2012年01月12日

必読本 第1014冊目 社長が戦わなければ、会社は変わらない

必読本 第1014冊目

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社長が戦わなければ、会社は変わらない

金川千尋(著)

東洋経済新報社

¥1,470

単行本: 214ページ

2002年12月19日 新版



●八方ふさがりでも「活路」あり!

深刻な不況が続く業界にあって、7年連続で最高益を更新。

世界トップシェアのメーカーを米国で経営するなど、国際的に評価の高い「金川流経営」のすべて。

●昨年末にご紹介した(必読本第1011冊目参照)、信越化学工業社長の金川千尋さんの10年前に発売された本。

最近、タイトルも変え、内容も加筆されて改訂されたが、

それの元となった本である。

ちなみに、その本は、以前もチラリと書いたことがあるが、

昨年発売されたビジネス書の中では筆頭の名著という誉れである。

●「株式会社の経営者のボスは株主だけ」と、ドライな持論をいきなりぶったり、

GEのジャック・ウェルチを崇拝していたり、アメリカで事業経営をされていることもあり、

欧米流の、血も涙もない冷酷な経営者なのかと、初めての方は心配してしまうだろうが、

贅沢を嫌い、質素な生活を好む、

権謀術数を使い、人を陥れるような卑怯な手法を嫌悪し、人の恩義、人間関係を重視する、

山本五十六など、軍人などの生き方にヒントを見出すなど、

和洋折衷というか、西洋と東洋のいい面だけを効果的に吸収する、

バランスが非常に取れた経営者といった印象を受ける。

●増補改訂されたぐらいに定評があっただけのことはあり、

他にも、「金川流会社経営の極意」が、非常に単純明快に語られている。

少数精鋭主義、徹底した無駄の排除、

時流を先読みし、未来に備える、

是々非々、非合理的な守旧派の意見に屈しない、

人真似でなく、オリジナリティを持った経営感覚を養う、

海外でのビジネス成功の秘訣など、とにかく参考になる話が満載である。

●前回ご紹介した書もそうだったが、

とにかく文章が軽妙洒脱で読みやすいのも長所だ。

無駄を嫌う性格を反映しているのか、

ポイントが手際よくまとめられているので、

200ページの薄さもあり、読み始めたら一気に読破できる。

本書は、特に、斜陽産業でもがいている中小企業経営者におススメの書です。

新しい本をご希望の方は、既述の改訂版をご購入すればよいのですが、

内容的に大して古びてないので、本書でも十分満足できるかと思います。



【マストポイント】


@「会社の理念さえ正しければ、それだけでうまくいくのなら、

こんなに簡単なことはありません。

事業はそれほど甘くなく、予測不可能な事態が次々に起こり、

そのたびに臨機応変な対応を迫られます。

実際の事業のなかで経営者は試され、

それを乗り越えることで事業家としての手腕が磨かれます。

また、危機を乗り越えるにつれて、会社は強くなっていくのです。

現在の私は、常に最悪を想定して経営にあたっており、

このことは現代の経営者にとって必須の姿勢だと思っています」

A「日本企業が海外に出ると、よく国際性がないと言われます。

日本人が一番いけないのは、イエス、ノーをはっきりさせないことです。

そして、出来ないことでもあたかも出来るかのように言ってしまうことが、

トラブルを招いてしまうのです。

海外で仕事をするときには、

『出来るかどうかわからないけど、まあ、いいや、

出来ると言っておこう』という態度ではいけません。

出来ないときは、理由を明確にして、『出来ない』とはっきり言う。

これが大切です。

英語圏で、一度『出来る』と言ったことを実現できなかったら、

それだけでもうおしまいです。

決定的に信用を失い、二度と話を聞いてはもらえません」

B「(著者のことを信用し、ずっと重用してくれた元社長の)小田切さんと

私とは、経営者としての共通点がいくつかありました。

私もそうなのですが、小田切さんもだめな人はあまりあてにしていませんでした。

小田切さんは温厚で円満な人柄でしたから、

口に出してそういうことはおっしゃいませんでしたけれども、

だめな人は相手にしていませんでした。

小田切さんは人をよく見て、その人の実績を公平に評価し、

真価を正しく見抜く経営者でした。

その上で、真に有能な人だけを信頼していました。

もう一つの小田切さんと私に共通していることは、

オリジナリティを持っていたということだと思います。

小田切さんは、問題が起こったときに、

人に教わったことでも本に書いてあることでもなく、

独自の発想で解決していました。

その発想は、昔の経験から出るものもあれば、

まったくのひらめきから来るユニークなものもあったようです。

そんな独自の発想を総合して、事業を成功させるということです」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

金川 千尋
信越化学工業株式会社・代表取締役社長。1926年当時日本統治下の朝鮮・大邱生まれ。50年東京大学法学部卒業、極東物産(現三井物産)入社。62年信越化学工業に入社し、70年に海外事業本部長となる。78年塩化ビニール事業の海外子会社、米国シンテック社長に就任、塩ビ事業を世界最大規模に成長させた。90年シンテック社長と兼務で、信越化学工業の代表取締役社長に就任。2007年3月期決算では12期連続で最高益を更新。



ラベル:金川千尋
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2012年01月05日

必読本 第1013冊目 経営に終わりはない

必読本 第1013冊目

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経営に終わりはない

藤沢武夫(著)

文春文庫

¥490

文庫本: 235ページ

1998年7月10日 新版



●「おれは金はもってないけれど、金はつくるよ」

著者・藤沢武夫はこう言って本田宗一郎とコンビを組んだ。

単に一企業の儲けを考えるのではなく、社会的責任を全うするという愚直な道を選び、

なおかつ本田技研を二人三脚で世界的企業に育て上げた名経営者が、

初めて明かす、自らの半生と経営理念。

●新年あけましておめでとうございます。

今年も変わらぬご愛顧よろしくお願い致します。

新年2012年一発目の本は、

前から頭の隅っこで気になりつつも未読だった、

本田宗一郎を横で支えた名参謀、藤沢武夫さんの名著をご紹介いたします。

本書は、ビジネス書プロデューサーの土井英司さんの本で

かつて紹介されたこともあり、数年前に人気が再燃しました。

読書欲旺盛な方の中では既に読了された方も少なくないかと思います。

●本書の内容は、単なる無名の町工場の一つにすぎなかった本田の自動車工場を、

その本田の人柄や才能にほれ込み、

己の運命を託した藤沢武夫が、仕事人生を総括し、

かつ、本田技研をいかにして、

世界的企業にまで押し上げていったのかを熱く語った内容である。

●本書を読んでまず感銘を受けたのは、

本田も藤沢も、全く資金力がなかった創業時から、

金儲けよりも、ユーザーの安全性を最優先に考え、

仕事に携わっていたことである。

日本自動車産業の勃興期には、それこそ、

一山当てようという山師的な人間たちが、

車の安全性を度外視し、ただ売れればいいという安易な考えで、

欠陥車を大量に製造、販売していたはずである

(そして、そういう企業家の多くは、当然、この業界からは淘汰されていった)。

しかし、本田も藤沢も、起業当初から、

自分たちは、人々の命や安全を守る仕事をやっているのだ、

という意識が非常に高かった。

クルマ屋としての本分を絶対に忘れたりしなかった。

そういう大前提としてのモラルがあったから、何度も襲ってくる

企業としての危機においても、身を謝ることなく、

何とか乗り切ることが可能だった。

●また、それに勝るとも劣らず感銘を受けるのが、

幾度となく訪れる製品の致命的な欠陥を、

決して諦めることなく克服してみせる本田のエンジニア魂と、

門外漢である製造開発には一切口ばしを挟まず、

資金調達、生産調整、人事、組織改革など、

裏方屋に徹する藤沢の身のわきまえ方である

(これは、起業当初のアップル、

ジョブズとウォズニアックの関係性を彷彿とさせる)。

自分の強みにだけ特化し、弱いところは強い人に任せる。

役割分担を徹底し、任せた人のことは最後まで信用する。

我々凡人も決して忘れたくないことである。

●また、本田という一人の希有な天才創業者の力だけに

頼った企業であっては永続化しない、

第二、第三の本田を生み出すような企業であらねばならないという、

藤沢の考えにも心を打たれる。

終盤、その地位に恋々とすることもなく、

25年という区切りの時期に、

本田とともに潔く身を引き、後進へバトンタッチする場面なども、

映画のラストシーンを見ているかのような爽快感で、

本書の後味の良さを際立たせている。

●他にも、二輪車から四輪車への進出への経緯、

販売店をいかにして開拓していったか、

金融機関との付き合い方、

大量の社員や労働組合などの人心をいかにして掌握していったか、

海外進出の苦労話、研究所を独立させた意図、

国際カーレース出場や鈴鹿サーキット建設の舞台裏など、

ホンダ社史として読んでも、非常に有用である。

自動車業界以外の方が読んでも、多くのヒントを見つけることができる本。

やや古い時期に書かれたものだが、

その根底に流れている企業家精神はいささかも古びてはいない。

勇気が鼓舞されるという意味において、

新春に読むビジネス本として最適かと思う。


【マストポイント】

@「鈴鹿でみんなにいったことは、

帰りのお客さんの顔をよく見て商売しろ、ということでした。

つまらなそうな顔をして帰ったら、もう二度と来ない。

それが商売の鉄則だということですね」

A「なんといっても金には魅力、というより魔力があります。

しかし、金儲けをする能力ならば、本田宗一郎より私の方が上です。

しかも、私はやろうと思えばできないことはない地位にいた。

しかし、どんな場合にも本業以外で儲けることはやりませんでした。

個人でもやりません。株にだって手を出せないわけはないんですが、私はやりません。

自分の身のまわりはいつもきれいにしている。

だから、みんながついてきてくれる。

つまり、私が何をいっても安心していられるのは、

私の身ぎれいさ―それは金の問題に関してですが―

それが重要なポイントです。

そうすれば、私が苦しむときに、みんなにも苦しんでくれといえます」

B「本田って人は、自分が苦労をしているから、

人の分けへだてをしない人なんです。

白子工場をつくったとき、

まだ機械もろくに入っていないのに、

従業員の便所を水洗にして、石鹸を置かせたのは、本田です。

食べるところと同じように、出すところもまず清潔にしなきゃいけないというのです。

金がないときに、そこまでしてくれという。

そんなところが、皆をますます“本田かぶれ”にさせてゆくわけです」

(以上本文より。一部改変)


【著者略歴】

藤沢 武夫
1910年、東京生まれ。28年、旧制京華中学卒業。以来、丸二製鋼所、日本機工研究所長などを経て、49年、本田技研常務取締役、52年、専務、64年、副社長に就任。73年に第一線を退き、取締役最高顧問、83年取締役を退任。


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2011年07月08日

必読本 第994冊目 実践するドラッカー【思考編】

必読本 第994冊目

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実践するドラッカー【思考編】

佐藤 等[編著], 上田 惇生

¥1,575

ダイヤモンド社 

単行本: 251ページ

2010年1月28日 初版


●成長し続けるためには、どのような「思考」と「行動」が必要か。

成果をあげるために身につけるべき能力と心すべきポイントを整理した、

セルフマネジメント実践の書。

●昨年2010年初頭に発売されてから好評な売れ行きを示している、

「実践するドラッカー」シリーズの第1弾。

順番的に最も初めにご紹介するべきだったが、

図書館の貸出順序の関係で、最も遅くなってしまった。

第2弾、第3弾は既にご紹介済みですので、

是非ご覧下さい→(必読本第979冊目第992冊目参照)。

●何度も書いているように、1テーマ見開き2ページで、

文頭にドラッカーの名言を載せ、

その言葉に関する解説や気づきを簡潔に述べるという、

多忙な人には非常に使い勝手の良い作りになっている。

ドラッカー本を読みなれている人ならば、

軽快感を持ってドンドン読み進めていくことができます。

私は1時間弱で一気に読破できました。

例によって、章末には、書き込み式の「実践シート」が掲載されているので、

読みっ放しで終わることを防いでくれる。

●解説などで、最近話題の阪神タイガーズ、

QBハウス、駒大岩見沢高校野球部など、

身近なネタが例として挙げられているのも、とても参考になる。

解説文やコラムの中で取り上げられている

ドラッカーにまつわる雑学的なエピソードに関しても、

一般の人々にはあまり知られていないというか、

相当のドラッカーマニアでなければ知りえないような

ディープなネタが多く、読んでいてとてもタメになります。

●結論として言えば、

「経営者の条件」(必読本 第148冊目参照)、

「プロフェッショナルの条件」(必読本 第269冊目参照)などの、

個人の自己啓発、願望実現を特にテーマとしたドラッカーの基本書を

読み終えた後の、副読本、復習本して使用するには、最高の一冊だと思う。

ポイントを短時間でおさらいできるというか、

重要ポイントがすっきりとまとめられているので、

上記2冊を読了後早々に是非利用したい本である。

 

 【マストポイント】

@【ドラッカーの、「人生を変えた7つの教訓」】

○目的とビジョンをもって行動する―ヴェルディの教訓

○神々が見ている―フェイディアスの教訓

○一つのことに集中する―記者時代の決心

○定期的に検証と反省を行う―編集長の教訓

○新しい仕事が要求するものを考える―シニアパートナーの教訓

○書きとめておく―イエスズ会とカルヴァン派の教訓

○何によって知られたいか―シュンペーターの教訓

A「自由とは解放ではない。

責任である。楽しいどころか一人ひとりの人間にとって

重い負担である。

それは、自らの行為、および社会の行為について自ら意思決定を行うことである。

そしてそれらの意志決定に責任を負うことである」(産業人の未来)

B「強みを伸ばすということは、

弱みを無視してよいということではない。

弱みには常に関心を払わなければならない。

しかし人が弱みを克服するのは、強みを伸ばすことによってである」 (非営利組織の経営)

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

上田 惇生
ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶応義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、(財)経済広報センター常務理事、ものつくり大学教授を経て、現職。ドラッカー学会代表。

佐藤 等
佐藤等公認会計士事務所所長、ドラッカー学会監事。1961年函館生まれ。1984年小樽商科大学商学部商業学科卒業、2002年同大学大学院商学研究科修士課程修了。1990年公認会計士試験合格後に開業し、現在に至る。主催する(有)ナレッジプラザの研究会として「読書会」を北海道と東京で開催中。

ラベル:ドラッカー
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2011年07月02日

必読本 第992冊目 実践するドラッカー【チーム編】

必読本 第992冊目

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実践するドラッカー【チーム編】

ピーター・F・ドラッカー, 上田惇生, 佐藤 等

¥1,575

ダイヤモンド社 

単行本: 215ページ

2011年2月3日 初版


●メンバーのやる気にどうやって火をつけるか?

目標設定、評価測定、コミュニケーション、会議運営。

ドラッカー流チームマネジメントのポイントがわかる。 

●「実践するドラッカー」シリーズ第3弾。

今年2月に発売されたばかり。

空前のドラッカーブームもあり、売行きが好調だったのか、

シリーズ化されているようだ。

●今回の第3弾は、特に企業活動において、

チームを組んで仕事に当たる時に、ドラッカーの貴重な教えの数々を

どのように活用していけばよいのかを指南してくれる内容になっている。

既刊の2冊は、主に個人の自己啓発を念頭において出版された本だが

本書は、グループ、チーム全体が円滑に行動できることを

念頭におかれて執筆されている。

よって、チームリーダーのみならず、チーム全体で同時並行的に

読むと効果的かもしれない。

●以前ご紹介した本のように(必読本 第979冊目参照)、

文頭にドラッカーの名言を載せ、その後に、

編著者のシンプルな解説文を配置し、

いかにアクションを起こしていけばよいのかを

わかりやすく説明してくれる。

見開き2ページのコンパクトな作りもあり、

細切れ時間にチョコチョコ読むなど、多忙なビジネスマンには

非常に使い勝手の良い内容になっております。

●また、例によって、ドラッカー本を日々熟読して、己のビジネスに

効果的に活用している一般人の事例が豊富に記載されているので、

書物を読んでも読みっ放しになっている方々は、

是非自分で書き込みなどをするなど、徹底的に使い倒したいものです。

コラムにも有用なアドバイスが沢山記されております。

●一点気になったのは、ダイヤモンド社の本にしては非常に珍しいことですが、

突貫工事で完成させたためか、誤字脱字の類がとても多かったこと。

売れている本だからこそ、こういう凡ミスは厳に謹んでほしいものだ。

 

 【マストポイント】

@「仕事と労働(働くこと)とは根本的に違う。(中略)

仕事の生産性をあげるうえで必要とされるものと、

人が生き生きと働くうえで必要とされるものは違う」(マネジメント[エッセンシャル版]) 

A「聞け、話すな」(経営者の条件)

 (コミュニケーションを取りたいならば、口をつぐみ、聞くことが大事だということ)

B「最初から全員が賛成ということは、誰も何も考えてないことを意味する」

(経営者の条件)

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

上田 惇生
ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶応義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、ものつくり大学教授を経て、現職。ピーター・F・ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳。もっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会代表。

佐藤 等
佐藤等公認会計士事務所所長、ドラッカー学会監事。1961年函館生まれ。1984年小樽商科大学商学部商業学科卒業、2002年同大学大学院商学研究科修士課程修了。1990年公認会計士試験合格後に開業し、現在に至る。主催する(有)ナレッジプラザの研究会として「読書会」を北海道と東京で開催中。 

ラベル:ドラッカー
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2011年05月29日

必読本 第979冊目  実践するドラッカー【行動編】

必読本 第979冊目

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実践するドラッカー【行動編】

佐藤 等, 上田 惇生

ダイヤモンド社

¥ 1,575

単行本: 189ページ

2010年4月1日 初版

 

●時間管理、意思決定、目標管理、計画…成果につながる「行動原理」を身につける。

ドラッカー教授の教えを「理解する」「使いこなす」「習慣化する」、

成果をあげる人のワークブック。

巻末綴じ込み付録・1週間の成果がひと目でわかる時間管理シート付き。 

 ●多忙な現代人が、あまたあるドラッカー本の重要ポイントを、

現実の仕事や生活においていかにして実践していけばよいか。

時ならぬドラッカーブームを受け、

世の多くの読者の要望に応えるかのような形で発売された

「実践するドラッカー」シリーズの第2冊目。

●テーマごとに5つに分かれ、

各ページ冒頭にまずドラッカーの名言を載せ、

その言葉をヒントに、日々の仕事や生活をいかに改善、転換していけばよいのかを、

シンプルな文章で手際良く解説してくれる。

章末には読みっ放しで終わらないように、書き込み式の「実践シート」を用意。

ドラッカー本を既に活用されている先達者の参考例が隣のページに掲載されているので、

ドラッカーのありがたい教えを現実生活に落とし込めるよう、

是非徹底活用したい。

随所に挟み込まれたコラムも面白く読めるものが多い。

●最近、全国各地で、有為なビジネスマン達が集い、

ドラッカー本を中心にした読書会をよく開催しているようですが、

そのテキストとして使うには、格好の書物ではないでしょうか。

文章も平易で、200ページにも満たない分量。

ドラッカーの最高の教えの数々を効率的に吸収し、

ビジネスや人生において、抜きん出た成果を上げたいと

目論む方々には、非常に使い勝手の良い本かと思います。

もちろん、個人の独習用としてもおススメです。

 

 【マストポイント】

@「計画において重要なことは、明日何を行うかを考えることではない。

明日のために今日何を行うかを考えることである。(中略) 

我々は明日行う意思決定について計画しがちである。

楽しいかもしれないが無益である。

意志決定は現在においてしか行えない」(マネジメント<上>)

A「知識社会においては、継続学習の方法を身につけておかなければならない。

内容そのものよりも継続学習の能力や意欲のほうが大切である。

ポスト資本主義社会では、継続学習が欠かせない。

学習の習慣化が不可欠である」(ポスト資本主義社会)

B「やがて私は、一時に一つのことに集中して勉強するという自分なりの方法を身につけた。

(中略)すでに60年以上にわたって、一時に一つのテーマを勉強するという方法を続けてきた」

(プロフェッショナルの条件)

(手当たり次第学んでも、労力が分散し、成果に結びつかない。

集中して学ぶことで、ドラッカーは、生涯60余りのテーマを学び、

卓越した領域に達することができた)

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

P.F.ドラッカー[著]
20世紀から21世紀にかけて経済界に最も影響力のあった経営思想家。東西冷戦の終結や知識社会の到来をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの主な概念と手法を生み発展させたマネジメントの父。 著書に、『「経済人」の終わり』『企業とは何か』『現代の経営』『創造する経営者』『経営者の条件』『断絶の時代』『マネジメント』『非営利組織の経営』『ポスト資本主義社会』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』ほか多数ある。

上田 惇生
ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶応義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、ものつくり大学教授を経て、現職。ピーター・F・ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳。ドラッカー学会代表。

佐藤 等
佐藤等公認会計士事務所所長、ドラッカー学会監事。1961年函館生まれ。1984年小樽商科大学商学部商業学科卒業、2002年同大学大学院商学研究科修士課程修了。1990年公認会計士試験合格後に開業し、現在に至る。主催する(有)ナレッジプラザの研究会として「読書会」を北海道と東京で開催中。

 

ラベル:ドラッカー
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2011年05月10日

必読本 第978冊目 松下幸之助 成功の金言365

必読本 第978冊目

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松下幸之助 成功の金言365

松下 幸之助(著), PHP研究所(編集)

PHP研究所

¥ 1,890

単行本: 415ページ

2011年1月5日 初版

 

●運のない人を尊敬しているか、いい意味であきらめているか、

ジャマをしていないか、自分をさらけ出しているか…。

松下幸之助の類い稀なる成功体験から生まれた、人生と仕事と経営の知恵365を紹介。

●本年早々、松下幸之助の熱烈ファンや、

成功哲学本、一日一話本愛好家がよだれを垂らして喜びそうな、

松下幸之助本の決定打とも言える書物が発表されました。

既にご購入された方も多いかと思います。

PHPが相当の時間と手間をかけて完成させたことが

如実にわかる、『松下幸之助365の金言』です。 

巻頭の、直筆著者名入りの「成功するためには、成功するまで続けることである」の言葉が、

颯爽と読者を出迎えてくれます。

●1月から12月まで、月ごとに似たテーマの言葉に分類。

1月1日から12月31日まで、1ページに一話形式で、

松下の至言、名言をズラリと掲載する。

ページ下部には、『自問自答』と題して、当日の松下の言葉から、何を感じるか、

どのように行動に移せるかの、発想のヒントが付載されております。 

●タイトルから容易に想像されるように、

今大流行のドラッカーの同種の本(必読本 第346冊目参照)を相当意識して

作り込まれております。

構成的には、全く瓜二つで、

和洋2大巨人の金言集を併備し、交互に読むという楽しみ方もありえるでしょう。

●また、採用された言葉は、正式に書籍化された松下の著作からのみならず、

雑誌『PHP』などに掲載された何気ない片言隻語や、

一般には文字化されていない(だろう)松下の社員たちへの訓話、

インタビューなど、実に多彩である。

改めて、小学校も満足に卒業していない松下が、

会社経営のみならず、人生、健康、運命、お金、人間関係など、

あらゆる事象について、徹底的にその答えを考え抜き、

含蓄ある言葉を後世に残していることに驚かされます。

●斎藤一人さんの最近の言葉に酷似した名言が、

本書内いくつも散見されることも注目に値します。

一人さんの、松下からの影響度の強さが推察されますね。

巻末には10分でわかる松下幸之助の自伝がおまけ的についていて、

松下の実像に疎い読者にも非常に便利です。

●堅牢なハードカバーで、この充実した内容。

定価1,890円(税込)は出血大バーゲンとも言えるサービス価格と言って

間違いないでしょう。

個人的には、1万円にしてもおかしくないぐらいの内容が詰まっていると

文句なく断言できます。

身銭を切って、新刊で買ってもいいなと思えるビジネス本が

本当に少なくなったと嘆いていた今日この頃だったが、

本書は間違いなく食指が動く一冊です。

 

 【マストポイント】

@「苦しいこともありましょうが、苦しいこともよろしいと思うんです。

苦しまねばらなんと思います。

しかしその最後に、それに堕してしまってはならない、

苦しさだけに堕してしまってはならない。

そこでやはり何らかの境地をひらいて、そしてもう一ぺん立ち上がらないといかん」

A「ビジネスマンのいちばん大事な務めは愛されることである。

みんなに愛されないといかんですよ。

あの人がやってはるのやったらいいな、物を買うてあげよう、と、

こうならないといかんですよ。

そうやるには、奉仕の精神がいちばん大事です。

奉仕の精神がなかったら、あそこで買うてあげようという気が起こらない。

ビジネスマンはみんなに愛されるような仕事をすることである。

それができない人は、ビジネスマンに適さないです。

必ず失敗する、と、こういうことです」

B「金をルーズにすれば、何もかもルーズになるものです。

ですから健全にやっている会社なり商店は、

日ごろから金というものに比較的敏感で、集金についても

支払いについても実によく気をくばっておられるように思います。

商売の大小を問わず、いい経営をやろうと思えば、

集金でも、支払いでもキッチリとし、取引というものを

厳格にやらねばいけないと思います。

経営の姿勢というものが、誠実でそして正確である、

そういうところに、商売の大事なカナメというものがあるのです」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

松下 幸之助
1894年11月27日、和歌山県生まれ。1918年、松下電気器具製作所(のちに松下電器産業株式会社)を創立。1946年、PHP研究所創設、PHPの研究と運動を始める。1979年、(財)松下政経塾を設立、理事長兼塾長に就任。1989年、94歳で永眠。

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2011年04月14日

必読本 第973冊目 ドラッカー最後の言葉 (講談社BIZ)

必読本 第973冊目

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ドラッカー最後の言葉 (講談社BIZ)

P.F.ドラッカー(著), 窪田 恭子(翻訳)

講談社

¥ 1,000

単行本: 168ページ

2010年7月27日 初版

 

●世を去る4ヵ月前、ドラッカーが明快に語り尽くした日本の未来、人間の生き方。

いま何をすべきか。「新しい時代」を生きる希望のメッセージ。

●かつてご紹介したドラッカーの本(必読本 第68冊目 参照)の再編集版。

 安価なソフトカバー版で、装いも新たに昨年夏に発売されました。

大概のドラッカー関係の本はダイヤモンド社から発売されますが、

指をくわえてこのドラッカーブームを見守っているわけにはいかないとばかりに、

講談社から商魂たくましく復刻されました。

●内容的には、亡くなる直前、日本のジャーナリストのインタビューに答えたものが、

テーマ別に分けられている。

簡潔なメッセージが、1ページに一つの割合で割り振られており、

あたかも名言集のような作りとなっておりますので、

気軽な気分でスイスイと読み進めていくことができます。

●日本がここ十数年に陥った停滞期を、危機ではなく、移行期なのだと喝破した点、

アジアの新リーダー、中国とインドと日本はどう付き合うべきか、

そしてその両国がどのようなポジションで世界に台頭してくるか、

金融や製造などでは世界をリードしているが、

日本は情報経済に乗り遅れないようにしなくてはならない、

日本語の特異性、成果を上げるためにはどのようにすべきか、

知的労働者、リーダーはいかにあるべきかなどなど、

非常に薄い本の中に、これからの不確定な未来を生きていくための

指針、ヒントが凝縮されております。

100歳近い最晩年の時に、体は当然やや不自由ながらも、

これほどまでの明晰さで、現状分析、未来予測をしてみせるというのは、

さすがドラッカーである。

●前回の本とほぼ同内容だが、

巻末には、ドラッカーの来歴と、その人となりを解説した箇所が

付属している。

この部分は、ドラッカーの全体像を知る上では非常に有用で、

初心者には大いに参考になるはずである。

ドラッカーの本は、ある程度の心の準備をもって着手しなければならないような

重厚難解なものが少なくありませんが、

前述したように、雑誌を読んでいるかのような気軽さで、

大事なポイントを押さえられる、非常に便利で得難い本です。

 【マストポイント】

@「この十数年間、『日本が危機的状況に瀕している』という言われ方が

幾度となく繰り返されてきました。

―明らかな間違いです。

日本が直面しているのは危機ではなく、

時代の変わり目=移行期なのです。

日本がいますぐ取り組まねばならない課題―それは、時代が変わったことを認め、

その変化に対応していくための意識改革です」

A「私たちはいま、転換期に生きています。

ところが、多くの人々は、そのことを理解していません。

変化は予測できず、理解することも困難で、

みなが考える常識に反する形で起こるからです。

しかし、変化した現実に考え方をすり合わせていく過程にこそ、

好機は訪れます」

B「かつて、ある有名誌がドラッカーに訊ねたことがあります。

『暇な時はどういうふうに過ごされるのですか』

ドラッカーは返したものです。

『暇な時とは、どの暇のことだ?』」 

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

P.F.ドラッカー[著]
20世紀から21世紀にかけて経済界に最も影響力のあった経営思想家。東西冷戦の終結や知識社会の到来をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの主な概念と手法を生み発展させたマネジメントの父。 著書に、『「経済人」の終わり』『企業とは何か』『現代の経営』『創造する経営者』『経営者の条件』『断絶の時代』『マネジメント』『非営利組織の経営』『ポスト資本主義社会』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』ほか多数ある。



ラベル:ドラッカー
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2011年04月09日

必読本 第971冊目 平田牧場「三元豚」の奇跡

必読本 第971冊目

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平田牧場「三元豚」の奇跡 

新田 嘉一(著)

潮出版社

¥ 1,470

単行本: 189ページ

2010年11月5日 初版


●どん底に落ちて丸裸になって初めて、成功の扉は開かれた。

平牧三元豚・平牧金華豚をはじめ、

日本初の完全無添加ハム・ソーセージの開発、生産と流通の一体化によるコストダウン、

さらに銀座、日本橋、東京ミッドタウンなど行列のできるレストランの展開まで、

地方発のビジネス・モデルをこの1冊に凝縮。

●私の出身地である山形県酒田市を代表する企業にして、

日本有数の豚肉のトップブランド。

又、独自の生産と流通の仕組みを確立し、

地方を活気づける象徴的な企業として

各種マスコミなどでも頻繁に取り上げられることが多い、平田牧場。

その創業者である新田嘉一氏の、ほぼ初めての著書。

昨年、テレ東『カンブリア宮殿』などに出演し、一気に名前が全国区になった新田氏だけに、

名だたる出版社から本執筆のオファーが殺到したと予想されるが、

なぜか学会系の出版社から出された。

そのあたりの経緯は全く不明。まあ、瑣末なことですが・・・。

●内容的には、幼少期の生い立ちから、

養豚事業に着手するきっかけ、

日本一美味しい三元豚や無添加ウインナーを開発成功するまでの、

血がにじむような苦闘、

流通の王様ダイエーとの取引で全国的に急拡大するも、

非人間的な仕打ちの数々に遂に関係を解消。

独自の流通の道を開発する話などなど、

今現在の何不自由ない栄華からはとても想像できないほどに、

数々の苦難、辛酸を経験しつくしていることにまず驚かされる。

●新田氏は、山形県人ならば知らない人がいないぐらいの

県を代表する有名人だが、

松本清張のような分厚い唇とギョロ目が印象的で、

ほとんど笑顔を見せることがなく、いつも

不機嫌そうというかぶっきらぼうな表情でいる方で、

あまり好ましいイメージを抱いている方は少ないかもしれない。

しかし、本書を一読すると、その先入観が一掃される。

エゴとは無縁で、利他の精神や使命感が非常に強い方なのである。

●空港も高速道路も整備された港もない「陸の孤島」酒田市の未来を憂い、

自ら行政に陳情に行ったり、気前よく多額の自己資金を供出したりなど、

 非常に郷土愛溢れる人だということがわかる。

向学心に溢れていたが、周囲の理解を得られず、

大学進学を断念した苦い過去があるだけに、

地元初の4年制大学の創設、美術館や歴史的建築物の新設、再生など、

アカデミックな分野にも並々ならぬ貢献を果たしている。

本文中、資金繰りに幾度となく苦しめられ、

同業者の中には、自ら命を断つ者まで少なくなかった中、

すんでのところで救われ、生き延びることができたのは、

やはり、エゴのためでなく、地元や従業員を幸せにしたいという

崇高な精神があったからこそではないかと思い知らされる。

●飛ぶ鳥を落とす勢いだった中内ダイエーが、

実際には、取引業者に非常識な値引きや非人間的な対応を繰り返すような

傲岸不遜な輩が多く、遂には破綻までいったという事実は、

クロネコヤマトが三越と絶縁し、鍵山さんのイエローハットが、

テナントとして入っていたスーパーの酷い仕打ちに耐えかねて

撤退した例を出すまでもなく、大いに心に刻んでおきたいことでもあります。

諸行無常。奢れる者は久しからず。

人を泣かせて得たようなお金や幸せは、永続しないということです。

●数々の苦難もものともせず、

一代で企業帝国を築いた経営者の自伝は、

やはり文句なく元気が湧いてきます。

絶対不可能と言われた添加物なしのウインナーを見事開発させたエピソードなど、

新商品開発という意味でもヒントになる点が多い本です。

地元の人間にも関わらず、氏に関して知らなかった事実も多く、

灯台元暗しというか、先入観だけで人を判断してはいけないという

反省も得ました。

何かと暗いニュースばかりが報じられる山形県や東北地方の方々にも

是非手に取っていただきたい名著です。

 

 【マストポイント】

@「私は今までに一度たりとも勤め人になろうと考えたことがない。

人から使われるのは、死ぬほど嫌だった。

他人の後塵を拝すということに耐えられない性格なのだ。

それこそ、小学、中学と学校からの帰り道でも、

まるで競うようにして先頭を走ってきたものである。

何ごとも自分のペースに持っていき、

他人の言うことには従いたくない。

これはこれで反省するところはたくさんあるのだが、

それで70数年も生きてきたのだから、しようがない」

A「私は、平田牧場を始めた頃は、『お願いします』の一言が言えなかった。

取引相手に、『ありがとう』と口にすることもできなかった。

しかし、借金、従業員への給与など、経営者が陥るような、

胃の痛くなるような悩みなど、どん底に落ちて初めて、

やっと『ありがとう』と言えるようになった。

流通で、痛い目に遭い、死のうかと思い悩むところまでいって、

初めて『お願いします』と頭を下げられるようになった。

もっと早くから、そのことに気づいていればよかったと、

随分と後悔したものだ」

B「自分自身、あちこちにお金をばらまいているのに、

会社がちゃんと残っているのは不思議で仕方ない。

結局は、儲けとか利益を一切考えないできたからだと思う。

商売につなげようとか、格好つけようとかではない。

社会にとって必要なお金、使うべきお金は、

使ってもあとで必ず戻ってくるし、時には向こうからやってきた。

それにもともと、雨露をしのげる家があればいいという信条もあった。

子供のころに、どん底に落ちた苦しみを知っているから、家なんて住めればいいのだ。

今の若い人に言いたいのは、『いい車に乗りたいとか、いい生活したいなんて、

どうでもいい』ということである。

なぜなら、自分の生まれた場所を幸せにできない人が、

自分を幸せになどできないからだ。

一回はどん底に落ち、一回は裸になりなさいと、私はよく言う。

その時初めて、格好つけているだけでは人生は華開かないということが、

胸にストンと落ちるはずだと思う」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

新田 嘉一
1933年山形県平田町(現・酒田市)生まれ。山形県立庄内農業高等学校を卒業後、養豚を始める。1967年に平田牧場を設立し、無添加ハム・ソーセージなどの食肉加工品の製造販売を開始。70年代に「平牧三元豚」を開発し、豚肉のトップブランドに育て上げた。一方で酒田商工会議所会頭などを歴任し、地域経済の発展や対岸貿易推進に貢献。99年に会長に就任。現在は同社会長のほか、東方水上シルクロード貿易推進協議会会長、東北公益文科大学の理事長なども務めている。



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2011年03月26日

必読本 第968冊目 ドラッカー名著集7 断絶の時代

必読本 第968冊目

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ドラッカー名著集7 断絶の時代

P.F.ドラッカー(著), 上田 惇生 編訳(翻訳)

ダイヤモンド社

¥ 2,520

単行本: 402ページ

2007年7月13日 初版


●1960年代末、地震の群発のように社会を襲い始めた激動。

その原因は地殻変動としての断絶にあるといち早く警鐘を鳴らし、

現代社会最高の哲人としての名を不動のものにした名著。

グローバル化、知識社会などについて論じる。

●2005年、ドラッカーの死後、「名著集」としてシリーズ化された中の一冊。

この赤の豪華な作りの本は、帯に名だたる有名人の推薦文があり、

相も変らぬドラッカーブームもあって、図書館では、

主要な本はほぼ貸し出し状態になっているのだが、

やや人気が劣るマイナーな本ということもあって、手つかずで書棚にあった。

ちょっと分厚かったので時間がかかったが、

今週一週間をかけてじっくりと読んでみました。

●本書は1969年と、今から40年以上も前に書かれた古い本。

ドラッカーによれば、政治、経済をはじめとするあらゆる分野で

価値観の転換、パラダイムシフトが起こり、これを本書のタイトルである

「断絶」と名付けているのだが、

このダイナミックな変化は、

1965年にはじまって、2025年頃まで続くという。

●この間に必然的に起きる諸々の現象として、

ドラッカーは、以下のような事態を予測している。

これまでになかったような新産業、新企業の誕生、

経済のグローバル、学問としての経済学の無効性、

ITの発達によるコンピューター社会、

公営企業の民営化、組織社会、多元化社会、

肉体労働から知識労働への移行などなど。

今日ほぼ一般的に見られる現象を、ほぼ間違いなく言い当てているのは、

さすがドラッカーである。

●章立ては、大きく、「企業家の時代」、「グローバル化の時代」、

「組織社会の時代」、「知識の時代」と4つに分かれるのだが、

最終「知識の章」を除いて、正直、かなり難解というか、

初学者には読みづらい部分が多いはずである。

途中で断念しそうになったら、最も有用な記述が多い

「知識の時代」だけでも読んでいただきたい。

ここは、ドラッカーの名言集でも数多く採用されるほど、

目からうろこの名言を非常に数多く見出すことができる。

教育、知識、大学などを考える上で、大いにヒントになるはずである。

内容も比較的平易だ。

●冒頭記したように、今回ご紹介した赤の名著集シリーズは、

心あるビジネス人ならば、すべて購入して自宅に常備し、

事あるごとに読み返すようなことをしなくてはならないのですが、

様々な事情もあってなかなか全シリーズを読破するのが難しいはずだ。

私も、できるだけ時間を作って、又ご紹介できればいいなと思っております。

地震の影響で、NHKの「もしドラ」も放映が延期になったようですが、

早く無事に放映してもらいたいものです。

 

 【マストポイント】

@「先を見通すことがリーダーの仕事である。

世の中が勝手に間違った道へ進んだという言い訳は通じない。

正しい道を見つけ、そちらへ人をリードすることがリーダーの役割である」

A「無数の選択肢を前にした若者が答えるべき問題は、

何をしたらよいかではなく、

自分を使って何をしたいかである。

すなわちいかなる役に立つかである。

そこには人は自らについて責任をもつとの了解がある」

B「人とは、行動するとともに認識する存在である。

習慣的な存在であるとともに内省的な存在である。

この両者が合わさったものが知識である。

言い換えるならば学べることは教えられず、

教えることは学べない。

しかも、教えられて初めて学ぶことができるようになる。

同時に、学ばなければ教えられるようにはならない」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

P.F.ドラッカー[著]
20世紀から21世紀にかけて経済界に最も影響力のあった経営思想家。東西冷戦の終結や知識社会の到来をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの主な概念と手法を生み発展させたマネジメントの父。 著書に、『「経済人」の終わり』『企業とは何か』『現代の経営』『創造する経営者』『経営者の条件』『断絶の時代』『マネジメント』『非営利組織の経営』『ポスト資本主義社会』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』ほか多数ある。

上田惇生[編訳]
ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、(財)経済広報センター常務理事、ものつくり大学教授を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、ドラッカー自身から最も親しい友人、日本での分身とされてきた。著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー学会代表。  

ラベル:ドラッカー
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2011年03月03日

必読本 第961冊目 [英和対訳]決定版 ドラッカー名言集

必読本 第961冊目

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[英和対訳]決定版 ドラッカー名言集

P.F.ドラッカー(著), 上田 惇生 編訳(翻訳)

ダイヤモンド社

¥ 1,575

単行本: 280ページ

2010年12月9日 初版


●経済学の巨人が後世に託したメッセージは何か。

ドラッカーの膨大な名言から120本を精選。

和文と英文で掲載し、それぞれの原書タイトルとそのページ数を付す。

キーワード索引も収録。

●相も変らぬドラッカーブームの中、昨年末に発売された氏の名言集。

地元の図書館で、新刊にもかかわらず、なぜか手つかずで

残っていたので借りて読んでみました。 

●本書の構成は一風変わっている。

英書のように、左ページからめくるスタイルになっていて、

見開き2ページで、左に日本語訳、右に元となった原書の英訳が

配置され、膨大なドラッカーの書籍群の中から、テーマ別に

心に残る名言を120個精選し紹介するという流れになっている。

名言の選者には、翻訳者の上田さんのみならず、ユニクロ柳井正さん、

コピーライターの糸井重里さん、「もしドラ」の岩崎夏海さんなども参加されている。

●本の評価としては・・・・うーん・・・カラいものとならざるを得ない。

中身を見ずにネット書店で注文した方などは、

届いてみてから、アチャーと、少なからず失望感を味わったはずだ。

なぜなら、やはり、収録されている名言が120個と、

圧倒的に少なすぎることがまず挙げられる。

あっけないぐらいの短時間で読破できてしまうのだ。

長きの使用に耐える名言集を求めるなら、いまだに根強い人気を誇る

『ドラッカー365の金言』(必読本 第346冊目参照)の方が

ボリュームがあり、断然おススメである。

●それと、英語がネイティブではないドラッカーの、シンプルでわかりやすい

英文を味わって、英語学習の用に供してもらいたいという意味で

わざわざ原著の英文を右ページに掲載してくれているのだが、

いくら世間の大企業が英語公用語路線を採用しているという風潮があるとはいえ、

ハッキリ言ってあまり役に立つとは思えない

(ただ、名訳として定評のある上田さんの実際の訳出方法を

知ることができるという意味では、有用ではある)。

●最も旬な時期で、出せば売れる「打ち出の小づち」のようなドラッカー本。

ダイヤモンド社が、この機を逃すまじとの逞しい商魂を持って

出したのでは?と勘ぐりたくさえなる。

あまり批判めいたことは言いたくないのだが、

ソフトカバーで1,000円キッカリぐらいだったら買ってもよいか・・・。

 

 【マストポイント】

@「社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力をもつ。

企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、

社会と経済が、その企業が必要にして有用かつ生産的な仕事をしていると

見なすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない」(マネジメント【エッセンシャル版】) 

A「チェンジ・エージェントたるための要点は、

組織全体の思考態度を変えることである。

全員が、変化を脅威でなくチャンスとして捉えるようになることである」(ネクスト・ソサエティ)

B「変化はコントロールできない。

できることは、その先頭に立つことだけである」(明日を支配するもの)

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

P.F.ドラッカー[著]
20世紀から21世紀にかけて経済界に最も影響力のあった経営思想家。東西冷戦の終結や知識社会の到来をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「民営化」「ベンチマーキング」「コアコンピタンス」など、マネジメントの主な概念と手法を生み発展させたマネジメントの父。 著書に、『「経済人」の終わり』『企業とは何か』『現代の経営』『創造する経営者』『経営者の条件』『断絶の時代』『マネジメント』『非営利組織の経営』『ポスト資本主義社会』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』ほか多数ある。

上田惇生[編訳]
ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、(財)経済広報センター常務理事、ものつくり大学教授を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、ドラッカー自身から最も親しい友人、日本での分身とされてきた。著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー学会代表。 
 

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2011年02月15日

必読本 第956冊目 柳井正 わがドラッカー流経営論

必読本 第956冊目

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柳井正 わがドラッカー流経営論

NHK「仕事学のすすめ」制作班(編集)

¥  998

日本放送出版協会

単行本: 92ページ

2010年1月25日 初版


●NHK「仕事学のすすめ」から生まれた本。

「顧客の創造」「知識労働者」…ユニクロ躍進の原動力、そこにはドラッカーの教えがある。

●2009年に、勝間和代さんをナビゲーターにして放送されたNHK教育の「仕事学のすすめ」。

その中で、ユニクロ柳井正さんが、自社の経営にドラッカーの書物をどのように

活用してきたのかを語った回が何回に分けて放送されたのですが、

その放送分を元に書籍化された本。

最近読んだ柳井さんの近著(必読本第946冊目参照)に感銘を受けたので、

続けざまに図書館から借りて読んでみました。 

●まず驚かされるのが、柳井さん自身の、ドラッカーの書物にびっしりと書き込まれた、

メモ書きの多さ、細かさである。

ただ通読するだけの上っ面の読書法ではなく、

徹頭徹尾、本の内容を現実の場で実践やろうという意気込みがヒシヒシと伝わってくる

(ユニクロの東京本社社内には、『ユニクロ文庫』という図書館があって、

そこにはドラッカーの書物群が揃っているということも紹介されている)。

ごく平凡な若者だった柳井さんが、

父親の会社に入社し、実質的な総責任者として経営を任された後に、

どのようにしてドラッカーの書物(更に、もう一人の尊敬者である

松下幸之助の本といかにしてつきあっていったのかも同時に語られております)を次々と読みこなし、

今の巨大なユニクロ帝国を築き上げて行ったのかが非常に明快に語られております。

最近ブームのドラッカー本の読みこなし方を知る上で、非常に参考になるはずです。

巻末には、勝間さんのドラッカーとの出会いと、その書物の活用例も記されておりますので、

併せて参考になさるとよろしいでしょう。

●1,000円にも満たない安い本ですが、

ドラッカー本人や原著の貴重な写真が何枚も掲載されていたり、

プロフィール、略年表なども手際良くまとめられていたりと、

最近ドラッカーを読み始めたばかりの初心者には、

難解なドラッカー本の副読本、ガイドブック的な使い方が出来る本だと言えます。

同時に、ユニクロの社内の取り組み

(障害者と匠の技を持っている熟練労働者の雇用の話が非常に参考になる)や、

ヒット商品など、過去の有名な出来事が豊富に紹介されているので、

一企業としてのファーストリテイリング、ユニクロ自身を知る上でも有用な本です。

 

 【マストポイント】

@「ぼくのことを『カリスマ経営者』のようにイメージしている人もいらっしゃるようですが、

経営者がカリスマになってはいけないと思うんです。

だってカリスマ経営者が黒いものを『白』だっていえば、

みんなそれが間違っているとわかっていても『白』だっていうわけでしょ。

いくら経営者が『白』だといっても、

『いや違います。これは黒です』といえるような組織じゃなくてはいけない。

経営者は完璧ではなく、失敗ばかりしているくらいの方が本当はいいんです。

そういう経営者の下で働く人たちは

『社長の代わりに自分たちがしっかりしなけりゃ』と考えるようになりますからね」

A「何もしないうちから、『これは私にはできない、できそうもない』なんて言う人は

最初からプロになることを放棄しているとしか思えないですね。

できなかったことを、できるようにするためには、

もっと自分に期待することが大切なんです。

自分に期待するということは理想をもつということです。

これは若い人に限ったことではありません。

40歳でも50歳でも、自分に期待して謙虚になれば、

いくつであっても、できないなんてことはないはずです」

B「不思議なことに長所を伸ばしていくと、

欠点というのはどんどん消えていくんですよ。

人間は長所を褒められると、欠点をカバーしようという気持ちが自然に芽生えてくるといわれますが、

それは企業に関しても同じで、企業の優れた部分をより強固にしようと考えると、

欠点はやがては隠れて見えなくなっていくんです。

だから今後も失敗を恐れることなく、新しいことにどんどんチャレンジしていくつもりです」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

柳井 正
1949(昭和24)年山口県生れ。(株)ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長。早稲田大学政経学部経済学科卒。父親の経営する小郡商事に入社後、’84年にカジュアルウエアの小売店「ユニクロ」第一号店を広島市に出店。同年社長に就任。’91(平成3)年、社名をファーストリテイリングに。’98年の原宿出店でフリースの大ブーム。’99年、東証一部上場。2005年11月には同社を持ち株会社に移行させ、海外のブランドなども傘下に収めるグループ企業へと変貌させた。

ラベル:柳井正 ユニクロ
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2011年01月15日

必読本 第946冊目 成功は一日で捨て去れ 

必読本 第946冊目

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成功は一日で捨て去れ

柳井 正(著)

¥ 1,470

新潮社

単行本: 238ページ

2009年10月15日 初版


●ユニクロは、いかに「最大の危機」に対峙し、世界一を目指す組織を作り上げていったのか?

その「安定志向」が会社を滅ぼす―現状を否定し、社内改革への挑戦を続けるユニクロ。

経営トップが明かす悪戦苦闘の記録。 

●この大不景気の世の中、数少ない「勝ち組」企業として世間の注目を浴び続けるユニクロ。

その総帥である柳井正の、2004年から2009年までのユニクロの取り組み、自らの思いを

忌憚なく綴った奮闘記である。

大ベストセラーになった「一勝九敗」が2003年に出版されましたので、

その後のユニクロの成長ぶりを知るには格好の書物です。

●自ら筆を取ったのか、口述したものをライターが改めて文字に起こしたものなのか

定かではないが、とにかく文体は流麗で読みやすい。

240ページあまりだが、内容の面白さもあって、読み始めたら一気に読破できる。

柳井さんは、あまたのビジネス本を渉猟する読書家としても有名ですが、

最近話題のドラッカーや、松下幸之助、藤田田などの本から、

どのような知恵を吸収してきたのかを綴った個所が何か所も出てきますが、

有名人のビジネス書の活用の仕方を知る上で、非常に参考になります。

柳井さんは朝7時に出社し、夕方5時には退社するというタイムスケジュールであると

本文にありますが、無駄なパーティーや接待などに出ることを嫌い、

帰宅後は一人静かに読書することを好むような習慣が定着しているのでしょう。

そうでなければ、これほど多忙な人が、日常的に数多くの書物を読みこなすことなど出来ないはず。

●「安定」を目指した時点で衰退につながるという信念のもと、

著者はM&Aを大胆に展開したり、一つの大ヒット商品に安住せず、次のヒット商品を模索し続けたりなど、常に前進を続ける。

人材の育成、ヒット商品の出し方、立地や店舗開発、ライバル企業との攻防戦、海外展開の仕方など、

我々中小の人間にもヒントになる話が満載です。

●テレビなどでその姿を拝見すると、笑顔をほとんど見せず、

クールに物事を評価、処理していく冷徹なタイプの経営者に見えることが多いですが

(この点、親交の深いソフトバンク孫正義さんが表情豊かなのとは対極に位置するでしょう)、

 失敗した点、ダメだった点も包み隠さず素直に開陳し、

ヒット商品が出たり、世間一般から見たら業績が絶好調の時であっても、

決して有頂天になったりせず、冷静に事態の推移を観察するなど、

やはり、タダモノではないなと驚嘆させられます。

それ相当の年輪を重ねた経営者だけのことはあり、

ポッと出のIT若手経営者などは及びもつかないような深い知識と経験が蓄積されているなと

思わされますね。

●この本は、2009年と、ちょっと前に出た本ですが、

今の時節に合っているなという意味で、是非指摘しておきたいことが、

各章の末尾に、2004年から2009年までの、正月に全社員に向けて送るという

「新年の抱負」が掲載されているということ。

これは、別にユニクロ関係者やアパレル業界の人に限らず、

非常に元気を与えてくれるもので、正月ボケ、普段のだらけた生活に逆戻りしている人には

是非精読していただきたい。

手綱を締め直そうという気持ちに間違いなくさせられます。

巻末の社訓や略年表も、ユニクロの全体像をおさらいするという意味で

是非有効利用したいものです。

柳井さんの本は、今まで、あまり読んでこなかったのですが、

かなり肌に合いそうな感触を得たので、これからも続々と紹介する予定です。

 【マストポイント】

@「日本の経営者は『会社は社員のためにある』と言う人が結構多い。

これは本末転倒である。また、アメリカの経営者は『会社は株主のためにある』とよく言う。

これもあり得ない。

やはり会社は『お客様のため』に存在するのが本質だ。

株主のためや社員のため、もっとひどいのは経営者のため、そんなことはあり得ない。

会社というのは、お客様に商品を売り、サービスを提供して、それに対しお客様がおカネを払ってくれる、

収益という見返りを得る受益者である。そこに会社の役割と意味があると思う。

いま世の中全体が不景気のせいもあるが、元気のない経営者が多い。

他人のせいばかりにして経営者自身がまったく動こうとしていない。

お客様のために何ができるかを常に一生懸命考えて、自らが率先してひるまず実行するべきだ」

A「我が社には、成功の方程式なるものはまったくないばかりか、

現場主義を徹底的に磨きこむという地道な作業が尊ばれる。

社員ひとりひとりがもっとよく考えて、すぐに実行していくという経験値の積み重ねのようなものが、

現状のブレークスルーにつながっていく。

よく、机上の空論で、いろいろなことを分析したり論理的に考えたりするけれども、

それが上滑りすると、結局ブレークスルーはしない。

感情の生き物としての人間である社員が、苦しんで、苦しんで、苦しんで、

その挙句に最終的にやっとブレークスルーするものなのだ」

B「企業経営は、何でも実際にやってみないと分からないことが多い。

完全なものができるまで待っていたら、何にもできない。

自分の会社や事業として、単純に『こんなことがしたい』のではなく、

常に『どうあるべきか』を考えて決断しなくてはならない。

多くの人が、自分に果たしてできるのだろうか、自分には能力がないのではないか、

こんなことよりも自分は別のことをしたほうがいいのではないか、などと思い悩む。

それで大失敗するのだ。

世間とか世の中は自分よりももっとずっと大きな存在なので、

自分の都合などは聞いてくれない。

社会的に必然性がなければ失敗する。

社会がその事業を要求するから成功するわけで、本当は何も思い悩む必要などないのだ。

やってみて失敗だったと気づいたら、それを素直に失敗と認め、すぐに変更していけばいい」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

柳井 正
1949(昭和24)年2月、山口県宇部市生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。ジャスコを経て、72年、父親の経営する小郡商事に入社。84年、カジュアルウェアの小売店「ユニクロ」の第1号店を広島市に出店し、同年社長に就任する。91年に社名をファーストリテイリングに変更。94年広島証券取引所に上場し、97年東証第2部に上場。99年2月には東証第1部に上場を果たした。2002年11月に一旦は代表取締役会長となるも、05年9月、再び社長に復帰する。

 

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2011年01月06日

必読本 第945冊目 自分でパパッとできるはじめての飲食店開業&経営 (CD-ROM付)

必読本 第945冊目

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自分でパパッとできるはじめての飲食店開業&経営 (CD-ROM付)

TRM繁盛経営研究所 斉藤俊成(著)

¥ 1,890

翔泳社

単行本: 288ページ

2008年7月14日 初版


●開業&経営に必要なノウハウを1冊にまとめた。

本書は、「基礎知識編」「開業編」「経営編」「店舗改善&2号店編」の4部構成。

初心者にも分かりやすいように、各フローでやるべきことを順を追って解説している。

また、損益計算書や顧客アンケートなど、開業&経営に役立つ帳票245点をCD‐ROMに完全収録。

●近年発売された飲食業開業本の中では、特に評価が高い本。

3年前の本だが、アマゾンでも高い人気を維持している。

著者のHPによれば、中国語訳され、台湾でも発売されているとのこと。

●冒頭記したように、全体は、「基礎知識編」「開業編」「経営編」「店舗改善&2号店編」の4部構成に

分かれ、個人が飲食店を開業、経営するためのポイントが丁寧にまとめられている。

開業前の準備から実際に開業までこぎつけるまでの内容が順序立てて解説されているので、

飲食店経営に必要なノウハウを過不足なく押さえることができる。

欄外のコラム、図表類にも有用な情報が散りばめられている。

●一通りパラパラとめくってみればわかるが、

これ以上何の知識が必要なの?と言えるぐらいに情報量は圧倒的で、

下手なコンサルタントに頼むよりも、

本書を熟読した方がよっぽど効果があるのではと思わされる。

飲食店で必要になる各種帳票類が満載されたおまけのCD−ROMもお得で、

これで定価1,890円(税込)は超バーゲン価格である。

著者は、今のところ、これ一冊しか著書を出していないようだが、

こんな秀逸な本を出版してしまったら、自分へのコンサルティングの依頼が

来ないんじゃないかと、余計な心配をしてしまうぐらいに完成度の高い本だ。

●類書と比べると、情報が比較的に新鮮にもかかわらず

長きに耐える普遍性を持っていること、

膨大な内容にもかかわらず、まとめ方が良くて読みやすいこと、

必要な知識が一冊に凝縮されていて、読書する時間が少ない人に

向いていることなどの理由で、

飲食店開業希望者は絶対に買うべき一冊。

事典的な使い方をしがちな本だが、

繰り返し読み込んで、いちいち本書の内容を参照しなくてもよいぐらいに

頭に叩き込んでおきたい。

最近、不景気風に泣かされている飲食店経営者も、

基本や原点に立ち戻れるという意味で手元に置いておきたい。

 【マストポイント】

【成功のための7つの心がけ】

1、顧客思考

仕事の評価は人がする。顧客の支持こそ仕事の成果。

2、理念・信念

目的と手段を間違えるな。理念実現のためにすべては存在する。

3、できることはすぐにやる。

今というときはもう帰ってこない。今やれることに全力で取り組む。

4、決断力

保留しない。曖昧にしない。今できる最善の決断をし続ける。

5、あきらめるな。

困難は自己の成長に欠かせない。ここを乗り越えれば必ず成功が待っている。

6、手を抜かない。

常に最善を尽くせ。ベストを尽くせ。手抜きは人と自分を裏切る行為。

7、必ず成功できる。

どんなときも成功を信じ、成功を思い描く。それが成功への一番の近道

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

斉藤 俊成
TRM繁盛経営研究所代表。1991年、ロイヤル株式会社入社。その後、FC多店舗展開企業、外食コンサルティング会社、小規模飲食企業経営幹部などを経て、2006年に飲食店コンサルティング事務所「TRM繁盛経営研究所」を設立。日本全国200店舗以上、あらゆる業種・業態の飲食店開業および経営再建に携わる。現在も飲食店の現場指導のほか、各種セミナーやフードコーディナー育成講師として活躍中。独自の小規模飲食店繁盛法を活用した、中小・個人飲食店の開業支援コンサルティングを得意としている。

著者ホームページ http://www.hanjouken.com/

ラベル:斉藤俊成
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2010年12月18日

必読本 第943冊目 儲けないがいい

必読本 第943冊目

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儲けないがいい

中島セイジ(著)

¥ 1,365

アチーブメントシュッパン

単行本: 208ページ

2009年11月2日 初版


●本当に、今のままの社会でいいのでしょうか。

私たちはこの社会で暮らして幸せなのでしょうか。

本当の仕事とは何でしょうか。会社とはどういう存在なのでしょうか。

今までの常識やタブーにとらわれず、シンプルに考えてみましょう。

仕事の「あり方」が見えてくると共に、あなたが何を優先するべきなのか見えてくるはずです。 

●毎月1回、「東京掃除の会」主催で新宿・渋谷で行われている早朝街頭清掃で

毎回お会いしていたり、私の師匠でもある飲食店コンサルタント大久保一彦先生とも

お知り合いであることもあり、個人的には何かとご縁がある経営コンサルタント中島セイジさんの著作第2冊目。

昨年11月に発売された本です。

●本書は、拝金主義とは対極にある主義、社風の元、

独特の発展、繁栄を見せる企業や個人をクローズアップしながら、

これからの企業のあるべき姿、社会のあり方を解き明かすことをテーマにした本です。

数年前にご紹介した処女作(必読本第579冊目 参照)と同じく、

文体はクセのない口語体でとても読みやすく、最後まで一気に読破できます。

●目先の利益にとらわれず、先祖伝来の商売の原理原則を厳守し、

300年以上の伝統を繋いできた京都のお麩の店、

特別なレシピをあえて設けず、実際に作る現場の人たちの味覚に依拠した

お惣菜が大好評の宮城県のスーパー、

受付をあえて置かず、治療費の支払い清算をお客さんたち自らに委ねるという

整体院など、著者が全国で探し出したお店や人物などの実例は、ユニークなものばかり。

鍵山秀三郎、木村秋則、大沢悠里など、著者と親密な交流がある有名人のエピソードも収録されております。

●効率や数値とはまるで正反対の、手間ばかりかかり、利益には全く結び付かないような

習慣、人材を登用、徹底している企業が、世の中で注目されるような秀逸な商品を生み出したり、

業績が好調であるというのは、非常に意外で興味深いことでしょう。

我々凡人でもそれらの実例を真似できるように、後半部分にかけて、

行うべき指針が提示されておりますので、是非参考にしたいものです。

●本書を代表するキーワードして「先義後利」という言葉が頻繁に出来てきますが、

これは要するに、「損して得取れ」、「己の欲することをまず他人に行え」ということを

言い換えたもの。

小手先のテクニックや、成功者のサルマネが簡単には通用しない現在の過酷な

ビジネス環境において、改めて、昔から重んじられてきた普遍の真理を再考したいものです。

数字やマニュアル一辺倒の商売のあり方に行き詰まりを感じ、

「人の心」を重視した経営方針に転換したいとお考えの経営者に是非おススメしたい名著です。

 【マストポイント】

@「私が取材した方々には、ある共通点があります。

それは、“セレンディピティ”です。

セレンディピティとは、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを

見つける能力や才能を指す言葉です。

平たく言うと、ふとした偶然をきっかけにして幸運をつかむこと、

幸運をつかむ能力を備えていること、と言ってもいいでしょう。

しかし、セレンディピティと言える体験をしたある経営者は、

『手のツメに泥が入るくらいの努力をしない限り、セレンディピティはない』と語っていました。

成功者は、たんにチャンスに恵まれて今に至っているわけではありません。

両手両足のツメに泥が入るくらいの努力を重ねてきたからこそ、

偶然のチャンスをとらえることができ、それをモノにできたのです」

A「『情動力』とは、人の情や心に働きかける力です。

人は、情報の多さにはうんざりしますが、強い情動には感動し、涙さえ流します。

この情動力は、天賦の才能にめぐまれた特権ではありません。

日々、掃除をしているだけでも、日記を書くだけでも、

情動力は知らず知らずのうちに身につきます。

コツコツと自分を鍛え、成長していくことは、人の情けをしり、人の心に共鳴する

大切な何かを育てているのです」  

B「『先義後利』とは、利益より社会や人間の義を優先させることです。

これからの企業にとって。なくてはならない要素と言えるでしょう。

ただ、その“義”がわかり、決断に反映させるためには、それなりの鍛錬が必要です」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

中島 セイジ
企業戦略コンサルタント。株式会社クオーターバック代表取締役社長。1985年に企業マーケティングおよび広告戦略を中心にプランニングを行なう株式会社クオーターバックを設立。1993年には中小企業を主体とした企業戦略研究会「αクラブ」を開設、主宰。理念経営を説く「見・投資コンサルタント」および戦略コンサルタントとして業界・地域を問わず数多くの企業を支援する。

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2010年12月07日

必読本 第939冊目  飲食店完全バイブル―独立・開業から成功する店づくりまで

必読本 第939冊目

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飲食店完全バイブル―独立・開業から成功する店づくりまで

吉田 文和(著), 日経レストラン編集部 (編集)

¥ 2,310

日経BP社

単行本: 271ページ

2006年6月1日 初版


●『日経レストラン』連載の「独立・開店完全マニュアル」と「店舗改善・完成マニュアル」等を加筆修正。

CD-ROMに収録の営業日報などすぐに使える帳票を100点に増やし、

飲食店基準数値一覧表を追加した02年の増補版。

●本書は、私もかなり前からその存在は知っていたのだが、
時間を取って熟読する時間がなかった本。
私自身、現在、緊急に飲食業界の実務をマスターしなくてはならない
状況にあるため、この何日間のヒマな時間に、
ある静かな場所に缶詰めになって一気に読破しました。
●タイトルに端的に示されている通り、
飲食店を開業するまでの準備段階から、オープンしてからの注意点、
1号店が軌道に乗ってから多店舗化するまでの流れなど、
飲食店経営者が把握しておかなくてはならないすべての点を
非常にわかりやすくコンパクトに一冊にまとめたマニュアル本である。
飲食業界では非常に有名な本のようで、
特にコンサルタントの間では教科書的な本であるらしく、
読んでなければモグリだと言われるぐらいの定番書であるらしい。
●たしかに、そう言われるだけのことはある。
コンセプト設計から、立地のポイント、開業準備書の書き方、

資金の集め方、メニュー作成、従業員教育、販売促進などの
当然把握しておかなくてはならない飲食経営の基本の基本が、
その根拠となる数値、計算式を明確に示しながら解説していくので、非常に説得力がある。

●数字に弱い方には、一読しただけでは理解しづらい部分があるが、

苦手だからと言って避けて通るわけにはいきません。

経営者がドンブリ勘定では、

とてもこのような不景気の中では長年お店を維持していくことはできないでしょう。

損益計算、客単価、目標売上高、FLコスト、家賃、席数、駐車場数など、

飲食店経営では外せない経営数値、計算式がわかりやすく解説されておりますので、

電卓片手に、自分の店のプランを考えてみると、

今まで曖昧にしていた部分や問題点が、霧が晴れたように明確に浮き彫りにされてくるはずです。

●ただ、元の本が10年前ぐらいとちょっと古いこともあり、

細部には飲食業界の最新事情と合わない部分がやや見受けられる。

類書でも評判が高い本があるので、

足りない部分はそれと併読しながら読むといいでしょう。

各種帳票類もおまけCD-ROMにそっくり収められているのも

見逃せない利点です。是非活用したいですね。

余談ですが、著者は、この道数十年のベテランのようですが、

他の著書はなぜかなく、ネットで調べてもなかなかその詳細が出てこない。

現状はどんな感じなのでしょうか?

 【マストポイント】

@「普通の人が1日に食べる量は体重の約3%。

つまり、体重が50kgの人ならば50×3%=1.5kg=1500g。

これを朝昼夕で3回に分けると、一回当たり500g。

ただし、朝昼は、350〜400g程度の軽いモノが多いので、

夕食は700〜750gとなる。

外食店で提供する夕食の一回の食事量は、これぐらいを基準にするとよい」

A「不満を感じても苦情を言わない人の再購入意思はわずか9%。

苦情を言ってその迅速な対応に満足した人の再購入意思は82%。

つまり、飲食店に当てはめれば、「見えないクレーム」を抱えた人の9割は2度と来店しないが、

不満がタイミングよく解消されれば、82%のお客が店のファンになってくれるということである」

B「1坪あたりの最低必要月商は10万円、理想は15万円、繁盛店は20万円以上。

30坪の店では30坪×15万円=450万円が目標月商となる。

坪あたりの月商は最低10万円は確保したいところで、20万円以上だと繁盛店となる

(全国平均。場所によっては、一概に上記の基準が当てはまらないケースもある)。」


【著者紹介】

 吉田 文和
1947年、新潟県出身。70年、日本デイリークイーン入社。その後、ダンキンドーナツ、雪印スノーピア、森永乳業、ジローレストランシステム、西洋フードシステムズ、プリマハム、ダイエー外食事業部などを経て、75年、飲食店経営コンサルタントとして独立。新業態開発や不振店の活性化に貢献してきた。91年、フードサービス総合研究所を設立。セミナー、執筆、コンサルタント活動などを展開中。電子メール(e‐mail)で飲食店の経営、運営に関する質問や相談ができるE‐会員制度(会費:月1万円、期間:1年)も行っている。「日経レストラン」では、「独立・開店完全マニュアル」(97年10月~98年9月)、「店舗改善・完成マニュアル」(98年10月~99年9月)、「実用セルフチェック教室」(2001年10月~2002年9月)、「パーフェクト店長養成講座」(2004年11月~)を連載。


ラベル:吉田文和
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2010年11月14日

必読本 第936冊目 繁盛道場―愛されるお店をつくる二十二の法則

必読本 第936冊目

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繁盛道場―愛されるお店をつくる二十二の法則

中島 武(著)

¥ 1,470

日本経済新聞社

単行本:191ページ

2007年8月24日 初版


●「頭」を鍛え、「心」を磨く!

紅虎餃子房、万豚記、柚子屋旅館、豆寅、葱や平吉…。

数々の名物料理、伝説の店を生み出した社長自らが成功の舞台裏を明かす。

●中華料理を中心に、斬新なアイディアの業態、商品を生み出すことで有名な、

際コーポーレーション社長、中島武さんの3年前のベストセラー。

飲食業界では知らない人がいないほどの名物社長ですが、

恥ずかしながら、私自身初めてその著書を読みます。

●内容的には、著者が創業、プロデュースしてきた数多くのレストラン、旅館などを引き合いに出しながら、

どうしたらお店が繁盛していくのかを22の法則にまとめ上げたものである。

相当の読書家なのか、とにかく文章が流麗で読みやすいのが特徴である。

速い人だったら、1時間弱で一気に読破できます。

●著者は一見強面というか無骨な感じの人で、

何も戦略的なことを考えず、ただ味一辺倒で勝負の昔気質の料理人タイプなのかと

想像してしまいがちだが、本書を読むと、

国内外問わず数多くのお店を見学する研究熱心な勉強家で、その圧倒的な情報量に裏打ちされた

天才的な商売センス、鑑識眼の高さには誰もが舌を巻かされます。

飲食の経営者ながら、料理人としてはズブの素人で、

本場の一流中国人コックと丁々発止の議論の末に著者自らが考案した新メニューを何とか認めさせ、

それを大ヒットに繋げるなどに、その顕著な例を見ることができます。

トレンドの作り方、ブランディングの仕方、人材の育成方法など、

他にも参考になる話が満載です。

●これから飲食業を始めようかとお考えの方のみならず、

商売に行き詰まりを感じ、新規まき直し、事業再生をお考えの経営者の方にもおススメの本です。

よそ者を寄せ付けない、排他性の高い京都において、柚子に特化した旅館を成功させた話、

資金不足の中で、知恵を絞り出して地方スキー場のレストランを再生させた話などが

特に参考になるでしょう。

●又、昨今の学生の就職難との関連で言えば、

誰に命令、指示されたわけでもなく、著者の会社の問題点をまとめ上げてレポートしてきた女性の話や、

有名大から新卒で、無名時代の著者の会社に入社し、

経験不足や若さをものともせず、総責任者として店舗を大繁盛させた女性社員の話など、

飲食業界に活路を見出したい学生さんにもヒントになるエピソードが後半にかなり紹介されております。

就活の参考になるかと思います。

 

【マストポイント】

@「よく、こう聞かれることがある。

「どうしたらそんなに雑誌やテレビに取り上げてもらえるのでしょうか」、

「誰か知り合いにでも頼んでいるのですか」

そうではない。

誰それとコネがあるから、マスメディアに取り上げてもらうのは無理である。

その店の打ち出すものが、その時代の社会的、経済的なトレンドと合致していなければいけない。

今からやろうとしていることが、社会的なニーズと合っているかどうかが重要なポイントである。

「食」というものは人のライフスタイルを提案している商売だけに、社会、経済と密接な関連がある。

社会の動向に合わないものは受け入れられない。

時代の中で、どのようなものが求められているかを分析しながら、

それに合った商品づくりをする必要がある。

そして、その商品をタイミングよく世の中に出していくことが大切なのである」

A「私の会社の社員にどんなふうになってほしいかと言えば、

自分でやらないと気のおさまらないタイプの人間である。

人に言われて動くのでは遅い。

誰かに言われる前に、すでに動き出しているような、そういうスタッフが大勢ほしい」

B「リーダーに必要な言葉は3つある。

「ありがとう」、「よくやったね」、「頼んだよ」である。

困難だとわかっていても、課題に立ち向かわせて、自信をつけさせる。

100%できなくても、70%でもいい。

30%をフォローしてあげればいいのである。

ただし、いつ手をさしのべるかも大事である。

フォローはいつでもできるが、ぎりぎりのところまで本人にやらせて、

じっと見守るのもリーダーの仕事である。

人間は、追い込まれた局面で、難題を前にしたときにこそ、

成長するものだからだ」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

 中島 武
際コーポレーション社長。1948年生まれ。70年、拓殖大学商学部卒。同年東急航空に入社し、83年に独立。90年、際コーポレーション設立。2002年「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」、2003年「ベンチャー・オブ・ザ・イヤー」受賞。

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2010年11月10日

必読本 第935冊目  小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡

必読本 第935冊目

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小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡

鬼頭 宏昌(著)

¥1,890

インデックスコミュニケーションズ

単行本:215ページ

2006年11月30日 初版


●経営に関してはずぶの素人が6年間で年商20億円の外食チェーン企業を育て上げた。

店舗のデザイン、繁盛店作りの法則、経営の原理原則、成功軌道に乗るための方法等、

大きな利益をもたらした、本物のノウハウを厳選して掲載。 

●最近、ごく一部の経営コンサルタントの本ばかりに偏向しているなという反省も込めて、

読んだ本。

アマゾンなどで検索すると、飲食、外食関係でよく目にするので、

以前から気になりつつも、なかなか縁がなかった著者。

評判が良いようなので、2日ぐらいかけて読みましたが、久々のヒット作になりました。

●著者は、大学中退後、実家の名古屋にある、父から引き継いだ居酒屋数店舗を、

経営不振の状態から見事に立て直し、更に業績を大拡大した後、

優良企業のまま売却に成功したという若手成功者。

本書は、その成功を築いたノウハウの数々を惜しみなく披露した実践的な経営哲学書である。

●構成的には、開業前の心構え、開業資金や立地など、開店するまでの準備、

繁盛店づくりのコツ、経営の原理原則、多店舗化するまでの注意点など、

居酒屋業を開店してから業務拡大するまでの流れが、1冊の中に過不足なく凝縮されている。

非常にボリューム感あふれる本だが、本をよく読んで研究されている成果を如実に表しているがごとく、

文体が非常に流麗で、内容の秀逸さもあり、読み始めたら止まらない面白さがある。

類書では曖昧に流されるようなポイントを、鋭く、詳しく解説している点が本書の特徴の一つ。

業種選びで成功の80%が決まる、市場は大きいが、大手企業の寡占が進んでないものを選ぶ、

「売上−経費=利益」の大原則を忘れず、投資収益率を上げることが儲けの要諦である、

立地は命だが、開業当初は好立地はまず望めない、一等商圏の二等地、三等地を狙う、

人気メニューは、人気食材×人気調理法で生まれる(例・フォアグラ×握り寿司)など、

目からウロコのノウハウが次から次へと出てくる。

4年前とやや古い本だが、現在でも十分通用するような話が少なくない。

●読破して非常に印象に残ったのは、よくぞこれほどまでの経営理論を、

(数年間に何千万円も投資したことだけのことはあるが)独力で築き上げたものだな、

ということと、

薄っぺらで、効果を発揮しない経営本が巷にあふれる中で、

己の成功ノウハウを、よくぞこれほどまでに出し惜しみすることなく披露したものだなということである

(まあ、出版時には事業を売却し、現場経営者を卒業していたからという事情もあるだろうが)。

ベンチャー企業の若手成功者というのものは、えてして派手で浮ついた感じの人間が多いものだが、

非常に研究熱心な努力家で、なおかつ、理論派であるにもかかわらず、

人間的な優しさや謙虚さも併せ持った稀有なタイプの好人物という印象を持った。

●結論としては、飲食関係の経営本としては出色の1冊でしょう。

好みや勘だけで、飲食業に安易に手を出そうとお考えの方には、

経営感覚のなさ、己の考えの甘さを猛省させられること必定です。

商売成功のためには、手抜きしていい点など何一つないのだということを思い知らされます。

また、飲食業に限らず、起業、独立を考えている方にも推薦できます。

業種選び、立地、人材育成、販売促進など、他分野でも応用可能なノウハウが大変充実しております。

 

【マストポイント】

@「市場は価値のあるものを必ず評価します。

すなわち価格に対して、はるかに価値の高い商品を提供することができていれば、

いつか必ず経営は軌道に乗ると思います。

そして、そのように本当に価値のある飲食店の口コミは、空間を飛び越えていきます。

東京のお客様が、名古屋に来た時にある飲食店のクオリティーに感動すれば、

名古屋に来るたびに行くようになるし、また東京でも口コミを広めてもらえる、

という具合に商圏は限りなく広がっていきます」

A「利益を上げるための方法には順序があります。

最初に経費を下げた後、売上を上げるという順序を守ることが非常に重要なことです」

B「この世の中で起きる問題は、一見すべてが自分の外で起きているのですが、

その解決は自分の心の中でしか図ることができないようになっていると思います。

すなわち、問題に対する自分自身の考え方や捉え方を変えることでしか、

その解決を図ることはできないのではないでしょうか。

自分の中の何かが間違っているから問題が起き、

それを自分以外の人間が自分に教えているというのが真実のように思えて

仕方がありません。

そして、問題に対する自分自身の捉え方が正しく変わった時に、

なぜか問題は自然消滅的に消えていくのです」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

 鬼頭 宏昌
元キューズファクトリーズオーナー。大学中退後、外食業界へ参入。22歳で父親の経営する株式会社まこと(後にキューズファクトリーズに社名変更)に入社。同年に開設した「旗篭家さくらみせ」を業界屈指の繁盛店に育て上げる。その後、同社の赤字転落を機に25歳で父親から経営を託され、31歳までの6年間で、総店舗数20店舗(全て直営店)、年商20億円の外食チェーン企業に同社を育て上げ、優良企業のうちに事業を売却し現在に至る。その後、FUTURE CONNECT株式会社を設立し、新規事業の開発・執筆・コンサルティング活動などを行っている。

ラベル:鬼頭宏昌
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2010年11月04日

必読本 第933冊目 ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階

必読本 第933冊目

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ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階 

ジェームズ・C・コリンズ(James C. Collins)(著), 山岡 洋一(翻訳)

¥2,310

日本BP社

単行本:316ページ

2010年7月26日 初版


●メルク、モトローラ、HP…。

かつて取り上げた偉大な企業は、なぜ衰退したのか。

転落を阻むポイントは何か。

克明な調査・分析で明らかになった「偉大な企業」衰退の真実とは。

シリーズ総括の書。

●傑出した業績を長期間持続することに成功した超優良企業の条件を

膨大なデータから導き出した名著『ビジョナリー・カンパニー 2   飛躍の法則』

必読本 第162冊目参照)は、多くのビジネスマンから絶賛され、

経営学の必読書の中の1冊として、読んでなければモグリだとまで言われるような地位を獲得しました。

その本が2001年に日本で発売されてから約10年ほど経ち、

世界の経済情勢は誰も予想もしないような展開を辿りつつ、急変することになり、

著者が超優良企業として挙げた企業の中でも没落の憂き目に遭うところが出てくるようになりました。

●本書は、かつて超優良企業としての栄華を誇ったにもかかわらず、

ごく凡庸な企業になり下がったり、甚だしきは倒産、消滅まで至った企業に共通する要因を

「衰退の五段階」としてまとめ、どのような経過を辿って、優良企業が転落していくのかを

各企業の事例を豊富にあげながら解説していくという内容の本です。

●例によって、堅牢なハードカバーと、分厚いページ数で、

読み始める前には相当の心の準備が必要な本かと思ってしまうが、

意外にも文章量は少なく(ページ数の割には文章はスカスカ。パート2ほど分量はない)、

巻末付録前までは200ページ足らずなので、一気に読めます。

翻訳文もこなれていて、非常に読みやすいです。

●転落していく企業というものは、「成功から生まれる傲慢」→「規律なき拡大路線」

→「リスクと問題の否認」→「一発逆転策の追及」→「屈服と凡庸な企業への転落か消滅」という

「衰退の五段階」をほぼ必ず歩むと、本書では述べられているが、

これは別に超一流企業に限った話ではなく、ちょっと繁盛し始めた中小企業や個人商店、

果てはどん底から成り上がった成功者にも言えることでしょう。

ちょっと成功するとのぼせ上ってしまうのが、凡人の常です。

天狗になるのを抑えるための自己啓発書として読んでも得るところの多い本でしょう。

●ほぼ同じビジネスモデルを持ちつつも、エームズが消えうせ、

ウォルマートが今も繁栄を保っている(創業者サム・ウォルトンの謙虚で質素で勉強好きな性格)、

短期に急成長を遂げた傲慢さによって、次世代携帯電話市場を読む目が完全に曇ってしまったモトローラ、

一時は危機に陥るが、再度復活を遂げる企業は、自社の中からCEOが出てくるが、

衰退していった企業は、ほぼ例外なく、外部から頻繁にCEOをスカウトしてくる、

絶対確実なデータがなかったことにより起きてしまったチャレンジャー号の爆発事故、

受付嬢からCEOになったということで、芸能人的な注目を集めただけに終わったHP、

絶望的な状況でも絶対に諦めることをやめなかったチャーチル英首相など、

採用されているエピソードにも興味深いものが非常に多い。

下記のマストポイント以外にも、重要なメッセージを沢山見出すことができるはずです。

●結論としては、やはり、これ1冊だけを読むのではなく、

シリーズ3部作を通して読むことを是非おススメします。

企業経営の成功と失敗の要因を両輪で学ぶことができます。

 

【マストポイント】

@「不適切な人材と適切な人材の違いでとくに目立つ点の一つは、

不適切な人材が自分はこれこれの「肩書き」をもっていると考えるのに対して、

適切な人材が自分はこれこれに「責任」を負っていると考えることである。

主要なポストにある人はみな、「どのような仕事をしているのですか」と質問されたとき、

肩書きをあげるのではなく、個人として負っている責任をあげて答えられなければならない。

「わたしはこれとこれに対して最終責任を負っている。

前後左右を見渡しても、他に最終責任を負っている人はいない。

そしてわたしは、この責任を引き受ける」と」

A(著者が、ロック・クライミングの講習であわや転落というパニック状況に陥り、

生存とは正反対の行動を反射的にとってしまったとき)

このとき得た重要な教訓は今でも忘れない。

■問題にぶつかったとき、転落の瀬戸際にあると気づいたとき、

生存本能によって、そして恐怖心によって、生き残るためには絶対にとってはならない行動を

反射的にとってしまうことがある。

必要なものとは正反対の行動をとり、もっとも恐れている結果を引き起こすリスクをおかすことになる。

衰退の道を歩む企業をみていくと、わたしはこの教訓をあらためて痛感する」 

B「戦いで重要な点は生き残ることではない。

世界のうち関係した部分に特有の影響を与え、

しかも優れた業績をあげながらそうした影響を与えるので、

存在しなくなれば大きな穴ができ、他の組織が簡単に埋めるというわけにはいかない、

そういう企業を築くことである。

これを達成するには、指導者が、単なる生き残りよりも大きな目標(自社の存続よりも大きな目標)を

追求する戦いに勝利する道を見つけられるという確信を持ち続けると同時に、

この目標を達成するために必要なら、どれほど耐えがたいものであれ、どのような行動でもとるという

強い意思をもちつづけていなければならない。

闇のなかで脱出の道を見つけだし、充分に根拠のある希望を与えてくれるのは、

このようなタイプの指導者である」 

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

ジェームズ・C・コリンズ
スタンフォード大学大学院修了。同大教授などを経てコロラド州で経営研究所を主宰。ピーター・ドラッカーの教え子。ジェリー・ポラスとの共著『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の法則』(BUILT TO LAST)、続く単著の『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(GOOD TO GREAT)は、ともに世界的ベストセラーに。

posted by miura at 09:56| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月18日

必読本 第931冊目 善の循環経営

必読本 第931冊目

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善の循環経営

大久保一彦(著)

¥1,500(税込)

実業界

単行本:216ページ

2010年9月21日 初版


●少子化がこの先進むと、ずばり新規顧客不在もあり得る。

それらを解決し経営が継続するヒントがこれだ!

人口減少時代を生き抜くメソッド。

●個人的にも親しくさせていただいてる、飲食系コンサルタント大久保一彦先生の最新刊。

先月末に発売されたばかりの書き下ろし作品だが、

最近、アンケート関連の書籍ばかりが立て続けに出版された

著者としては、全く毛色の違った作品が出来上がった。

最近の著者の考えを総まとめしたような異色の内容です。

●第1章では、以前著者のメールマガジンでも記されていたことがある、

個人的な生い立ち、経営コンサルタントとしての遍歴を語るという、

自叙伝めいたスタイルをとる。

ご両親が短期間に立て続けに重病で倒れられ、その治療費を捻出するために、

大学中退、飲食業界入りしたという特殊な事情があったため、

若い頃の著者は、とにかく結果至上主義者というか、

売上げアップのためならば、手段を問わないというほどの、

ある種、冷酷無比なタイプの人間であった。

著者のファンならば、初めて語られる秘話も多く、非常に面白く読める。

●ご両親を亡くされ、その後に結婚、ご子息も誕生されたここ5年程の間に、

成熟化を迎えた飲食業界の現状もあり、著者の考えや生き方には大きな変化が生ずる。

これからの時代は、人口が加速度的に減少する方向に向かう。

つまり、新しいお客さんは増えず、既存客が何度でも足を運びたくなるような

善の心、温かい心を持ったお店だけしか生き残ることができないのだと。

●第2章、第3章では、著者がサラリーマン時代に勤務し躍進させた「新宿さぼてん」や、

プライベートで体験した興味深いエピソードを引き合いに、

「善の循環経営」とはどういうことなのかを具体的に解説していく。

第4章では、著書が直接取材した、

「善の循環経営」を実践し成功している繁盛店を5例紹介している。

最終第6章では、「善の循環経営」を行うためのわかりやすいコツを伝授する。

●不景気で、どうしても人心が荒廃しがちなこの世の中で、

安物買いのお客しか来店しない、従業員や自らの士気が上がらず、

売上げ不振や店舗運営に悩んでいる経営者は少なくないと思う。

本書において、その原因は、経営者自らに内在する「悪の心」であると

著者は喝破する。 

つまり、性悪説に根差した考え方を持っている人間が店を経営すれば、

盗みを働いたり、些細なことでクレームをつけてくる程度の低いお客ばかりが

来店したり、志の低い従業員ばかりが店に集まるということである。

●そして、それらを打開するには、精神面、行動面をともに

「善の心」に転換していくことが肝要だと説く。

本書においては、それを会得するための具体的な方法が

後半を中心にわかりやすく解説されている。

マイナスワードを使わない、信念を貫き通す、

人の温かな感情に訴えかける、中国の古典を読み、良識を身につけるなど、

非常に多くのヒントが散りばめられています。

●本書は、根本的な経営打開策を求めている経営者のみならず、

人としてのあるべき姿、人生で本当に大切なことは何かを

知らしめてくれるという意味で、一般の方にもおススメの書である。

苦境の時ほど、本物の人間力を備えた人だけが生き残る、

ハードウォーミングな心がすべてを救うということを教えてくれる名著です。

読みやすい文体もあり、サラリと読破できますが、

何度も繰り返し再読して頭に沁み入らせたくなるような本です。

 

【マストポイント】

@「コンサルタントという仕事だから、お客様の店をつぶさないようにいろいろなことを

考えるだろう。でも、それはお客様のためにならないんだ。

会社がつぶれるとしたら、それはその人の運命だからね。

あなたがちょっと何かをやって仮に売上げを上げたとしてもいつかはつぶれるんだよ。

それがその人の運命なんだ。

だから、あなたはつぶれることを恐れずにお客様のやりたいことができるように

一生懸命手伝ってあげなさい」

(著者に大きな影響を与えた、自然派ビュッフェ「ティア」元岡健二さんの言葉)

A「これからの時代は、考え方を変える必要があります。

仕事に合わせて人が動くのではなく、人に合わせて仕事を作るのです。

確かに、成長の時代は仕事に対して人を割り当てる時代でした。

しかし、これからはやりたいことだけの数の仕事がある時代だと考えるべきです。

これからの時代は、自分の得意なこと、やりたいことを元にして、世の中に役に立ち、

その感謝の印としてお金を得るのです。

このような仕事や生産についての考え方が、善の循環経営につながっていきます」

B「人口減少のこれからは、今までの経営者や労働者という枠組みを撤廃し、

関わり合った者同士が助け合い、お互いにとって正しいことを行う時代なのです。

会社の中や取引先との関係は、思いやりや愛情のある家族のような感覚です。

これが善の心による経営なのです。

サービス業という仕事は、自分が幸せでなければ、周りの人を幸せにはできません。

従業員が幸せでなければ、お客様を幸せにはできないのです。

だからこそ、単に経済的な利害の合致した仕事仲間"という割り切った関係ではなく、

家族のような関係が求められるのです。

それが強いつながりをつくっていきます。

みんな感情というものを共有する仲間を欲しているのです」

(以上本文より。一部改変)


【著者紹介】

大久保 一彦
1965年生まれ。食の商いのご意見番。サラリーマン時代に勤務していた中食のチェーン「新宿さぼてん」において、損益分岐点を下げる仕組みをつくり、惣菜店の基礎づくりをした。1997年独立。現場に精通して数々の不振店の業態改善を行い、多くの店を繁盛店にした。通算2年以上の海外視察を行い、国内および海外で1万店を視察した。その経験を生かしたコンサルティングには定評があり、食品メーカー、流通チェーン、地域密着の店、老舗料亭・フレンチ・イタリアンなど幅広い食のブレーンとして活動する。

ラベル:大久保一彦
posted by miura at 09:18| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月28日

必読本 第923冊目 繁盛店主の「7つの教え」

必読本 第923冊目

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繁盛店主の「7つの教え」

富田 英太(著)

¥1,575

ビジネス社

単行本:253ページ

2009年11年24日 初版



●仕組みの4力(理念力・営業力・数字力・育成力)+

アピールの3力(会話力・人脈力・勉強力)があれば、

どんなお店も黒字になります!

2000人を観察して分かった、儲かるお店とダメなお店の差を徹底分析。

●以前ご紹介した(必読本第758冊目 参照)著者の第2作目。

最近、この手の、小さなお店の経営術的な本をずっと読んでなかったので、

図書館から借りて読んでみました。

著者の処女作は、ボリューム満点の内容を手際良く一冊にまとめた

お買い得感あふれる本で、かなり好印象を持った記憶があります。

●著書によれば、業種を問わず、繁盛しているお店の経営者は、

上記した7つの力を兼ね備えているケースが多いという。

そして、この7つの力はどれか一つが欠けてもダメで、

完備していることが重要であるという。

本書は、その7つの力をいかにしてマスターしていけばよいのかを

わかりやすく解説してくれる本である。

文章は読みやすい口語体で、

分量の少ないエッセイ風の文章が並べられ、章末にはそのポイントが一言でまとめられている。

図表の類も多く、読書が苦手な方にも抵抗なく読み進められる作りになっている。

●著者の本拠地である大阪を中心に、実際指導する顧客など、

逆転の発想で業績を回復したエピソードが非常に多く掲載されているのも特徴。

著者の不遇時代の苦労話も含め、共感を持って読める箇所が少なくない。

後半、ビジネス本を多読するための読書術めいた話が出ているが、

これもかなり役に立つ。

著者は、比較的若年の方だが、とても多くの書物を読んで勉強し、

なおかついまだに各方面のセミナーに通いつつ、日々研鑽を積んでいるのが

本書の随所に垣間見れる。

●この手の経営コンサルタントの書物と言うものは、

ある一つのテーマに絞って一冊執筆され、次作では、また一風変わったテーマで一冊執筆しと、

小出しにしながら次々と本を出版していくというスタイルをとるのが普通だと思うが、

本著者は、前作と今作でハッキリと判明したことだが、

一冊の中に、すべてのテーマを網羅的に詰め込むことを身上にしているようだ。

いかにも大阪人と言うべきか、何でもお客には損はさせない、

太っ腹なところを見せたいという姿勢がアリアリと伝わります。

そんなに多くのビジネス本など読んでいるヒマがない、

一冊で効率よく勘所を押さえたいという経営者には向いている著者でしょうね。

●最後に難点をひとつ。

人間がやることだから、どんな仕事においても、

一つや二つぐらいのミスは認めてあげなくてはならないが、

本書には余りにも誤字脱字の類が多すぎて、編集者はちゃんと仕事をしているのか?と

読書中怒りさえ覚えてきた。

こんな凡ミスが臆面もなくさらけだされてしまっていては、内容の秀逸さが霞んでしまう。

自費出版物じゃないんだから、ちゃんとした仕事をしてほしいものだ。



【マストポイント】

@「従業員は、どうやって自信を持ったらいいか分からないのに、

『自信を持て!』と言われても、どうしていいか分かりません。

繁盛店主として大事なことは、『自分たちにもできるかもしれない…』と思える環境をどう作っていくかになります。

そしてそういう気持ちを生み出すまでには、細かく小さな、成功体験を何度も何度も味わっていく、

そんな環境を用意してあげるのが、現代の経営者の役割なのです」

A「従業員と信頼関係を結ぶためには、まずしっかり相手の話を聞くこと。

そして、相手の話に少しでも疑問を持ったら、意見を言うのではなく、質問をすること。

質問とは、相手の気づいていない真実を浮き彫りにして、相手の気づきを促進し、

能力を引き出すためのスキルである」

B「人間は環境の生き物と言われるように、

周囲に意識の高い、成功している人間が多いと、本人もおのずと、

自分の価値観が向上し、さらに上を目指して頑張ります。

逆に、周囲に意識の低い人が多いと、自然に自分自身の意識も下がってしまいます。

環境に言動が左右されてしまうのが、よくも悪くも人間です。

まさに、人脈も「勝ち馬のエスカレーター」に乗る。

そして、自分自身も「勝ち馬」になることが肝要です」

(以上本文より。一部改変)



【著者略歴】

富田 英太
店舗の売上改善・黒字化のスペシャリスト。株式会社アチーブメント・ストラテジー社代表取締役CEO兼経営コンサルタント。1978年大阪生まれ。高等学校を卒業後、システムエンジニアから果物・野菜の行商を経て、東証一部上場コンサルティングファームにて、2年間パートナーコンサルタントとして店舗経営のコンサルティングノウハウを修得。24歳で独立。美容室、パン製造会社、イタリア料理店、居酒屋、小売店、工務店、士業事務所等の、繁盛店・黒字化運営に携わる(クライアント店舗、売上前年比平均187%の売上改善実績)。


ラベル:富田英太
posted by miura at 13:28| 山形 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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