出版社藤尾社長が述べられているように、

会社、学校での読書会、輪読会テキストとしては、

まず何をさておいても採用すべき1冊であることも

あえて記しておきたい)。


 

【著者略歴】

森 信三
明治29年9月23日、
愛知県知多郡武豊町に生まれる。三歳にして半田の森家に養子として入籍。半田小学校高等科を卒業、給仕をつとめ、愛知師範に学び小学校教師より身を立て、好学心やむなく広島高等師範に進み、京都大学哲学科大学院を修了。大阪天王寺師範教諭十三年、のち満州建国大学教授に就任。異国にて終戦を迎え帰国。祖国再建を念願とし全国行脚。その間神戸大学教授(七年)、海星女子大学教授(十六年)をつとめつつ執筆活動。全集三十三巻にまとめる。自ら全一学徒として生涯を了える。平成4年11月21日逝去(97歳)。 

ラベル:森信三
posted by miura at 12:32| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月03日

必読本 第436冊目 二宮尊徳一日一言―心を耕し、生を拓く

必読本 第436冊目

二宮尊徳.jpg

二宮尊徳一日一言―心を耕し、生を拓く

寺田 一清(編さん)

¥ 1,200 (税込)

致知出版社

単行本:213ページ

2007年8月10日 初版

 

●600以上の大名旗本家の財政再建および農村の復興事業に携わり、

「勤倹・分度・推譲」の思想を唱えた二宮尊徳。

その名言の数々を、「略解」付きで紹介する。

●最近、致知出版社は、「一日一言」本に力を入れている。

やはり、賢人哲人のエッセンスを効果的に吸収できるという

意味において、一般読者には非常に人気が高いし、

出版者的にも、相当の売上げを見込める、

ドル箱的存在なのであろう。

私もご多分に漏れず、「一日一話」本大好き人間で、

好きな作家のもの(中村天風、鍵山秀三郎など)は

事あるごとに読み返しております。

●そんな折、「一日一話」本の決定打とも

言える本が2冊同時に先月、出版された。

今回ご紹介する二宮尊徳と、その二宮翁を

終生愛して止まなかった、あの国民教育家、森信三氏の2冊である。

●二宮尊徳の名前を知らない方はまさかいないだろうが、

実際にその著書までじっくりと読んだ方は

よほどの勉強家以外いないだろう。

恥ずかしながら私も1冊も読んだことがなく、

その情けなさを埋めるべく、以前、二宮関連本を

急いで手にしたことがあったが、

(誇張ではなく)体に電流が走るような  

衝撃と感動を覚えたものである(必読本第281冊目参照)。

こんなすごい人だったのか、遅きに失したという

感想を持ったものだ。

●本書は、はじめに二宮翁の原文を載せ、

それに対して略解・注釈を寺田一清氏が

付けるという配置になっている。

色々な意見があろうかと思うが、

個人的には、寺田氏の解説を

前書きと後書きに配置し、原文の後方には

現代語訳を載せるだけの構成にした方が

随分とよかったかと思う。

各文末の寺田氏の解説はもちろん悪くはないが、

やはり現代人、特に若い人には、古文調の原文を

そのまま掲載されても、

すんなりと理解するのは困難である。

その点が実に惜しかった。

私が編集者だったら、絶対に私のプラン通りにしたと思う。

●しかし、その欠点を補って余りあるぐらいに、

二宮尊徳の教えは圧倒的な強固さと消えることのない輝きを持つ。

以前にも書いたと思うが、二宮翁は、

自ら鍬を担ぎ、種を蒔き、汗水たらして農業に力を注ぎ、

のみならず後年は、全国各地の財政再建、農地復興のために

尽力したという労働者、実業家、実践家としての側面と、

その日々の労働と不断の勉学の中から、

珠玉の教え、知恵、原理原則を数多く残したという、

啓発家、教育者、伝道者な面を両輪で

併せ持った、世界でも実に希有な存在なのである。

自分では大して体を動かさず、

ただ偉そうなことをベラベラと喋っている、

昨今の薄っぺらな「成功者」風情とは

月とスッポンの違いなのだ。

●本書冒頭で記されているように、

かつて、イギリスのサッチャー首相がひそかに二宮尊徳の教えを

自国の政治経済に活用し、強いイギリスを復活させたという

逸話まであるぐらい、他国の指導者や識者などからも

一目も二目も置かれる「日本の巨人」なのである。

サラッと一遍だけ読んだらおしまいにせず、

時間をかけて何度も読み込むに値する本だ。

約200年前に活躍された方だが、

全く色褪せておらず、現代人にも有用な内容ばかりで、

誰もが感嘆しないではいられない。

ハンディサイズで1,200円(税込み)という廉価もうれしいですね。


 

posted by miura at 12:32| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月26日

必読本 第369冊目 幸せになる法則

必読本 第369冊目

市川善彦1.jpg

幸せになる法則

市川 善彦(著)

¥ 1,680 (税込)

長崎出版

単行本: 214ページ

2007年5月30日 初版

 

●ダイヤモンドも磨かなければ光らない。

「幸せ」もあなた次第で「鮮やかに光り輝く」!

24歳で会社を興し、28年間無借金経営を続ける

小さくても強い会社の社長が教える「幸せ」を呼び込む30の法則。

●今個人的には一番注目している著者の最新刊。

過去の著作の中で、一際高価格のプレミアがついている本(こちらから)があるのだが、

残念ながら絶版になっていて、買おうか買うまいか

ずっと悩んでおりました。

そんな矢先、タイトルやカバーなど装いも新たに待望の復刊となりました。

カバーデザインのほんわかしたムードに、

よく見かけるような子供だましの成功法則本かと

一瞬思ったのですが、とんでもない。

この本、超すごいですよ!!

●基本的には、著者の半生を語った自伝というスタイルをとっている。

自己啓発的私小説といった感じの本。

自伝を下地として、著者が得た人生成功、幸せのための30個の法則を

時系列的に抽出していくといった内容。

例によって、文章はとにかく読みやすい。

あっという間に読破できる。

●悪人、善人との数々の出会いと別れ。

その中で著者が感じ取った処世術、

特に人間関係術が数多く挙げられている。

著者の名を一気に有名にした「半分の法則」なども当然

出てくるが、経営テクニック的なものは少ない。

しかし、3人の「母」や、恩師、勤務先での先輩などの

思いやりあふれる愛の教えには、教えられることが多い。

『がばいばあちゃん』的な人生訓が数多く読み取れる。

●しかし、つくづく思うのは、

著者自身何も悪いことをしているわけではないのに、

なぜこれほどまでの悲劇が連続して起こり続けるのか。

父の会社の倒産、最愛の母の急死、

全財産を詐欺師に取られる事件、絶縁した父からの身に覚えのない保証人騒動、

目に入れても痛くないほど溺愛していた3歳の娘の突然死など、

これでもかこれでもかというぐらいに

著者に試練がやって来る。

あたかも、神様からの容赦のない人生テストかというぐらい。

普通だったら、ヤクザやホームレス、ノイローゼになっていても

おかしくない試練や逆境を経験しても、

著者は絶対に負けない、自分から逃げない。

2年間無給でも、24時間ガードマンとして不眠不休で

働き続けても、とにかく前に進んでいく。

このあたりの著者の無限のパワーは誰もが勇気付けられる。

自分の悩みなんて屁みたいなものだと思い知らされる。

●今、いろいろな悩みをお持ちの若者、

特に、学校中退者、ニート、引きこもりの若者には

特にお勧めしたい1冊です。

映画化してもらいたいぐらいの本で、

読了後は、確実に感動と勇気をもらえる1冊です。

●最後に忠告なのだが、大手の書店でも、著者の本は

平積みにされているところは実に少ない。

要するに、一般書店などではあまり注目されていないのが現状だ。

今現在、内容的なレベルの高さでは、

群を抜いている作家さんの一人なので、

もっと大々的に宣伝していただくことをこの場を借りて、

お願いしたいと思います。

 

【著者略歴】

市川 善彦
日本ガード・サービス株式会社代表取締役。福岡大学経済学部非常勤講師。講演、年100回。1952年1月、長崎県佐世保市生まれ。中学の時、父の事業倒産を経験。地元県立高校に進むも中退し、単身上京。スーパー店員、書籍セールスマン、自衛官、警備員を経て福岡にJターン、24才で、警備保障会社を設立。社長就任。幾多の試練を乗り越え、現在自社ビル、社員寮を所有。完全無借金経営を達成。従業員120名を擁し、業績拡大中。資金繰り無縁の「小さな巨人」を自負する中小企業経営者である。「アリガタ経営論」「中真面目論」などユニークな経営理論を展開、現役経営者のみならず、2代目経営者を中心として若手経営者の支持が多い。

市川善彦さん ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/yobirin/

 

posted by miura at 18:27| 山形 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 自伝・一日一話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。